試作段階の名探偵が完全初公開！　「連載30周年記念 名探偵コナン展」内覧会レポート

　青山剛昌氏原作「名探偵コナン」の連載30周年を記念した展覧会「連載30周年記念 名探偵コナン展」が，東京都豊島区の池袋・サンシャインシティ 展示ホールAにて本日（2024年1月12日）〜2月25日の会期で開催中だ。
　コミックスの世界累計発行部数が2.7億冊を突破し，誰でも一度は目にしたことがある作品となりながらも，原作は100巻を超えていることもあり実は通読したことがないという方もいるだろう。毎春公開が恒例となった劇場版アニメなどのメディアミックス展開でも話題は尽きないが，本展は原作の内容に焦点を当てることでその歴史と魅力を再認識することができるものとなっている。本稿では，開催に先立って実施されたプレス向け内覧会の模様と見どころをお伝えしていこう。

（C）青山剛昌／小学館

「連載30周年記念 名探偵コナン展」公式サイト

　会場に入るとさっそく，原作者の青山氏による描き下ろし色紙のお出迎えがあり，その奥には，主人公・江戸川コナンのカラーオブジェと共に，初期から近年までの原作カラーイラストが展示される「イントロダクション」エリアがある。1994年に発行された1巻から2023年の104巻まで，30年分の原作単行本と劇場版アニメを並べた年表もあるので，まずはここで歩みを振り返りながら思い出の巻や劇場版を探してみてほしい。

（C）青山剛昌／小学館

「イントロダクション」エリア。年表の長さが歴史を物語る

一部の展示物を除き写真撮影は可能となっているので，コナン君のオブジェと記念撮影をするのもおすすめだ

ギャラリーツアーに登場した日本テレビアナウンサーの尾崎里紗さんと江戸川コナン君が30周年ポーズを求められる場面も

　以降のエリアは章立てでテーマ別に分かれており，登場人物達の信念が垣間見える名言を集めた第1章「CONAN's Words」，原作者も「殺人ラブコメ」と称するほど事件と推理に並び立つ要素である恋と愛にフォーカスした第2章「CONAN’s Love」，事件の解決に立ちふさがる暗号やダイイングメッセージ，そして作中最大の謎である「黒ずくめの組織」に迫る第3章「CONAN’s Mystery」，記憶に残る人物も数多い犯人達とその凶器，さらに数々の発明品にも触れる第4章「CONAN’s HANNIN」，メインキャラクターと散っていったさまざまな立場の人物との関係性や絆を描く第5章「CONAN’s Justice」，今年上映予定の劇場版でもクローズアップされる「怪盗キッド」を深掘りする第6章「CONAN's Magic」までを一区切りとして構成されている。

（C）青山剛昌／小学館

第1章「CONAN's Words」。目立たない場所にも青山剛昌氏によるコメントがあるのでお見逃しなく

第3章「CONAN’s Mystery」。この下に読者には馴染み深い「アレ」が立体再現されている

　原作をベースとしているだけに，エピソード単位で紹介される箇所では単行本の巻数やFILE名も併記されているので，鑑賞していて詳細が気になったり久々に読み返したくなったりしたときの利便性が非常に高い。
　イラストなど平面の展示に留まらず，とくに第3章，第4章では印象的なアイテムの立体再現にも力が入っており，歴代犯人が使用した多種多様な凶器が所狭しと並ぶガラスケースは，青山氏や作中の江戸川コナン一行も訪問したロンドンのシャーロック・ホームズ博物館を彷彿とさせる。眠りの小五郎を仕立て上げるには欠かせないあのアイテムの，思わず笑ってしまうような見せ方にも注目してほしい。
　一部のエリアは音での演出もあるため，TVアニメ「名探偵コナン」江戸川コナン役 高山みなみさんによる展示解説の音声ガイド（税込み700円）を楽しむ場合も，時折イヤホンを外すことをお忘れなく。

（C）青山剛昌／小学館

第4章「CONAN’s HANNIN」。現在までの全犯人がいるパネルは圧巻の一言

第6章「CONAN's Magic」。怪盗キッドが登場する次回劇場版の予習にもなる，かもしれない

　一旦の締めとして登場するエンディングシアターの内容には触れないが，ここまでの展示で30年分の記憶を新たにしたうえで観ると，とても感慨深いものに仕上がっている。その余韻を噛み締めているところに待つのが最終章「青山剛昌先生特別展示室」だ。ここでは作品を生み出す青山氏自身にフォーカスし，約15分にわたるインタビュー映像をはじめ仕事場の様子など執筆の裏側を覗くことができる。
　中でもハイライトとなるのは，本展で完全初公開となるコナン・新一の初期設定資料の展示だろう。残念ながら写真に収めることはできないが，まさに青山剛昌版「試作段階の名探偵」を目の当たりにできる貴重な機会となるため，目に焼き付けておこう。

（C）青山剛昌／小学館

最終章「青山剛昌先生特別展示室」。仕事場の棚を模したパネルは実際に足を運んだ尾崎氏曰く「本当に忠実に再現している」とのこと

　また，500種類を超える商品が並ぶグッズショップも見逃せない内容となっている。公式ガイドブックや東京会場限定手ぬぐい，30周年記念の描き下ろしイラストを使用した定番商品のほか，単行本20巻に収録の「バスルーム密室事件」を想起させる「沖野ヨーコ応援ヘアターバン」や，背表紙に「YUSAKU KUDO」の名前入りの書籍風ナイトバロンブックカバーといった作中再現系のグッズは何としてでも購入したい方も多いのではないだろうか。
　また，ラインナップの中には青山氏の故郷，鳥取県北栄町にあるグッズショップ「コナン探偵社」「コナン百貨店」での販売物もあり，直接手に取って購入できる貴重な機会となる。東京会場では1回の入場につき1会計の制限があるので，買い逃しのないよう注意が必要だ。

（C）青山剛昌／小学館

「沖野ヨーコ応援ヘアターバン」。使用する時には音を伸ばす記号に「なにか」がつかないように気をつけたい

「名探偵コナン ココアシガレット（6本×10箱）」。少々珍しいコラボだが，作中喫煙者5名のランダムステッカー入りということで納得の一品

　本展は連載30年に及ぶ作品の魅力を，テーマ分けすることでいいとこ取りでおさらいできる内容となっている。そのため，原作を途中まで読んでいた，アニメ作品は観ているといったライトなファンでも，現在の展開に追いつくきっかけとなるだろう。もちろん，コアなファンもこれまでのストーリーを振り返りつつ，展示に添えられた青山氏のコメントから得るものは多いはずだ。東京会場の終了後には全国各地を巡回する予定なので，遠方のファンもイベント公式サイトの「スケジュール」を確認しよう。

「連載30周年記念 名探偵コナン展」公式サイト