プレイレポート
撮りまくれ女の子! な「LoveR」で,プロカメラマンが高2の写真部員に戻ってみた
4Gamer以外だと,研究所にあるような機器を撮っていたりする渋いカメラマンなのだが,先日編集部から「貴様が人間の撮影をしているのもTwitterでチェック済みだ。引いては2019年3月14日に発売された,撮影がテーマの恋愛シミュレーション『LoveR』のプレイレポートをせよ」という,いかにも説明的なオーダーがあったので,本作のプレイレポートをお届けしたい。
なお,諸事情により,本稿で紹介しているのは序盤(恋愛レベル2まで)の内容となっているので,その点はご了承いただきたい。
「LoveR」公式サイト
女の子との会話はかなりの作り込み
「トゥルーラブストーリー」シリーズや「キミキス」「フォトカノ」などを手がけた杉山イチロウ氏がプロデューサーを務める本作の舞台は,小中高一貫教育の「篁リエル学園」である。
友人に懇願されて写真部所属となってしまった高等部2年の主人公は,学園にいる6人の女の子と出会い,彼女たちを撮影しながら関係を深めていく。目的は2か月後の学園祭で告白することだ。
ここで脱線して,本作の主人公と同じく写真部所属だった筆者の高校時代の話をさせてもらいたい。フィルム時代だった当時(1990年代)の写真部は男子率がやたらと高い世界であり,外から見れば「なんかよく分からんことをしている」という扱いの部活で,本作のように自由に撮影できる空気ではなかった。
現在は,写メ→スマホ,インスタ映え等々により,撮影は市民権を得ている。デジタル化によってタイムラグなく撮影結果が分かり,即シェアできるところが大きい。それもあり,近年の写真部の男女比率は昔と異なっているという。
ただ筆者が通っていた高校の写真部は他校に比べて,女子部員率が妙に高かった。部長をしていた時期は男女比1:9で,この点はゲームみたいな世界だったと言えるだろう。
んじゃあ貴様はゲームな展開があったんじゃないかと思う読者もいるだろうが,当時,「真サムライスピリッツ」「バーチャファイター2」「ヴァンパイアセイバー」などが大人気だったため,部室で「展覧会に向け,どんなテーマで撮ろうか」と考えるよりも,ゲームセンターで「今日は30連勝したいなぁ」と手書きバーチャファイター2攻略ノートをチェックしていることが多かった次第である。あと,人間を撮ることもあまりなかった。
よって,本作をプレイしてまず感じたのは「真面目に部室に出入りしていたら,こういう世界線があったかもしれないなぁ」ということだ。なお,写真部の長としてはバーチャの合間に展覧会で賞をいくつか得ていたので,学校側からのお咎めはとくになかった。
話を戻そう。本作では,日中の学園内で女の子と話したり,部室でパラメーターを高めたりしていくのが基本となるが,コアは女の子との会話だ。これは「スタックアップ会話」というシステムになっており,手持ちの「話題ジュエル」から任意のものを選んで会話を展開し,女の子の「テンションゲージ」を高めていく。同じ種類の話題ジュエルを並べ,スタックしてから使うとゲージが大きく上がり,スタックの個数をゲージの段階に合わせるとさらに効果アップという要素もあるので,なかなか頭を使う。テンションゲージが高い状態で「アタック」を選ぶと,「フォトセッション」に進める(場合がある)という仕掛けだ。
会話の内容は恋愛レベルなどの状況によって細かく変化するため,同じ話題が繰り返されること少ない。また,ひとつ前の話題から話が続く(広がる)こともあるなど,なかなか気合いが入っている。
フォトセッションはけっこう忙しいが,撮影感マシマシである
フォトセッションでは,最初にポーズとポジション(女の子の位置)を選ぶ。ゲームを進めていくと,フォトセッション中にお願いするアクションが追加できるほか,衣装やアクセサリの指定も可能になる。
ともあれ,序盤では「とりあえず撮影」する感じだが,注意したいのが,恋愛レベルによってポーズの“成功率”が変化することだ。「横たわる」ポーズは,恋愛レベル1だと断られてしまうことが多かったのだが,繰り返しお願いすると受け入れてくれた。土下座する勢いで頑張ろう。
撮影方法は実際のカメラと(もちろん)異なるが,撮影時の“面倒さ加減”は意外と再現されているし,ポートレート撮影っぽさがある。
フォトセッションには,「ムーブモード」「ジャイロモード」「ファインダーモード」の3つがあり,ムーブモードは撮影者(主人公)のポジション決めで,移動したり高低を調整したりが主。実際の撮影はジャイロモードとファインダーモードで行なう。このふたつのモードは機能的には同じだが,ジャイロモードはDUALSHOCK 4に内蔵されたジャイロセンサーを利用して,カメラを動かすのと似たフィーリングで撮影ができるほか,前後左右の移動が可能だ。
ファインダーモードは,ほかのゲームタイトルにもあるフォトモード的なもので,スティックでフレーミングが行なえる。ジャイロセンサーでうまく構図が決められるか不安に思う人もいるだろうが,任意の状態で固定できる三脚があるので,ファインダーモードのように安定した状態での撮影も可能だ。
ただ,ジャイロモードは操作に慣れるまでがちょっと大変かもしれない。とくに普段カメラを使っている人はそうなる可能性が高い。DUALSHOCK 4のボタンのある面を上に向けるため,カメラのイメージとはちょっと異なるからだ。縦位置の写真にしようとしたときの不自由さも気になる。
この点,コンフィグから[L]ボタンと[R]ボタンのある面を上にして操作できる項目が欲しいし,ジャイロモードだと水平を撮りにくいので,デジタル水準器か水平になったらバイブレーションで知らせる機能もぜひ入れてほしいところだ。
……という仕様であり,ムーブモードでだいたいの構図を決めてから,[L1]ボタンでジャイロモードまたはファインダーモードに切り換えて,構図を絞り込みつつ,ズームやパースで調整と,実際の撮影のようにやることは多い。少しひっかかる点としては,ムーブモードでしか高さ調整ができないことだろうか。操作体系的にギチギチなのは分かるのだが,今後に期待したい。
ピントについては常に女の子に合っているので,あまり考えなくてもいいのは2019年のカメラ的である。また背景のボケ具合はR3ボタンを押す事に3段階変化するため,シーンによって使い分けも可能だ。このあたりはスマホの背景ぼかし機能的な認識でいい。露出補正がないことやF値の概念が簡素化されているのは,操作の複雑化を考えると,納得の行く間引きでもある。
そんな感じに忙しい撮影だが,さらに「呼びかけメニュー」も存在する。女の子に具体的なポーズや表情の指定を行なえるもので,フォトセッション時に[□]ボタンを押した状態でマイクを利用して「こっち向いて」「ポーズ変えて」などを話すと,それに応じてくれる。
音声認識精度は思っていた以上に高く,コマンドを覚ればサクサクと指定を出せて実際のポートレート撮影的だ。キャラクターによっては一瞬しか指定した表情をしてくれないこともあって,そこを狙うのも面倒だが楽しい。また「かわいい」「きれい」などと被写体をノセていくと,セクシーポーズに持ち込めたりもするが,序盤では失敗しやすい。本番は恋愛レベルが上昇してからだろうか。
呼びかけはボタン操作でも可能なので,積極的にマイクを使う理由はないのだが,作業効率を考えると音声のほうが楽だと感じる人が多いだろう。
これに加えて[L2]トリガーで「表情パレット」,[R2]トリガーで「首・視線パレット」が呼び出せる。こちらは純粋にボタンで入力するだけなのだが,意図するポーズのために必要不可欠なので,設定でよく使用する項目をセットしておくといい。
シャッターを切ったときや撮影後にスコアが表示されるのだが,序盤は気にしないで楽しむといい……というか,今回のプレイではスコア上昇の要素がいまいちつかめなかった。撮影しまくって覚えていくほかないといったところだろうか。実際の撮影でも,試行錯誤とその回数は重要である。
さて。序盤では狙っている女の子に会えないことが多いだろうし,お気に入りのスポットで撮影に持ち込みたいとなればなおさらだが,そんなときは「マジカルパワー」を使うといい。エンカウント率を上げられるうえに,「マジカルルーレット」でボーナスを得ることもできる。
……と,職業柄かなり撮影部分に熱が入ってしまったが,こういった感じでカジュアルに撮影を楽しみつつ,女の子との関係を深めていくのが本作である。テンポはよく,撮影をゲームにうまく落とし込んでいる点もなかなかいい。ポートレート撮影特有の“面倒くささ”が表現されているのもポイントだろうか。
今後のロードマップを見ると長く遊べそうなタイトルでもあるし,それを踏まえてのキャラクターの細かい作り込みはチェックポイントになるだろう。NVIDIA Anselを採用しているようなタイトルとはまた違った“スクショゲー”として楽しめる部分は大きいため,この記事を読んで目覚めてしまった人にもオススメしたい。
最後に,ゲーム中で撮影した写真をおまけ的に掲載しよう。今回は序盤のプレイだったが,恋愛レベルを上げれば,もっとバラエティ豊かになるはずだ。
「LoveR」公式サイト
- 関連タイトル:
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