インタビュー
[TGS 2019]「龍が如く7 光と闇の行方」インタビュー。新たな主人公を軸に生み出されるシリーズ王道の物語
4Gamer:
よろしくお願いします。さっそくですが,「龍が如く7 光と闇の行方」の構想がスタートした時期をお教えください。
横山昌義氏(以下,横山氏):
「龍が如く6」の発売前後くらいからでしょうか。その頃に「次の『龍が如く』はどこに向かうのか?」といった話が始まっているので,かなり長い期間をかけて開発していますね。
4Gamer:
新しい主人公や舞台が決まったのも同じ時期なのでしょうか。
横山氏:
そうですね。あまり変わらないと思います。2年前の2017年8月26日に,龍が如くスタジオ 新作発表会を開催し,「新・龍が如くプロジェクト」を発表しています。その時に「次の龍が如くの主人公は“春日一番”です」と話しているんですよ。
春日一番のプロフィールも決まっていまして,「龍が如く ONLINE」の主人公になりますといった内容と合わせて,彼が主人公の家庭用ゲーム機版も作っていますと発表していますね。
「龍が如く」のオンラインゲーム,その名も「龍が如く ONLINE」発表。スマホ&PC向けに2018年サービス開始
セガゲームスは本日,「龍が如くスタジオ 新作発表会」を都内で開催し,「龍が如く」のオンラインゲーム「龍が如く ONLINE」を発表した。PC/iOS/Android向けに2018年のサービス開始が予定されている。
阪本寛之氏(以下,阪本氏):
そこで発表しているということは,内部ではもっと前に決定しているということです。ですので,その時点では今作の主人公や舞台,そしてゲームの在り方も決まっていて製作がスタートしていました。
4Gamer:
主人公が桐生一馬から変わることも,すでに決まていたと。
横山氏:
「6」を最終章としていますからね(笑)。実際には,「0」の製作が終わり「6」の企画が始まった段階で,「ここで桐生の話は終わる」ということになっています。ですので,主人公が変わることが確定してからは6年くらい経っているんですよ。
変えること自体は自分たちの中でもかなり重いことだと考えていたので,ファンに対して慎重な説明が必要かなと思ってはいました。なので,まずは先ほど話した新作発表会で説明を行ったわけです。長く愛されてきた桐生一馬だからこそ,ファンに失礼のないようしないといけませんからね。
4Gamer:
「6」製作当時の話になりますが,長い間主人公を務めた桐生一馬から主人公を変えることに抵抗はなかったのでしょうか。
横山氏:
なかったですね。というのも,「4」では桐生一馬のほかに3人の主人公が出てきますし,さらにあれは桐生一馬の話ではないんですよね。「龍が如く 維新!」を含めそういったことは何度かやっていますし,また「龍が如く」イコール“何”となったとき,必ずしも桐生一馬が出てくるわけでもないんですよ。
阪本氏:
自分たちにとってもですが,ユーザーにとっても「龍が如く」イコール“桐生一馬”であったり,“神室町”であったり,“ドラマ”であったりするのです。「龍が如く 維新!」は「龍が如く」シリーズではないと感じるユーザーがいるのも,その違いからでしょうね。
横山氏:
で,僕らの中では「龍が如く」とは“神室町”を含むあの世界で,同じ時間軸を描くドラマのことだと思っているんです。なので,たとえ主人公が変わったとしても「龍が如く」であり続けると考えているのです。
4Gamer:
共通の世界観や,つながる時間軸をドラマそのものが「龍が如く」であるわけですね。
横山氏:
そのようなことがありつつ開発をずっと進めていたのですが,その間に「龍が如く ONLINE」や「JUDGE EYES」が出たりしているので,しばらくは表に情報が出てくることが少なかったんですよ。
4Gamer:
たしかに,そちらのタイトルに目が行ってしまって,「家庭用ゲーム機版の最新作は?」と思うことがなかったかもしれません。
横山氏:
まあ,目が行かないようにしていたんですけど(笑)
4Gamer:
その考えに,まんまと乗せられていましたね……。「7」は「6」の終わりから3年後と,時代が近いということは,過去作のキャラクターも登場すると思っていいのでしょうか。
横山氏:
物語としては「6」の後の話なので,出てきてもおかしくないですよね(笑)。主人公が変わりますので,関係性がない人は出てこないのですが,ストーリーについてはまだ多くを公開していないので「誰が出ます」とまではお答えできないです。
4Gamer:
これまで,さまざまな地方の繁華街が舞台になってきましたが,横浜以外のエリアなど,まだ発表していない情報などはあるのでしょうか。
横山氏:
昨日公開したゲームトレイラーの中に,すごく短いですけど羅列して入れてあります。これには神室町と蒼天堀もパパっと出てくるんですが,ちゃんとゲームでも行けるようになってますからね。
阪本氏:
今回,横浜が主要な舞台ですが,プレイで行き来するエリアは合計で3都市になります。隠しているわけではないのですが,あまりしっかりと見せてもいないので,映像を凝視していないと見逃してしまう要素も多いと思いますよ。
横山氏:
街の画像などはイメージカットなのかな,と思っている人もいるかもしれませんが,あれは舞台になるから入れています。「龍が如く」の新作は,ちょこっとバージョンアップした部分などは,あまり大げさに伝えていないんです。ですので,今回も主人公を含む新たな登場人物や,初の舞台となる「横浜・伊勢佐木異人町」,新バトルシステム「ライブコマンドRPGバトル」をまず先に紹介しているわけです。
4Gamer:
街ですが,横浜・伊勢佐木異人町だけで神室町の3倍以上あるとお聞きしているのですが,さらに2つのエリアがあると,物語やミニゲームのボリュームも膨大になるのでは?
横山氏:
そのあたりの情報は,まだ公開していませんので,行ける場所を含めて徐々にお知らせしていきたいと考えています。
4Gamer:
そういえば,主人公と舞台が「龍が如く ONLINE」と同じわけですが,物語も同じになるのでしょうか。
横山氏:
初っ端から異なる物語が展開します。主人公設定以外は「龍が如く ONLINE」と異なるので,パラレルの世界と思ってもらえればなと。
4Gamer:
新たな物語を描くことになる「春日一番」ですが,キャラクターを作り出す際に,気を付けた点はなんでしょうか。
横山氏:
シリーズ1作目の「龍が如く」は,歌舞伎町(神室町)を舞台にした人間ドラマを描きたいといったところからスタートしています。夜の商売や闇,といったイメージを持つ世界で,どういった人物が主人公なら面白いのか,を考えたときに生まれたのが「元やくざ」といった裏社会の人間なんです。要は物語の舞台が先に生まれ,そこで活躍する主人公を,と考えたときに行きついたのが桐生一馬なわけです。
4Gamer:
主人公ありきではないわけですね。
阪本氏:
そうです。ますはドラマを描くための舞台設定から作り出したのです。そして,その設定から主人公を含む登場人物を考えていった形です。
横山氏:
今回は「龍が如く」といった下地があるなか,どういった主人公だったら面白い物語が描けるかを考えたんです。桐生一馬の時とは異なり,人から考えた感じですね。
4Gamer:
なるほど。いままでは街が主人公だったが,今回は人が主人公だ,と。
横山氏:
イメージ的にはそうですね。ですので,今回は物語が決まる前から声優のオーディションを実施して,先に声を決めたんです。そして姿も決めました。その声と見た目を含めて人物像まで作り上げたところから,彼がこの世界でどのように生活し活躍するのかを考えていきました。
阪本氏:
その結果がゲームシステムにも影響していますね。世界と物語に対して作り方の軸が大きく変わったので,今までと同じでは駄目なのではと感じる部分が出てきましたから。
4Gamer:
そのような形で生まれた主人公の春日一番が活躍する新エリア「横浜・伊勢佐木異人町」ですが,この場所を選んだ理由はあるのでしょうか。
モデルとなっている伊勢佐木町も,これまでの舞台と同様に昭和の歓楽街の1つなんです。最近はきれいに整備されてしまったのですが,十数年前まではスナックや風俗店などがひしめき合う昭和臭漂う場所で,ガード下などは怪しげな雰囲気を持っていました。
個人的な話ですが,「龍が如く」の1作目を作っていた頃はそこに住んでいました。シリーズの入れ墨をデザインしてくれている“彫巴”さんや当時のプロデューサーだった菊池も住んでいて,いろいろと思い出もある場所なんですよ。
だからその場所にした,というわけではないのですが,そのアングラ感ある場所と線路を1つ隔てたところにある,みなとみらいのような近代的都市とのギャップをまた見てみたいと思い,それを「龍が如く」に入れたら面白いのではないかと考えました。
4Gamer:
情報として知っているではなく,実体験として覚えている歓楽街であり,だからこそリアルな感覚で舞台にしたら面白いのではないか,と感じたわけですね。
横山氏:
ええ,ですので時代設定は2019年ですが,その街自体は十数年前の姿で登場します。
4Gamer:
膨大な広さで再現される横浜の街ですが,過去作と同様に物語の進行とは関係ない遊びやイベントも楽しめるのでしょうか。
阪本氏:
もちろんです。マップが広い分,隅々まで活かすように作り込んであります。サブストーリーもこれまで以上に仕込んでありますよ。
横山氏:
収集アイテムとか宝箱とかも隠されていますし,エネミーも場所によって強さや種族が変わります。今までで一番広いマップだからこそ,それを活かした施策,楽しみを盛り込んでいるんですね。
4Gamer:
そういえばセガのゲームセンターはあるんですか? 位置的に「セガ 横浜中華街」はエリアに含まれるのかなと思いまして。
阪本氏:
もちろん入っています(笑)
4Gamer:
街中で発生する「ライブコマンドRPGバトル」ですが,仲間はどういった形で増えていくのでしょうか。
横山氏:
単純にストーリー上で仲間になっていきます。春日一番が18年の刑期を終えたあと,いろいろあって横浜の地で目覚めるわけですが,そこで助けてくれたホームレスが1番目の仲間になります。また,刑務所を出てからさまざまな情報を吹き込んでくる元刑事がいるんですが,今回のTGS試遊版では,彼が仲間になる部分が描かれています。
物語を進めることで行きがかり上,そして同じ目的を持った仲間が集まってくる形になっていますので,メンバーは固定になります。
4Gamer:
戦闘のシステム名にもある「RPG」みたいな感じですね(笑)。隠れキャラクター的な人物はいないのでしょうか?
横山氏:
いますよ。あと,戦闘の手助けをしてくれる「デリバリーヘルプ」という人たちがいるのですが,こちらはサブストーリーで助けたり悩みを解決してあげたりすることで増えていきます。携帯電話で呼ぶ形なので,電波が入る場所でないと呼び出せませんが,かなりの数を用意してありますよ。
阪本氏:
呼び出す際にお金が必要なんですが,すごい人だったりすると5億円くらいかかったりするので注意してください(笑)
4Gamer:
まだまだ聞きたいことがあるのですが,最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
横山氏:
先ほども話が出ましたが,「龍が如く」イコール何なのか,が人によって違うことは「7」を発表してみてさらに強く感じました。ただ,どんな思いであっても「龍が如く」に対して愛を持ってくれていることには変わらないわけです。
その気持ちに応えるべく,プレイしてもらえれば必ず「これは『龍が如く』だ!」と思ってもらえるような作品になっていますので,主人公や戦闘システムの変更に不安も持っている人も,まずは遊んでいただければと思います。
阪本氏:
自分たちのチームは500人以上いて,それぞれが違う思いを持ちつつも,全員が「龍が如く」が好きで開発を進めています。そんな自分たちが総力を挙げて,そして自信をもって送り出す作品ですので安心して発売をお待ちください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「龍が如く7 光と闇の行方」公式サイト
4Gamerの東京ゲームショウ2019特設サイト
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