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NVIDIA,「GeForce RTX 2080 Ti」「GeForce RTX 2080」「GeForce RTX 2070」を発表。Turingコアがゲームにもレイトレーシングをもたらす
GeForce RTX 2080シリーズの2製品のみ,直販価格79.99ドル(税別)の「GeForce RTX NVLink Bridge」を利用することでNVLinkベースのSLI動作が可能となるので,SLIを前提にした場合,必要なコストは「カード2枚+ブリッジ」分ということになる。
また,今回も事実上のNVIDIAリファレンスカードとなる「Founders Edition」が設定されており,その直販価格は「GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition」が1199ドル(税別),「GeForce RTX 2080 Founders Edition」が799ドル(税別),「GeForce RTX 2070 Founders Edition」が599ドル(税別)となっている。
●GeForce RTX 2080 Tiの主なスペック
- CUDA Core数:4352基
- ブーストクロック:1545MHz(Founders Editionは1635MHz)
- ベースクロック:1350MHz
- グラフィックスメモリクロック:14GHz相当
- グラフィックスメモリ仕様:GDDR6
- グラフィックスメモリ容量:11GB
- グラフィックスメモリインタフェース:352bit
- グラフィックスメモリバス帯域幅:616GB/s
- リアルタイムレイトレーシング:対応(78T RTX-OPS)
- GeForce Boost:4
- NVLink(SLI-Ready):対応(NVIDIA RTX NVLink Bridge要)
- 最大解像度:7680×4320ドット
- ビデオ接続インタフェース:DisplayPort 1.4a,HDMI 2.0b,USB Type-C
- 最大マルチディスプレイ出力:4
- HDCP:2.2
- カード長:266.74mm(※2スロット仕様)
- 最大GPU温度:89℃
- グラフィックスカード消費電力:260W
- 推奨電源ユニット容量:650W
- PCI Express補助電源コネクタ:8ピン×2
●GeForce RTX 2080の主なスペック
- CUDA Core数:2944基
- ブーストクロック:1710MHz(Founders Editionは1800MHz)
- ベースクロック:1515MHz
- グラフィックスメモリクロック:14GHz相当
- グラフィックスメモリ仕様:GDDR6
- グラフィックスメモリ容量:8GB
- グラフィックスメモリインタフェース:256bit
- グラフィックスメモリバス帯域幅:448GB/s
- リアルタイムレイトレーシング:対応(60T RTX-OPS)
- GeForce Boost:4
- NVLink(SLI-Ready):対応(NVIDIA RTX NVLink Bridge要)
- 最大解像度:7680×4320ドット
- ビデオ接続インタフェース:DisplayPort 1.4a,HDMI 2.0b,USB Type-C
- 最大マルチディスプレイ出力:4
- HDCP:2.2
- カード長:266.74mm(※2スロット仕様)
- 最大GPU温度:88℃
- グラフィックスカード消費電力:225W
- 推奨電源ユニット容量:650W
- PCI Express補助電源コネクタ:8ピン×1+6ピン×1
●GeForce RTX 2070の主なスペック
- CUDA Core数:2304基
- ブーストクロック:1620MHz(Founders Editionは1710MHz)
- ベースクロック:1410MHz
- グラフィックスメモリクロック:14GHz相当
- グラフィックスメモリ仕様:GDDR6
- グラフィックスメモリ容量:8GB
- グラフィックスメモリインタフェース:256bit
- グラフィックスメモリバス帯域幅:448GB/s
- リアルタイムレイトレーシング:対応(45T RTX-OPS)
- GeForce Boost:4
- NVLink(SLI-Ready):非対応
- 最大解像度:7680×4320ドット
- ビデオ接続インタフェース:DisplayPort 1.4a,HDMI 2.0b,USB Type-C
- 最大マルチディスプレイ出力:4
- HDCP:2.2
- カード長:228.60mm(※2スロット仕様)
- 最大GPU温度:89℃
- グラフィックスカード消費電力:175W
- 推奨電源ユニット容量:550W
- PCI Express補助電源コネクタ:8ピン×1
発表会では,GeForce RTX 20シリーズとの組み合わせで「RTX Tech
シャドウ オブ ザ トゥームレイダーのテクニカルトレイラームービーをご覧ください! pic.twitter.com/UwR42PhZRo
— NVIDIA GeForce JP (@NVIDIAGeForceJP) August 20, 2018
Metro Exodusのレイ トレーシングのテクニカル動画で、GeForce RTXのパワーとパフォーマンスをご覧下さい。 #GraphicsReinvented pic.twitter.com/qYCDGmhcSh
— NVIDIA GeForce JP (@NVIDIAGeForceJP) August 20, 2018
Battlefield V 上での RTX テクノロジーの効果 #GraphicsReinvented pic.twitter.com/pNOSHosurc
— NVIDIA GeForce JP (@NVIDIAGeForceJP) August 20, 2018
リアルタイム レイ トレーシングが人類最大の戦闘に最先端のリアルなグラフィックスを持ち込みます。NVIDIA の公式 GeForce RTX トレーラーで「Battlefield V」でのアクションをご覧ください。 pic.twitter.com/xsBqn3iBrE
— NVIDIA GeForce JP (@NVIDIAGeForceJP) August 20, 2018
発表を経ても残るいくつかの謎
Huang氏の講演中に出てきたTuringコアのスペックだと,シェーダおよび演算性能が「14 TFLOPS+14 TIPS」,レイ投射性能が「10G Rays/s」,AI推論性能が16bit浮動小数点演算で「110 TFLOPS」と,レイ投射性能以外がQuadro RTXシリーズの発表時より低いのだが,これはGeForce RTX 2080 TiのCUDA Core数と動作クロックに合わせたもの――たとえばシェーダ性能なら1635(MHz,GeForce RTX 2080 Ti Founders Editionのブーストクロック)
ただ,それなら動作クロックに合わせてレイ投射性能が下がってもよさそうなのだが,そこがQuadro RTXシリーズの最上位モデルである「Quadro RTX 8000」と揃っている理由はまだ明らかになっていない。このあたりの詳細情報は搭載カードの発売に向けて,もしくは発売に合わせて判明するのではなかろうか。
もう1つ,GeForce RTX 20シリーズの性能の指標として「RTX-OPS」という新しいキーワードが出てきたことも押さえておきたい。
Huang氏はイベントで,RTXを用いたレンダリングについて言及した。いわく,従来からあるラスタライズ式のレンダリングとリアルタイムレイトレーシング,そしてAIを用いたポストプロセスという3つの手法を組み合わせたハイブリッド型だ。氏によると,RTXを用いたハイブリット方式で1フレームを描くためには,下に挙げたスライドのような演算を同時並行で行う必要があるという。
「RTXにより,ハイブリッド方式で描く1フレーム」のことをHuang氏は「1 Turing Frame」と呼び,その実現に必要な演算を模式図化してみせた。色の付いたバーは上段がレイトレーシング関連,下段がラスタライズおよびポストプロセス関連となる。
上のスライドは,「シェーディングやラスタライズのために32bit単精度演算のシェーダプロセッサが動作するのと同時並行して,RT Coreによる光線の計算や反射などのための32bit整数演算も動作する。そして最後にTensor Coreによる深層学習ベースのポストプロセス処理を経て1 Turing Frameを描く」という流れを示したものだ。
そしてHuang氏は,この1 Turing Frameを描く性能を示す新しい指標であると,RTX-OPSを位置づけるのだが,問題は,GeForce RTX 2080 Tiの性能が,どういう計算でスライドのとおりの78T RTX-OPSとなったのかについて,詳しく語らなかった点にある。
ちなみに,Pascal世代の「GP102」コアを採用していた「NVIDIA TITAN X」の性能は「12T RTX-OPSに過ぎない」(Huang氏)ので,RTXを用いたハイブリット方式のグラフィックスパイプラインの処理性能でGeForce RTX 2080 Tiは6倍以上高速ということになる。さらに言えば,Volta世代の「GV100」コアを搭載したグラフィックスカードを4基搭載する「DGX Station」よりもGeForce RTX 2080 Tiのほうが高速なのだという。
たとえば「RTXを有効にしたBattlefield Vを快適にプレイするのに,45T RTX-OPSの性能を持つGeForce RTX 2070で十分なのか否か」について,今回Huang氏は何も述べていないのである。
気になるのは,NVIDIAがアピールしているRTXや,あるいはMicrosoftが策定している「DirectX Raytracing」(以下,DXR)を使ったリアルタイムレイトレーシングが,今後のゲームのグラフィックスで主流になっていくか否かだろう。万が一,リアルタイムレイトレーシングがゲームにおいてさほど一般的にならないという結果にでもなれば,GeForce RTX 20というGPU世代は失敗だったということにもなりかねないからだ。
そういう不安を払拭するためにHuang氏は今回,GeForce RTX 20シリーズの発表に合わせて,21タイトル以上がRTXをサポートするとアピールし,さらに,DXRでもGeForce RTX 20の性能が活かせることを強調していたのだと思われる。
NVIDIAとMicrosoftがリアルタイムレイトレーシングに足を大きく踏み出したことで,今後のゲームグラフィックスがそれに歩調を合わせていくのかというのは,GeForce RTX 20シリーズ,そしてそれを選ぶことになるゲーマーにとって非常に重要なポイントだとまとめることができるだろう。
NVIDIAのGeForce RTX 20シリーズ製品情報ページ(英語)
- 関連タイトル:
GeForce RTX 20,GeForce GTX 16
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