プレイレポート
ついに日本語に対応し,正式リリースとなった「GTFO」を開発スタッフとプレイ。バージョン1.0が重視するのは“プレイのしやすさ”
スリーパーと呼ばれる不気味なクリーチャーが潜む地下施設を4人の囚人が探索し,ミッションクリアを目指す本作。2015年から開発が進められ,2019年にアーリーアクセスがスタートし,そこから2年での正式リリースとなった。
ランダウン6※に当たるこのバージョン1.0では,非常に広範囲にわたるアップデートが施されているとのことだが,実際にどんな体験ができるのだろうか? 今回は10 Chambersのスタッフと一緒にプレイできる機会を得たので,そのレポートをお届けしよう。
※ランダウンとは,ゲームの中でプレイヤーたちに与えられる「作業指示書」(遠征先のマップ)のことで,定期的にアップデートされていく
プレイセッションで使用されたのはプレス向けのバージョンで,日本語ローカライズの範囲などが正式リリース版とは異なる部分がある。別途撮影した正式版のスクリーンショットを織り交ぜながら紹介しよう。なお,以下の部分にはネタバレ要素が含まれているので,了承のうえ読み進めてほしい。
日本語表記の安心感に包まれて潜るA1。絶望の深さは和らいだ?
今回のセッションに参加してくれた開発スタッフは,デザイナーのDavid Wärnberg氏,コミュニケーションディレクターのRobin Bjorkell氏,レベルデザイナーのViktor Viklund氏(アルファベット順)の3名。Bjorkell氏が中心となった説明を聞きながら,エクスペディション(遠征)のクリアを目指すことになった。
プレス向けバージョンは,カスタマイズやコスチュームなどがあらかじめアンロックされていたほか,レベル帯をスキップしてのプレイが可能となっていた。
スタッフから「AとBはスルーして,Cに行ってみますか?」との提案をいただいたのだが,そこは己の力量をわきまえて,A1から謙虚にトライさせてもらうことにする。何事も基本からだ。
どうやら武器もいろいろと新調されている模様。初心者用のおすすめ武器を聞いてみると,「RAD」(RAD LABS MEDUZA オートセントリー)という回答だったので,そちらを選んだ。
近接武器は,開発スタッフ全員が迷いなくハンマー装備だったことから,筆者もそれに倣うことにした。過去のランダウンでは,ほぼハンマーのみで敵を一掃してしまうような強者を見かけたが,1.0のハンマーも,引き続き扱いやすい武器に仕上がっているようだ。
A1での最初の目的は,「MATTER_WAVE_PROJECTOR」なるものをゲットすることだという。
プレス向けバージョンでは目的が英語表示になっていたが,正式リリース版ではしっかりと日本語に対応しているので安心してほしい。目的が分からないままでの手探りプレイもそれはそれで楽しいが,1.0では「どこに行って何をしたらいいか分からない」という状況に陥ることは少なくなりそうだ。
地下施設の暗闇の中,目的のアイテムを探して,開発スタッフたちの後を静かについていく。
本作では敵をステルスキルすることが基本となっている。アーリーアクセス版では,極端に表現すれば1体覚醒させた時点でジ・エンドくらいのシビアさがあり,それゆえに,敵が複数固まっているだけで十分に難所となっていた。
だが,Bjorkell氏によると「1.0(ワンポイントゼロ)では,とにかくプレイヤーに優しくなるように,まずプレイしやすいことを目的にして開発しました」とのこと。
そう言われると,今回は敵の近くで多少音を立てても気付かれにくく,リンクもしにくいような気がする。敵の検知や呼応の範囲が狭くなっているのだろうか。
また,一度敵に気付かれてしまうと,アーリーアクセス版では「いやいや,この部屋にはそんなにいなかったでしょ!」と思うくらい大量の敵がどこからか湧いてきて即終了……となったものだが,そのあたりも抑えられているのか,絶望の度合いが和らいだ感触だった。
しばらく進むとスタッフから「危ないヤツがいる。ヤバい」との警告が。恐る恐る近付いてみると……。
やっぱりヤツだった! スタッフたちにビッグガイと呼ばれている,このパワー系の敵ビッグストライカーは,息が合わないと4人がかりでも倒すのがなかなか難しい。
「GTFOでは敵と戦うことは必須ではなく,もしパスできるようなら,そうしたほうがいいこともあります。このビッグガイは見過ごして,先に進んでみましょう」とのこと。
来たるべきラッシュに備えて,事前に少しでも敵を減らしておいたほうが良いのではないか? と尋ねてみると,「通常の敵は退治したほうがいいと思いますが,大きい敵はそのままにしておいたほうがいいかもしれない(笑)」とのアドバイス。そういうことなら,こんな危険な場所は早くおさらばしてしまおう。
さらに進むと,ゴツい扉が見えてきた。この扉を開けるためには,アラームが鳴り響く中で,敵のラッシュをしのぎながらギミックを解除しなければならない。
アーリーアクセス版のラッシュは,とにかく物資が足りず成すすべもなく全滅という記憶しかなかったが,今回は誰もダウンすることなく成功。
もちろんA1という最初のマップであることや,自分以外の3名のプレイがうまいという理由もあるだろう。ただここまでの道中を振り返ると,敵の容赦のなさや物資不足の程度が以前ほどシビアではなくなっているのかもしれない。ピンチにはなっても,チームが全滅しづらくなっている印象を受けた。
難敵やラッシュという関門を過ぎ,いよいよ目的のアイテム「MATTER_WAVE_PROJECTOR」がある場所に到着。
到着とほぼ同じくらいのタイミングで,何かを訴えるような,騒がしい英語の音声が流れてきた。Bjorkell氏に聞いてみたところ,「これは,どこかに隠れている囚人がプレイヤーとコミュニケーションをとろうとしているというストーリーです。こういったところも,ぜひ日本語化していきたいです」と語ってくれた。
この地下施設や登場人物たちにどんなバックグラウンドがあるのか,ローカライズが楽しみだ。
「プロジェクターをピックアップできますか?」と言われて拾ってみれば,突如目の前に広がったのは,地上の砂漠のような明るい風景。これまで暗い地下を進んできた身にとっては予想外の映像に,思わず感嘆の声が漏れてしまう。
GTFOにあるまじき明るさのシーンに,ついに地下施設以外の新ステージ登場!? という期待と,こんなに明るかったらスリーパーが襲ってくるのでは……という不安が同時に頭をよぎったが,今回は回想のようなものだったのか,映像は一瞬のみだった。
「あとはプロジェクターを持ち帰って,敵を倒せば地上に行けるので,頑張ってください!」
その言葉で引き戻され,後ろから聞こえてくる敵の咆哮に気付く。追いつかれないよう,急いで脱出ポイントまで移動することに。
無事プロジェクターを持ち帰り,ラストのラッシュも捌いてA1をクリア! この達成感は格別だ。
そしてまさかのC1へ。焦りがミスを生む。新しい敵との遭遇も
A1から帰還し,ひと息ついてすっかり油断していると,「ほかのエクスペディションをトライすることもできますが,どうしますか?」との声が。開発チーム直々にそんなことを言われてしまったら,参加しないわけにはいかない。ぜひお願いすることにする。
「次はもう少し難しくなりますよ。C1ではたくさん走るので,SMGがいいんじゃないでしょうか」とアドバイスを受け,張り切って装備する。「こっそり移動が基本のゲームでたくさん走るとは一体……?」という疑問が脳裏に浮かびながらも,スタッフのみなさんを信じて突入。
「今回のオブジェクティブは3つのデータキューブを見つけることです」
「ここにセントリーガンを置いて敵を迎え撃ちましょう」
などなど,Bjorkell氏からの説明や指示に頷きながら進めば,踏み込んだ先はアラームが鳴り続け,断続的に敵が襲ってくるゾーンだった。
慌ただしいエリアをひいひい言いながら駆け抜けると,またA1で見た砂地のようなシーンへと情景が切り替わる。そして,見たこともない飛行タイプの敵が出現!
その後も奮闘したが,力尽きて全滅。C1の遠征はここまでとなった。
日本からの意見を重視して行われたという調整と改善
遠征はこれで終わりとなったが,新たに追加されたというチェックポイントシステムを説明してくれるとのことで,再びC1に突入。
アーリーアクセス版では,一度失敗するとマップの最初からやり直しになっていた。それが長時間プレイという,本作のハードルの高さにもつながっていたが,1.0では,一度通過したチェックポイントからの再挑戦が可能に。
マップが広大な本作では,既存・新規を問わず,すべてのプレイヤーにとってありがたい機能と言えるだろう。ピンチになったときも,多少は心に余裕を持ってプレイできそうだ。
また,1.0で登場した新システムに,AIチームメイト(ボット)がある。
Bjorkell氏は,「もちろんソロでボットとチームを組んで遊んでも十分楽しいでしょう。でも,できれば誰か自分以外のプレイヤーが1人以上いて,足りない人数をボットで補う遊び方が一番楽しめると思います。GTFOはコミュニケーションや戦略づくりが大切なゲームなので,やはり他のプレイヤーと一緒に遊ぶほうが,面白さを隅々まで堪能できるでしょう」と語った。
筆者は後日,正式版でボット3人とチームを組んでみた。A1では(結構な時間がかかったが)終盤まで進めることもできたので,初心者やソロプレイヤーなどには,大きな助けになるシステムだと感じた。
ボットシステムに限らず,バージョン1.0で投入されたアップデート内容は,「遊びやすさ」に加えて,プレイヤー同士のコミュニケーションや協力につながっているものが目立ち,それらをより促そうとする意識を強く感じた。
今回は特にバランス調整に苦心したとのことだったが,開発中,活発な日本のコミュニティからの意見や要望は大いに参考になったのだという。そんな日本のプレイヤーたちに向けて,Bjorkell氏からメッセージをもらうことができたので,最後に紹介しよう。
「日本の皆さん,いつもGTFOを応援していただきありがとうございます。日本のコミュニティは,私たちやGTFOにとって常に必要不可欠な存在です。アーリーアクセスが開始されたとき,まだ英語版のみだったにもかかわらず,すでに多くの日本のハードコアゲーマーがGTFOをプレイしており,このチャレンジを気に入っていただけているようでした。
スウェーデン以外の国で初めて,その国のコミュニティだけを担当するマネージャーを採用したように,私たちにとって日本のプレイヤーは大切な存在です。今回のバージョン1.0で日本語にローカライズされたことは,私たちにとっても非常に喜ばしいことです。改善点があれば,いつでもフィードバックを寄せてください」
ゲームの凶悪さとは裏腹に,終始和やかで楽しい遠征になった。ぎこちない動きの筆者をサポートしてくれた開発チームに感謝したい。
日本語表示への対応やボットの登場など,GTFOはバージョン1.0で日本のプレイヤーとって非常にプレイしやすいタイトルになった。Bjorkell氏のコメントからも分かるように,今後のアップデートにも期待できそうなので,本作が気になる人はぜひプレイしてほしい。
「GTFO」公式サイト
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