連載
「あんスタ!!」ストーリー紹介連載がスタート! 第1回は「スカウト!ニャン銃士」「新星団★輝きのBIGBANG!」と“おじさんといっしょ!!”に注目
運営5年目に「!」から「!!」に生まれ変わったHappy Elementsのアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!Basic/Music」は,“夢ノ咲学院での1年間”から時が進み,新章へと舞台を移して新たな展開を見せている。そのゲーム内で定期的に行われるスカウトとイベントのストーリーを解説,考察していく連載が4Gamerでスタートした。第1回は,2020年3月末から開催されている「スカウト!ニャン銃士」と「新星団★輝きのBIGBANG!」,4月1日に公開されたエイプリルフール企画を紹介しよう(「フィーチャースカウト」は次回以降の連載でまとめて紹介予定だ)。過去に公開された物語も踏まえて“知っているとより面白くなるポイント”なども紹介しているので,「あんスタ!!」初心者はぜひ参考に,また熟練プロデューサーはいちファンとしての筆者の感想を楽しんでもらえたらと思う。紹介するイベント/スカウトストーリーの詳細なネタバレは控えているが,本稿をチェックする際はストーリー読了後がおすすめだ。
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「あんさんぶるスターズ!!」公式サイト
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2020年3月15日に新章へ突入したHappy Elementsのアイドル育成プロデュースゲーム「あんさんぶるスターズ!!Basic/Music」。これから本作に触れる人や,お休みしていた人に向けて,新しくなった「あんスタ!!」のゲーム概要や,新章として綴られるメインストーリーを解説しよう。
「あんスタ!!」ニュース
今年のエイプリルフールはおじさんといっしょ!?
本題へ入る前に,年に1度だけ実施される特別なあの企画を紹介しよう。2020年4月1日のエイプリルフールに公開された「おじさんといっしょ!!」である……!
「あんスタ!!」では毎年,「ここまで作り込んでしまったの……?」と震えるほど“ガチ”なエイプリルフールキャンペーンが実施されてきたが,今年はまさかの“こども向け知育アプリ”風のコンテンツで,夢ノ咲学院の教師でありESの事業部でアイドルのサポートをしている佐賀美 陣と椚 章臣がメインキャラクターとなり,漣ジュン(Eden)と桜河こはく(Crazy:B)を加えた4人が夢の共演を果たした。
本キャンペーンでは,メインライター・日日日氏によるストーリーのほか,「Basic」と「Music」それぞれで異なるミニゲームが公開された。また,今回使用された楽曲「あんさんぶる体操!!」は,書き下ろしの新曲(振り付け付き)である。本気すぎる。
「Basic」の「あんさんぶる体操!!」(ミニゲーム)は記憶力が問われるゲーム |
「Music」のミニゲームはリズムゲームだった。ノーツは動物アイコンで鳴き声もあり……シュール! |
ジュン目線で展開される本ストーリーは,予備知識がなくても問題ないが,「!」で語られた陣と章臣のアイドル時代やジュンと陣の関係についておさえておくと,物語をより楽しめるだろう。
個人的には,陣と章臣の変身(?)も衝撃的だったのだが,ジュンとこはくが寮で同室であること(同じ学校に通い,巴 日和の卒業後と考えればありえる話ではあったのだが)や,こはくによる朱桜 司(Knights)の呼び方など,「またしれっとこんなネタを仕込んで……!」と,びっくりさせられた。「わくわく♪おじさんといっしょ!!」のストーリーは,キャンペーンに参加できなかった人もダイヤを消費してストーリーを開放できるので,ぜひ!
なお,エイプリルフール終了後はキャンペーン名「おじさんといっしょ!!」が「おじさんもいっしょ!!」になり,6月30日24:00までにゲームにログインすると,陣と章臣のゲーム内で使用可能なカードを獲得できる。また,「Music」ではエイプリルフール企画に関連した限定衣装や家具なども購入可能だ。6月24日には「あんさんぶる体操!!」が収録されたCD「あんさんぶるスターズ!! ESアイドルソング Extra Jin & Akiomi」が発売されるとのこと。
ストーリーピックアップ
「スカウト!ニャン銃士」
開催期間:2020年3月30日〜4月14日――あらすじ――
3年生が学院を卒業し,新体制となったKnights。リーダーは月永レオから朱桜 司に代わり,ユニットには夢ノ咲学院経由で新たな加入志望者たちが現れた。だが,新入生である彼らはユニットが求める水準を満たせず,脱退を言い渡されてしまう。すると,朔間凛月たちのもとに1匹の黒猫が現れ,5人は猫の里親探しをすることになる。(全8話/シナリオ:木野誠太郎)
◆ストーリーのここをチェック!
ここでは,ストーリーに出てくる小ネタやポイントを解説していこう。
・Knightsの「戴冠式」
卒業を機に月永レオはリーダーの座を最年少の朱桜 司に譲り,瀬名 泉はアイドル活動と並行してモデル活動にも力を注ぐべく海外へ渡った。「戴冠式」とはKnightsが卒業旅行で海外を訪れ,記念ライブとして行われたイベントのことで,その旅行の様子と次期リーダーをかけた戦い【レクイエム】は「!」の【レクイエム*誓いの剣と返礼祭】で読むことができる。
・“王さま”の放浪癖
「!」でのKnightsは,当初“リーダーが行方不明の4人組ユニット”として活動していたが,イベントストーリー【反逆!王の騎行】でレオが初登場し,学院に復帰した。だがその時点でのレオはまだ本調子ではなかったようで,しばらくはユニット活動を欠席することも多かった。また,根っからのアーティスト気質であるためか,インスピレーションを求めて迷子になることも。現在のレオは“王さま”ではなくなったため,これまでの「王さま」や「Leader」という呼び名ではなく名前で呼ばれることが多くなったようだ。
・弓道部のリトル・ジョン
Knightsのメンバーと動物の組み合わせはこれまでにも何度か見られていたが,そのなかでも夢ノ咲学院の弓道部に現れたリトル・ジョンは印象的な登場人物,ならぬ登場猫だろう。関連ストーリーである「!」の【スカウト!ロビンフッド】で語られたのは,かつて天祥院英智(fine)が行った革命により混乱期に陥った夢ノ咲で,蓮巳敬人(紅月)が所属する弓道部の道場が,レオや三毛縞 斑(MaM)といった“ロビンフッドたち”の憩いの場だったことだ。そこにはリトル・ジョンという猫がいたそうで,【スカウト!ロビンフッド】ではその後のリトル・ジョンが描かれている。
・朔間凛月の兄
既知のとおり,凛月の兄は朔間 零(UNDEAD)である。日光に弱いなどの彼らの体質は家柄にも関係しているようで,やや特殊な一族であることが分かっている。幼少期は兄弟仲が良かったようだが,とある時期から凛月が兄に対して複雑な想いを抱くようになってしまったため,現在も喧嘩と和解を繰り返している様子。以前から2人を知る衣更真緒(Trickstar)によると,普通に会話をするようになったという話もある。
◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感
「あんスタ!!」のストーリーには名セリフと呼ぶべきものが多数あるが,ここでは筆者の心に残った,あるいは気になったり深掘りしてみたくなったりした言葉をピックアップして感想を述べていきたい。というわけで今回はこちら。
今回のストーリーで凛月は,迷い込んだ黒猫が引き起こす騒動の中で「気安く近づけて邪魔になった途端に捨てるくらいなら,最初から遠ざけたほうがいい」と話す。それは「お互いが傷つく結果になるからだ」という主張は,件の新入生たちについてもそうだが,どちらかというとこれまでの凛月の経験によるものが大きいと感じた。凛月は誰彼構わず仲良くなるタイプではないけれど,小さい頃は懐いていたという兄や幼なじみの真緒への態度を見ていると,一度心を許した相手への信頼や愛情は,この上なく強いもののように感じられるからだ。
けれどKnightsは,これまでの歴史で無数の傷を負ってきた前リーダーのレオが,メンバーに対して「どんなに重くて苦しいことでも受け止める」と言ったように,たとえつらいことがあっても,背中を預けられる仲間がいるからこそ戦い続けられるユニットになったはずだ。今回のストーリーでは,そうした絆によって彼らがより強くなったことを感じてホロリとしたのだが,みんなが集まればあまりウエットな部分を見せず,愉快(?)なやりとりをしているところがKnightsらしい……と微笑ましかった。
また,筆者が驚いたのは司の成長だ。もともと責任感の強いタイプだったが,その性質は頑固な方向ではなく芯の強さにつながり,かつ柔軟性も芽生えてきたようにも感じられて頼もしい。こうしてみると,5人はそれぞれの性格を上手く補い合い,しっかり役割を果たしているようにも見える。全員が長所を残しつつもひとつ大人になっていて,これからがますます楽しみだ。楽しみといえばもちろん,泉のお土産も。
ストーリーピックアップ
イベント「新星団★輝きのBIGBANG!」
開催期間:2020年3月31日〜4月9日(Basic)2020年3月31日〜4月8日(Music)
――あらすじ――
季節は春。天祥院英智からESを紹介する仕事を依頼されたTrickstarだったが,その話を聞いた明星スバルは密かに表情を曇らせる。近頃は単独での仕事が増え,メンバー全員で顔を合わせられることも減ってしまっていたが,元気のないスバルに気づいた衣更真緒はその理由を探る。そして,4人がたどり着いた解決策とは……。(全9話/シナリオ:日日日)
◆ストーリーのここをチェック!
・「また倒れられたら……」
多忙なプロデューサーを心配して衣更真緒がかけたこの言葉は,前年度の秋頃にプロデューサーが過労で倒れ,入院したことを指している。このできごとは「!」のいくつかのストーリーで言及されていたが,その騒動と仙石 忍(流星隊)や三毛縞 斑が中心となってお見舞いライブを行った様子は,「!」の【金色の風*励ましのウィッシングライブ】で読むことができる。
・桜フェス
春先の【DDD】を終えたのち,Trickstarが出演した名誉あるドリフェス……だったのだが,せっかくの機会だからとお花見をしたがる明星スバルと,仕事優先と主張する氷鷹北斗が険悪になってしまう事件があった。これは「!」におけるリリース後の初イベント【春嵐!花舞う桜フェス】にて語られており,いま読むと初々しさが感じられてなかなか感慨深い。
・Trickstarというユニット
今回はユニットの箱イベということで,ストーリーに出てきた小ネタを解説しながら各メンバーを紹介しよう。
【氷鷹北斗】
並々ならぬ“おばあちゃん愛”を見せる北斗は,かつて「万が一おばあちゃんに冷たくされたら窓から飛び降りる」と言い放ったことがある。今回のストーリーで触れられた「反抗的だが上から言われたことには従ってしまう」性格は,幼少期からアイドルの英才教育を施されてきたことと,【DDD】で英智からTrickstarの解散を言い渡されたときの行動を指しているのだろう。真面目な努力家であり,思慮深く冷静に見えてメンバーいち喧嘩っ早いというギャップも持ち合わせている。
【明星スバル】
アイドルの頂点を極めた父に憧れ,アイドルを愛し,アイドル道を邁進するスバル。だが夢ノ咲学院入学時は,環境のせいもあってか周りはやる気のない生徒たちばかりで,1人浮いた存在になってしまっていた。そんな彼にとってのTrickstarは,仲間であると同時にかけがえのない友人でもあるのだろう。ちなみに真とは,自称「アホコンビ」として漫才めいたやりとりをよくしていた。そこに北斗がさらなるボケやツッコミを入れることも多いが,Trickstarで本当の意味でのツッコミ役は真緒である(と思う)。
【遊木 真】
真はキッズモデル時代のトラウマからアイドルへ転身し,カメラ恐怖症を少しずつ克服している。人が苦手になってしまった時期はゲームばかりしていたようだが,ゲームだけでなくスマホやPCなどの機械類と情報の扱いも得意で,ESでは情報部の長になったようだ。これまで真は自分を「4人のなかでは落ちこぼれ」だと言い続けていたが,彼だからこそ気づけるメンバーの機微もあり,頼れる存在だ。意外に天才肌な上,負けず嫌いなところもある。
【衣更真緒】
3年生に進級して生徒会長になった真緒はなにごとに対しても器用だが,周りのメンバーに比べて突出した才能がないことが密かな悩みでもあったようだ。そんな折,「!」のメインストーリー第二部【軌跡★電撃戦のオータムライブ】にて,乱 凪砂(Eden)に「自分が星だと勘違いした懐中電灯」と言われてしまったことがある。そのときのショックは不屈の精神で乗り越え,【SS】の際には「自分は平凡だが,誰よりも頑丈だ」と仲間を守る頼もしい姿勢を見せた。
◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感
格好いい言葉やキメ台詞的なものもたくさんあったのだが,筆者が最初に深掘りしたくなったのはこの言葉だ。
ちょっと話がそれるのだが,今回のストーリーを読んでいて気づいたのは,物語のなかでTrickstarの全員が“これまでに抱えてきた悩みやぶつかってきた問題”について言及されていたことだ。前述の小ネタ解説にも書いたが,北斗は“超えるべき偉大な両親”と“反抗的だが上には従ってしまう性質”,スバルは“亡き父の話”と“負の感情を自分で整理できないこと”,真は“キッズモデル時代のトラウマによるカメラ恐怖症”,真緒は“仲間との才能の差を感じること”である。ちなみに,「!」のメインストーリーには,スバルのこんなセリフがある。
4人は昨年春の革命によって,自分たちだけでなく周りの人たちの運命も大きく変えることになった。それをきっかけに,“何者でもなかった彼ら”は“革命児”になり,アイドル界の“覇者”へと,凄まじいスピードで立場が変わっていった。だが彼らの言うとおり「革命は手段であって核ではない」,つまり成し遂げたいことがあったから最初に革命を起こしたのであって,それがゴールではなかったはずだ。メインストーリーの解説記事にも「Trickstarの現状は,まさに『めでたしめでたしの先』」と書いたが,革命が成功しても,勝負に勝っても,彼らがアイドルとして生き続ける限り,道は続いていく。
彼らはこの物語の中で「Trickstarは何者になったのか?」「自分たちらしさって何だ?」と自問自答する。メタな見方をすれば,最初に挙げた個人の問題が描かれたのは,このストーリーが彼らの“紹介”的な意味もあったからかもしれない。けれど,個人にしてもユニットにしても,ここでフォーカスされているのは彼らがアイドルになったことで対峙した課題であり,原点のようにも感じる。
ストーリーのサブタイトルに始動,原点とあるように,この物語は革命を起こした昨年春から地続きでありつつ,彼らが再び原点に立ち返り,ビッグバンを起こす――。これが,立場が変わっても自分たちらしさを失わず,かつ誰も不幸にならない方法を探してたどり着いた答えなのだろう。そしてTrickstarはいつも,自分たちだけが輝くのではなく,“そこにいる全員と輝きたい”と望んでいるのだ。
またここから始まる新たなアンサンブルが,アイドルたちや多くの人を照らす光となるように願う。
第2回の記事もお楽しみに!
■たまお(ライター)■
エンタメ系フリーライター。音楽・ゲーム業界などでの社会人生活を経て,作品やキャラの素晴らしさを文章で伝えるためにライターへ転向。現在4Gamerにて「あんさんぶるスターズ!!」のストーリー解説記事を連載中。このほか追いかけ中のタイトルは「アルゴナビス」「スタマイ」「ツイステ」「ヒプマイ」「パラライ」「刀剣乱舞」「A3!」「まほやく」など。
◆Twitter(@tamao_writer)
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