インタビュー
[インタビュー]「!」から「!!」となって3年。「あんさんぶるスターズ!!」の振り返りと今後の注目展開を制作陣に聞く
2015年にリリースされたHappy Elementsのスマホアプリ「あんさんぶるスターズ!」が,2020年3月15日に新章突入に伴い「あんさんぶるスターズ!!」となってから,2023年3月15日で3周年を迎えた。これにあわせ,アプリ内外にて「あんスタウェルカム祭」が開催中だ。4Gamerは,この“お祭り”を行うことになった経緯を,あんスタ制作陣にインタビューする機会を得た。この3年間の振り返りや,現在の制作体制,今後の注目展開なども,たっぷりと聞いてきたので,その内容をお伝えしよう。
「あんスタウェルカム祭」公式サイト
新規ユーザー大注目!
「あんスタウェルカム祭」とは?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,「あんスタ!」への大型アップデートの実装(「あんさんぶるスターズ!!Basic」。iOS / Android / PC)と,新作リズムゲーム「あんさんぶるスターズ!!Music」(iOS / Android)がリリースされてから,2023年3月15日で3周年となります。それにあたって“お祭り”が始まるとお聞きしたのですが……。
ゲームデザイナー NT氏:
はい,正式名称は「あんスタウェルカム祭(まつり)」です。
4Gamer:
3年目にして「あんスタウェルカム祭」を始動したきっかけは何だったのでしょう。
NT氏:
「Basic」と「Music」になってからは3周年ですが,「あんさんぶるスターズ」というコンテンツ自体はもうすぐ8周年です。そのため,ここ数年はアニバーサリー的な意味合いが少し複雑になっていたと思います。それも個性があって面白かったのですが,「!!」の周年を「ウェルカム祭」とすれば,もう少し分かりやすく盛り上がれるんじゃないかと考えたのがきっかけです。
4Gamer:
確かに,新規の人には記念日がややこしかったかもしれませんね。
NT氏:
そうなんです。やはり「Basic」と「Music」が始まって新規のユーザーさんがたくさん入ってきたのもあり,3月15日の記念日にはより多くの人に向けて「始めるなら今だよ!」と,新しいプロデューサーをお迎えするキャンペーンを行おうと。
4Gamer:
良いですね! キービジュアルは三毛縞 斑とのことですが……。
NT氏:
「!!」の1周年が「1」にちなんで天城一彩,2周年が「2wink」の葵ひなたとゆうたで,今回は3周年なので「三」毛縞ということで決まりました。
4Gamer:
なるほど!(笑)
NT氏:
お祭りというテーマでもあるので,一番ぴったりなのもありましたね。斑を使って「三色お祭りあんスタ合戦」 を行います。
4Gamer:
それはどのようなものですか?
NT氏:
ユーザーさんを3色のチームに分けてライブ・フェスプロデュース回数の対決や,Twitterでの投稿対決など,競い合いながらたくさんあんスタで遊んで盛り上がっていこう! というようなイベントを実施する予定です。
3周年…を考えたときに,3つの勢力に分かれて混沌を極める日本列島の図が脳裏に浮かんできたのが着想です(笑)。チーム分けってさまざまなコミュニケーションが発生するので,そういう意味で春の「ウェルカム祭」にぴったりだなと思って企画しました。
とくに「Music」ではあんさんぶるライブや,オフィスの訪問機能など,プロデューサーさん同士で遊ぶような機能も増えているので,そのあたりを同じチームのメンバーと一緒に遊んで盛り上がれるような勝負も用意してあります。
初めての試みで,この人数規模で対抗戦をするとどうなっちゃうんだろう……というのは想像ついていないところもあるのですが,斑のカードは結構簡単にGETできるようにしてありますので,思い思いに勝負を楽しんで盛り上がっていただけるとうれしいです。
4Gamer:
そうなんですね。ほかにはどんなことが行われるのでしょうか。
NT氏:
毎年この時期に行っていた豪華キャンペーン周りは残しつつ,さらに「ウェルカム」な感じにできればと,昨年も行っていた「新入生歓迎ミッション」のリニューアル版を予定しています。ウェルカムミッションをクリアすると,★5カードのセレクトスカウトチケットがもらえるというような。気になったアイドルの★5カードを早々にGETして,ライブやフェスプロデュースなどのプロデュースすぐに楽しめる! という感じですね。
ほかにも,★5が1枚以上確定の無料30連スカウトや,ランク29以下のプロデューサーは育成アイテムのドロップが約5倍になるアイドル育成「超超」応援キャンペーン,たくさんの復刻スカウトなどお得なキャンペーンをたくさん開催します。
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- 声優:伊藤マサミ
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4Gamer:
では,「あんスタウェルカム祭」は主にキャンペーン的なことで盛り上げていくのでしょうか。
グループリーダー KK氏:
はい。これから毎年,3月15日は「ウェルカム祭」として新規ユーザーさんがうれしい内容を中心としたキャンペーンを行い,4月28日のコンテンツの周年記念では既存ユーザーさん向けの施策という具合に,「ウェルカム祭」と「周年記念」を分けてメリハリをつけられたらと思っています。
NT氏:
4月には「追憶」のアニメ(「追憶セレクション『エレメント』」。YouTube公式チャンネルにて2023年4月放映開始)があるので,そこで「あんスタ!!」に興味を持った方にも,今年の「ウェルカム祭」をきっかけにしてゲームに触れていただけたらと思います。
4Gamer:
「追憶」アニメ はかなり話題になりそうですしね。
NT氏:
あとはプロモーションでも盛り上げていきます。この記事が出るころには発表になっていると思いますが,今年は「マツケン」こと松平 健さんにお願いすることになりました。
4Gamer:
昨年のなかやまきんに君さんにも驚きましたが,マツケンさんですか……! 確かに,お祭り感がめちゃくちゃありますね。
KK氏:
「マツケンサンバII」を,「あんスタウェルカム祭」の替え歌にしていただきました。「オレ!」のところを「おいで!」と歌っていただけているのも,とても好きです(笑)。
4Gamer:
これはまたすごく反響がありそうです。ちなみにマツケンさんを起用した理由があれば教えていただきたいのですが。
NT氏:
先ほども出ましたが,お祭りらしさですね。あとはやはり,皆さんもお好きだと思うので。
KK氏:
「『ウェルカム祭』やってますよ!」とうまく伝えるにはどうしたらいいかと考えて,すぐ「お祭りをやってるな」と分かるということでお願いしました。
4Gamer:
まさにこれ以上に無い人選ですね。このほかにプロモーションとしては何かありますか。
KK氏:
池袋のアニメイト本店の斜向かいにある公園(豊島区立中池袋公園)で屋台を出します。リアルなお祭りというイメージで,お面を配ったり……。ちょうどその時期に本店がリニューアルされるということもあり,相互に盛り上げていけたらと思っています。
「あんスタ!」が「あんスタ!!」になって3年
現在のチーム体制や制作の流れは?
4Gamer:
「あんスタ!」が「あんスタ!!」になって丸3年ということで,ぜひ振り返りのお話をお聞きしたいと思います。とくに印象深かったことがあればぜひ。
NT氏:
山のようにあるので絞りきれないですが,とくに1年目は記憶がないですね(笑)。すべてのイベントを決められた期間に間に合わせてはいましたが……。「あんスタ!!」になった直後にエイプリルフール,そのあとすぐにリリース5周年もあったので。
KK氏:
イベントも企画もたくさんありましたが,予定していたものを1つも落とさず実施できたのでみんな頑張ったなと思います(笑)。
4Gamer:
MTさんはいかがですか。コンテンツディレクターという立場的に,違った角度からの見方になると思いますので,世界観的な変化の感想など。
コンテンツディレクター MT氏:
やはり「!!」になって3年生が卒業し,ストーリーが夢ノ咲学院のなかだけではなく,芸能活動がメインになったことは大きかったですね。寂しいという声もありましたし,もちろん学生生活の良さはあるんですが,アイドルたちの生きる世界が広がって,彼らのいろいろな面が見られるようになったなと思います。進めていって新しい環境という舞台を作るのは必要だったな,とはあらためて感じています。
NT氏:
新しい環境になって事務所に分かれて……というのは,最初に出した映像の反響も大きかったですね。それぞれのユニットがどの事務所に所属するかという。
全ユニットの新ビジュアルムービーはこちら
4Gamer:
あれは盛り上がりましたよね。「えっ,このユニットはあの事務所なんだ!」みたいな感じで。
NT氏:
そうですそうです。
MT氏:
学院のクラス分けや部活とはまた違って,ユーザーさんも4つの事務所のなかで私の推しになるのはここかな,みたいなのを新しく決める感じはあったと思うので,その面白さは作れたかなと思います。
4Gamer:
描けることが増えたぶん,やれることが多くなって大変なところも多いのではないでしょうか。
MT氏:
そうですね……アイドルの人数が多くなったこともありますが,衣装や歌って踊るシチュエーションもかなり増えたので,アイドルたちと同じく我々制作スタッフも進化しなければいけないなという感じは確かにあります。
4Gamer:
なるほど。ちなみに,アプリ自体が「Basic」と「Music」の2本に分かれたことで,制作の流れなどは変わりましたか?
KK氏:
エンジニアのチームだけは「Basic」と「Music」で分かれているのですが,それ以外は全員横断で制作してますね。制作の流れをもう少し詳しくお話すると,最初に中長期の予定を決めています。現時点で言うと2024年や2025年の話をしているのですが,MV制作は公開日の1年くらい前には楽曲ができている必要があるので,そこから歌詞や振り付け,モーションキャプチャーなどを進めていっていますね。アプリ内の実際の企画などはだいたい公開日の半年くらい前に概要を決めて,詳細を詰めたり制作を始めるのはもう少しあとになってからという感じでしょうか。
4Gamer:
となると現在進めているゲーム内のイベントなどは……。
NT氏:
キャンペーン企画でいうと,今は夏くらいのものですね。でも本当に,ここ1年くらいでだいぶ巻いて制作できるようになったんですよ。
4Gamer:
確かに,以前うかがっていたお話ではもう少しタイトなスケジュールのイメージでした。ちなみに現在,「あんスタ!!」の制作チームはどのくらいの人数になっているんですか。
KK氏:
今は90人程度ですね。2〜3年前に比べるとかなり増えました。
4Gamer:
なるほど。とはいえ今おっしゃっていたように,「Music」が実装されてMVが必要になったことで,それにかかわるイベントなどは早く作らなければいけないですよね。
NT氏:
そうですね。たとえば2024年のエイプリルフールに関してはもう動いています。
KK氏:
MVの制作チームは,もう「そういうものだ」と慣れたんですが,協力会社さんや桑原さん(「あんスタ!!」音楽プロデューサー)には「ようやくあの曲が出たんですね」みたいに言われます(笑)。それこそ発表の1〜2年前から動いてくださっているので。
NT氏:
なので楽曲があるイベントに関しては,シナリオのプロット制作もかなり早くなっています。でもそのおかげで「このイベントやMVはこう盛り上げよう」というのも合わせて考えやすくなっています。
KK氏:
そういう意味では,最近では「こういう楽曲を出したいよね」というところから始まって,シナリオのプロットを制作し,そこから歌詞を作っていただく流れになっています。早い段階から構想が決まって動いている感じです。
4Gamer:
興味深いです。「こういう曲を作りたい」というのは,制作チームの皆さんで考えられるのでしょうか。
MT氏:
はい,そうです。
驚きのカバー楽曲が続々!
「COVER SONG SERIES」制作秘話
4Gamer:
ちょうど楽曲のお話が出たので,振り返りとしてもう1つうかがわせてください。2つのユニットが楽曲をカバーする「COVER SONG SERIES」もかなり話題になりましたね。これはどのように制作していったのでしょうか。
NT氏:
最初は,全ユニットそれぞれで行う想定もあったのですが,いろいろ考慮して「FUSION UNIT SERIES」に近い形でユニットの組み合わせを決めて,その組で一番似合う曲をチームで考えていくことになりました。カバーソングは原曲の権利を持っている側に許可を取らなければいけないので,第2,第3候補まで決めて準備していきましたね。できるだけ皆さんの知っている曲になるように。
4Gamer:
こうしたコンテンツでカバー曲をやる場合,やはり許可を取るのが難しいと聞きますが。
KK氏:
そうですね,やはりすべてが第1候補で決まったわけではないですし,正直大変でした(笑)。アーティストさんが権利を持っていたり,タイアップ楽曲で企業や制作委員会側が持っていたりすると,交渉するところが増えたり回答をいただけなかったり……。今回はカバー楽曲歌唱に加えて,リズムゲームでの使用,MVの制作,CDの発売が決まっていたので,その制約もありました。
4Gamer:
確かに……。ライブで演奏する,というだけでなく残るわけですしね。
KK氏:
そうなんです。ゲーム内で流すだけで映像も無いのであればもっと通りやすいのかもしれないと思うのですが。MVでキャラクターが動いたり,男性アイドルというジャンルなこともあって,ハードルはいくつもありました。ユーザーの皆さんがよくご存じの楽曲で,2つのユニットにマッチするものを交渉し,決まったらすぐに楽曲アレンジ,振り付け,衣装デザインを進めていくという感じで……,最終的にどうにか着地できて良かったなと思っています。
NT氏:
最初にリリースしたCrazy:B とUNDEADの「U.S.A.」は,原曲のDA PUMPさんにも反応をいただけました。単純にMVやゲームを楽しんでいただけたことがすごくうれしかったですし,普段あんスタを知らない方にもアイドルをみていただけるきっかけになったのが目に見えて分かったのでそれもうれしかったですね。
これこれこれ??
— ISSA from DA PUMP (@ISSA_from_DP) May 31, 2022
これを観たんよ??
凄過ぎやしないかい??
嬉しいな〜?
コラボしたいな〜?#あんスタ https://t.co/akNuTB8jjF
4Gamer:
インパクトが凄くて反響も大きかったですよね。その次に「ハム太郎」(Ra*bits&流星隊「ハム太郎とっとこうた」)というのも,「次に何がくるか分からない!」と驚いた方も多かったと思います。
NT氏:
ユーザーさんの反応を想定して出す順を決めてという戦略を練るような余裕がなく,許可をいただけたものから順に制作〜リリースしたので……(笑)。リズムゲームというゲームジャンルになったときに,知っている曲でリズムゲームを遊びたい,という気持ちがある方も多いと思うんです。「あんスタ!!」になってから,アイドルがリアル企業とコラボさせていただいたり,現実とリンクするような路線の企画も行っているので,こうしたカバーも今ならやれるかなと。
KK氏:
「あんスタ!!」が好きな方のなかにはカバーにはあまり興味がないという方もいらっしゃったと思うのですが,コンテンツは放っておくとどんどん狭く小さいものになっていくものですので,コンテンツの可能性を広げる取組みの1つとして,こうしたことも恐れずにやっていきたいと思っています。
これからの展開を聞く。
トリスタ卒業イベントや「追憶」アニメについて
4Gamer:
今後の展開についてもお聞きしたいのですが,まずは3月15日から大きなイベントがあるとのことで……。
NT氏:
はい。現在の夢ノ咲学院3年生のアイドルが卒業するにあたり,彼ら全員がカード化するツアーイベントを行います。Trickstarがメインになりますね。
4Gamer:
なるほど……。あの代がついに卒業ということになると,ユーザーさん的にもかなり衝撃だと思うのですが。
KK氏:
実は今回は「返礼祭」ではなく「卒業ライブ」という形になります。
NT氏:
今までは,先輩と後輩という関係性にフィーチャーした「返礼祭」としてストーリーを描いていました。ですが舞台がESになり,卒業しても同じメンバーで活動すること,現2年生と3年生での混成ユニットが非常に少ないということもあって「ユニット内での返礼」は描きにくくなってしまったので,「卒業ライブ」というイベントになりました。「夢ノ咲が事実上廃校になる……!?」という驚きのあらすじが公開されたと思うのですが,そんな状況でTrickstarや弓弦を筆頭とする3年生たちが今までの学院生活を振り返りながら,自分たちにとって大切なものは何だったのか,そして在校生たちに何を託すのか……という,卒業らしいテーマのお話になっています。
大筋のどたばたの一方で,部活動などでの学院を中心とした後輩から先輩の送り出しが描かれる場面もあり,盛りだくさんな内容になっていますので,ぜひ読んでいただけたらと思います。
KK氏:
ちなみに「メインストーリー第1.5部 夢ノ咲七不思議編」は,元々はチーム内で「学院編」として3年目くらいにやろうという計画が最初からあったんです。
NT氏:
1.5部の七不思議の流れを組んでいるわけではないのですが,「波乱の夢の先/君と立つグラデュエーション」は今年度の学院ストーリーの締めくくりという位置に置いて描かれます。イベントとしてもイベントとスカウト連動で3年生全員がカード化・衣装つきとなるなど豪華なものになっていますので,ご期待いただければと思います。
4Gamer:
期待しています。「あんスタ!!」になって最初の年の2020年はメインストーリー第1部,2021年は第2部「SS」編,2022年は第1.5部「夢ノ咲七不思議編」ときましたので,2023年も何か大きな展開が? と期待してしまうのですが……。
KK氏:
詳しくは4月末のコンテンツ8周年で発表予定ですが,2023年度は全アイドルのセンター曲が1周するので,ひとつの区切りにはなりますね。
NT氏:
区切りというのはもちろん終わりという意味ではありませんが,2023年春以降は大きなクライマックスを迎えることになるので,ぜひ楽しみにしていていただきたいです。
アニメ「追憶セレクション『エレメント』」制作秘話。
あの声優さんが……?
4Gamer:
アプリの展開とは少し離れますが,もうすぐ配信ということで「追憶」アニメについてもお聞かせください。以前のTVシリーズとは異なりCGを多用されていますが,その理由を教えていただけますか。
KK氏:
「ESMG」(2021年春に行われた音楽イベント「ES Music Garden」)もそうでしたが,たくさんのMVを発表して,ユーザーさんに3Dモデルを使った映像が違和感なく受け入れられている感覚があったので,3Dモデルを使ってアニメを作るのもいいんじゃないかという話が出たのがきっかけです。
4Gamer:
確かに,今ではMVあってこその「あんスタ!!」という感じもあります。
KK氏:
「あんスタ!!」のMVは一定の評価をいただいているのですが,制作側としてはあくまでスマホ上でリアルタイムに描画されるリアルタイムレンダリングのムービーとしての評価というところもあると思っています。リアルタイムレンダリングはキャラクター変更や着せ替えをするために必要な対応なのですが,逆にいえばそうでない形,プリレンダリングの映像であればリアルタイムレンダリングの制約を外した映像作りをすることができます。今回の追憶セレクションの目的の1つとしてダンデライオンさんと一緒に,しっかりと作り込んだ最高のプリレンダリングムービーを作ろうという気持ちがありました。
4Gamer:
ますます期待が高まりますね。では今回,「追憶」をテーマとしたのはなぜでしょうか。
KK氏:
なぜ「エレメント」なのかは今後の展開を追っていただければ分かりますので楽しみにしていただければと思います。「追憶」をテーマにしたのはほかにもいくつか理由がありまして,そのうちの1つは,3Dでやるなら登場キャラクターを絞りたいという思いがありました。以前のTVシリーズでは全ユニットを登場させて各ユニットのライブシーンも入れる希望を叶えていただいた欲張り仕様だったのですが,3Dだとキャラクターモデルや衣装を1つ作るのも相当な工数がかかるため,ある程度登場キャラクターが絞られているストーリーという意味でも「追憶」はやりやすい題材でした。
4Gamer:
ほかの理由についてはまた別の機会にお聞きするとして,制作におけるエピソードがあればぜひ教えてください。
KK氏:
五奇人が歌う楽曲の「Eccentric Party Night!!」は,元々ある音源をそのまま使う予定だったんです。でも,スタステ(Starry Stage)4thのライブを経て増田俊樹さん(朔間 零役)から「ぜひ録り直したい」という申し出をいただいたんですね。もっと“当時の零”に寄せた歌唱でやってみたいと。今回の作中での五奇人のMVは「追憶」時空のものですし,とくに零は過去と今ではキャラ感が変わっていることもあって,それならぜひということで歌い直していただきました。そのため作中の「Eccentric Party Night!!」は零の歌唱に加えて,楽曲アレンジも変わった「『追憶』セレクションミックスMix」となります。
4Gamer:
これは胸熱なお話ですね……! 今出ているPVだけでも期待十分でしたが,さらに楽しみになりました。では映像を作るうえでの苦労などはありませんでしたか。
KK氏:
基本CGですが手書きの部分もあるため,完全な3Dアニメというわけではないんです。当初はゲームで使用しているモデルを使ってもらおうと思ったんですが,映像用のモデルは根本的な作りを変える必要がありましたので,造形はゲームのモデルを参考にしていただきつつ,全部作り直していただきました。
4Gamer:
となると,今回はこのアニメのために作られたモデルということですね。皆さんはもう本編をご覧になっていると思いますが,いかがでしたか。3Dかつモーションキャプチャーで動くアニメということで,ある意味「あんスタ!!」としては初めて見るような長編映像だったと思いますが。
NT氏:
描いているテーマが異なるのもありますが,やっぱり以前のTVシリーズとは違った雰囲気ですね。アイドルの動きが“生きている”感と言いますか。
MT氏:
TVシリーズや劇場版はすごくアニメらしい温度感で楽しいものになりましたが,今回はキャラクターのモーション自体も弊社で監修したので,より細かい動きやそれぞれのキャラクターらしさが出ていると思います。声優さんの声の演技以上の情報が映像のなかにあるので,仕草だけで伝わる感情や空気感などを味わえるのではないかと思います。
4Gamer:
これは全キャラクターで観たくなりますね……!
NT氏:
4月2日の先行上映会はライブビューイングもありますし,ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。アニメ連動キャンペーンの続報もそこで発表予定になっています!(関連記事)
4Gamer:
ありがとうございます。今回,御社の新井社長にもお話をうかがってみて思いましたが,これだけ長く続いているタイトルで,こんなに新しいユーザーさんがどんどん増えているタイトルはなかなか無いなと常々思います。ぜひこれからも,攻めの姿勢で突き進んでほしいです。
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まずは3月,盛りだくさんな「ウェルカム祭」を楽しんでいただけたらうれしいです。その後の展開についてはまた8周年のときにたくさんお話させていただけると思います!
4Gamer:
はい,ぜひお話をうかがわせてください。本日はありがとうございました!
――2023年2月22日収録
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