プレイレポート
お洒落でムーディーな,新たな神宮寺。「ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ」インプレッションをネタバレ無しでお届け
今回発売に先駆けて,本作をプレイしたのでそのインプレッションをネタバレ無しでお届けする。なお,今回試遊したのはNintendo Switch版で,スクリーンショットや操作部分についてはそれに準拠したものとなっている。
「ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ」公式サイト
本作の主人公は,神宮寺三郎。過去のシリーズ作品では,タフで無口で煙草好き,まさにハードボイルドを地でいく男として描かれていたが,本作ではそんな彼のまだ初々しい青年時代が描かれる。未成年なのでトレードマークの煙草は吸わず,ビジュアル的にも“哀愁を帯びた男”から“成長途上の青年”になり,これまでのイメージから大きく変化している。
本作の神宮寺三郎はまだ学生。少年を脱し,成長途上の青年だ |
こちらは過去シリーズの神宮寺。まさにハードボイルドを描いたような男だ |
三郎の最愛の祖父である神宮寺京助が何者かに殺されるところから物語は始まる。三郎は祖父が殺されたニューヨークに単身渡り,街を奔走。事件の鍵を握る人物から情報を引き出し,京助の死に関わる謎を追っていく。
本作には,「360度ビュー探索」「スタンスチェンジ」「思考の樹」という3つの新システムが搭載されており,これらを駆使して,事件の真相に迫っていく。後に名探偵となる三郎がその片鱗を少しずつ見せていくのだ。
本作のビジュアルは一新されており,実写とイラストの組み合わせで独特の雰囲気が漂う |
情報を集めて「思考の樹」を育て,真相を解明していく |
システムを1つずつ紹介していこう。
「360度ビュー探索」は,左スティックをぐるりと回すことで周囲を見回せるシステム。分かりやすく説明すると,“Googleストリートビューでアドベンチャーゲームを遊ぶとこうなるだろう”といった感じだ。
背景や人物に3Dモデルが用意されているわけではなく,あくまでも“3D風”ではあるものの,人物イラストとイラスト調に処理された実写背景の組み合わせは,まるで小説の挿絵のようで,独特のムードを漂わせる。神宮寺三郎シリーズのイメージを損なうことなく,周辺を見回して自分で調査対象を見つけ出すという遊びが生まれているのが面白いところだ。
「自分でカメラを操作するとなると,調査対象を探すのが面倒になるのではないか」と思うかも知れないが,心配はご無用。サーチモードと呼ばれる探索モードが用意されており,こちらに切り替えることで調査対象の周囲が光って表示される。また,視界から調査対象が外れていても,カメラが近づくほどに光る破片が集中するので,すぐに見つけることができるだろう。
正面に立っている人と話していたら,横から別の人物に声を掛けられた……といったシステムを生かした演出もあったり,朝日の輝く川や,居心地の良さそうなバーなど,思わず周囲を見回したくなるような情景も多く,作品世界への没入度を高めてくれるシステムであると感じられた(ちなみに,相手が話しているのをそっちのけで辺りを見回して景色を観賞するようなこともできる)。
情報を聞き出す時に,三郎の態度を決めるのが「スタンスチェンジ」だ。ストーリーの決まったタイミングで発動し,柔らかく接したり,強く当たったりというように硬軟を使い分けることで情報を引き出すのである。
良かれと思って優しくしても,「おべっかを使いやがって!」と怒られたりすることもあり,相手の機嫌によって使い分けることが重要だ。なお,1つのパートで複数回スタンスを変えなければならないこともあるのだが,もし失敗してもそのパートを即座にやり直すことができる。三郎の台詞や相手の反応も変化するので,いろいろと試してみるといいだろう。
事件の重要なヒントを得ると三郎の心にある「思考の樹」が成長していく。思考の樹は,これまでに得られた情報が書かれた抽象の樹木で,初めは事件の概要のみが書かれた幹しか生えていないが,新たな事実が判明するたびに枝が生え,成長していく。
思考の樹は情報を集めていくことで,すくすくと成長し,最後には「真実の果実」を実らせる。真実の果実を収穫できれば,事件解決は目前となる。事件に関係する情報が整理され,調査の進行をサポートする思考の樹。単なる進捗度グラフやヒントリストにせず,少しずつ成長していく樹木にすることで,直感的に事件解決が近いことを教えてくれるシステムにしたのは斬新で面白い試みだ。
ストーリーはネタバレになってしまうのでここでは伏せるが,プレイして印象的だったのが,ビジュアルやデザイン面に漂うお洒落感である。360度ビューで調査対象を調べる際の選択肢や,要所の字幕などは,不揃いな大きさの文字が並ぶ流行のデザインとなっている。また,幹や枝に記されている不規則な文字は,近年人気を博している脱出ゲームなどでよく見られるものだ。グラフィックスだけでなく,文字周りにも今風の雰囲気を持たせており,30年以上続くシリーズとしては冒険ともいえるリファイン要素だ。
本作の冒頭では,思考の樹や各種システムの使い方について,無機質なチュートリアルではなく,少年時代の三郎に京助が教えるという導入になっているが,こちらも印象的だ。京助は三郎が愛する人であり,探偵としての基礎をたたき込んでくれた人物である。つまり,これらのシステムを使うたびに京助との思い出が蘇るわけで,時を経ても京助の教えを守る,三郎の義理堅さと情の深さが表現されていると感じられた。
12月13日に発売を迎える「ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ」。これからの季節は外に寒風吹き荒れる冬となるが,暖かい部屋でお洒落な雰囲気に浸りつつ,思考の樹を育てるのも楽しいだろう。また,本作の0章(チュートリアル)を遊べる体験版が,PS4とSwitchで配信されている。プレイフィールやゲーム内容を確かめたい人は,こちらを遊んでおこう。
「ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ」公式サイト
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(C)ARC SYSTEM WORKS / Neilo Inc.
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