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ASRockらしいこだわりを盛り込んだ電源ユニットが国内初披露。一部の製品は12月13日に販売開始
ASRockがPC用電源ユニットの開発を表明したのは,2024年11月18日のこと。ASRock JapanのXアカウントが「ASRockの電源回路のウルトラスペシャリストエンジニアにて設計開発された最新最高品質パーツを最適に使い,高精度,高出力,高耐久の3本柱を確立しました」とコメントしており,発表当初から注目を集めていた。
拡散よろしくお願いします。
— ASRock Japan (@AsrockJ) November 18, 2024
ASRockの持てる全ての技術と部材の調達力を注ぎ込んで半導体を安定動作させる重要パーツの電源ユニット市場に満を持して登場
マザーボードとGPUカードの観点から見た最高の電源とは何か?の答えを我々で用意しました。… pic.twitter.com/DTdq8WRIgA
製品ラインナップは,最上位の「Taichi」をはじめとして,ゲーマー向けの「Phantom Gaming」,高耐久と高品質を謳う「Steel Legend」,価格対性能比を重視した「Challenger」という4シリーズで,ASRock製マザーボードやグラフィックスカードと同じ分類だ。
それぞれ定格出力が異なる複数モデルを用意するとのことで,Steel Legendシリーズは,12月13日以降に,そのほかの製品は2025年1月以降の本格的な展開を予定しているという。
ASRock製のマザーボードと言えば,高品質な部材の採用で知られる。電源ユニットでもその特徴は変わらない。Steel Legendシリーズ以上の製品では,日本製の高耐久コンデンサを採用するほか,流体軸受けを用いた空冷ファンを備える。Steel Legendシリーズ以上で10年,Challengerシリーズでも5年という長めの製品保証期間を用意しているのも品質に対する自信を表しているようだ。
一方,電源ユニットの変換効率を示す認証プログラムである80PLUSでは,Taichiが最上位の「80PLUS TITANIUM」認証を取得しているものの,多くの製品は「80PLUS GOLD」認証に留まっている。ASRockによると,これは意図的な仕様とのこと。海外のECサイトでは,80PLUS TITANIUMや80PLUS GOLDの条件を指定して,製品を検索する人が多く,「80PLUS PLATINUM」と「80PLUS SILVER」で検索されるケースは少ないという。そのため,80PLUS GOLD認証の製品を多く揃えたそうだ。ASRockは,「80PLUS GOLD認証を取得した製品の中でも,かなり高い効率で出力できる」とアピールする。
80PLUSよりも厳しい検査基準を採用するCybenetics Labの認証プログラムでは,電源効率を示すETAで,Taichiが「TITANIUM」,Phantom GamingとSteel Legendが「PLATINUM」または「GOLD」認証を取得しているのもポイントだ。さらに,静音性能を評価するLAMBDAでも,高い評価を得ているとASRockはアピールしている。
市場では後発ということもあり,電源ユニットの最新規格である「ATX 3.1」に対応するの見どころと言えよう。PCI Expressの補助電源コネクタに,12V-2×6コネクタを採用し,シングルレーンで最大600Wもの電力をグラフィックスカードに供給できる。
ASRockは,この12V-2×6コネクタを用いたケーブルも汎用品を使うのではなく,新たに設計したという。ケーブルとコネクタ部分の色を変えることで,正しく接続できているか分かりやすくなった。加えて,ケーブル内に温度センサーを組み込むことで,ケーブルが加熱しすぎたときに電源ユニットの動作を止めて大きな事故を防ぐ機能も備えている。ケーブルの素材にも高耐久なものを使用したそうだ。
また,グラフィックスカードがごく短時間に,電源ユニットの定格出力を超える電力を要求しても耐えられる「トータルパワーエクスカーション」は,Taichiシリーズで235%,Phantom Gamingシリーズで220%,Steel Legendで200%に達するとのこと。とくにハイエンド市場向けグラフィックスカードを利用するゲーマーなら,気になるポイントと言えるだろう。
このほかにも,ASRock製電源ユニットの独自機能として,「+5Vブースト」を備えるのもポイントだ。+5V電源の電圧を少しあげて供給することで,USBデバイスを複数つないだときの電圧降下を防ぎ,安定した動作を実現するという。
さらに,電源ユニットの静音動作モードである「iCOOL Intelligent Fan Control Mode」という機能も搭載している。
最上位のTaichiシリーズは,定格出力1650Wと1300Wの2モデルを用意しており,いずれも80PLUS TITANIUM認証を取得している。ハイエンド市場向けの電源ユニットとしては,奥行きが180mmと比較的小型なので,幅広いPCケースに組み込めそうだ。ケーブルはフルモジュラー式で,12V-2×6コネクタ採用ケーブルが2本付属する。
Phantom Gamingシリーズは,定格出力1600Wと1300W,1000W,850W,700Wの計5モデルをラインナップする。ただし,日本国内ではモデル数を絞って販売する可能性が高いとのこと。いずれのモデルも80PLUS GOLD認証を取得しているが,1600Wモデルと1300Wモデルは,CybeneticsのETA認証でPLATINUM,そのほかがGOLDGOLDを取得している。こちらもフルモジュラー式だ。
Steel Legendシリーズは,定格出力1000Wと850W,750Wの計3モデルをラインナップする。税込のメーカー想定売価は,順に2万9980円,1万9980円,1万7800円だ。
こちらもPhantom Gamingシリーズと同じく,定格出力が大きな2モデルがCybeneticsのETA認証でPLATINUM,そのほかがGOLDを取得している。奥行きが150mmとコンパクトなので,小型PCケースへの組み込みにも適していると言えそうだ。
カラーバリエーションとして白色モデルも用意しており,白色PCを自作した人にとって魅力的な製品かもしれない。ラインナップは,定格種出力1000Wと850Wの2モデルで,税込のメーカー想定売価は,順に3万980円,2万980円となる。
Challengerシリーズは,80PLUS GOLD認証を取得した定格出力850Wと750W,650Wの3モデルに加えて,80PLUS BRONZE認証を取得した750Wと650W,550Wの計6モデルをラインナップする。今回発表した製品では,唯一,ケーブルがモジュラー式ではなく,保証期間も5年とほかよりも短い。その分価格が控えめで手に取りやすい製品となっているとのことだ。
市場参入の段階で,これほど多くの製品をラインナップしているのは,ASRockが電源ユニットにかける強い意気込みを感じた。年々GPUが消費する電力が増えており,電源ユニットの重要性も高まっている。ASRockファンならずとも,自作PCユーザーはチェックしておきたい製品だ。
ASRockの電源ユニット製品情報ページ
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