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[G-Star 2019]悪いけどこの郡の利益,牛耳ってるんだよね――商いで戦う「巨商伝M」がお披露目
本作は今年4月に発表されていたタイトルで,経済システムを根幹に据えたオンラインゲームとなる。グラフィックスも今どきの事情にあわせてか,味わい深い2Dから高精細な3Dに生まれ変わった。
敵と戦うだけが能じゃない商人の世界では,さまざまなアイテムの需要と供給を知覚し,穴場の村を見つけては利権を牛耳り,ガッポガッポと稼いだ人の栄誉が称えられる。当然,その裏で熾烈化するプレイヤー同士の足の引っ張り合いも,これまたあきんどの華だった。
原作はPC向けMMORPGが沸いていた2002年2月にサービスインし,(日本では)2015年9月まで運営されていた。十数年もの長き期間のなかでは,ギルドや攻城戦にて数々の思い出が刻まれたことだろう。そういう,人によっては大切な1作が“まんまスマホゲーム化”したのである。
本作の世界観は“16世紀のアジア圏&現代風のアジア圏”にフォーカスしたもので,ゲーム進行によって交互に行き来するという。
作中では史実的なストーリーが描かれるほか,「朝鮮」「中国」「日本」の3つの陣営が存在し,各国の民族風衣装で着飾ったプレイアブルの美少女(か美女)キャラクターを,プレイ中に自由に変更できる。
そのほかのキャラクターも多数登場するようなので,レベルや装備品やアバター衣装などを考慮しつつ,収集・育成を楽しむのだろう。
原作の経済システムはどちらかと言うと,個々人で完結していた。しかし,本作の経済の核となるのは“郡”である。これは多数のプレイヤーが参加する集合体で,内部では市場などをとおして,さまざまな経済活動が行われる。そして郡に所属する人には“課税”があるといい,所属者の多い郡ほど特別な恩恵が受けられると,担当者に話を聞いた。
郡の責任者は「オークション」によって決定される(任期は2週間らしい)。資産家なプレイヤー達が入札争いを繰り広げたり,資産を得るために責任者の権利を高値で売ったりと,高潔な売買が見られるようだ。
個人の目的に合わせて都合のいい施策を打てる,といったところまで独善的な仕組みがあるのかは教えてもらえなかったが,少なくとも原作にあった「村への投資」のように,収益のメリットはあるのだろう。
この郡という巨大コミュニティの存在は非常に興味深い。制作的な着地点もそうだし,実際に体験できていないので想像の範疇だが,同じ意識を持つ人と組むギルドとは違い,郡の中にはおそらく「目的や目標が違う個人やギルド」が有象無象にいるのだろう。郡はほかの郡に対して戦争も起こせるので,世界マップでの覇権を争っていくときは,世知辛い内政問題を抱えつつ,ときには意見の食い違いも起きてしまったりなんかしてと……ゾクゾクする対人(舌)戦の生々しさを味わえるのかもしれない。
とはいえ,ゲーム内では「音声チャット」「音声チャットによる文字入力」「エモーション」などが用意されている。みんなで楽しく仲良しに遊べるエンターテインメントなゲーム世界にするための対策だろう。商人の敵は商人だが,商人の味方もまた商人である。
バトルは原作を踏襲したRTS形式だ。試遊版では映像オンリーとなっていて,実際に遊ぶことはできなかったが,ユニットごとの運用や戦術など“RTSらしい操作”があるのは把握できた。
ただ,操作面の最適化は難航としているという。スマートフォンで気軽に遊べるようになるには,まだ時間がかかるのかも。
個人的にとくに印象的だったのは,上記スクリーンショットにも映っているマップのギミックだ。バトルはWave制のようになっており,Waveクリア時に敵船団が突撃してきて,敵船が新たな足場になっていった。
中でも船同士の衝突演出に迫力がある。決して最高品質のグラフィックスではないゲームなのだが,その衝撃音や水飛沫に思わず驚いた。試遊機に超大型ディスプレイを用いられていたのも一因だろうが,期待を込めて言えば「細かな感動」にも力が入っているのである。
本作は現状,韓国や中国などで2020年上半期に提供が予定されている。日本での配信については担当者いわく,「日本の要素も入っているので,頑張りたいです」とのこと。まあ,どちらに転んでも致しかたない。この作品に携わっている人達なんだから,商いにならなきゃやるまいさ。
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