マスティフから2019年6月27日の発売されるPlayStation 4用ソフト「
Home Sweet Home」は,タイのデベロッパYGGDRAZIL GROUPが開発した一人称視点のステルスホラーゲームだ。
4Gamerでは,5月の頭に,本作で主人公を追いつめるカッター少女「ベル」の音声を担当した
青木志貴さんのインタビューを掲載したが,今回はベルに追いかけられる主人公・
ティムの声優を務める
下野 紘さんのインタビューが公開された。インタビュアーは前回に引き続き,元ゲーム雑誌編集長のバカタール加藤氏だ。
インタビューでは,「いかにプレイしている人たちの邪魔にならないように主人公を演じるか」という下野さんのゲームに対する気配りや,アニメとゲームの仕事の違いなど,さまざまな話題について語られている。
なお,インタビューの全編は公式サイトにて,全3回の予定で後日掲載されるとのことだ。こちらも逃さずにチェックしよう。
下野 紘さん
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収録を終えて…
──おつかれさまでした。「Home Sweet Home」の収録を終えられましたが、いかがでしたか?
下野さん:こういう一人称視点の作品で、かつ主人公の声というのは、今まで演じる機会がなかったと思います。個人的にはホラーゲームがすごく好きで、何本か出てはいるんですけど、最近はホラーゲームが多くないので、少し寂しく思っていました。そういう意味でも、今回ホラーゲームの主人公をやらせていただいたことは、とてもうれしかったです。
ただ、あくまでもキャラクターの声なので、悪目立ちするのではなく、自然な形を意識して演じました。
──プレイヤーの邪魔をしないことを意識されたということですね。
下野さん:そうです。ホラーゲームだけでなくゲームは大好きなので、いろいろなゲームを遊びますが、キャラクターが外国人だったりすると、僕、絶対に字幕派なんですよ。プレイする時は。
──字幕にする理由というのは?
下野さん:僕の知っている方が声を担当されていると、その方の顔が浮かんできて、ちょっとゲームに集中できない部分が出てきたりするんです。映画もそうなんですけども。
──なるほど。声優さんならではのお悩みということですね。
下野さん:そうですね。今回,「Home Sweet Home」ではティムという主人公を演じましたけど、「いかにプレイしている人の邪魔にならないようにするか」を意識しました。
──「邪魔にならない」というのは、ゲームならではの気配りですか。
下野さん:そうです。
──ゲームのことをよく分かっていないとなかなか出ない発想ですね。
下野さん:昔のゲームって声が無いことが当たり前だったじゃないですか。僕も,自分の勝手なイメージでいろいろなキャラクターに声をつけていましたからね。キャラクターに声があることで、むしろいろいろなお仕事がいただけてありがたいのですが、「実際にプレイしている方がどういう気持ちでやっているのかな」というところは意識します。
なかには「このキャラクターには無理に声を入れなくてもいい」という人もいますよね。とくに主人公は、その作品の象徴とも言うべき存在ですから。
──そういう意味でも「Home Sweet Home」は特殊ですね。ホラーゲームで一人称視点,かつ主人公ですから。
下野さん:やっぱり、難しかったです。キャラクターが画面にあったほうが,その表情も見えますし。「Home Sweet Home」は一人称視点なので、プレイヤーは自分自身を投影していくと思うんですよ。「ティムってどういうイメージだろう」と想像したりして。
実際に存在しそうな恐怖が好き
──「Home Sweet Home」の主人公・ティムは日本人ではない、しかもタイの話が描かれます。
下野さん:ディレクターさんから説明を受けながら,プレイ動画を見たりしました。いろいろなところが作りこまれていて、現実と非現実の境目みたいな、そういう作りがいいなあと。ほの暗い雰囲気もいいなと思いました。
どちらかというと、すごく非現実的なホラーより、どこか現実にもあるんじゃないかと思わせる恐怖が好きなんです。
──日常的な場所に変な物があると、ぞっとしますよね。
下野さん:そうですね。この場所はどこだか分からない。でも、その部屋は確かに存在していて、ただちょっと様子がおかしい。扉を開けてみたら、急に壁になっていたとか。そういうのがとてもいいな、と思いました。
──ああ。今回、そういうところがゲーム的にも大きいというか……。
下野さん:そうなんですよ。逃げたいけど、逃げられない状況に追い込まれる。個人的には撃退する道具があるといいな、と思いますけどね。ずっとドキドキしっぱなしで、疲れてしまうので(笑)。
──ずっと追われるっていうのは、落ち着かないですよね。
下野さん:ただ遠くまで逃げなきゃいけないというのではなくて、意外とすぐ近くに逃げる場所が存在しているというのは面白いですよね。日常的な中にある死角を使っているところが。
──実際に映像をご覧になって、日常的なところが良いというお話もありましたが、タイっぽいところのご感想はありますか。
下野さん:雰囲気が違いますね。部屋の中の環境も意外に違っていたり。置いてある物もそうなんですけど、服のデザインとかも日本とはまた異なる感じがするものがあったりして,そういう微妙な違いも面白いですね。
なぜかタイについて根掘り葉掘り聞く!
──タイに行かれたことはあるんですか。
下野さん:ないです。ベトナムはあるんですけど。いろいろな人に話を聞くと、タイにすごく好感を持っている人が多いことに気づきました。「ベトナムに行った」と言うと、「タイいいよ、タイ。行ってみ!」とか。なぜか,そう言われることが多いです。
だから行ってみたいという気持ちはあります。……ダジャレじゃないですけど(笑)。同じアジア圏内でも国によって文化が違っていたりしますからね。
──タイと聞いて,どんなイメージがありますか。
下野さん:難しい質問ですね。ムエタイとかキックボクシングかな。食べ物だとトムヤムクンとかでしょうか。たまにタイ料理屋に行ったりしますね。でも、パクチーや香草系がそんなに得意ではないんです……。
──辛い料理も辛くない料理もありますよね。
下野さん:ほどほどの辛さが好きなんですけど、どちらかと言えば辛いほうが好きです。
──とくに好きなタイ料理はありますか?
下野さん:よく食べているのは……何だったっけ?
──チャーハンみたいな? それとも麺ですか?
下野さん:麺もおいしいですよね。あ、名前を思い出しました。ガパオライスも好きですね。ただ、そこのタイ料理屋はガパオもちょっと辛いんです。
アニメとゲームの仕事の違い
──下野さんはゲームだけでなく,アニメや歌でも活躍されています。ゲームの仕事とアニメのお仕事は違いますか。
下野さん:違いますね。ゲームの場合は自分の間合いが取れるんですが、アニメに関しては絵ができあがっているのでそれに合わせる必要があります。ドラマになるとかけ合いがあったりします。
歌もそうですよね。芝居とは全然違いますし,発声法も変わってきたり。そういう意味では,最もイメージというか想像力を試されるのがゲームかなという気がします。
──1人でじっくり向き合うという感じですか。
下野さん:声に向き合いつつ、シチュエーションを自分の中で思い描けるように努力したりします。
──どういうお仕事が好きですか。
下野さん:アニメやアフレコも好きですが、想像力を使えるゲームの仕事も好きですよ。量は多いんですけどね。
──セリフには叫び声みたいなものもありますよね。
下野さん:そうですね。実際にゲームのどういう場面にあてられるのか、分からなかったりすることはありますけど,そこを想像する楽しみがあります。
──なるほど。過去に演じた,好きなゲームのキャラクターを教えてもらえますか。
下野さん:そうだなあ。ぱっと思いついたのは「ニューダンガンロンパV3」の王馬小吉ですね。「こんなにいろいろな表情を見せてくれるんだ」というところが楽しかったです。