連載
孤独のボドゲ 第5回:ゾンビアポカリプスな中世の暗黒時代を舞台とする協力型ゲーム「ゾンビサイド ブラック・プレイグ」
ゾンビサイド ブラック・プレイグ
ボードゲームと聞くと複数人でプレイするものと思われがちだが,実は1人でも遊べる作品は多く存在する。月刊連載の「孤独のボドゲ」では,そんな1人でも遊べるボードゲームを紹介しよう。ポイントとなるのは1人“でも”というところで,1人で遊んでみて面白ければ,友達を誘って一緒に遊べるというわけだ。
「孤独のボドゲ」第5回は,ゾンビの群れが闊歩する中世ヨーロッパの暗黒時代を舞台とするボードゲーム「ゾンビサイド ブラック・プレイグ」を紹介しよう。アークライトが販売する本作は,最大6人で遊べる協力型のゲームになっているが,複数のキャラクターを1人で操作するぼっちプレイも可能だ。
ルールブックにはシナリオが11本収録されており,プレイヤーは次々と沸いて出てくるゾンビの対処に四苦八苦しながら,シナリオのクリアを目指すことになる。また,プレイの臨場感を高めてくれるミニチュアが71体も用意されており,見た目にも楽しいゲームとなっている。
コンポーネントをチェック
デジタルゲームにはないボードゲームの魅力といえば,やはりコンポーネントである。作品によっては凝ったギミックを持つコンポーネントもあり,それを触ったり動かしたりするのが,これまた面白い。そんなわけで,ボードゲームの華ともいえるコンポーネントを見ていこう。
◯屍者(ゾンビ)ミニチュア
生存者の前に立ちはだかるゾンビ達。雑魚ゾンビの「ウォーカー」が35体,移動距離の長い「ランナー」が14体,ぶくぶくに太った「ファッティ」が14体,ボスゾンビ的な存在「アボミネーション」が1体,ゾンビ達の指揮官「ネクロマンサー」が1体と,ゾンビだけで合計65体ぶんのミニチュアが同梱されている。これだけで満足感は高い。
◯生存者ミニチュア/生存者カード
プレイヤーキャラクターとなる生存者6人にもミニチュアが用意されており,それぞれのステータスを示す生存者カードには,レベルアップによって習得するスキルが表記されている。
◯ステータスボード
筆者がもっとも感動したコンポーネントがこのステータスボード。この手のボードは,厚紙製のものがほとんどで,何度も遊んでいるうちに角が潰れてきたり,めくれてきたりするものだが,本作に付属するものはプラスチック製になっており,耐久性が高いのが嬉しい。
また,生存者カードやアイテムを配置する場所も確保されおり,下部には現在の獲得経験値とレベルを示すメモリまで付いている。
◯物品カード
武器や防具が描かれたカード。主に探索アクションなどで手に入る。
◯屍者カード
ゾンビの出現判定時に引くこととなるカード。一番レベルの高いキャラクターを基準に,出現するゾンビの種類や数が変わる仕組みだ。中には,次に出てくるゾンビの数が二倍なったり,特定のゾンビが追加アクションを得たりする,厄介なカードも存在する。
◯ルール&シナリオブック
本作のルールブックには,11種類のシナリオが収録されている。シナリオによってクリア目標が異なり,大掛かりなものになると,クリアするのに5時間以上かかることも。
◯マップタイル
街路や建物などが描かれたタイル。両面仕様になっており,シナリオの指示どおりにタイルを配置してマップを作り上げていく。シナリオによっては3×3の計9枚を配置することもあり,そういったシナリオをプレイする場合は,そこそこ広めなプレイエリアが必要になる。
◯ダイス
戦闘時の攻撃判定などに使う六面体ダイス。特殊目はないので,ほかのダイスでも代用可能だ。
◯マーカー
ステータスボードで使用するマーカー類。生存者ミニチュアの台座に取り付けるカラーキャップが別途用意されており,それと同じ色を選ぶ形になる。
◯トークン類
ゾンビの出現場所や音が鳴った場所を示すのに使うトークン。どれもサイズが小さいので,小物入れなどを用意して保管するのがオススメ。
ぼっちプレイの流れ
本作は1人で複数の生存者を担当することで,ぼっちプレイも問題なく可能だ。今回はシナリオのネタバレを最小限にするため,チュートリアルシナリオ「死の舞踏(ダンス・マカブル)」で,ぼっちプレイの流れを紹介する。
このシナリオでは,ゾンビに占領された街からの脱出を目指す。ゴールとなる建物は,スタート地点からもっとも離れた場所にあるので,ゾンビを避けてたどり着くのは難しい。といった具合で,このシナリオでは移動,探索,戦闘といった本作の基本が一通り学べるようになっている。
本作のラウンドは,「生存者フェイズ」「屍者(ゾンビ)フェイズ」「終了フェイズ」の順で構成されている。生存者フェイズでは,各生存者が3回までアクションを実行できる。アクションは以下の通り。
【移動】
1ゾーン移動する。
【探索】
「物品の山」から物品カードを1枚引く。建物ゾーンのみで実行でき,手番につき1回という制限がある。
【ドア破壊】
近接武器を使って赤いドアを破壊する。ダイス判定が必要で,成功しても失敗しても音が立ち,ゾンビを引き寄せてしまう。
【物品カードの装備/交換】
同じゾーンにいる生存者と物品の交換をする。
【攻撃】
射程内にいるゾンビを攻撃する。戦闘についてはリプレイを参照してほしい。
【支援魔法】
支援呪文を使う。
【目的の達成】
同じゾーンにある目的トークンを入手する。
【大きな音を立てる】
自分のいるゾーンに物音トークンを置く。敵を引き付けて味方を守るといったことが可能。
【何もしない】
何もしない
すべての生存者がアクションを終えると,屍者フェイズに移行する。屍者フェイズでは,ゾンビと同じゾーンにいる生存者が攻撃される。該当する生存者がいない場合は,生存者に向かって移動するといった感じだ。次に屍者カードを引いて,そこの指示に従って屍者出現ゾーンにゾンビを配置する。要は,毎ターンゾンビが増えていくわけだ。
出現の処理が終わったら終了フェイズになり,ボード上にある物音トークンを回収。複数人でプレイしている場合は,左隣のプレイヤーに親を渡して,再び生存者フェイズを始める。この流れを踏まえて以下のリプレイを見てほしい。
これで青い扉を開けられるようになったが,その手間にいるウォーカーが邪魔である。ここは弓の使い手であるサイラスの出番だ。短弓は1マス先のゾーンまで攻撃できるので,さっそくゾンビに対して攻撃アクションを実行する。
攻撃時は,武器カードの下にあるステータスを参照する。上の写真にある片手剣の場合は,0(自分のゾーン)の敵に対してサイコロを1つ振り,4以上が出れば命中,1ダメージを与える。短弓の場合は0〜1ゾーンの敵に対してサイコロを1つ振り,3以上が出れば命中,1ダメージを与えるといった感じだ。
片手剣にある扉の絵は,ドア破壊に利用できるという意味で,この場合はダイスを1つ振って4以上の目が出ればドアを壊せる。
閉め切られた建物を初めて開ける場合は,そこにあるゾーン毎に屍者カードを引いて,ゾンビの出現判定を行うことになる。今回開けた建物は1つのゾーンで構成されていたので,引くカードは1枚。命運やいかに。
屍者カードは,そこに書かれているゾンビがすべて出てくるわけではない。このカードの場合は,パーティメンバーが全員ブルーレベルならファッティ,イエローが1人でもいればランナー,オレンジが1人でもいればウォーカー6体,レッドが1人でもいればランナー2体といった感じになる
要するに,1人だけが強い状況では逆に難度が上がることになるので,レベルアップのタイミングには注意しよう。
屍者カードによって出現したのはウォーカーより体力が1多いファッティだが,この1多いというのが非常に厄介だ。というのも,攻撃で与えるダメージは“蓄積しない”ので,攻撃力1の武器が何回ヒットしたところで,ファッティを倒すことはできないのである。初期装備として配られる武器はほとんどが攻撃力1なので,ファッティは大変な脅威だ。
すべての生存者のアクションが終わったので,お次は屍者フェイズ。現在マップには2体のゾンビがいるが,扉によって移動を阻まれているので,動かすコマはない。次に,マップにある屍者出現トークンそれぞれに対して,屍者カードを引いて出現判定を行う。
チュートリアルには,屍者出現トークンがスタート地点の近くと,ゴール地点の近くに1つあるのだが,ゴール地点の方は緑の目的トークンを回収するまで機能しないので,今回はスタート地点付近の出現トークンに対してのみ処理を行う。
ここで再び生存者フェイズに。しかしながら,1ラウンドの流れを書くだけでこのボリュームなので,ここからはダイジェストでお送りさせていただく。
だいぶ駆け足気味でのリプレイになってしまったが,チュートリアルさえ,ここまでドラマチックな展開が味わえるのも,本作の魅力の1つといえるだろう。
収録されているシナリオは全部で11種類だが,マップの組み合わせや,ゾンビの出現位置,目的トークンの配置などを自分でアレンジすれば,オリジナルのシナリオが作れてしまうというところもポイントだ。
価格は1万円を超えてしまうが(定価1万2500円 税込),大量のフィギュアやプラスチック製のボードがついてくるので満足感はしっかりとあり,ゲーム内容もゾンビものが好きならば楽しめるはずなので,興味の湧いた人はぜひ遊んでみてほしい。
ゾンビサイド ブラック・プレイグ (Amazon.co.jp)
ゾンビサイド ブラック・プレイグ (Role&Role Station)
- この記事のURL:
キーワード