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PS4用ソフト「MONKEY KING ヒーロー・イズ・バック」プレイレポート。クールな悟空が繰り広げる「西遊記」の物語が,爽快なアクションと共に楽しめる
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印刷2019/10/30 15:26

プレイレポート

PS4用ソフト「MONKEY KING ヒーロー・イズ・バック」プレイレポート。クールな悟空が繰り広げる「西遊記」の物語が,爽快なアクションと共に楽しめる

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは,PlayStation 4向けアクションアドベンチャー「MONKEY KING ヒーロー・イズ・バック」を,2019年10月17日に発売した。

 2015年に劇場公開された「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」(原題「西遊記之大聖帰来」)をゲーム化したもので,同映画を制作したOct Animation Studioの協力のもとに開発されたタイトルだ。日本でも親しまれるチャイニーズファンタジー「西遊記」を,独自のストーリーと爽快なアクションで描く本作のプレイレポートをお届けしていこう。

タイトル画面にあるのは,孫 悟空を封じていた結晶だ
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 四大奇書の1つである「西遊記」は国内でもよく知られ,かつては同作を原作としたアニメや漫画なども多数製作され,子供のころに親しんだという大人のファンも多いだろう。かの「ドラゴンボール」も,主人公である孫 悟空の名前のほか,連載初期の設定には「西遊記」の要素がいくつも登場していた。

 筆者のようなアラフィフの世代にとって印象深かったのは,なんといっても1978年から日本テレビで放映された,堺 正章さんを孫悟空に起用した同名ドラマであり,それまで「孫悟空」として広く知られていたタイトルを「西遊記」という原題で認知させたのがこのドラマであった。
 一時期はゲームでもテーマとしてよく扱われた作品だったが,近年あまり見ることがなくなったのはなぜだろうか。

 本作の原作となる「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」もまた「西遊記」をベースとしたCGアニメーションで,そのストーリーや設定はオリジナルの内容となっていて,ゲームにもそれが反映されている。

花果山の岩から生まれた悟空は,その力で天界を暴れ回る。ここまでの物語は原作に則っている
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 仙人のもとで五行の奥義を極め,72の変化の術を会得し,「斉天大聖」を名乗り天界で暴れ回った猿「孫悟空」が,釈迦如来によって五行山の結晶の中に封印されてから500年。幼い少女を背負って旅をする少年修行僧「江流児(こうりゅうじ)」が,彼を封印していた結晶の前を偶然通りかかったことをきっかけとして悟空は500年ぶりに復活する。しかし,その力のほとんどは封印されたままであり,仕方なく彼は江流児とともに力を取り戻すための旅に出る。というのが,本作のプロローグとなっている。

釈迦如来の力で封印されてしまう孫悟空。イラストによるオープニングは印象的だ
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 悟空は言葉数が少なく飄々(ひょうひょう)としていて無愛想という,これまで筆者が見てきた「西遊記」をモデルとした作品ではあまり見られなかったタイプなのが新鮮で面白い。
 彼のシンボルでもある頭にはめられた「緊箍児(きんこじ)」は,本作では右腕に巻かれた鎖であり,悟空の力を封印していて,人のために「功(こう)」を積むことでその力が少しずつ復活していくという設定は,ゲームにも反映されている。

 プロローグがイラスト調だったり,重要なシーンには絵本のような止め絵の演出が導入されたりと,見せ方も凝っていてゲームプレイを飽きさせない仕様なのも嬉しい。

ひょんなことから悟空とともに旅をすることになる江流児(中央)
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悟空は右腕に巻かれた緊箍児の力により,能力のほとんどを封じられている
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 悟空と道中を共にするのは江流児と,その後の街で出会う猪八戒の2人であり,沙悟浄は登場しない。ちなみに江流児は三蔵法師の幼名であり,幼い三蔵が悟空の戦いぶり見ながら成長していくという設定も面白いところだ。
 彼らは戦いには直接関わらないNPC的な存在だが,道中や戦闘で的確なアドバイスをくれることがあり,その声に耳を傾けることでゲームが有利に進められるという演出が施されている。

旅の途中で仲間となる天蓬元帥 猪八戒(中央)。彼も戦いには加わらない
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「西遊記」では悟空の師匠だった三蔵法師が,本作では弟子になったような振る舞いをするシーンも
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 メインとなるゲームは,悟空をプレイヤーキャラクターに据えたアクションゲームであり,マップを移動する中で現れる妖怪達をカンフーアクションで倒していくという内容となっている。
 アクションは彼が体得している拳法であり,弱攻撃と強攻撃,回避やジャンプなどを使い分けて戦うスタイルだ。弱攻撃は連打でコンビネーションになり,強攻撃は腕を回して強力なパンチを繰り出す。弱攻撃の最後に強攻撃のボタンを押すとフィニッシュに強攻撃が出る,といった具合で,さほど複雑な操作はなく,爽快ながらも非常に遊びやすい設計になっている。

戦闘時の操作はそれほど複雑ではないが,ジャンプ中などは攻撃手段が変わる
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拾える岩や椅子などを使って戦うと,戦闘力が増す
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 一度に戦う敵の数はそれほど多くはなく,どちらかというと敵と対峙して,その動きを見て隙を突くという駆け引きを楽しむタイプだ。それを象徴するのが「打ち合い」である。
 これは,敵の攻撃を受ける直前にこちらの弱攻撃を当てたときや,警戒中の敵との戦闘で発生するもので,強制的に1対1に持ち込める。あとはボタンを連打するだけだが,シネマティックな視点で爽快な打ち合いが楽しめるのが見どころだ。攻略の観点で見ても圧倒的に有利になるので,効果のある敵には積極的に狙っていくといいだろう。

打ち合いが発動するとエフェクトが出て1対1の戦闘に。ボタン連打で打ち勝てる
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 そのほかにも気絶した相手への追い打ち,功夫椅子や棒を使った特殊攻撃,敵の攻撃に強攻撃を合わせるカウンター「浄昇」,気づいていない敵にステルス移動(しゃがんで移動)で近づいての不意打ちなど,戦いにおける選択肢は非常に多く,アクションゲームとしての完成度は高いと感じられた。

こちらに気づいていない敵へのステルス攻撃や気絶した敵には,特定の操作でとどめを刺せる
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カウンター攻撃の浄昇。タイミングを見計らうのが難しいが,後述する法術の「心眼」を使うと狙いやすくなる
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 悟空が敵を倒すと「魂能」という,漢字の形をした3色のエナジーが出現する。そのうち赤いものを溜めていくと,彼の潜在能力である「法術」を習得できる。
 法術は魔法やスキル的な存在であり,「法力」を消費することで悟空が一定時間特殊能力を得られる。隠されたものや敵の隙や弱点を見つけられる「心眼」,移動速度を上げる「駿脚」,功夫椅子を召喚する「功夫椅子」,体毛を針のようにして飛ばす「鉄針」といった便利な能力が揃っており,戦いの選択肢もこれによってさらに広がる。
 悟空の腕に巻かれた緊箍児の封印が魂魄で弱められることで,習得できるものが増えていくという,ストーリーに則った設定もいい感じだ。

法術を習得するには,ボスから入手できる「封印魂魄」で,その法術を開放しておく必要がある
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心眼は習得レベルによって,普段見えない敵の体力や弱点などが見えるように
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功夫椅子は自動で防御してくれる便利な道具で,これを召喚する法術もある
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 悟空ら一行が旅する雄大な中国大陸は,映画と同様の美しさで描写されている。訪れる場所ごとにマップが存在し,その中を行き来して探索や戦いを行いながら,目的地へと向かうという,王道のアドベンチャー要素も本作の売りの1つだ。

中国大陸のさまざまな地域が旅のマップとして登場する
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マップには封印された扉や渡れない橋などもあり,ギミックを解かないと先に進めない
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目的地までに複数のルートが用意されたマップもある
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 マップの要所には,手に入れたアイテムを物々交換してくれる「兎婆」,マップに隠れている「土地神」を集めると悟空を強化してくれる「土地神長」,セーブや法術開放を行える「観音菩薩像」があり,彼らが存在する場所が探索の拠点となるだろう。

左から兎婆,土地神長,観音菩薩像。中盤以降は揃っている場所が多い
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 マップ内はいくつかのエリアに区切られているのだが,建物の中なども含めその境界を通過するときに,読み込みが入るという点が少し気になった。ゲームの中盤以降は,悟空を強化するために前述の土地神を探すことの重要度が高まっていくのだが,街中をシームレスに移動できないのには,若干ストレスを感じた。

 本作は今年のTGS 2019出展タイトルの中で,4GamerのGRAND PRIZEを受賞していた作品である。筆者個人はその存在を知らずまったくのノーマークという体たらくが恥ずかしかったりするが,ゲームを実際にプレイしてみると,その受賞理由が分かった気がした。

マップの要所にはボスが登場。強敵だが上手く弱点を突くことでダメージを与えられる
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 派手さはないが,悟空の選択肢の多いカンフーアクションはツボを突いた作りで,触っていて楽しいし,強化の手段なども作品の世界観にマッチしている。
 原作の映画を知らない筆者がゲームをプレイしたことで,映画のほうにも興味を持てるぐらいの感触だったのもよかった。情報では映画になかったシーンもあるそうなので,映画を観た人にも楽しめるのではないだろうか。

 筆者が知る限りは,近年あまり見られなくなった「西遊記」の世界観をあらめて味わうのにもいいタイトルなので,手触りのいいアクションと共に楽しんでみてほしい。

「MONKEY KING ヒーロー・イズ・バック」公式サイト

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