「Identity V」SCARZが涙のIVC初優勝。世界戦の切符をかけた，2021年 秋季日本大会の決勝大会をレポート

　NetEase Gamesは2021年12月25日と26日に，非対称対戦型マルチプレイゲーム「Identity V 第五人格」（iOS / Android / PC）のeスポーツ大会「2021年 Identity V Championship 秋季日本大会」（以下，IVC）のオフライン決勝を開催した。

　IVCは第五人格の国内最高峰チームを決める夏・秋のオープントーナメントであり，大会賞金総額は900万円にものぼる。
　そしてここでの優勝チームには賞金360万円に加え，今後開かれる世界大会「Call of the Abyss V」の出場権も贈られる。



　今回4Gamerが取材したのは26日，オフライン決勝の最終日。

　この日の出場チームは，勝者組決定戦で勝利した「SCARZ（SZ）」，そこで敗れた復活組「Crest Gaming（CG）」，さらに復活組第三ラウンドの勝者である「AXIZ WAVE（AXZ）」の3組だ。

　大会はいわゆるダブルエリミネーショントーナメント形式（※）で，復活組同士でぶつかり，勝ち上がったほうがSZとの決勝戦に臨める。

※勝ち抜き型トーナメント。全出場者は2度負けるまでチャンスがある

25日までの結果を反映したオフライン決勝のトーナメント表

左から大会MCを務めた，たくとさん，ユカフィンさん

　コロナ禍によるオンライン開催を経て，再びのオフライン開催となった今回のIVC会場には，抽選で選ばれた約70名のファンが招待されており，強者たちによる激闘の様子を見守っていた。

　また会場内にはグッズ販売コーナーをはじめ，大会公式Twitterの看板Vtuber「一二三乎唯」（うたかね ぶい）さんとの交流ブース，公式コスプレイヤーによるコスプレショーコーナーなども用意されており，それらを介しつつ大会観戦者たちが交流を楽しむ様子も見られた。

両チームのハンターが躍動した復活組決勝戦

　当時はオープニングアクトとして，歌手のナノさんが壇上に現れ，IVC主題曲「V for Victory」の日本語バージョンを披露してくれた。

ステージで熱唱するナノさん

左から各試合のキャスターを務めた，なみかりさん，なおやさん

　そして復活組決勝戦，CG vs.AXZがはじまる。
　ルールは逃げる側「サバイバー」と追う側「ハンター」を両チームが交代でプレイし，脱出人数もしくは捕縛人数に応じて試合ポイントが増減するBO3（2試合先取制）。全試合中，1名のみメンバー交代が可能だ。

　CGがハンター，AXZがサバイバーではじまった第1試合は，前半戦にCGのSurume選手が4吊り（相手4人を捕縛）を決めて先手をもぎ取り，さらに両チームの役割を交代しての後半戦でもAXZ側が1人逃げ（相手1人が脱出）をとおされてしまい，初戦はCGが制した。
　続く第2試合では，両チームがハンターでサバイバー側を4吊りし合い，結果は引き分け。勝負の行く末は第3試合に持ち越しとなった。

　第3試合の前半戦，CGのCF選手がサバイバー側で牽制時間170.8を叩き出す大活躍を見せ，AXZは2吊り2逃げという結果に。
　そして後半戦，CGのLatty選手が操るハンター「彫刻師（ガラテア）」が4吊りで試合を締めくくり，CGが決勝戦へと駒を進めた。

復活組決勝戦の試合MVPは，2試合連続で4吊りを決めたCGのLatty選手。「サバイバー陣がメンタル的につらそうだったので，一緒にがんばろうと声をかけつつ，勝ててよかったです」と笑みを見せた

SiLia選手の“黄衣の王”がSZに初優勝をもたらす！

　決勝戦はここまで無敗のSZと，ここまで返り咲いたCGの対決。

　SZにとっては前日に勝利した相手ではあるものの，CGも勝ち上がったばかりで勢いづいているだけに，試合の行方に注目が集まる。なお，決勝戦はBO5（3試合先取制）で，メンバー交代は2名までである。


　主導権をいち早くつかんでみせたのはSZ側だった。
　自らがピックしたマップ「永眠町」での第1試合前半戦では，サバイバー側のSZが見事な4逃げを達成したのち，続くハンター側の後半戦でもMiraiK選手がそうそうにCGへの1吊りを決め，SZが1勝めを上げる。

　さらに第2試合でもSZの勢いは止まらず。
　前半戦でハンター側のCGから3吊りされるも，後半戦で逆転の4吊りをし返し，SZが早くも2勝めで優勝に王手をかける。しかしCG側も黙ってはおらず，第3試合ではLatty選手がハンター「漁師（グレイス）」を巧みに操り，SZを圧倒。CGが待望の1勝めをつかみ，次に望みをつないだ。

　第4試合のマップは，CG側がピックした「聖心病院」。
　前半戦，ハンター側のCGのLatty選手が，開幕からわずか1分たらずでファーストダウンを奪い，観客をどよめかせる。ただし，SZ側もそこから粘り強さを発揮。チームリーダーであるSinami選手が院内でのチェイスを長引かせ，2吊り2逃げの引き分け状態に持ち込んだ。

　そして迎えた後半戦。ハンター側のSZのSiLia選手がBan/Pickフェイズを加味して選んだのは，彼の代名詞的な「黄衣の王（ハスター）」。
　大会での使用は久方ぶりとあり，しかもこの大一番でのピックとあって，会場の観客たちはこの日最大の盛り上がりを見せる。


　試合開始前，「よしっ！」と叫んで気合を入れてSiLia選手は，ゲーム中盤に2度の救助狩りを成功させ，盤石な試合運びで4吊りを果たす。

　この獅子奮迅の活躍により，SZがIVC初優勝を飾った。


　栄えある秋季の日本最強となったSZには，優勝賞金360万円と世界大会「Call of the Abyss V」の出場権が授与された。

　表彰式のインタビューでは，SZのチームリーダーのSinami選手が「今まで出会ったすべての人に支えられてここまで来ることができたので，これからも周囲に感謝していきたい」と涙ながらにコメント。
　さらにファイナルMVPに選出されたSiLia選手も「このMVPは，出来損ないだった僕を見捨てずに引っ張ってくれた味方のおかげです」と胸中を吐露。長きにわたる激闘の結末としてもジーンとくるものがあった。

涙を拭いながらインタビューに応じるSinami選手（中央）

ファイナルMVPトロフィーを手に，仲間への感謝の言葉を述べるSiLia選手（中央）

　秋季日本大会で優勝したSZは，7月開催の夏季日本大会での優勝チーム「SunSister」とともに，日本代表として世界大会決勝トーナメントに出場することが決まった。SiLia選手の再びの黄衣の王ピックが炸裂するのかにも期待しつつ，世界戦での彼らの活躍にも注目したい。

「Identity V」公式サイト

「Identity V」ダウンロードページ

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