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TRPG「シャドウラン 5th Edition」が9月29日にいよいよ発売。より遊びやすく,さらにダイナミックに進化した最新版の魅力を紹介
「シャドウラン(Shadowrun)」は,現在アメリカ・シアトルに本拠地を持つCatalyst Game Labsが発売しているテーブルトークRPGシリーズだ。その歴史は長く,最初のバージョンは今から約30年前,1989年にFASA Corporationから出版されたものとなっている。
機械によって改造された身体,発達したネット社会,国家よりも強大な超巨大企業によって支配された世界など,「サイバーパンク」の基本的な要素をベースに,亜人種やドラゴンなどといった「ファンタジー」の要素が加えられているのが特徴で,その魅力的な世界観は,アナログゲームだけでなくデジタルゲームの世界にも影響を及ぼしてきた。4Gamer読者であれば,テーブルトークRPGをプレイしたことがなくともその名前を聞いたことがあるのではないだろうか。
今回日本語版が発売される「5th Edition」は,アメリカで2013年に発売された同シリーズの最新版となる。日本では1994年に富士見書房(現KADOKAWA)から「2nd Edition」の翻訳版が,2007年に新紀元社から「4th Edition」の翻訳版がそれぞれ発売され,人気を呼んだ。とくに「4th Editon」ではルールが全般的にシェイプアップされ,数多くの拡張ルール,リプレイといった豊富な書籍展開と合わせ,ファンを魅了した。
では,今作「5th Edition」ではどんな冒険が待ちうけているのか,またゲームシステムはどんな変化を遂げているのか。翻訳者でもある朱鷺田祐介氏に紹介してもらおう。
「シャドウラン 5th Edition」書籍情報ページ
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「シャドウラン5th Edition」とは?
文:朱鷺田祐介
ストリートへ,ようこそ。
「シャドウラン」は,人間と機械が融合した奇妙な未来,つまりサイバーパンクの世界を舞台にした,世界で最もエッジの効いたゲーム――いわゆるテーブルトークRPGのシリーズの一つだ。サイバーパンクをテーマにしたテーブルトークRPGはほかいくつかあるが,「シャドウラン」は一味違っていた。
サイバーパンクの未来世界に,ファンタジーの要素を加味したのだ。
ドラゴンをはじめとする多くの神話伝承の怪物達が復活するとともに,人類の中でも魔法を使える者,さらに,エルフ,ドワーフ,オーク,トロールなどの種族へと変化していく者が現れ,国家や民族は,自分達のアイデンティティを問われることになった。
アメリカをはじめ,多くの先進国が,魔法に目覚めた先住民達によって国土を奪い返され崩壊していくのを横目に,多国籍企業は魔法すら受け入れて,新たな時代に適応していった。
龍冥の出現した日は,正確には,2011年12月24日。この日は古代マヤの暦によれば,第六の世界が始まるとされた日であったため,以降,この世界は「第六世界」と呼ばれることになる。
1989年に発売された「シャドウラン」初版の舞台は,西暦2050年。「5th Edition」では2075年まで時代が進み,魔法の復活から半世紀が過ぎた時代を描いている。国家は再編成されたが,国家よりも権力を持つ大企業は,治外法権すら手に入れ,企業間の影の戦争を繰り返していた。科学技術は,初版の時代からさらに進歩している。
そんな世界の中で,主人公は「シャドウランナー」と呼ばれる非合法活動のために雇われるフリーランスとなる。企業,犯罪結社,そして世界に君臨するドラゴン。彼らの間で引き起こされる暗闘の一翼を担う「存在しないはずの者」達だ。
身体改造により常人の数倍の速度で動く”ストリート・サムライ”。
サイバーデッキで,全世界的ネットワーク「マトリックス」をハックする“デッカー”。
乗り物と神経を直結し,自らの体のごとく操る“リガー”。
ヘルメス魔術を駆使するメイジや精霊と語り合う“シャーマン“。
魔法の力で身体能力を強化した“アデプト”。
そうしたクールな“ランナー”達と共に,ドラゴンが社長を務める企業の研究所に侵入し,ハッキングでセキュリティシステムを無効化,魔法で姿を消して警備をくぐり抜け,研究所の警備用に放されていたコカトリスを倒して,重要な機密データを奪取する――そんな冒険を楽しめるのが「シャドウラン」,そしてその最新版「5th Edition」なのだ。
「5th Edition」の特徴
舞台は2075年へ
時代が進んだことで,ランナー達はワイヤレスでネットワークに接続し,さまざまな恩恵を得られるようになった。これに伴い,世界観とゲームルールの両面で拡張と整理が行われている。
もちろん,シャドウランの持ち味である銃弾と魔法が飛び交う戦場,機械やバイオ素材による身体改造,さまざまな特殊能力を持つファンタジー世界のモンスター,あらゆる場面で切り札になりうるハッキング,手に汗握るチェイスなどを表現/再現するためのルールやデータは豊富に収録しているし,幅広いキャラクター表現や多彩なシナリオ,さまざまなアクションが楽しめる。
新たな時代でのサイバーと魔法の激突に期待してほしい。
ダイスをじゃらじゃら振る楽しみは健在
「シャドウラン」の特徴である,大量のダイスを振り合うダイナミックな判定システムは「5th Edition」でも健在だ。6面ダイスを10個以上同時に振るのは当たり前で,キャラクターの得意分野の判定ならば,それ以上のダイスが飛び交うことは珍しくない。そうして出た目の中から,5以上の出目の数を成功度(“ヒット”と呼ぶ)とするのが本作の判定方法だ。
ちなみに最大の防御力を誇るサンプルキャラ「タンク」の場合,なんとダメージ抵抗に31個振ることも。ま,これでもドラゴンの方が多いのだけれど。
より派手に,よりわかりやすく
「5th Edition」は「4th」をベースにしながらも,より遊びやすく整理されたルールを採用している。とくにハッキングを扱うマトリックスのルールにはかなり手が加えられ,分かりやすくなっているはずだ。それでいて戦闘のバランスは「2nd」への回帰を志向し,より派手でエキサイティングなバトルが楽しめる。
背中に気をつけろ!
ためらわず撃て!
弾を切らすな!
ドラゴンには絶対関わるな!
―――ストリートの警句
そう,それが「5th Edition」なのだ。
今後の展開は
現在のところ,シナリオ集「スプロール・ワイルド」を日本語版リリースが決定している。そのほか新紀元社のアナログゲーム誌「Role & Roll」にて,シナリオやワールドガイドなどのサポート記事が展開される予定だ。
商品情報
商品名:シャドウラン 5th Edition
著:ジェイソン・M・ハーディーほか
訳:朱鷺田祐介(スザク・ゲームズ)/シャドウランナーズ
体裁:A4変形,488ページ(フルカラー)
発売日:2018年9月29日
価格:8000円+税
ISBN:978-4-7753-1371-8
発行:新紀元社
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