インタビュー
「イドラ ファンタシースターサーガ」インタビュー。イドラであること,サーガであること
本作は,シリーズの原点に立ち返ったコマンド選択型RPGであり,物語の舞台「ヴァンドール」は剣と魔法の世界であり,「ロウ」と「カオス」の陣営で分岐する運命選択がウリでありと,ここ十数年のシリーズとは異なるスタンスが採られている。30周年の節目に掲げられた“新たなファンタシースターの姿”は,一体なにを目指しているだろう。
「イドラ ファンタシースターサーガ」公式サイト
ファンタシースターのひとつの「サーガ」
4Gamer:
明日からがTGSの本番というところで恐縮ですが,ひとつお話を聞かせてもらえると幸いです(※収録日はTGS ビジネスデイの2018年9月21日)。
田中俊太郎氏(以下,田中氏):
はい! よろしくお願いします。
陳 智政氏(以下,陳氏):
よろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございます。さて,今回はセガゲームスが誇る大型IP「ファンタシースター」シリーズの最新作として,スマホRPG「イドラ ファンタシースターサーガ」を発表されましたね。
田中氏:
ええ,ようやく発表できました。
陳氏:
最初の企画書を書いてから,ちょうど2年ほど経ちました。
4Gamer:
よく聞くとはいえ,長い話です……。それで,本作はどのようなきっかけから生まれたのでしょう。いや,30周年記念ってのは分かるんですが。
田中氏:
まず,セガ初のRPG「ファンタシースター」が発売されたのが1987年のことで,去年の2017年にシリーズ30周年を迎えました。当然,それを記念した30周年コンサートなど,いろいろな企画が行われましたが――。
4Gamer:
それを象徴するゲームも求められると。
田中氏:
そのとおりです。「30周年に合わせて新作を出そう」ということになり,当時セガの事業部内で“ファンタシースター新作の企画コンペ”が実施されたんです。
4Gamer:
それって,ものすごく大きなコンペなのでは。
田中氏:
ええ,かなりの規模でした。そこで私と陳で一緒に作った企画書をプレゼンして,無事採用され,「イドラ ファンタシースターサーガ」の制作がスタートしました。
4Gamer:
2人が最初に考えたことはなんだったのでしょう。
田中氏:
現在,シリーズの旗艦タイトルは「ファンタシースターオンライン2」(以下,PSO2)です。PSO2が今年でサービス6周年,スマホでも「ファンタシースターオンライン2 es」(PSO2es)が4周年を迎え,弊社の主力タイトルとしてサービスを続けています。
4Gamer:
存じてます。
田中氏:
PSOの系譜を継ぐシリーズとして「PSO2」と「PSO2es」がしっかりと存在している。だからこそ,2人で“PSO2とは違う見せ方をできる,新しい「ファンタシースター」シリーズの新作にしよう”と考え,発案しました。
4Gamer:
PSO2とは別の,新たな世界観を持つ作品にしたかったと。
田中氏:
ええ。そのうえで遊んでもらった人に,「これはファンタシースターだ」と思ってもらえるものにしたいと考えています。
4Gamer:
でも「これはファンタシースターだ」と判断できるラインって,すごく広くないですか。私にとっての原点なら,ドリームキャストの「ファンタシースターオンライン」ですし。お2人にとっての原点はどうでしょう。
田中氏:
私は,セガに入社して最初に配属された部署で,隣のチームで開発されていたシリーズ4作めの「ファンタシースター 千年紀の終りに」でした。当時は作品と関わる機会はありませんでしたが,その後プロデューサーだった小玉さん(小玉理恵子氏)とは,ともにドリームキャスト用ソフト「エターナルアルカディア」を作り,また元スタッフのメンバーとも数多くの仕事をさせてもらって,勉強させてもらいました。そういう意味では,千年紀の終りにが原点と言えるかもしれません。
陳氏:
私はPSOでした。あれで初めてファンタシースターに触れて,同時にオンラインゲームというものの凄みを味わいました。
田中氏:
私もPSOはひとりのファンとして遊んでいて,23:00のテレホタイムに「プピピプピピ」とダイヤルアップでつないで,オンラインの世界に感動していました。
陳氏:
あのころはこうやって自分がファンタシースターに関わることになるなんて,考えてもいなかったです。
4Gamer:
ならば,さらに個人的な部分で言うと,セガに入った理由はなんだったのでしょう。
田中氏:
私は元々RPGを作りたくてセガに入りました。「サクラ大戦」を契機にシナリオ制作の業務にも携わるようになり,「エターナルアルカディア」や「戦場のヴァルキュリア」ではシナリオに加えて世界観構築も手がけました。今回の「イドラ」でも,久々とはなりますが,世界観の構想からはじめています。
陳氏:
私はそもそも,子供のころからゲーム業界を志望していたわけではなかったです。大学時代の就職活動中,企画書を書く機会があって,それが思いのほか楽しく,気付いたら朝までひたすら書いていたりして……。その結果,企画職に興味を持ち,セガに入社することに(笑)。
4Gamer:
企画書をひたすら書けるって,羨ましいですね。
陳氏:
なにか作業をしていて,その作業中に“時間が過ぎるのが早く感じたら”,その人にとって向いている仕事なのだろうと。私はそう思って,ゲーム業界に入りました。
4Gamer:
わき道に逸れたところで話を戻しますが,本作は「どのようなファンタシースターを目指す」とされているのでしょうか。
田中氏:
まず,シリーズの原点はコマンド選択型RPGでしたが,現代では“ファンタシースターはアクションRPG”と認識されている人が多いと思います。
4Gamer:
ですね。陳さんや私のようにオンラインシリーズから触れた世代はとくに。
田中氏:
先ほど申したとおり,PSO2は運営が6年を超えるアクションRPGです。プレイヤーのアクション操作や敵となるエネミー・ボスの種類など,これまでの蓄積も半端じゃありませんし,スマートフォンでもPSO2esがアクションゲームとして提供されています。だから,アクションゲームとしてのシリーズ作品ならば,「PSO2」か「PSO2es」を遊んでもらうのが一番いいと思うんですよ。
4Gamer:
なるほど。ゆえに,PSO2とは違う見せ方をできる新作にすると。
田中氏:
ええ,ですので我々はシリーズの特色を活かしつつも,PSOシリーズと両立して遊べて,PSO2やPSO2esとは違った楽しさを感じてもらいたいと考え,シリーズの原点にちなんだコマンド選択型RPGを選びました。
4Gamer:
私だったら,印象のままにアクションRPGの企画を出してしまいそう。
田中氏:
企画コンペではいろいろ出ましたよ。レースゲームとか。
陳氏:
音ゲーもありましたよね。ロボットに乗ったゲームとかも。
4Gamer:
ですが客観的に見て,シリーズの売れ線がアクションRPGであることが目に見えている状況で,純粋なRPG企画を社内でとおすにはそれなりに関門があったのでは。結果的にこうなってはいるものの。
田中氏:
もちろん,たくさんありました。なので想定していたゲームシステムと一緒に,これまで話してきたような狙いを重点的にプレゼンしました。
陳氏:
ファンタシースターの世界観の魅力を,これまでとは違う見せ方で伝えられ,かつ最もファンに届きやすい構造としてコマンド選択型RPGを選びました。
4Gamer:
取って付けたわけじゃないと。
陳氏:
はい。
4Gamer:
PSOシリーズは物語を積極的に意識しないと,どうしてもアクション,レベリング,装備掘りなどに傾倒してしまうので,世界観を見落とすところも少なくないんですよね。決して悪いことではありませんが,人によっては「ここどこ?」「このボスなに?」「リコって誰?」も珍しくなかったでしょうし。
陳氏:
物語をより丁寧に伝えることは,今回の目標としています。同時に,PSOシリーズに求められるアクション以外の魅力も捨てるつもりはありませんから,できるかぎりフォローしていきたいと考えています。
4Gamer:
物語で話をつなげると,タイトル名に「サーガ」と付いていますよね。これは戦記や伝記といった物語群をイメージさせられますが,このサーガにはどのような意味を含んでいるのでしょう。シリーズのなにを内包し,どこに位置付けられるのかなど,想定があるものと思います。
陳氏:
まず「サーガ」という語句には,語り継がれるもの,ひとつひとつの物語をまとめたものなど,単独ではない大系的なイメージがあるものと私なりに解釈しています。
4Gamer:
分かります。語源とはまた違う,ゲームシーン的な見方ですね。
田中氏:
ファンタシースターはすでにナンバリングタイトル,オンラインシリーズも含めて,それぞれに魅力的な物語があり,いろいろなつながりを持って,シリーズ全体で大系的な物語群を形成しています。その中で,本作もそれらと並び立ってサーガを構成する物語であり,かつこれまでとは違う視点で体験してもらいたいと考え,今回のタイトル名を付けさせていただきました。
4Gamer:
なるほど。すべてをとりまとめたオールスター的な意味合いではなく,正しいつながりを継承した作品であると伝えるための記号なんですね。
田中氏:
今までのファンタシースターはSF感が強かったので,「なんで剣と魔法の世界になってるの?」「本当にこれがファンタシースター?」と疑問に思っているファンは多いと思いますが,疑問を浮かべている方々も遊んでいただければ,物語の進行にあわせて,きっと理解していただけるだろうと考えています。だから,もう少しお待ちいただけると嬉しいです。
4Gamer:
深くは切り込ませてくれなさそうですが,今回の舞台である,剣と魔法の世界「ヴァンドール」についてひとつだけ教えてほしいことが。
田中氏:
なんでしょう。
4Gamer:
「キャスト」がいるのかです。キャストの存在によって,文明や文化に対する印象や,世界観の受け入れやすさが大きく変わるのではないかと思っていまして。
田中氏:
キャスト……います!
4Gamer:
おっ,いるんですね。もしいなかったら,本当に“ファンタジーな世界”になっているのかと疑ってしまいそうだったので。
陳氏:
実は,先日公開したスライド画像にもチラッと映っていました。
田中氏:
もちろん,剣と魔法の世界ですから,なんの理由もなく機械の体をもつ種族が存在するわけではないので,きちんとした設定を用意しています。これも楽しみにしていてください。
陳氏:
キャスト以外にも,公式サイトなどをよく見ていただくと,シリーズで見たことのある種族が結構いますので探してみてください。
4Gamer:
レイキャシールがいるなら,もう言うことはないです。ついでにもうひとつ,タイトル名の冠詞にあたる“イドラ”は,どのような意図で付けられているんですか。ゲーム内ではダークファルスの眷属とされる,巨大な怪物「イドラ」を指しているようですが。
田中氏:
イドラはこの世界の住人たちの前に立ちはだかる,強大な敵です。
4Gamer:
巨大なんですか。
田中氏:
巨大ですね。基本的に大きいです。
4Gamer:
多数派に分かりやすい例として出しますが,「進撃の巨人」のように人類が抗うにはあまりに強大な存在,みたいな。
陳氏:
そうですね。まさにそんな感じで考えてもらえると。
田中氏:
数で当たればどうにかなるかもしれない。そのため,この世界にはイドラに対抗するさまざまな組織が存在します。主人公が所属する「白羊騎士団」もそのひとつです。
4Gamer:
ヒロインの「ステラ」と,主人公の「ユリィ」ですね。
田中氏:
はい。ステラは白羊騎士団の当主を務めています。内気で人見知りだけど,素顔とともに鉄仮面で覆い隠している,けれど時たま素の性格が出てしまう,そんな女の子です。ユリィのほうはステラとの運命的な出会いにより,白羊騎士団の遊撃隊隊長になります。
4Gamer:
王道的なボーイミーツガールですかね。
陳氏:
序盤は,典型的な巻き込まれ主人公をイメージしています。
4Gamer:
しかし,主人公には人格があるんですよね。ここも争点だったのでは。
田中氏:
人格のない主人公は感情移入をしやすいのが強みですが,登場人物たちとの関係を深く描くことが難しくなります。今回は“ユリィを物語にも大きく関わらせたい”という想いがあったので,人格を細かく設定しました。
4Gamer:
ちなみにイドラの語源を調べると,ラテン語で「人間の先入的謬見(びゅうけん)を帰納法を用いて説いたもの」と,ものすごく難解な意味の語句なんですよね。やはり,そういった深いなにかが隠されていたり。
田中氏:
ええ。“イドラ”は企画書に最初から書いていたキーワードです。この言葉にはいろいろな意味がありますが,元は「偶像」を指すものです。あと,PSOシリーズのダークファルス戦のBGMにはこれまで必ず,「IDOLA(イドラ)」というワードが使われています。だからこれも,世界観の一端を暗示してきたシリーズ用語なんですよね。
4Gamer:
あっ,そうなんですね。申し訳ありません,ファン力が足りていませんでした。
田中氏:
いえいえ,知っていて当然のことではないですから。ただ,イドラの名で新作を発表したとき,一部のファンの方々はすぐに反応してくれました。それくらい“ファンタシースターシリーズの世界観”を示唆する,重要なワードなんです。
4Gamer:
そもそも「ファンタシースターなになに」は聞きますが,「なになにファンタシースター」は珍しいというか,初めてなのでは。
田中氏:
そうですね。これまでタイトルの後ろに語句を付ける作品は,オンライン,ユニバース,ZERO,ポータブル,ノヴァなどがありましたが,要はそこも変えたかったんです。
4Gamer:
邪推すると,各所で揉めそうな踏み込み方に思えますが,どうでしょう。
陳氏:
「ファンタシースターイドラでいいんじゃないか?」とか,いろいろありましたね。
田中氏:
それでも我々は信念を持って,こういうタイトル名にしています。その理由も,ゲームをとおして伝えていくつもりです。
4Gamer:
いいですね,そういうの。
12月20日を超えると,31周年になっちゃう?
4Gamer:
まだ試遊やステージを見ていないので恐縮ですが,本作のゲームプレイの一連の流れを説明してもらっていいですか。
陳氏:
ホーム画面からクエストを選ぶと,専用マップに移動し,そこでバトルステージを選んでもらいます。作りとしては,オーソドックスなスマホゲームの文脈に則っていますね。
4Gamer:
同社で言うところの,チェンクロのような感じですね。
陳氏:
それが分かりやすいかと。クエストには「ロウの4人パーティ」と「カオスの4人パーティ」の計8人で挑みます。バトルはファンタシースターらしく“属性”の概念を大切にしていて,敵を攻撃するとキャラクターごとの属性値が上昇します。
4Gamer:
属性の値が上昇……? すみません,イメージできません。
陳氏:
こういう感じです。
4Gamer:
ああ,なるほど。行動をすると属性値がたまっていくと。
陳氏:
そうです。属性値は10までためられ,属性値がたまるほど通常攻撃が強化されたり,スキルを使えるようになったり,必殺技「エメレンタルブラスト」が開放されたりします。強敵と戦うときは単純なダメージ量だけではなく,いかに属性値を高めて,スキルを使えるように準備しておくのかも重要となります。
4Gamer:
なんて言うんだろう,RTSのユニットレベルのようなものというか,バトル中にのみ適用されるレベル値のようものですかね。
陳氏:
はい,ひとつのバトル内でのみ変動するパラメーターになります。属性相性はとても重要なので,対応の幅を広げられるよう,戦闘中に2つのパーティを切り替えられるようにしています。
4Gamer:
しかもコマンド選択型と言っても,戦闘開始ボタンを押すだけで1ターンの攻防が終わるんですね。
田中氏:
必殺技の選択や敵を手動でターゲットすることもできますが,基本的に“1番効果的にダメージを与える相手”を自動で狙って攻撃してくれます。だから,敵も行動も選ばずにワンボタンで戦闘できます。
4Gamer:
めちゃくちゃスピーディ。無駄な手間がなく遊べるというか。
田中氏:
そこのところは気を配りました。
4Gamer:
そしてエネミーのデザインも相変わらずえぐい。
陳氏:
従来のシリーズ作品のデザインラインを感じさせるエネミーも結構います。
4Gamer:
しかし,8人編成って結構大変じゃないですか。主に育成面が。
陳氏:
珍しい人数なのは確かですが,バトルで8人分の経験値が入るようにしたりと,なるべくプレイヤーの皆さんの負担を減らせるよう調整中です。
4Gamer:
そのほか,キャラクターの強化要素には装備品などもあるんですか。
陳氏:
あります。特徴的なのは「シンボル」というもので,これによってキャラクターの特性が左右されます。
4Gamer:
それでは,先ほど仰られた「ロウ」と「カオス」について尋ねます。本作はなんでも“運命選択RPG”と題して,「運命分岐」なるシステムで,さまざまな変化が起きると聞いています。ここのところ詳しくいいですか。
陳氏:
はい。まずキャラクターを使い続けていると絆が深まります。その結果,「ロウかカオスのいずれかの人生」をプレイヤーが選択することになります。その際,どちらを選ぶかによって見た目や性能が変化し,キャラクターストーリーも変わります。
4Gamer:
ゲームとしては具体的に,どのような影響があるのでしょう。
陳氏:
キャラクターにはそれぞれクラス(職業)が設定されています。ロウだと防御・回復能力が高く,カオスだと攻撃能力が高いクラスが多いのが特徴です。そのため,防御に優れたクラスをカオスに割り振ったり,攻撃に優れたクラスをロウに割り振ったりと,それぞれの特色を鑑みて,2つのパーティのバランスを考える必要があります。
4Gamer:
ふむふむ。ロウとカオスのそれぞれの弱点をいかにテコ入れするかってことですか。
田中氏:
もちろん「ロウのほうがカッコイイから」「カオスのほうが可愛いから」と,ビジュアルの変化で判断していただいてもいいと思います。「このキャラクターはどっちのほうが物語が面白くなりそうか」で選んでいただいてもいいですし。
4Gamer:
この運命分岐は不可逆的なものなのでしょうか。行ったり来たりができないと,決断がかなり重いのでは。
田中氏:
大丈夫です。戻すこともできます。
陳氏:
ゲーム中で手に入るアイテムを使うことで,振り直しできるようにしています。
4Gamer:
「1週間遊べば1人戻せる」「1か月遊べば1人戻せる」など,どれくらいのバランスを想定していますか。
陳氏:
目下,調整中です(笑)。
田中氏:
運命分岐については,プレイヤー間で「コイツはロウとカオスのどっちが強いのか?」などと,盛り上がってくれると嬉しいですね。実際,先日のステージでも「この子はロウとカオス,どっちが可愛いか」で盛り上がりました。
陳氏:
とにかく“取り返しのつかないもの”とはしませんので,見た目や能力のファーストインプレッションで決めてもらう,そういう遊び方ができるようにしていきます。
4Gamer:
あれ,となると本作のキャラクターって,1人につき「ニュートラル」「ロウ」「カオス」の3つのビジュアルやエメレンタルブラストとか,ものすごい開発コストがかけられているのでは?
陳氏:
1人あたり,3キャラクターずつを作っているようなものですからね。
田中氏:
同じようなシステムを考えついたゲーム会社さんは多いと思いますが,手間を想像してやらなかったケースがほとんどかなと思います。
4Gamer:
それを踏まえて,このゲームは「たくさんのキャラクターが出る」と「限られたキャラクターで回す」のどちらになるのでしょう。
田中氏:
どちらとは言いづらいのですが,キャラクターをあまりに多く出し続けていくと,キャラクター自体が消費物になってしまいがちです。すると,ゲームバランスも流動的になって「先月の最強キャラが今月は使い物にならなくなる」といったことも起きてしまいます。
4Gamer:
よく聞く話で。
田中氏:
そうならないよう,キャラクター数とゲームバランスは大事に見ていこうと決めています。それに本作では“どのキャラも最大レアリティまで育成できるシステム”を採用しているので,じっくりと育てていけば,どのキャラクターも強くなります。
陳氏:
全員,最低レアから最高レアまで育成可能です。
田中氏:
プレイヤーさんの思い入れは,できるかぎり尊重していきたいですから。
4Gamer:
大切なことですよね。そういえば,事前登録特典では「クーナ」が配られるようですが,「赤い輪のリコ」は出ないんですか。
田中氏:
現状は何も言えませんね!
4Gamer:
むむ。じゃあ誰かとは言わず,歴代キャラクターがもっと出てくる可能性はあるんですか。
田中氏:
そこは可能性としては,あり得ると思います。
4Gamer:
期待してます。続いて,個人的に気になっている「プレイヤーがレイドボスになれる」の真相を教えていただきたく。
陳氏:
分かりました。まず前提からですが,本作ではレイドバトルに相当する「イドラバトル」があります。これは定期的な運営イベントではなく,常設するコンテンツです。恒常的に出現するイドラをたくさんのプレイヤーと協力し,一緒に倒していきます。
4Gamer:
疑似的な協力プレイみたいなものですか。
田中氏:
そうです。協力プレイがあるだけで,取っつきやすさがだいぶ変わりますから。
陳氏:
そして本作では,自身のパーティを組み合わせて“レイドボスになる”ことが可能です。レイドボスというのは一般的に運営側が用意し,それをプレイヤーの皆さんが倒すものですが,それだとありきたりだったので,ちょっと捻ってみたかったんです。
田中氏:
イドラにはパーティのレベルや特性が反映されるので,パーティメンバーがかなり強化されていれば,当然イドラも強力になります。それで全国のプレイヤーを苦しめてやる,みたいな(笑)。
陳氏:
イドラの生成にはいろいろなロジックがあって,リーダーによって「アリエス」「レオ」「ジェミニ」など,変身できるイドラも変わりますし,同じアリエスになっても能力や外見の一部が変化します。
田中氏:
稀に「レアなイドラ」になれることもあるので,見かけたらすぐさま挑んで,レア報酬のゲットを目指してください。
4Gamer:
でもレアなイドラに変化したら,全国のプレイヤーに血眼でフルボッコにされるんですよね?
田中氏:
まあ,そうですね(笑)。
陳氏:
プレイヤーを撃退すればするほど,イドラになった人に良い報酬が入るようにしていますので,たくさんの人から狙われるというのも実は悪くはないんですよ。
4Gamer:
先ほどいくつか名前が出ましたが,イドラってあれですよね。「黄道十二星座」ですよね。となると全12体しか出てこないんですか。
田中氏:
そこは先日公開したPVを見ていただけると,実は十二星座以外も確認できますよ。くじら座とか,カメレオン座とか,星座は88種類ありますから,バリエーションは期待していてください。
4Gamer:
88! 多いですね。とても楽しみになってきました。それでは……予定時間をだいぶ超過してしまったので最後に,本作のリリース時期は2018年とのことですが,指折り数えるとあと3か月しかありませんよね。
田中氏:
「12月20日が初代ファンタシースターの発売日」になります。だから,ここを超えると31周年になってしまいます。
※初出時,発売日を「12月18日」としていましたが,正しくは「12月20日」となります。お詫びして訂正いたします。
4Gamer:
ありゃ,大変です。
田中氏:
30周年記念作品を謳う以上,「それまでに出さないといけない」と考えています。
陳氏:
幸い,開発状況も80%と言える段階です。
4Gamer:
あとはスロットルを吹かすしかないと。
田中氏:
正直に言うと,TGSに来てる場合じゃないです(笑)。
4Gamer:
口には出さないけれど,同じ想いの同業者が毎年大勢いるやつですね(笑)。
田中氏:
もちろん,たくさんのファンの方々に発表して,期待してもらうのはなにより大切なことですし,我々としてもこの場を大変楽しみにしていましたから,TGSに来ることができてすごく嬉しいです。でも,私も陳も連日会場にいながら,開発現場とずっと連絡を取り合って,ゲームの調整をしています……(笑)。
4Gamer:
大変だ……。
田中氏:
当然,我々にしても意欲作に違いないので,こうした場で情報を公開することで,ファンの皆さんからの反応は賛否両論さまざまに分かれるかと思いますが,逆に言うと「ここはこうだと嫌だ」「ここはこうしてほしい」というご意見を,ぜひ聞かせていただきたいと思っています。開発チームでは今後,いろいろな意見を参考に,最後の追い込みやサービスイン後の展開に活かしていくつもりです。
陳氏:
それこそ「あの作品のこのキャラクターを出してほしい!」は非常に参考になりますので,どしどし送ってください。
4Gamer:
じゃあ,一番好きなので「オルガ・フロウ」をお願いします。
陳氏:
オルガ・フロウですか(笑)。
田中氏:
うーん,検討します(笑)。
4Gamerの東京ゲームショウ2018特設サイト
「イドラ ファンタシースターサーガ」公式サイト
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