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コロプラの新作RPG「Project Babel」スペシャルステージをレポート。大物クリエイターの創作論や「コロプラフェス2018」会場写真も
「Project Babel」公式サイト
「コロプラフェス2018」公式サイト
新作「Project Babel」スペシャルステージ
ステージ前半では,本作でプロデューサーを務める森先一哲氏,メインプランナーの芳賀氏,アートディレクターの尾﨑氏が登壇し,森先氏から「Project Babel」の詳細が発表された。
本作のキービジュアルは,謎の塔がそびえ立つ世界で,主人公のライとヒロインのマイリージャが寄り添うというもの。ゲームではこの2人を中心とした物語が描かれるという。
また本作は多くのキャラを切り替えながら遊ぶゲームではなく,最後まで限られたキャラを育てながら進む作品になることが発表された。主人公のライとヒロインのマイリージャをメインとして物語が展開する一方で,周囲のキャラについても掘り下げられていくそうだ。
続いては,尾﨑氏からキャラクター紹介が行われた。
主人公のライは長いあいだ自分の部屋に閉じ込められ,周囲の世界を知らずに育った少年。苦境にありながらも周囲の人々の助けで真っ直ぐに育ったキャラということで,森先氏は「なかなか珍しい設定のキャラクターになっていると思います」と語った。
ヒロインのマイリージャもライ同様,鳥かごのような密室に閉じ込められて育った少女。ライとは対照的に,心に影を抱えおり,一人でいることを好む性格に育った彼女。ライ達との出会いを通じて世界が広がり,感情が豊かになっていくなどの変化を見せてくれるという。
この2人がなぜ幽閉されていたか,という点は現時点ではまだ明かせない,物語の軸になる部分とのこと。
芳賀氏は「いい意味でヒロインらしくないヒロインなのが,野島さんのキャラクター作りのすごいところ」と,そのキャラクターデザインに太鼓判を押した。
旅を共にする仲間の一人が,ライの幼馴染で,妹分のポッケ。まっすぐで優しい性格の彼女は,おせっかい焼きながらも周りの気持ちを推し量れるかしこさがあり,マイリージャの心を溶かしていくという。
ライのもう一人の幼馴染であり親友のイタクは,ライが迷ったときに相談に乗ってくれる1歳年上の兄貴分的存在。いつも笑顔を見せているムードメーカーだが,意外と熱い一面も秘めており,彼の影響で物事が決まる場面も少なくない。
トノトは,ライを守護する命を与えられて旅に同行する兵士。過去の記憶をなくしている彼はあまり多くを喋らないが,ライとの旅を続けることで意外な一面が出てくる味わい深いキャラクターだという。
実際のゲーム内容も紹介された。ここでは「Project Babel」ブースで遊べる体験版を用いて,芳賀氏がゲームをプレイしながら解説する実況プレイ形式での紹介となった。
本作はデフォルメキャラを操作してフィールドを動き回ることのできる,クォータービューのRPG。敵との戦闘はランダムエンカウント制となっている。
戦闘システムはコマンド選択式で,キャラクターごとに攻撃や防御,スキルといった行動を選択。最後に攻撃開始をタップすると自動で順番に行動し,ターンが進行する。
派手な演出が楽しめるスキルは,スキルポイントを消費して放つ特殊な攻撃。さまざまな種類が存在し,付け替えてカスタマイズすることも可能とのこと。
敵モンスターにはHPゲージのほかにブレイクゲージが用意されている。このゲージは攻撃を当てるごとに溜まっていき,満タンになるとモンスターがブレイク状態となり,ダメージが通りやすくなる。ブレイク状態のモンスターには更にダウンゲージが追加され,このダウンゲージが満タンになると敵は行動不能となる。
武器やスキルによってブレイクゲージを溜めやすいものが存在しており,それらを使ってチャンスを作り出していくことが重要になるようだ。
今回発表されたキャラクター5人に対し,戦闘に参加できるパーティーメンバーは4人まで。今回のデモプレイではフィールド上で編成画面を開き,参加キャラクターを入れ替える様子も紹介された。
ここで戦闘の重要な要素として語られたのが,陣形変更。今回の体験版では5つの陣形が確認でき,それぞれに「パーティ全員の素早さアップ」や「パーティ全員の物理攻撃力アップ」といった陣形特性が用意されている。
さらに配置によって敵への与ダメージや敵からの狙われやすさが変化することも判明。敵との戦闘を戦略的に楽しめる要素になりそうだ。
クリエイタートークセッション
「Project Babel」ステージの後半はクリエイタートークセッションと題し,ゲストを招いてのトークタイムとなった。
今回ゲストとして参加したのは,「ファイナルファンタジーVII」や「ドラゴンズドグマ オンライン」で知られるシナリオライターの野島一成氏と,「ファイナルファンタジーXII」や「伝説のオウガバトル」の音楽制作を務めた作曲家の崎元 仁氏だ。
このセッションでは,用意された3つのテーマに沿ってトークが進行した。
野島氏はスマートフォンゲームのシナリオを手がけることについて,自分のやっていることは変わらないとしながらも「初めて一緒にやる人となら何か引き出してもらえるのではないか,新しいアイデアがもらえて自分も何かできるんじゃないか」という想いがあったと回答した。
崎元氏は「イメージイラストやシナリオのプロットを見て,ユーザーとしてまずやってみたいかというのが判断基準になる」と前置きをしたうえで,本作の場合は企画書で森先氏の描いたキャラクターイラストを見た時点から,これなら自分はこうしたい,という考えが湧いてきたという。
一方の森先氏も,シナリオを初めて読んだときに「これは何か描かないと」とインスピレーションを受けてキャラクターのコンセプトイラストを制作したものだと語る。
崎元氏はこうした作品を通じた連鎖反応こそがゲーム制作のだいご味だと語った。
次のトークテーマは「Project Babelの世界観/曲を通して伝えたかったこと・テーマ」。
野島氏は,90年代ごろの作品で「大きなものに挑む若者」を描くのが当たり前だったが,ここ10年は「自分のいる世界を守ろうとする人々」が主題になっていると,創作分野のトレンドの変化に言及した。これらを両立できないかと考え,本作の設定を考えたという。
「相反する人たちが一緒になっていくのを描けないか,というのが自分に課したテーマ。それがプレイヤーの皆さんにも伝わればいいなと思っている」と,作品に秘めたテーマを語った。
また崎元氏は,SF要素のある作品で音楽にもその要素をできるだけ加えたいと述べ,「オーケストラのオーソドックスな音楽の裏に,こっそりシンセ音をいっぱい混ぜている」と,制作スタッフにも伝えていなかった秘密を明かした。
最後のトークテーマは「今後,挑戦したいこと」。
これには野島氏,崎元氏ともに,本作に対して長く関わっていきたいという意見で一致していた。さらに森先氏も「スマートフォン発信のIPが何十年も語り継がれるものにしたい。Project Babelがそのきっかけになれば最高です」と,本作を長く愛される作品にしたいという思いのこもったコメントを残し,イベントは閉幕した。
野島一成氏&崎元 仁氏に囲み取材
イベント終了後には,野島氏と崎元氏に対する囲み取材が行われたので,その内容も紹介しよう。
――本日のステージについて,感想をお願いいたします。
崎元氏:
皆さんとお会いできてよかったですね。僕は非常に楽しかったです。
野島氏:
僕はPVが見られたので嬉しかったです。完全版は初めて見たのですが,音もちゃんと入っていてよかったですね。
崎元氏:
僕も長いバージョンを見たのは初めてでしたね。
――今回制作された曲の量はどの程度になるのでしょうか?
崎元氏:
結構多いですよ。4〜50曲くらいありますかね。これでたぶん3/4くらいです。どこまでいくのか分かりませんが(笑)。
――現在シナリオのボリュームはどのぐらいになる見込みでしょうか?
野島氏:
私の感覚では,昔で言うスーパーファミコンのゲームくらいに縦の長さがあって,横にも広がっているかな,と。結構あると思いますよ。寝ないでやったら短いと思いますけど(笑)。デフォルメキャラが久しぶりなので,張り切っていっぱい書いています。
――今回は王道を行くJRPGということで,30代以上のユーザーからも注目されるかと思いますが,意識されていることはありますか?
野島氏:
作っている私たちはあまり変わっていないんですよね。当時と感じ方が違ったとしたら,ご自身が成長したんじゃないでしょうか。今どきのゲームらしくギミックなどは入りますが,本質的にやっていることは昔と変わっていないので,楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
崎元氏:
野島さんが言っているとおりで,やっていることの本質は変わらないと思うんですよ。ゲーム業界って,時代とともにハードウェアが進化していったじゃないですか。それでもゲームに本来求めていることはずっと変わらないんだと思うんです。そこはずっと変わらずにやっていますので,それを感じてもらえればと思います。
――スマートフォンというプラットフォームでゲームを作るうえで,何か苦労された点はありますか?
野島氏:
短くまとめるのは難しいんですが,プレイヤーと主人公キャラクターの関係をどうするか,というのはいつも考えてシナリオを書いています。画面が大きいと向かい合ったりして,距離感が近くなるんですよ。でも画面が小さいとこう,見下ろすじゃないですか。他の人も自分のキャラクターも一緒に出てくるので,そのキャラクターにどう感情移入してもらうか,というところですね。
崎元氏:
そもそも8bitのPCゲームの時代から「音楽とか効果音とかいらねーよ」って,ずっと言われ続けてきたんです(笑)。なのでいつでもとにかく聞いてもらえる方法,立ち止まって耳を傾けてもらえる方法を懸命に考えています。そういった意味では同じですね。技術的なところでは,スマホで聴きやすいように,音を最後にちょっと調整しています。
「コロプラフェス2018」フォトレポート
「コロプラフェス2018」ではステージイベントのほかにも,コロプラのゲームに関するさまざまなブースが出展されていた。ここでは,その一部を紹介していく。
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(C) 2018-2019 COLOPL,Inc.
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