プレイレポート
360度タッチパネルでの操作が新感覚。マーベラスが送るアーケード向け新作音楽ゲーム「WACCA」を紹介
マーベラスが初めてアーケードに出す本格的な音ゲーとなる本作を,それなりに音ゲーを嗜む筆者がプレイヤー目線になって紹介したいと思う。
「WACCA」公式サイト
これまでの音ゲーとは一線を画する360度タッチパネルを搭載
また,このタッチパネルは筐体の画面に対して並行ではなく斜め向きに配置され,そこそこ奥行きがある。このため,ただタッチしたり,横へスライドさせたりするだけでなく,筐体の奥方向と手前方向へスライドさせる動きが可能になっている。実際にゲーム中の譜面ではそういった動きを要求するものも存在しており,この特徴的な筐体が,既存の音ゲーとは一味違ったプレイ感覚を生んでいる。
タッチパネルを使用した音ゲーの利点は,ボタンの配置などを気にせず直感的な操作でプレイできるということだ。タッチパネル筐体の種類は主に2つのタイプに分かれ,ゲーム画面そのものがタッチパネルのタイプと,譜面が表示される画面と実際に触れるパネルが別になっているタイプがある。
本作は後者にあたり,こちらのタイプのほうがプレイ中に譜面が見やすいので個人的に好みである。
本番はEXPERTから。HARDまでで経験を積もう
360度のタッチパネルがあるからといって,いきなり最初から手をぐるぐる回すような譜面は登場しない。本作は楽曲ごとに難度が「NORMAL」「HARD」「EXPERT」と存在し,そのうちNORMALとHARDはそれほど難しい譜面ではない。音ゲーの経験がある人であれば,HARDくらいは難なくクリアできるだろう。
逆に言うとEXPERTからは,1ステップ2ステップほど進んだプレイを要求されることがある。単純な譜面の高難度化はもちろん,上部のタッチパネルを使用する頻度が増加するからだ。下部に流れてくる譜面は,当然ながら手元に近いので対処も楽だが,上部はどうしても腕を上げる動作が必要になり,その分意識を取られやすい。
まずは簡単な譜面で,ある程度無意識に手を動かせるようになってからEXPERTに挑むといいだろう。なお,EXPERTの基本的な開放条件が,HARDをクリアすることなので,EXPERTの開放がてらHARDで鍛錬を積むのがオススメだ。
ちなみに,譜面を余裕を持って見られるようになってきたら,ぜひその形に注目してみてほしい。本作の譜面は曲に合わせて作られたもの(リズムではなく,歌詞や作品に合わせたもの)がいくつかある。
分かりやすいもので言えば,「回レ!雪月花」のサビ部分では,歌詞に合わせて本当に腕をぐるぐると回すことになる。このほかにも,「ファッとして桃源郷」では歌詞そのものや,歌詞に合わせた絵を模した形のノーツが流れてくるなど,気付くとフフッと笑みがこぼれてしまうような遊び心を見ることができる。
バラエティに富んだ楽曲たち,「HARDCORE TANO*C」オリジナル作品も多数収録
楽曲は,基本的にはアニメソングやJ-POP,ボーカロイドなど,音ゲーの定番曲が収録されているが,「ルーンファクトリー4」や「あんさんぶるスターズ! オン・ステージ」の曲など,マーベラスならではといったものもある。先日のアップデートではWebライターのARuFa氏とのコラボ楽曲を追加するなど,かなり予想外なものまで登場した。これは今後のアップデートも楽しみである。
また,最初にお伝えした通り,本作の開発にはハードコアテクノレーベルの「HARDCORE TANO*C」が協力しているので,当然ながら収録楽曲にはメンバーの作品が多い。彼らはこれまでにも多くの音ゲーに楽曲提供をしており,音ゲープレイヤーにはおなじみだろう。本作オリジナルの楽曲も多数収録されており,彼らの楽曲をプレイするために遊ぶ,という人も少なからずいるのではないだろうか。
楽曲プレイだけじゃない,やりこみ要素たっぷりのコレクション
本作をプレイすると,その回数とリザルトに応じて,プロフィールのアイコンや称号,ゲームプレイ時のSEなど,さまざまなアイテムを獲得できる。これらを入手するための条件は,簡単なものでは1回のプレイで充分だが,プレイ回数が多く必要なものや,かなりやり込まないと達成できなさそうな条件も存在する。
大半の人は「そんなにやらないよ」と思うかもしれないが,いわゆる“スコアラー”と呼ばれるような人たちは何度も同じ曲に挑戦するので,スコアだけじゃなく,こういうちょっとしたオマケ要素があるのは嬉しいものだ。
WACCAは完全新規の作品だが,HARDCORE TANO*Cという音ゲーとの関わりが深いグループが協力してるだけあって,これまでの音ゲーの良いところをうまく取り入れているように感じた。楽曲の解禁がポイント制ながらもプレイ中に可能だったり,速度設定の際にプレビュー画面が表示されたりと,かゆいところに手が届いているのがありがたい。
システム面では,難度EXPERTの解禁にHARDをプレイする必要があることだ。一応,専用のアイテムを消費することでEXPERTを即プレイ可能になるのだが,いかんせん入手の機会が少ない。楽曲の解禁に使用するポイント等で該当アイテムを購入できるようにするか,直接EXPERTを解禁できるようなシステムがあると,ある程度ゲームに慣れてしまったプレイヤーには嬉しいと思う。
とはいえ稼働してまだひと月も経っていないので,これからのバージョンアップでさまざまな部分が改良されていくことだろう。それでなくとも音ゲーとしての完成度は充分に高いと感じた。最近の個性ある音ゲー作品の中で,これまた際立つ特徴を持った本作。アーケードの音ゲープレイヤーだけでなく,音ゲーに興味がある人にはぜひ1度触ってみてほしいタイトルだ。
「WACCA」公式サイト
- 関連タイトル:
WACCA
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