東京ゲームショウ2018のサイバーエージェントグループブースに出展されたグレンジの新作スマホアプリ
「Kick-Flight(キックフライト)」(以下,「キックフライト」
iOS /
Android)は,8人のプレイヤーが4対4で戦う対戦型アクションゲームで,
空中を飛び回る浮遊感が気持ちいいタイトルだ。
今回4Gamerでは,「キックフライト」でプロデューサーを務める
木下慎也氏に,開発の経緯や今後の展望,タイトル名にもある“Kick”に込められた意味など,さまざまな話を聞くことができたので,それぞれお伝えしよう。
新しいジャンルに挑戦し続けるのがグレンジ流
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介を兼ねて,ゲーム作りに関する経歴や,「キックフライト」におけるご自身の立ち位置などについてお聞かせください。
「キックフライト」プロデューサー 木下慎也氏
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木下慎也氏(以下,木下氏):
「キックフライト」でプロデューサーを務める木下慎也と申します。ゲームに関わりだしたのは,サイバーエージェントがmixiアプリなどを手がけていた頃からですね。
「星空バータウン」や
mixi版「戦国サーガ」といったタイトルをプロデュースしました。直近では,グレンジが開発,運営している
「ポコロンダンジョンズ」(
iOS /
Android)で初期のプロデュースおよびディレクションを担当しています。
4Gamer:
ありがとうございます。そんな木下さんが手がけた最新作「キックフライト」は,端的に言ってどのようなゲームなんでしょうか。
木下氏:
「キックフライト」は,
360度の空中戦をスマホならではの操作で楽しめる4対4のアクションゲームです。東京ゲームショウ2018でお披露目させていただいたんですが,
リリース予定時期は2019年春となっています。
4Gamer:
春ですか。もうちょっと時期を絞り込むとしたら……。
木下氏:
うーん……夏がくる前には,といったところでしょうか(笑)。
4Gamer:
分かりました,ありがとうございます(笑)。4Gamerでも東京ゲームショウ2018に出展されたバージョンを元にプレイレポートを掲載させていただきましたが,すでにゲームのベース部分はしっかりできていそうですね。
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木下氏:
はい。今回のバージョンではキャラクターを4名用意したんですが,正式リリース時には12名まで増やします。
また,本作は対戦ゲームなので,やはりバランス調整が重要になってきます。しかるべきタイミングでクローズドβテストなども実施しつつ,最終的な配信日を決定することになると思います。
TGS 2018試遊バージョンのプレイアブルキャラクター
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4Gamer:
続いては,制作のきっかけについてお聞かせください。空を自由に飛び回れるスマホゲームって,それほど多くないですよね。
木下氏:
社内でさまざまなプロトタイプをレビューしていたときに,「キックフライト」の原型とも言える“空を飛ぶ”ゲームがあったんです。おっしゃるとおり,自由に空を飛び回るタイプの3Dアクションゲームは,スマホ市場ではあまり目立っていませんが,遊んでみると実に気持ちよかったんです。
そして,これをコンセプトにちゃんとしたものを作ったら,きっと面白いものができるだろうという見解の一致を見て,自由に空を飛び回れるアクションゲームの企画が動き出しました。
4Gamer:
ソロプレイでも共闘でもなく,対戦に寄せたのは何か理由があるのでしょうか。
木下氏:
これも社内でレビューした時の話になるのですが,ひとりで遊ぶゲーム,みんなで共闘するゲーム,対戦するゲームと,いろいろなタイプのゲームをプレイしたときに,何が一番盛り上がったかというと,対戦ゲームだったんです。
また,グレンジには,
過去に作ったゲームとは異なる新しいゲームを作ろうとする社風があります。対戦ゲームであれば,弊社の代表タイトル「ポコロンダンジョンズ」とはまったく異なるゲームになり,ユーザーさんにもきっと新しい体験を提供できると考えました。
4Gamer:
今回の東京ゲームショウでもそうですが,昨今のeスポーツブームの影響で対戦ゲームに注目が集まっていて,今年も各社から,さまざまな対戦ゲームがリリースされると思います。そこでうかがいたいのですが,「キックフライト」ならではの魅力はどういったところになるとお考えでしょうか。
木下氏:
空中をビュンビュン飛び回って敵と戦うという激しさや浮遊感ですね。その体験をさらに尖らせて磨いていき,ほかのゲームにはない面白さを追求していきます。
空で“キメる”
それが「キックフライト」
4Gamer:
ところで,タイトル名にある“キック”にはどのような意味が込められているのでしょうか。
木下氏:
“kick(キック)”には,英語のスラングで
“刺激的なこと”“楽しいこと”という意味があったり,“kick-ass(キックアス)”なら
“最高にかっこいい”“イケてる”といったニュアンスで使われたりします。空中を激しく飛び回ってバトルするというゲームのコンセプトをタイトルに込めた形ですね。
4Gamer:
なるほど,そう言われるとゲーム内容とタイトル名がしっくりきますね。
ゲームモードについてもうかがいたいのですが,先ほどプレイさせていただいたとき,共闘要素があっても楽しそうだなと感じました。そのあたりについてはどうお考えでしょうか。
木下氏:
現時点では想定していないですね。ただ,そういう意見も一部いただいていますし,たとえばゲームモードのひとつとして,共闘PvEなどの開発を検討してもいいかもしれないですね。
4Gamer:
対戦に関しては,ガーディアンの存在がユニークでした。
木下氏:
ガーディアンは,自分の持っているクリスタルを預けられるオブジェクトです。そしてクリスタルを預けるとガーディアンは起動状態になり,オートで敵を迎撃してくれるようになります。
ただし,クリスタルを持っているガーディアンが攻撃されると,クリスタルが飛び散ってしまいます。ガーディアンを起動することで,ガーディアンを攻撃してくる敵,ガーディアンを守る味方,といった役割が生じるので,ゲームプレイのアクセントとして機能するはずです。
4Gamer:
与えるクリスタルの量によって,ガーディアンの強さは変わるのでしょうか。
木下氏:
今のところ,攻撃力や防御力といったパラメータは上昇しませんが,与えたクリスタルの数に応じてHPが上昇します。クリスタルがなくなるまでは敵を迎撃し続けてくれるので,作戦に応じてクリスタル量を調整するのがいいと思います。
4Gamer:
そのほか,形勢逆転につながるようなシステムはありますか。
木下氏:
「キックフライト」のキャラクターたちは,それぞれスペシャルスキルという必殺技を持っています。一発当てれば多くのクリスタルを奪える大技や,相手が身動きをとれなくなってしまうような大技もあるので,それをどこで使うかが勝負のポイントになります。
4Gamer:
終盤での一発逆転というよりは,常にシーソーゲームが楽しめそうなバランシングなんですね。
木下氏:
そうですね。スペシャルスキルは,クリスタルを溜めることで使いやすくなるので,クリスタルの奪い合いが激化すれば,自然と派手なバトルが楽しめるようになります。
4Gamer:
対戦を盛り上げるための工夫が随所に盛り込まれているわけですね。
ふと気になったのですが,なぜ「キックフライト」では4対4の対戦が採用されたんでしょうか。3対3,5対5といった選択もあったと思うのですが。
木下氏:
適度にカジュアルなチーム対戦を楽しんでいただきたかったからです。2対2,3対3でのテストも行いましたが,その場合,特定のひとりが足を引っ張った形で負けるケースがあり,かつ少人数なのでそれが明確になり過ぎて,負けたチームが余計なストレスを抱えやすいように思いました。チーム人数が増えれば増えるほど,ひとりあたりにかかる責任の重さは軽くなりますが,多すぎるとゲームプレイから緊張感が奪われてしまいます。そんなことを考えながら試行錯誤して調整した結果,
「キックフライト」のルールでは4対4がちょうどいい,というところに落ち着きましたね。
4Gamer:
現在用意されているキャラクターは4種類あり,操作するキャラによってまったく異なる戦術が楽しめました。4対4は「キックフライト」にとっては確かにベストなチーム人数ですね。
木下氏:
また,本作ではフラッグ戦,殲滅戦など,さまざまな対戦ルールを用意する予定です。最初からすべての対戦ルールが遊べるというわけではなく,一定ランク以上の強さになると遊べるようになったり,イベントのような形式で対戦ルールを回したりするつもりなので,プレイヤーがばらけ,マッチングがしにくくなるといった心配もありませんので,そこはご安心いただければと思います。
4Gamer:
「キックフライト」は基本プレイ無料で提供されるそうですね。気が早いかもしれませんが,マネタイズについてはどうお考えでしょうか。
木下氏:
本作には「ディスクスキル」というスキルが存在します。これは,キャラクターに4枚まで装着できるディスクを使い,さまざまな特殊効果を発動させるものになります。そのディスクは勝利報酬で入手することもできますが,基本的にはガチャで提供する予定です。
4Gamer:
正式配信後,「キックフライト」がどんな盛り上がりを見せるのか楽しみにしています。最後に,本作に注目している読者に向けて一言お願いします。
木下氏:
東京ゲームショウ2018はあくまで“お披露目”の場であり,今後さらなる情報公開やクローズドβテストの実施なども予定しています。テストを実施した際には,ぜひコアゲーマーの方々にもご参加いただき,より良い対戦ゲームを作るためのフィードバックをいただけると嬉しいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
――2018年9月21日収録