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大寒波のなか,人類最後の都市は“手段を問わず”生き残りを目指す――日本語版「Frostpunk」プレイレポート
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印刷2020/02/27 18:00

プレイレポート

大寒波のなか,人類最後の都市は“手段を問わず”生き残りを目指す――日本語版「Frostpunk」プレイレポート

 DMM GAMESが本日(2020年2月27日)リリースした日本語版「Frostpunk」PC / PS4)は,国内外で高い評価を得た「This War of Mine」で知られるポーランドの開発会社11bit studiosの新作となるサバイバルシミュレーションゲームだ。

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 This War of Mineにて,紛争中を生き延びようとする一般市民の過酷なサバイバルを描いた11bit studios。同社が新たに挑んだ本作は,「大寒波によってほとんどの人類が滅んだ世界で,わずかに生き残った者たちが最後の都市を築いて命をつなぐ」という,重く,そして一風変わったテーマの作品となっている。海外ではPC版が2018年4月,PS4版とXbox One版が2019年10月に発売され,その日本語版がついにPC(DMM GAMES PLAYER版)とPS4向けに登場したのだ。
 本稿では,発売前にプレイできたPS4向け日本語版をとおして,ゲームの魅力や序盤の進め方などをお伝えしよう。

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大寒波によって滅びゆく世界。人類に残された希望は「蒸気機関」


 本作の舞台は,19世紀末のイギリスのロンドン近郊だ。地球全土が猛烈な寒波に襲われたこの世界では,凍てつく寒さや食糧不足,それらによって生まれたインフラの停止や人間同士の争いなどにより,ほとんどの都市は壊滅。人類の文明そのものが風前の灯となっている。
 プレイヤーは,死の街と化したロンドンから逃げ出し,新たな定住の場所を求めて北に向かった一団のリーダーだ。仲間の死や輸送手段の消失,貴重な物資を放棄せざるを得ない状況など,さまざまな困難を乗り越えた先に待っていたのは,巨大なクレーターのような土地と,その中心にある石炭を動力とする巨大なジェネレーターだった。
 プレイヤーと一行はこのジェネレーターを起動させ,ここに都市を築くことを決意する。理由はただ一つ,この極寒の世界で生き延びるために……。と,こうしてメインシナリオ「新しい家」はスタートする。

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 冒頭でも伝えたとおり,本作のジャンルはサバイバルシミュレーションゲームだ。リアルタイムで変化する極寒の世界で生き残るため,プレイヤーは一団に指示を出して都市を作り上げ,そしてさまざまな決断を下すことになる。数十人〜数百人の都市を運営するという点が,数人単位のミクロなサバイバル生活を描いたThis War of Mineと異なる点だろう。
 システムとしては「シムシティ」シリーズや「シティーズ:スカイライン」といった都市開発シムに近いが,それらの作品とは一線を画すものがある。それは「人類も自分たちも滅亡の危機にある」ということだろう。
 市民の要望に応え,よりよい都市を築いていく……という点は共通点としてあるが,本作の何よりの目的は“生き延びること”。公園がどうとか,ゴミ収集が云々とか言っている余裕はまったくない。ひとたび強い寒波に襲われれば,都市は凍り付き,人々は病に倒れ,食料や燃料の調達すらままならなくなるのだ。
 仕切りが悪いとリーダー(つまりプレイヤー)が追放されることもあるが,それならまだ良いほう。都市にエネルギーと暖かさを供給するジェネレーターが止まれば,その先には“死”という容赦ない結末が待っている。
 こういった極限状態のなかで,プレイヤーの分身となるリーダーは,「何を優先し,何を切り捨て,どう市民と向き合っていくのか」を,何度も選択していくことになるのだ。

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発生するイベントや制定できる法律(詳しくは後述)は,ほとんどがサバイバル状態に合わせた厳しいものばかり。都市の運営状態にもよるが,住民もあっけなく死んでいく
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 住居と比較にならないくらい巨大なジェネレーターや定期的に放電がおこなわれる不思議な建物,四足歩行の巨大なオートマトン(ロボット)……。タイトル名にもその影響がうかがえるが,本作はいわゆる「スチームパンク」をモチーフにした世界観となっており,現実の19世紀ではありえない技術や機械などが登場する。
 一部の技術は現代をも凌駕するオーバーテクノロジーとなっており,適切に運用すれば都市の運営に大いに役立つ反面,莫大なコストが掛かるといった具合に,これらの設定はゲーム内にも活かされている。

天を突くような巨大ジェネレーターに,四足歩行の大型オートマトン。そして狩りには飛行船で出発したりと,雰囲気は抜群。スチームパンクの世界観が好きなら,より深くハマれるはずだ
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労働者や資源を管理し,更なる極寒に耐える準備を始めよう


 Frostpunkには複数のシナリオが用意されているが,最初にプレイ可能なのはチュートリアルとメインシナリオ「新しい家」だ。ここからは,「新しい家」をとおしてゲームの進め方を紹介したい。
 クレーター状の地形の中心には巨大なジェネレーターが設置されており,石炭や木材,鉄といった資源を貯蔵する「集積所」以外に何もない状況だ。ここからジェネレーターを中心に都市を構築していく。
 ゲーム中には時間の流れがあり,市民は朝になれば起床して職場に向かい,日中は懸命に働いて,夕方になると自宅に帰るというスケジュールを繰り返す。一人ひとりが独立したキャラクターとなっており,それぞれにパーソナルデータも設定されているので,ズームアップしてステータスを覗いてみるのも面白いだろう。

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 リーダーには,市民に住宅や食事のすべてを適切に分け与え,彼らの生活を保障しなければならないという義務があり,これがなかなか責任重大だ。序盤からかなりの困難に見舞われることも少なくない。
 まず注意しておきたいのは,画面上部にある気温計だ。序盤の平均気温はマイナス20度。一般的な家庭用の冷凍庫がマイナス18度程度と考えると,「常に冷凍庫の中で生活する」のと同じレベルなのだが,本作の世界においてはまだまだ楽な方である。
 日を追うごとに10度,さらに10度と,平均気温は低下し,いずれは自身の目を疑うような寒さが住民を襲ってくる。リーダーは気温計にある予報ゲージを睨みつつ,いずれやってくる大寒波への対策を練らなければならないのだ。
 石炭を燃料に稼働するジェネレーターは,まさに都市の生命線。リーダーは,このジェネレーターの周囲に住宅や医療施設といった街の基本施設を建てて,寒さから施設と住民を同時に守らなくてはいけない。寒さが強まるほど出力を上げなければならないが,当然それによって石炭の消費量も増える。無計画に消費していると備蓄が底をついてしまう。
 “巨大な暖房装置”であるジェネレーターが長時間停止する事態というのは,この極寒の世界では命取りになる。仮に短時間の停止だったとしても,市民の不評は一気に増加してリーダーの資質を問われることになるだろう。

昼は労働によって資源が生産されるが,夜にはほとんどの施設が停止し,備蓄のみで街を動かすことになる。ジェネレーターの稼働可能時間(残り石炭量)は簡単に確認できるので,足りないようなら街に影響が出ても出力を落とすか,石炭の生産量を増やすしかない
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 ジェネレーターのヒートゾーンは赤く表示され,この範囲であれば安定した市民の生活環境を保てる。寒波に耐えるにはジェネレーターの出力を上げなければならないが,それによって石炭の消費も増えるのでタイミングは要注意。なお,一時的に「オーバードライブ」で規定以上の出力に上げることもできるが,長時間使用するとオーバーヒートを起こして爆発し,ゲームオーバーになってしまうので,これを使うような場面にならないよう気を付けなければならない。

タッチパッドを押すとヒートマップが表示され,現在の各施設で維持されている気温がチェックできる。また強烈な寒波で動作不良に陥った住居や施設は,アイコンで表示されるのでわかりやすい
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 生活を維持するための石炭や人が生きるうえで必要な食料はもちろん,木材や鉄といった資源も重要だ。主に建築に使用する木材や鉄が足りなければ,住宅や医療施設を建てられない。つまり,住民は凍え,病気になって動けなくなり,最後はあっけなく死んでしまうわけである。生活圏の気温を保つだけではなく,生存に必須な資源を適切に管理することが,本作をプレイするうえでの重要なポイントとなるだろう。

「ヒートハブ」を設置すれば,ジェネレーターから離れた位置に小規模のヒートゾーンができるが,もちろん石炭の消費量は増える。施設単体を暖房で暖めることもできるので,より効率的な方を選びたい
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 資源や資材は,フィールド上にある石炭や鉄くずを集めるほか,石炭を掘り出す炭鉱や資材を生成する製鉄所といった施設に労働者を配置することによって自動で蓄えられていく。
 しかし,“常に何かが足りない”のは日常茶飯事で,すべてがカツカツといった状態すら珍しくないため,“余裕を持った都市運営”など夢のまた夢。とくに石炭や食料は常に消費されるので,最低限の備蓄すらないと人々は夜に寒さや飢えに苦しむことになる。逆に,石炭や食料にばかり気を取られると,住居が足りなくなって市民が極寒の中で寝るハメになるので,このあたりは悩まされ続けるだろう。
 さらに問題なのが,「木材が足りず建設が進まない → 住宅などの最低限のインフラすら整えられない → 生活環境が悪化し病人や死人があふれる → 労働力不足で資源生産がままならなくなる」といったような,“負のスパイラル”の罠が待っていること。これらは一時的には何とか乗り切れても,寒波の到来による気温低下で「今まで寒さに耐えられていた住居が,一気に役立たずになる」といったことからも発生するので,気が抜けないだろう。

最初は地面に露出している資源を回収するだけで何とかなるが,短時間で枯渇してしまうので,早めに「生産」に切り替える必要がある
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民衆の要望に応えるのはリーダーの重要な仕事の一つだが,もし達成できなければ失望は免れない。できないことをできると言って,無駄に希望を与えるのは避けた方がいいかもしれない
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 そしてもう一つプレイヤーを悩ませるのが,リーダーに対する市民達の評価だ。画面下部には「希望」と「不満」のレベルが表示されており,暖かい住居で食事にも困らないなど市民のニーズを満たせば希望が増えて不満が減り,逆に病人や死者が増加するなど劣悪な環境下となると,不満が増加し希望が減る。これらは特殊なイベントで大きく増減することもあるが,基本は「都市運営が上手くいっているか」で変化し,容赦なくプレイヤーに現状を突きつけてくる。
 生活環境が一定のレベルを保てていないと,市民達は住宅や医療など足りないものを要求してくる。それらすべてに応えるのは難しいが,可能な範囲で対応するといったように,常に市民達を気にかけながら都市開発を進めよう。
 希望がゼロになったり不満が限界に達すると最後通告を突きつけられ,場合によっては追放されてゲームオーバーになる。ゲームオーバー直前の危機的状態からは,よほどのことがないかぎり一発逆転を狙うのは難しいだろう。

急増する病人の数に耐えられず,病院で命の取捨選択をする「トリアージ」を使ったところ。病人の数は大幅に減少したが大量に死者が発生。不満が増加した。この選択が正しいかどうかは,さらにゲームを進めてみないと分からない
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法律の制定で社会を構築。新技術の開発で生き抜く術を生み出す


 問題が続出する人類最後の都市だが,受け身で寒波を待っているだけでは,過酷な環境を生き抜くのは難しい。資材や食料を集めるだけではなく,研究を進めて新たな技術を得ることが重要となる。
 「テント」を上位の「宿泊小屋」や「住宅」に建て替えれば,より厳しい寒さにも耐えられる。序盤の食料調達は「ハンター小屋」を設置することで行える狩猟だけだが,「温室」が建築できるようになれば安定した形で食料を生産できる。このように,新技術こそが苛酷な世界を生き残るうえで欠かせないものとなるのだ。

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 これらは「ワークショップ」を建設しエンジニアを配置することで研究が進み,「テクノロジーツリー」が開放されることで開発可能となる。
 ここでは,リーダーの“先を見る目”が試される。まずはエネルギー技術か,それとも食料か,医療か……。常に切羽詰まった状態にあるため,これをすぐに判断し,最良の選択をしなければならない。
 例えば,多くの場所で人間に代わって労働力となってくれるオートマトン。技術力が一定レベルまで上がると工場で生産できるロボットで,食料を必要とせず,寒さにも影響されずに24時間休まず働ける“夢の労働力”と呼べるものである。
 しかしこれも万能ではなく,初期の労働効率は人間の60%と低めで,さらに生産には多くの鉄やレア資源の「蒸気核」が必要となる。蒸気核は,重病人を治療する「診療所」や,大量の石炭が採掘できる「新型炭鉱」などの上位の施設建設にも必要となるため,「オートマトンを生産し安定した労働力を確保するか。それとも診療所を増やして医療を安定させるか」という決断を迫られるのだ。

新たな技術を開発しなければ,人類に未来はない。都市には足りないものばかりだが,その中でも優先すべきものを選ばなくてはならない
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 未開の地を探索するという“攻め”の姿勢も重要だ。気球が備え付けられた施設「ビーコン」を作れば,スカウト隊でさらに街の外を探索できるようになる。周囲は一面の銀世界だが,めぼしい場所には手つかずの資源が残っていたり,使用できるオートマトンや蒸気核が入手できたりと数多くの発見が待っている。また,生存者と遭遇することも。労働力補充の機会は限られているため,人手不足で困っているときはとくに嬉しい出会いとなるだろう。

オートマトンの発見は,イベントの中でもとくに嬉しいものの一つ。施設やオートマトンは「解体」によって建造に利用した資源を回収できるので,場合によっては臨機応変に“作り直す”のも一つの手だ
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 ただし,必ずしも嬉しい出会いになるわけではない。住居に余裕がなく,食事や資源も枯渇しているときだ。既存の住民を養うので精一杯の場合,新たな人間が増えすぎると,途端に物資や住宅不足に陥る危険もある。すでにそれが表面化していた場合は,無策に生存者を受け入れることが,都市全体を窮地に陥れるかもしれないわけだ。
 スカウト隊が生存者を発見したとき,都市に迎え入れるか,放置するかを選択できる。リスクを背負って人道的に振る舞うか,それとも確実に生存するため見捨てるか。余裕があれば“当たり前”にできる行動が,追い詰められた状態では大きな問題になってしまう。ここでもまた,プレイヤーの決断がその後を左右することになるだろう。

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街の周囲の探索では,得るものは多いが当然リスクもあり,どう動くかもプレイヤー次第となる
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数多くの難民が街に到着した。だが,彼らを受け入れられるだけの“余裕”があるとは限らない。非情にも送り返すことが,街を生き延びさせる唯一の手かもしれない
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 本作にはもう一つ「法律」というツリーもあり,こちらも社会を築くうえで重要となっていく。例えば「スープ」という法律だと,“水増し”して調理することで食料を節約できるが,その味が落ちるためか,市民の不満が高まる。それぞれ一長一短があるので,法律を施行する際は注意が必要だ。

メリットとデメリットがセットになっている法律の施行。二者択一になっているものもあり,片方を選ぶともう片方は消滅する
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 大きく分けて,生存に必要な対処法を実行する「適応」と,不満や希望を積極的に改善する「目的」があり,何をアンロックするかは基本的にプレイヤーに委ねられている。
 「目的」には,暴力や強引な信仰といった手段で市民の“矯正”を目指すものもあり,なかなかにハードだ。とはいえ,何も手を講じずに不満や絶望を押さえ込むことは難しい。平時と同じようなモラルで動くか,あるいは緊急時だからと割り切るかもまた,プレイヤー次第である。
 「非常時に,反抗する者や社会的弱者をどうするか」という選択を迫られることは多々ある。何を選び,何を切り捨てるか……ときに非情な決断を下すしかない場面もあり,そこでプレイヤーがモラルを問われる面があるのも本作の特徴の一つだろう。

一部の法律は新たな建物や施設のアビリティをアンロックできる。有用なものが多いので,上手く活用したい
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 このように本作では,随所に“究極の選択”を迫られる場面がある。ほかの生存者を受け入れるか否かという分かりやすい例だけではなく,「切迫する状態で労働,医療,住宅のどれを優先するのか」という日々の決断の一つひとつが,のちの街全体の興廃につながっていくのだ。
 事態の多くは予兆があり,じわじわと真綿で首を絞められるように状況は悪化していき,気づいたときには取り返しのつかない状況になっていることが多い。そしてそれらは,住む家がなく凍える人や飢えに苦しむ人,治療を受けられない病人……というように,目に見える形で伝わってくる。
 それだけに,反省点がすぐに納得のいく形で理解でき,失敗を経験したうえでの再トライがまた面白い。筆者も,シナリオクリアかゲームオーバーかに関係なく,気がつけば時間を忘れて繰り返しプレイしていた。

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 PS4のコントローラによる操作は非常に快適で,元はマウス操作に適したゲームだが,インタフェースも含めて操作系で心配するようなところはないだろう。スチームパンクな世界観のグラフィックスも,派手さはないが洗練されている印象でなかなかカッコいい。
 1プレイは少し長めで,早々に詰んだりしない限り,サクッと数十分で終わったりはしないが,SLGなのに“死にゲー”のような「今度こそ上手くやってやる!」という感覚が味わえるのは面白い。普通の都市運営シムで目指すような,時間をかけて挑む「思いどおりの街作り」とは対極にあるような存在だが,ぜひ一度手に取ってみてほしい。ゲームの世界でこれ以上ないほどの極寒体験ができるはずだ。

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 最後に,筆者なりに掴んだ,序盤を上手く進めるためのポイントをいくつか紹介したい。前半の失敗がのちのちまで影響することがあり,場合によっては早々に詰んでいたということもある。シナリオ「新しい家」で引っかかりそうなところをピックアップしてみたので,ゲームを進める上で参考にしてもらえれば幸いだ。

資源を効率よく得るため,まずは「収集所」を建てよう
 シナリオ「新しい家」では,わずかな木材と鉄,そして未調理の食材ぐらいしか持たない状態で始まる。まずは石炭集めを指示されるが,ここで注目すべきはいかにも石炭が豊富そうな「石炭鉱床」ではなく,地面にわずかに露出した黒い「石炭パイル」だ。地下の資源を掘り出すには専用の施設を建設するしかないので,まずは簡単に採取できる「石炭パイル」「木材クレート」「鉄くず」に注目しよう。

左が地面に露出している「石炭パイル」で,右が炭鉱を建設するための「石炭鉱床」。当面の間,用があるのは左の方だ
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なるべく多くの資源をカバーするように収集所を建てるのがコツ。最初の資源は収集所を建てるためだけに使ってしまっても良い
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 これらの資源は直接そこに労働力を配置しても取得できるが,労働環境が悪く効率の良い資源確保にはならないので,「収集所」を建てて仕事に当たらせよう。収集所は一定の採取範囲を持っているので,なるべく多くの資源採取ポイントが入るよう建設すれば,少ない労働力で効率的に資源が入手できる。
 また,最初の指示では,石炭だけではなくほかの資源もまんべんなく採取しておこう。すべての建物は道でつながないと機能しないので,とくに道路建設に使う木材は確保しておきたい。

すべての建築物は道路でジェネレーターに接続しないと,まったく機能しない。建築と道路の敷設はセットでおこなうクセを付けよう
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序盤はとにかく木材集め。在庫のバランスが悪いなら,配置転換の準備を
 前半に重要なのは「木材を切らさない」ことだ。ジェネレーターを動かす石炭はもちろん重要だが,何を建設するのにも必要になる木材が足りなくなると,都市開発はまったく進まなくなる。
 とくに地面にある木材クレートなどは埋蔵量が少なく,すぐに取り尽くしてしまうはず。それまでにワークショップを建設し,テクノロジーツリーから「製材所」をアンロックしておかないと,取り返しが付かなくなってしまう。余裕ができたら,「石炭採掘機」「採炭(炭鉱)」「製鉄所」といった施設の開発や建設を進めておこう。

製材所も収集所と同じように,なるべく多くの木材(資源)をカバーするように建てる。取り尽くしたら解体して,別の場所に再建しよう
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 「石炭は余っているのに,鉄や木材が常に足りない」といった状況なら,それは需給のバランスが崩れているということ。そういったときは石炭採取に配置している労働力をいったん引き上げ,製材所や製鉄所に回すことを考えよう。若干のタイムラグは発生するが,労働者の配置換えはいつでもできるので柔軟に対処したい。施設の建設は夜にも実行できるので,夜間に建設作業を集中させると,より効率的に開発が進められるはず。

メニューの「経済」から,各資源の生産バランスが細かくチェックできる。資源に偏りがあるときは,ここを確認して調整を試みたい
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「ワークショップ」と「ビーコン」は後回しにしない
 直接市民のニーズを満たしたり,資源を採取できたりするわけではない「ワークショップ」と「ビーコン」だが,後回しにするのは考えもの。折を見てなるべく早く建設しておこう。
 ワークショップで研究される新たな技術は,寒さや食糧難を解決し,ジェネレーターの燃費なども改善してくれる。逆を言えば,技術開発を進めないと,強い寒波が来たときに対処できなくなるということ。遅れるほど「後でツケが回ってくる」のだ。

ワークショップを建設し,エンジニアを配置するのは技術開発の第一歩。一つの技術は大体1〜2日程度で開発が終わる
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 ビーコン設置で実行できるスカウトの派遣は,新たな労働者となってくれる生存者を仲間にできるほか,レア資源の蒸気核やオートマトンといった貴重なものが手に入るためメリットが大きい。スカウトの編成には少なくない資源が必要だが,「街で採取 / 生産できないもの」を手に入れる方法は,基本的にこれしかない。ワークショップを建ててビーコンの研究が終わったら,忘れずにこちらも建設しておこう。

診療所のような街に必須の施設を作るにも,蒸気核が必要となる。スカウト隊を編成し,探しに出かけよう
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忘れがちな「法律」の制定。迷ったらまずリスクの少ない「スープ」を選択
 法律を制定すれば,都市をより効率的に運営できるようになるが,選択肢がいくつもあるため最初は何を選んでいいかを迷うはず。
 これは各プレイヤーの信念や好みで選んだ方がいいのだが,とりあえず無難なのは「スープ」。とくに序盤は食糧難になりやすいので,例え若干の不満が増加しても,作れる調理済み食料の量が増えるのは大きなメリットとなる。食料の備蓄に余裕ができたら,通常の料理に戻せば,市民の不満も収まるだろう。
 食料節約の法律となるもう一つの選択肢である,おがくず入りの料理を作る「食品添加物」は,食べた人間が病気になる可能性があるのでおすすめしない。大概は寒さや病気で医療機関のベッドがすぐいっぱいになってしまうので,さらに病人を増やすのはデメリットが大きすぎるからだ。

まずいと評判のスープ料理だが,食えないよりはずっとマシ。不満の増加も飢えるよりずっと抑えられる
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 相応のリスクもあるが,医療関係では「荒療治」がおすすめだ。これはその名のとおり,重病患者を強引に治療して労働者として復帰させるという法律で,病み上がりで労働を強いるのは心苦しいが,その分すぐに医療施設の空きができる。おそらく多くのプレイヤーが医療施設の不足に困るはずなので,こちらを優先するのも悪くない。選択した施設を24時間稼働にできる「緊急シフト」は有効性が高そうだが,使うと大幅に不満が溜まったり,労働者が突然死したりとリスクが大きい。無理に序盤からアンロックしなくてもいいだろう。

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