プレイレポート
この特盛り感がたまらない。「機動戦隊アイアンサーガ」は機体とパイロットの育成要素がアツい,ロボゲーファン必見の一作
そんな修羅の海にド直球を投げ込んできたのが,中国・杭州発のインディーズゲーム系スタジオGAME DUCHYである。今回は,そんな彼らが2018年6月29日に日本版をリリースした「機動戦隊アイアンサーガ」(iOS / Android,以下アイアンサーガ)について紹介していくのだが……どうやら,ただキャッチーな要素を並べただけの作品とは一味違うようだ。
「機動戦隊アイアンサーガ」公式サイト
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少数精鋭の若きインディーズゲーム系スタジオによる渾身の一作
GAME DUCHYは,CEO兼総括ディレクターの孫少白(ソン・シャオバイ)氏が大学生の頃に設立した少数精鋭のインディーズ系ゲームスタジオだ。設立当初は6,7人だったというメンバーも,2018年6月時点で30名まで増えたとインタビューで語っている。
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アイアンサーガの制作にあたり,GAME DUCHYは「機動戦隊エンジン」という自社開発のゲームエンジンを作り出した。アート表現や物理的なエフェクトをより軽快に表現することを目的としたというこのエンジンの開発も含め,アイアンサーガの制作には6年もの歳月がかけられたそうだ。
日本のサブカルチャーの影響を強く受けているという世界観もこだわりのポイントで,プレイヤーは主人公・ベカスを軸に進むSFテイストのストーリーを追いながら,ロボットやパイロット(大体が美少女!)を強化していくことになる。
この手のゲームを紹介するとなると,通常はロボットやパイロットといった要素を中心に話を進めることになるわけだが(もちろん,これらの要素をはずして本作を語ることはできないが),実際に本作をプレイしてみると,非常に熱量の高い,ユニークな要素が多いことに気付かされるはずだ。
こういった濃いめのゲームをサラッと説明するのももったいないので,今回はゲームの概要に加えて,本作をプレイして“熱い”と感じた要素を,以下に紹介していきたい。
まったく異なるゲーム性を持った2つのゲームモード
まず“熱い”のが,「ストーリーモード」と「模擬作戦」という,まったく異なるゲーム性のコンテンツが1つの作品に混在している点。
ストーリーモードやその外伝など,物語を追いながらステージをクリアしていく本作のメインコンテンツでは,出撃させる機体とその兵装,そして搭乗するパイロットを複数選び,オートで進む戦闘を見守りながら適宜アクティブスキルを発動してクリアを目指す……というのが大まかな流れになる。
一方の模擬作戦では,出撃する機体とパイロットをひとつずつ選び,戦闘を開始すると……なんとバーチャルパッドとボタンが現れて,格闘ゲームのようなコマンド入力を行うアクションゲームへと様変わりする。
移動中などでも気軽に遊べるストーリーモードと,自宅のようなある程度落ちつける場所で腰を据えて楽しむ模擬作戦。この2つのモードははっきり言って“別ゲー”で,それが1つのタイトルに当然のように入っていることには驚かされる。これはどう評価するかは人それぞれだろうが,「やりたいことは全部詰め込みました」という作り手の熱がひしひしと伝わってくるような気がして,個人的には嫌いではない。
また,プレイヤーレベルが上がってくるとアリーナと呼ばれる対人コンテンツが開放され,ほかのプレイヤーが設定している編成と完全オートで勝敗を競えるようになる。勝敗によってランキングが変動し,そのランクに応じた恩恵も受けられる。ランクを上げていくのが目的だが,単純にどんな組み合わせの編成が強いのかを試す場としても,おもしろいコンテンツだ。
多岐にわたる成長要素
組み合わせの選択はまさに時間泥棒
アイアンサーガには複数の特徴的なゲームモードがあるとはいえ,それぞれのモードでやることは非常に単純だ。ただし,本作の成長システムは非常に多くの要素を内包していて,かなり“熱い”。成長要素に機体の組み合わせの妙が加わると,もう時間がいくらあっても足りなくなる。
アイアンサーガの成長要素は主に「機体」「パイロット」「パーツ」の3種類。ざっくりと,それぞれの要素を見ていきたい。
【機体】
機体は,大まかに「接近戦向け」「中距離戦向け」「遠距離支援向け」の3系統に分かれる。そしてそれぞれの機体にはレアリティに始まり,耐久値やサイズ,移動速度,戦闘中に使用する武器が設定されている。武器は単純に攻撃力だけでなく,クールタイムも設定されていて,すべてを把握するのはなかなか根気がいる。
最初から使うことのできるレアリティSSSの機体「ウァサゴ」は,いわゆる主人公機。遠距離からの攻撃に長けた火器構成だが,近接戦闘もそつなくこなすオールラウンダー |
こちらのSSS機体「月影」は近接戦闘に特化した潔い構成。武器の種類も少なく,とにかく敵に近づいて斬りかかることを目的としている |
比較的手に入りやすい中距離戦向けのS機体「バルキリーA」はビームライフルとミサイルを持つ優等生 |
さらに機体は,改造によって新たな武器や行動を開放したり,装甲を強化したりもできる。持っている機体を吟味し,どれを優先して育てるかを決めるのもこの手の作品の楽しいところだ。
ちなみに,主人公機である「ウァサゴ」は,ほかの機体と異なり,クエストをとおして特殊な改造を行うこともできる。ウァサゴは改造によって近接戦特化や遠距離戦特化といったように,性能はもちろん機体の見た目まで変化させられる。
【パイロット】
機体に負けず劣らず成長と選択で頭を抱えることになるのがパイロットだ。主にガチャで手に入るパイロットだが,その性能はそれぞれでまったく異なり,機体との相性を考えながら誰を編成し,どう育てるのかを決めなくてはならない。
パイロットには,機体とは別に「射撃」「格闘」「防御」「反応」という4つのパラメータ,そして固有のアクティブスキルが1つとパッシブスキルが3つ用意されている。アクティブスキルはストーリーモードの1戦闘で,1パイロットにつき1度使用することのできる必殺技で,攻撃や回復,支援など,そのキャラクターの生い立ちや生き様にあったものが設定されている。
さらにパイロットは成長していくとスキルポイントを獲得し,アクティブスキルとパッシブスキルの中からいずれかを強化できる。もちろんプレイヤーは,ここでもまた頭を抱えることになる。もうこのあたりで気持ちは「一体何から強化したらいいんだ……」といった感じである。
佐々木光子は近接戦向けの機体に乗るために生まれてきたような優秀なパイロットだ。アクティブスキルの「燕の閃き」は,超高速でステージ内を飛び回り,敵めがけて何度も突進する激しい技 |
貴重な回復スキルを持つキャラクター,グニエーヴルも使い勝手のいいパイロットだ。ちなみに,パイロットごとに性格も用意されていて,これによって戦闘中のアクティブスキルを撃つためのゲージの溜まり具合などが異なる |
【パーツ】
成長要素の極めつけとなるのがパーツである。パーツは,機体ごとに「コア」「銃弾」「補助」「装甲」「塗装」「ペット」の6カテゴリ存在し,それぞれのカテゴリごとに装備するものを選んだうえで,さらに強化もしていくことになる。
パーツの能力は細かく設定されており,バリエーションも豊富だ。格闘武器やミサイルの攻撃力を上げるものから,移動速度を下げて射撃武器の攻撃力を上げるといったものまで本当にさまざまだ。
これを使いこなすには,機体がどんな武器を装備していて,パイロットがどんなスキルを覚えているのかを把握する必要がある。初見で最適解を見つけるのはかなり厳しく,プレイしながらより良い組み合わせを模索していくことになる。
作品から溢れる高い熱量,ゆえに複雑
しかし気がつくと……?
アイアンサーガを実際に遊んでみると,作り手の作品への想いが強いがゆえに,ゲームとしてやや複雑な作りになってしまっているという印象を受けるかもしれないが,この手のゲームが好きな人なら,きっと「嫌いじゃない」のではないだろうか。メカや美少女といったキャッチーな要素は多くのファンに訴求するためのものであり,実際のゲーム内容にどっぷりとハマるのは,おそらくシミュレーションゲームやカードゲームを好む層だろう。
なぜなら,突き詰めるとアイアンサーガは「機体」「パイロット」「パーツ」という3つの要素の最適解を追求していくゲームになるからだ。もちろん,いずれの要素も何を入手できるかはある程度ランダムであり,必要なものが必ずしも手もとにあるとは限らない。限られたリソースの中で最適解を常に探し続け,それをステージの敵やアリーナの環境によって変化させられるような,機知に富むプレイヤーこそ本作の本当のターゲットと言える。
スマートフォンを見つめ,さまざまな編成を試し,ときには攻略サイトを回り,ほかのプレイヤーと交流しながら,最適解を探す。そして,そういう試行錯誤を繰り返すうちに気がつけば時計の針が過ぎている。アイアンサーガは,プレイした人にそんな体験を提供してくれる,今時ちょっと珍しいくらいの熱さと重みがある作品だ。
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(C)2018 Gameduchy
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