インタビュー
最強キャラは存在せず,どのキャラもSSRになれる。4月19日リリースのRPG「Sdorica」,プロデューサー謝 昌晏氏にインタビュー
本作は,戦闘システムにソウルと呼ばれるコマを使ったパズルゲームライクなプレイが特徴の1つ。2×7マスのランダムに流れてくるソウルを使用することによって,使用したソウルの色に対応したキャラクターが戦闘スキルを発動する。
実際に開発中の「Sdorica」をプレイさせてもらったが,デバフ,バフの種類が豊富で,これだけでも戦略性の高さがうかがえた。パーティ(以下,PT)はタンク,アタッカー,ヒーラーの3人で構成され,それぞれが1ソウル,2ソウル,4ソウルのスキルを持っている。必要な時に出したいスキルが発動できるとは限らず,毎ターン慎重に考えながらプレイする必要があった。
今回は,台湾にあるRayark本社を訪問して,本作のプロデューサー謝 昌晏氏(以下,謝氏)にインタビューする機会を得た。リリース直前ということで,ゲームシステムやガチャなど,プレイするうえで気になる点を詳しく聞いてきたので,その内容をお届けしよう。
「Sdorica」公式サイト
ストーリーは毎週更新。世界観やアートは“Rayarkスタイル”で世界に通用する物を目指す
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。開発に4年を費やしたゲームがいよいよリリースになりますね。今のお気持ちはいかがですか。
楽しみでもあり,怖くもありって感じですね。作品自体にはとても自信があるのですが,それが市場で受け入れられるのか,不安を感じています。でも,楽しみな部分の方が強いです。
4Gamer:
Rayarkさんはこれまで,10人ちょっとの少人数で開発をされていますよね。聞くところによると,Sdoricaは今までで一番人材を投入されたとか。
謝氏:
最初は6人からスタートしたのですが,今は社内のメインメンバーで45人前後。イラストの発注などもあるので,それも含めたら100人以上になりますね。
4Gamer:
そんなに大人数で開発されていたのですね。先ほどトレイラーを見せてもらいましたが,かなり親しみのある画風だなと感じました。これは日本のアニメなどを意識されていたりしますか。
謝氏:
特に日本だけを意識しているわけではないんです。日本っぽさだったり,韓国っぽさだったり,中国や台湾っぽさであったり,アジア圏で受け入れられるようなビジュアルにしています。
ただ,グローバルリリースなので,アジア圏だけがターゲットではありませんから,欧米でも受け入れられるようなスタイルを意識しています。例えば,目の描き方や色の塗り方であったり。試行錯誤を重ねて,様々な国の良い部分を融合させたRayarkっぽいと言いますか,“Rayarkスタイル”という形になっています。
4Gamer:
そこは他国の文化を受け入れてきた,台湾企業ならではという感じがします。アート以外に,世界観やストーリーにもかなり力を入れられていますよね。
謝氏:
そうですね。「Sdorica」のチームメンバーには脚本担当が3〜4人いて,そのメンバーで大体のストーリーや世界観,キャラクターの設定などを決めています。ストーリー自体がすでにすごく長いのですが,作り終えているのはシーズン1までで,現在はシーズン2の開発をしています。
4Gamer:
なるほど。そうなると,気になるのはアップデートの間隔です。
謝氏:
1シーズンを大体1年で想定しています。毎月メインストーリーを更新していく形になっていますが,それ以外にキャラクターごとのサイドストーリーなどを小分けにして,ほぼ毎週なんらかの更新があります。
4Gamer:
毎週ですか!? それはすごいペースですね。
謝氏:
自分たちでもそう思います(笑)。
しかも,他のRPGと違って「Sdorica」はストーリー中もキャラクターが2Dで動きながら進むので,ただ文字で会話を進めるゲームより,ストーリー部分に費やす労力が大きいんです。それをどう効率的に開発するか,今も研究しながら進めています。
スタミナ制は無し。どのキャラクターでもSSRになれる共鳴システム
4Gamer:
では,システム面についても聞いてみたいのですが,まずは,スタミナ制なのかどうかが気になります。
謝氏:
スタミナ制ではありません。プレイヤーの遊ぶ時間を制限するなんてもったいないと思いますし,遊びたいだけ遊べるようにしています。
4Gamer:
プレイヤーにとっては嬉しいお話しです。ただ,その形ではカジュアルに少しの時間遊ぶ人と,長時間ガッツリ遊ぶ人でかなり差が出てしまうように思えます。
謝氏:
長く遊んだ人の方がアイテムなどを多く獲得できるのは当たり前ですが,1日に30分しか遊べない人でも,あまり大きく差が出ないようにしたいなとは思っています。
1日に数回だけ遊ぶことが出来るイベントステージは報酬を豪華にしていますから,カジュアルに遊ぶ人はまずそこをプレイしてもらえれば,安定してアイテムを入手できると思いますよ。
4Gamer:
なるほど。イベントステージを毎日やっておけば,短時間でも良いアイテムを集められると。ちなみに,その回数制限はジェム(課金で入手できるアイテム)などを消費して,増やすことはできるのでしょうか。
謝氏:
アイテムを消費することによって遊べる回数は増やせますが,イベントによって消費するアイテムは変えています。ジェムを消費してプレイ回数を増やせるイベントもありますし,ゲーム内で入手できるアイテムを消費するイベントもあったり。ただ,永遠に増やし続けられるわけではなく,1日に増やせる回数には限度を設けています。
4Gamer:
では,課金すれば良いというわけでもないのですね。
謝氏:
Pay to Winのようなゲームにする気はありません。それに,このゲームには色々なキャラクターが存在しますが,キャラクターの強さってどれも同じぐらいなんですよ。
4Gamer:
えっ。そうなんですか。
謝氏:
はい。特別強いキャラクターがいたりはしないので安心してください。レアリティもそのキャラクターを入手していれば,必ず一番上まで上げることができます。
4Gamer:
レアリティというのは,Rとか,SSRとか?
謝氏:
そうです。キャラクターの成長要素には,単純にステータスを上げていく「レベル」と,スキルや見た目が変化していく「共鳴」というものがあります。この「共鳴」によって,キャラクターのレアリティが上がっていきます。
4Gamer:
では,入手する段階ではどのキャラクターも一番低いレアリティなのでしょうか。
謝氏:
そうとも限らないです。ガチャで運良くSSRを直接入手できることもあります。でも,SSRで入手してもレベルは1なので,しっかり育てないとダメなんですけどね。
4Gamer:
なるほど。SSRまで共鳴させる手間が省けるというわけですね。でも,そうなるとガチャの排出率って何を基準に決められているんですか? みんな同じ能力なら,確率は均等になりませんか。
謝氏:
ガチャの中には同じキャラクターでも,異なるレアリティを混ぜています。なので,Rは出やすいけど,SSRはめったに引けません。
あと,キャラクターの中には,特別なスキン(衣装)を持ったキャラクターがいます。例えば,この「シオン」というキャラクターとか。こういった特別なキャラクターは入手確率が低いです。
通常のシオン |
特別衣装のシオン |
4Gamer:
見た目が全然違うんですね。このスキンというのは,自由に着せ替えができるとか,そういったシステムですか。
謝氏:
いいえ,着せ替えとは異なります。このガチャで用意された特別なスキンは,それ専用のユニットとして登場します。なので,このシオンの場合は「シオンSP」となっています。
4Gamer:
なるほど。ということは……,このゲームのガチャで一番入手が難しいのは,見た目の違うキャラクターということですか?
謝氏:
そういうことになりますね(笑)。プレイヤーに人気のあるキャラクターを優先して,こういった特別なスキンを作っていこうと思います。開発時点でもある程度の予想はしています。この女の子は人気が出るだろうなぁとか。
4Gamer:
ああ,なんとなくわかります。私は煌羽狼(コウバロウ)の「コール」が好きでした。
謝氏:
コールもちゃんとチェックしていますよ。現在オープンβを行っていて,その段階ですでに課金してくださっているプレイヤーもいますが,ゲームを進めるためというより,「このキャラクターが好きだから」といった感じだと思います。
4Gamer:
たしかに,好きなキャラクターにだったらお金を出しちゃいそうですね。ちなみに,その一番排出率が低いキャラクターを引くには,いったいどれぐらいガチャを回せば……。
謝氏:
そこまで厳しくはしないので安心してください。ガチャを回すごとに確率が上がるようにしていて,決まった数だけ回しても出なければ,確定で獲得できます。
4Gamer:
なるほど。ちなみに,その上限は何回になるんですか。
謝氏:
120回です。
4Gamer:
ガチャの中には,目玉となるキャラクターが複数人ピックアップされると思うのですが,その場合はいかがでしょうか。例えば,そのうちの1人を引いた場合,ガチャを回した数はリセットされてしまうのでしょうか。
謝氏:
あー,なるほど。今のところは,1つのガチャに対して,1番排出率が低いキャラは1人と考えていますが,もし複数人がピックアップされたガチャであれば,引くごとにチケットを渡して,決まった枚数で好きなキャラと交換,といった感じにするのがいいかもしれないです。これは検討が必要ですね。
4Gamer:
ちなみに,今は何キャラクターぐらい用意されているのでしょうか。
謝氏:
リリース時には32体のキャラクターが登場します。シーズンが終わるまでには40体ぐらいになる予定ですね。シーズン2でも,12体前後のキャラクターを追加しようと企画しています。
可愛らしい見た目に反して,戦略性がとても高いバトルシステム
4Gamer:
それでは,バトルシステムについても聞いていきたいと思います。PTは3人構成で,それぞれロールが決まっていました。
謝氏:
基本的には,一番前がタンク,真ん中がアタッカー,後ろがヒーラーという形になっています。今後のアップデートで,前に立っているのにヒーラーとか,そういった変則的なキャラクターも追加していきたいなと思っています。
4Gamer:
その3つのロールで構成するのは絶対ですか? 例えば,タンク3人とか,アタッカー3人なんていう変則PTはどうなんでしょう。
謝氏:
今のところは予定に無いですね。と言うのも,アタッカー3人を連れて行けたらステージが早くクリアできて,他のキャラクターが使われなくなってしまいます。
4Gamer:
ああ,なるほど。
謝氏:
そういった攻撃特化のPTが組みたい場合は,タンクの中にも,3つあるスキルのうち2つは攻撃スキルだったり,ヒーラーの中にも攻撃スキルを持っているキャラクターがいますから,スキルの組み合わせを考えると良いですよ。
4Gamer:
それでは次に,ソウルの仕組みについても教えてください。これはキャラクターに対応した色があって,使用した数で発動スキルが決まるのでしょうか。
謝氏:
その通りです。金はタンク,黒がアタッカー,白がヒーラーになっています。それぞれ1つ,2つ,4つ使用して発動する3種類のスキルが用意されています。
4Gamer:
やっぱりソウルを4つ使用するスキルが一番強いのでしょうか。
謝氏:
基本的にはそうなのですが,例外もありますね。例えば,ヒーラーなのにソウル4つを使用するスキルが攻撃スキルのキャラクターだったりと,キャラクターによってスキルの特徴は大きく異なります。
4Gamer:
先ほどプレイしていてびっくりしたのですが,味方にもダメージが入るスキル持ちがいるんですよね。
謝氏:
いますね(笑)。威力はすごいのですが,その代わり味方もダメージを受けたりします。
4Gamer:
その時は味方が戦闘不能になってしまいました(笑)。戦闘不能になった場合は,どうすれば良いのでしょうか。
謝氏:
その場合は,戦闘不能になったキャラクターのソウルを決まった数だけ使用して,キャラクターを復活させてください。でも,消している間もターン数は消費されるので気を付けてくださいね。
4Gamer:
回復アイテムのような物はないのでしょうか。
謝氏:
回復アイテムは一切ないです。でも,3人ともが戦闘不能になるまではゲームオーバーになりませんから,立て直せると思いますよ。
4Gamer:
分かりました。あと気になったのは,HPバーの下に,もう1つバーがありますよね。
謝氏:
それは盾です。盾を削り切らないと,通常の攻撃ではHPを削れません。なので,盾を削るのに特化したスキルを持ったキャラクターだったり,盾を貫通して直接HPを削れるスキルを持ったキャラクターが有利です。
盾に有効な破甲攻撃 |
盾を無視できる貫通攻撃 |
4Gamer:
なるほど。では,いろんなキャラクターを育てたほうが良さそうです。
謝氏:
そうですね。でも,手広く育てようとすると,素材集めが厳しくなるかもしれません。育成するキャラクターはある程度絞った方がいいですよ。
4Gamer:
日本だと,最近は通勤通学中にスマホゲームをプレイする人が多いのですが,例えば「オートバトル」のような,プレイの補助であったり,時間を短縮できる機能はありませんか。
謝氏:
実は,オートバトル機能もテストをしてみたのですが,一部の敵に特定条件で反撃したりするキャラクターもいまして……,オートバトルじゃ勝てなかったんです(苦笑)。
4Gamer:
ああ,なるほど。
敵にもタンクがいたり,デバフを付与してきたり,ただタップしてればクリアできるというわけでもないんですよね。プレイしてみたら予想以上に難しくて,かなり苦戦しました。
謝氏:
始めたばかりの頃はデバフの数も少ないと思いますが,進めるとどんどん増えてきます。どのキャラをPTに入れて,どのスキルを使えばこの状況を切り抜けられるか,いろいろ考えながら進めてほしいです。
加入すると毎日アイテムをもらえるギルドシステム。ランキングイベントも
4Gamer:
ゲームをプレイしていて,ギルドの文字をたびたび見かけました。やはりゲームを進める上では,ギルドに入っていた方が良いのでしょうか。
謝氏:
もちろん,ギルドに入っていた方がゲームを有利に進められます。まず,ギルドの大きな役割として,ギルドメンバーがアドバイザーとして戦闘に参加してくれます。
4Gamer:
あの5枠目がギルドメンバーだったんですね。
謝氏:
ギルドに入れば,PTメンバーが実質1人増えますから,戦闘が少し有利になります。
そのほかにも,ギルド内にあるストアで毎日報酬がもらえる特典もあります。これはギルドのレベルに関係していて,ギルドのレベルが高いほど報酬も豪華になっていきます。
4Gamer:
ギルドも成長していくわけですね。ちなみに,ギルドのレベルはどれぐらいまで用意されていますか。
謝氏:
今だとレベル10までですね。レベル1だったら,加入できるのが10名までで,レベル10にすれば60名まで加入できます。
4Gamer:
では,ギルドに入るにはどうすればいいのでしょうか。
謝氏:
ゲーム内にギルドの募集が出ているので,そこから参加してもらうのが一番簡単ですね。あとは,招待コードを用意しているので,それを入力してもらえればギルドに参加できます。
4Gamer:
ギルドで遊べるイベントのような物はないでしょうか。例えば,ランキングイベントとか。
謝氏:
ギルド向けのランキングイベントは今のところないのですが,個人のスコアを競うランキングならオープンβですでに行っています。
4Gamer:
そのスコアはどうやって計算されているのでしょうか。
謝氏:
基本的にはターン数です。ターン数が少なければ少ないほどスコアが高くなります。同じステージを何回もクリアしなくてはいけない,マラソンのようなランキングイベントにはしたくなかったので。
4Gamer:
たしかに,スコアを競うイベントであればクリア回数は関係ないですもんね。気になるのは報酬内容ですが,やっぱり豪華なんですか?
謝氏:
イベントに参加しないとゲームが不利になるという風にしたくないので,特別良いアイテムを用意しているわけではありません。例えば,1位だったらガチャチケット5枚とか,2位なら4枚,3位なら3枚とか。別になくても困らないアイテムです。
4Gamer:
ランキング形式が好きじゃない人も,損をするわけではないのですね。それに,上位を狙うのは大変そうですし……。
謝氏:
かなり頭を使うと思います。今あるランキングだと,4ステージに挑むのですが,1度使ったキャラクターは,それ以降のステージでは使用不可になるので,12キャラクターを駆使しなければいけません。
4Gamer:
12キャラクターの育成も必要ということですよね。上位争いはかなりハードになりそうです。
謝氏:
スコアを突き詰める遊びが好きな人にトライしてほしいですね。
4Gamer:
分かりました。話が逸れてしまいましたが,ギルドで遊べるイベントやモードはほかにありますか?
謝氏:
これはまだ実装していないのですが,他のプレイヤーとオンラインでチームを組んで一緒に戦う,協力モードというものを考えています。
4Gamer:
面白そうですね。交代してソウルを操作する,といったところでしょうか。
謝氏:
それも考えたのですが,1つのソウルを複数人で操作すると大変なことになるので,やめました(笑)。
今考えているのは,3人のプレイヤーで協力するモードで,それぞれが3キャラクターを出し合って,全部で9キャラクターから,好きにチームを編成し直します。そのチームでそれぞれ同じステージにトライして,全員がクリアできたら報酬GET,でも1人でも負けてしまうと報酬が減ってしまう,みたいな感じにすると思います。
4Gamer:
それはギルド限定でしょうか。フレンド機能などはありませんか?
謝氏:
今のところフレンド機能はないんです。基本的にはすべてギルド内で,という感じです。
1つ注意してほしいのが,リリース後はサーバーを10個用意しますので,同じギルドに入りたい場合は,同じサーバーでゲームをプレイしてもらう必要があります。
4Gamer:
そのサーバーというのは,国ごとに分けるわけではなく,自分で選択できるのでしょうか。
謝氏:
自分で選べます。ただ,サーバーの移動はできないので注意してください。ギルドに関しては,もしかしたらサーバーの垣根を越えて参加できるシステムを,今後加えるかもしれませんが。
4Gamer:
そのシステムがあると非常に嬉しいです。しかし,サーバー移動ができないとなると,ランキングイベントにも響きそうです。自分のいるサーバーが猛者だらけだったりして(笑)。
謝氏:
そういったこともあるかもしれません(笑)。でも,報酬は特別良い物ではないので,そこは勘弁してください。
4Gamer:
では,最後にゲームを待っている,日本のファンへメッセージをいただけますか。
謝氏:
Rayarkが4年の月日をかけて,ストーリー性に溢れる作品を作り出しました。皆さんにも,私たちの“自信作”を一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。