インタビュー
「ETERNAL」大規模GvG“第零回攻城戦”の開催が迫る! 守田プロデューサーに大会の詳細や今後のロードマップについて聞く
そこで今回は,プロデューサーの守田弘道氏にETERNALの現状と今後について聞いてみた。開催が告知されている大規模GvGコンテンツ「攻城戦」の詳細を含む多数の新情報を得られたので,プレイヤーはぜひ最後まで読み進めてほしい。
「ETERNAL」公式サイト
「ETERNAL」ダウンロードページ
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今の「ETERNAL」でのトレンドは?
運営のなかで見えてきた強みと課題
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。守田さんにはリリース前にもインタビューさせていただいていますが,あらためて簡単な自己紹介をお願いできればと。
守田弘道氏(以下,守田氏):
アソビモでETERNALのプロデューサーをしている守田です。もうアソビモ歴は10年くらいになりますが,それ以前はスクウェア・エニックスでデザイナーをしていました。
4Gamer:
ついに2020年12月にリリースを迎えたETERNALですが,リリース後の反響はいかがでしたか。
想定よりも多くの方にダウンロードいただき,正式サービス開始時には無料アプリのダウンロードランキングで1位となりました。ただ,サービス開始直後にアクセスが集中したおかげでサーバーがダウンしてしまい,プレイヤーのみなさまには多大なご迷惑をおかけしました……。
アクション寄りのMMORPGが多くリリースされるなか,ターゲット式を採用しているETERNALが受け入れられるかは不安でしたが,ゲーム部分に関しては概ね良い評価をいただいています。以前からウリとして打ち出していたグラフィックスや音楽はもちろん,ロール(役割)を明確化した集団戦闘のシステムなどは評判が良いですね。もちろん賛否両論はあるんですが「遊べば遊ぶほど味が出るスルメゲー」というご意見は,言い得て妙かなと思います。
4Gamer:
2021年1月時点ですでに50万ダウンロードを突破されたことからも,多くの人に遊ばれているのを実感できますね。
プレイヤー動向はどうでしょう? クエストのほか生産・採集やダンジョン,闘技場などコンテンツが多岐にわたっているかと思いますが,とくに人気のあるものなど,分かっているデータがあればお聞きしたいです。
守田氏:
コンテンツとしては,フィールドボスが活発にプレイされていますね。これに関しては,プレイヤーがシャウトで募集をかけている様子を目にするんじゃないでしょうか。あとは,ダンジョンもよく遊ばれています。
4Gamer:
プレイヤーが選ぶジョブや特性にも偏りが出てくると思うのですが,現状はどんな割合になっているのでしょうか。公式サイト内で公開されている戦闘力ランキングを見ると上位プレイヤーにはウォーリアが多そうな印象ですが。
守田氏:
1月時点のジョブの分布としては,ウォーリアが43.55%,パラディンが19.98%,メイジが20.02%,プリーストが16.45%なので,一番多いのはウォーリアですね。特性に関しては任意のタイミングで切り替えできてしまうので具体的な数値を出せないのですが,ウォーリアの中でも二刀流ができる“激情”がとくに多い感じがします。
4Gamer:
これから始める人はプリーストやパラディンを選ぶと重宝されそうですね。
守田氏:
そうですね,現状でプリーストやパラディンは需要が高くダンジョンでのマッチングが容易なので,これから新しいジョブを始める人は参考にすると良いかもしれません。
4Gamer:
各15人の2陣営に分かれて戦う「戦場」の反響はどうでしょうか。
守田氏:
戦場も力を入れて作ったコンテンツだったのですが,現状ではあまりプレイされていないようです。運営主導のイベントで戦場を使うとかなり盛り上がるので,今後はより楽しみやすい環境を作っていきたいですね。年末年始には「運営チームが戦場に出現する!」というイベントをやりまして,そのときはとくに盛り上がりました。
4Gamer:
エンド寄りのコンテンツだけあって普段はチャレンジしづらい人が多いのかもしれません。誰かが号令をかければ動きやすい,というのも理解できます。
守田氏:
戦場と闘技場は,報酬として無償のホワイトストーンが手に入る数少ない場所なので,ぜひいろいろな人に挑戦してほしいですね。ゆくゆくは,プレイヤー主導で大会を開けるようなシステムを構築できればと思っています。
4Gamer:
生放送の様子やイベントの内容を見ても,プレイヤーとの距離が近い運営をされていますよね。それだけに意見の収集も積極的に行っている印象がありますが,プレイヤー側からはどういった要望があがってきていますか。
守田氏:
とくに多いのがダンジョンマッチングに関する話で「ロールに偏りがあってマッチが遅い」というご意見がよく寄せられています。まだ具体的な手段は決まっていないのですが,レベルシンクの導入や,4人での戦闘開始を可能にする,といった改善案を検討している段階です。
4Gamer:
戦闘のバランスもありますし,なかなか難しい問題ではありますね。
守田氏:
また,チャンネル移動をするとパーティから抜けてしまう仕様に関しては,こちらも問題として認識しています。具体的な実装時期はまだお伝えできなくて恐縮ですが,移動時に抜けない仕様にするアップデートを行う予定です。そのほか,具体的なゲームバランス周りの問題についても随時対応を行っていきます。直せる部分はきちんと直していきますので,今後も積極的にご意見をいただければと。
玉座はどの軍団の手に!?
大規模GvG「攻城戦」の詳細が明らかに
4Gamer:
GvG大会が開催されるということで,その競技用コンテンツである攻城戦がゲーム内に実装されますね。攻城戦はどういったコンテンツになるのでしょうか。
守田氏:
攻城戦は最大200名が同時に参加する大規模GvGコンテンツです。攻城戦ではエントリーした4つの“軍団”が2つの勢力に分かれて,うち3つの軍団が攻撃,1つの軍団が城の防衛を担い,相手より先に勝利条件を満たすのが目標です。勝利条件は「相手の軍団を殲滅する」か「城の玉座に一定時間座る」もしくは「制限時間まで玉座を守る」という3種類があるのですが,非常に重要なポイントは“勝利する軍団”は1つだけということです。
4Gamer:
勢力全体で協力すると同時に,最終的には軍団単位で競い合うことになると……?
守田氏:
そうです。細かな仕様はまだお話しできませんが,玉座前まで到達した軍団は玉座を奪い合うことになります。2月27日に開催する「第零回攻城戦」では戦いを勝ち抜いた最後の軍団に,軍団のエンブレムを投影できる「オリジナル軍団旗」や専用称号,次回「攻城戦」の参加権(守備陣営)を贈呈します。また第一回以降では,勝利者しか参加できない特殊なボスへの挑戦権を獲得できるようになるので,ぜひ頑張ってほしいところです。
玉座 ※画像は開発中のものです |
軍団旗のサンプル |
4Gamer:
これはなかなか熱い戦いになりそうですね。公開されているスクリーンショットには,プレイヤーが城壁の梯子を登っているシーンもありましたが,攻城戦専用のギミックを用意されたりも?
守田氏:
ありますよ。攻城用の梯子だけでなく,梯子を登っているプレイヤーに向けて煮え油を流し込む油壷のような,攻城戦を楽しむためのギミックを多数用意しています。攻城兵器を起動する場合は,配置された兵器を“占領”して起動する必要があるので,その奪い合いも発生するでしょうね。
4Gamer:
ギミックを活用する要素があるとなると,装備やキャラクターのステータスのぶつかり合い以外の部分で戦略を考える余地が生まれそうですね。
守田氏:
ギミックの活用もそうですが,戦力配分も重要になってきます。相手のプリーストを狙ったり,敵と直接戦うプレイヤーとギミックを使うプレイヤーを分けたり,といった調整もよく考えなければいけません。
4Gamer:
となると,ギミックの使い方や城の攻め方を事前に把握しておきたくなるところですが,予習する機会はありますか?
守田氏:
ギミック自体の使い方はすぐに理解できるように作りますが,残念ながら本番は1回きりです。ただ,2月27日には「第零回攻城戦」を実施しますので予習したい人はぜひ参加してください。
4Gamer:
100人単位で行動を同期させるのはなかなか難しそうですが,同時に楽しそうでもあります。何らかの形で,プレイヤー間のコミュニケーションを支援する仕組みなどは用意されるんでしょうか。
守田氏:
基本的に,統制は軍団チャットで行ってもらうことになります。ただ,プレイヤーからも「勢力全体に声が届くようなチャットが欲しい」といった要望は受け取っているので,そちらも実装を検討したいと思っています。
4Gamer:
これは懸念している人もいると思うのですが,200人のプレイヤーを集めるのはけっこう大変そうですよね。
守田氏:
攻城戦に関しては,戦場のように常設コンテンツではないので問題なく集められるかと思います。参加できる期間も限られているので,それに向けて準備を進めていただければと。
4Gamer:
ちなみに,参加にあたって一定以上のレベルやステータスが要求されるんでしょうか。
守田氏:
参加自体に厳しい制限はありません。2月27日開催の「第零回攻城戦」では行いませんが,今後の大会では攻城戦へ入る前に「前哨戦」というステップが用意されていて,そこで勝ち上がった軍団が攻城戦に参加できる仕組みになっています。ですので,1プレイヤーの強さよりも軍団としての強さのほうが重要になります。
4Gamer:
参加を考えているプレイヤーも多いかと思いますので,「こんな準備をしとくといいよ」といったアドバイスがあれば,ぜひ。
守田氏:
まず,ステータスはプレイヤーのみなさんが育成したキャラクターと装備がそのまま反映されるのでレベルは高いほうが有利です。……というのは前提として,攻城戦ではどのロールも活躍できるよう調整しているので,不足しがちなパラディンやプリーストはどの軍団でも重宝されるんじゃないかと。
4Gamer:
個の力が強くても意味がない,というのがポイントですよね。
守田氏:
それはそうですね。やはりエンドコンテンツに触れているハイレベルな軍団が多く参加するかとは思うのですが,後進を育成するのも大事になるかと思います。
4Gamer:
せっかくの競技戦闘ですから,可能であれば参加できないプレイヤーも楽しむ方法が欲しいですよね。2回,3回と続いていくと予習の手段も欲しくなりますし,そういった部分に関してはいかがでしょう。
ゆくゆくは,会場を借りて大会をやったり,有名な方に実況をお願いしたりだとか,キチンとした興行として形にしようと考えています。また,これは実装ができるかは分からないのですが,参戦していない人向けの観戦モードなども導入したいとは思っています。これはスケジュールとの戦いなので,確実とまでは言えなかったりするのですが……。
4Gamer:
あとは第一回大会以降で獲得できるボスへの挑戦権で,勝利した人向けに称号があったらプレイヤー的にはうれしいかもしれないですね。そういった勲章的なものは用意する予定はありますか。
守田氏:
実はですね,第一回大会以降に城を獲った軍団はサーバーの支配者になって,そのサーバーに存在する全プレイヤーに税金をかけられるようになる予定です。
4Gamer:
え!?
守田氏:
その割合は自由自在です。極端な話,100%にすればサーバーで発生する全収入が,城を獲った軍団のものになります。
4Gamer:
税金となると,社会保障的なものがあったり……?
守田氏:
何らかの保障を与えるか否かも軍団のトップ次第です。あくまでサーバー単位ですので,普通に考えて税率100%で社会保障もなかったら人が逃げ出しちゃいますよね。そこは,軍団の裁量に任せられています。
細かな仕様についてはまだ詰めている段階なのでお話しできないのですが,城を獲った軍団にはそれに見合うだけのリターンを与え,それをもってゲーム全体が面白くなる仕組みを考えています。
4Gamer:
第一回大会以前と以後ではサーバー選びの感覚が変わってきそうです。刺激的な仕組みですが,どんな意図から考え出された要素なのでしょうか。
守田氏:
まず,攻城戦の勝利を目指す動機づけとして魅力的な報酬を考える必要がありました。王になって民草から搾取できる世界を作りたい,という動機ももちろんありますけどね。あんまり悪政を敷かれたらPK機能を使って反乱を起こすこともできるので,そういった雰囲気やリアル感も含めて楽しんでいただけるかなと。
4Gamer:
プレイヤーの自主性を大切にされているんですね。PKの要素をあえて入れているところからも,ロールプレイを楽しんでもらおうという姿勢を感じられるというか。
守田氏:
我々は“箱”を作る側ですが,その箱でどんな遊びをするかまでは定義しません。あとはプレイヤー側が楽しみたいように楽しむ,というのが理想の在り方だと考えています。
4Gamer:
なるほど。これは気になっている人も多いかと思うのですが,第零回以降の攻城戦はいつごろを予定されているんでしょうか。
守田氏:
2月27日に「第零回攻城戦」の開催を予定しているので,「第一回攻城戦」は3月か4月あたりになるかなと思います。
新職業「ガンナー」や新マップ「雪原地方」など
2021年は新コンテンツ盛りだくさんの1年に
4Gamer:
攻城戦以外のアップデート予定についてもお聞きしたいです。今後はどんな新要素が登場するのでしょうか。
守田氏:
まず,新ジョブの「ガンナー」や,新マップの「雪原地方」は年内に実装予定です。そのほかにも,アイテム生産の「料理」や採集の「釣り」といった定番の要素は追加していきたいと思っています。さらに,要望の多い和テイストのジョブや地方も今後のアップデート予定に含まれています。
4Gamer:
おお,注目すべきワードがドサドサっと出てきましたね。具体的に語れる部分は少ないかと思うのですが,現段階で言えることはありますか。
雪原地方はドワーフ族が主に住んでいる土地で,キービジュアルにデザインされている白い虎も登場するなど,出会えるNPCも含めてまったく違う世界を体験できます。PVに登場するヴァルガーが本拠地を置く場所でもあり,ETERNALにおける“1stシーズン”のクライマックスを飾る物語も展開されますので,ぜひ楽しみにしていてください。
4Gamer:
1stシーズンということは,もしかして雪原はリリース以前から用意していた要素ということですか?
守田氏:
はい,マップや登場キャラクターのグラフィックスなどもすでに完成しているので,あとはクエスト周りさえ終了すれば実装までいけるかと思います。天候変化の要素も雪原に合わせて調整されていて,雪が降っているときにしか出現しないモンスターも登場しますよ。
4Gamer:
新しいフィールドはこれから増え続けていくことになるかと思いますが,そういったギミックにも期待できそうですね。
守田氏:
新要素はもちろんですが,既存の要素についても少しずつ手を加えていく予定です。例えば,新フィールドでは“評判(友好度)”の要素に「特定の勢力への評判が上がると,特定の勢力が下がる」といった仕組みを導入したいと考えています。
現状ではあらゆる勢力に対して友好的に振る舞えるのですが,この世界には敵対関係にある勢力も存在するので,どの勢力からの恩恵を受けるかをプレイヤーが選択するような形になります。
4Gamer:
どの勢力に加担するかを選べると,ロールプレイがはかどりそうですね。2021年内はコンテンツがぎっしり詰まっているようでうれしいです。
守田氏:
なんだったら次シーズンの内容も決まっていて,雪原の次は砂漠が舞台になります。また,これは構想段階のアイデアなのですが,ペットを育成して戦わせる要素も入れたいと考えています。現状ではペットがほぼ飾りの状態なので,これもキチンと遊びに絡めていきたいですね。そこから先については,ぜひ今後の発表を待っていてください!
4Gamer:
ゲームとしての今後の構想をお聞きしたところで,守田さんの中でこれからチャレンジしたいと思っていることなどはありますか。
守田氏:
今は安定したサービスを提供するのが一番大事だと思っているので,まずは用意したものをキチンとした形で実装することを最優先にしたいと考えています。その延長で言えば「App Storeで1位になりたい」という目標が,今のチャレンジしたいことと言えるかもしれません。
あとは,より多くの方にETERNALの面白さを伝える活動はやっていきたいです。また,現状では香港,台湾,マカオといったエリアへの進出が決まっているのですが,今後は北米なども含めたワールドワイドな展開も行っていきたいと考えています。
4Gamer:
ワールドワイドな展開を行うにあたっては,天野喜孝さんによるデザインやビジュアルがさらに力を発揮しそうですね。
守田氏:
国内における天野先生は“ゲームの人”というイメージがあるのですが,世界的には芸術家として高い知名度を持っている方なんですよね。ですので,海外展開にあたっては魅力をよりしっかりと押し出していければと思います。
4Gamer:
ありがとうございます。では最後に,プレイヤーのみなさんへメッセージをお願いします。
守田氏:
ETERNALをプレイいただき,本当にありがとうございます。みなさまの言葉を聞きながら,ETERNALをより良い世界にしていきますので,これからも応援をよろしくお願いします!
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