インタビュー
[TGS 2019]学園ホラー「The Coma」シリーズは,学歴社会に対する負の感情から誕生。開発経緯や「The Coma 2」について話を聞いた
The Comaは,あるひょんなことから裏世界「Coma」に迷い込んだ主人公が,学園を舞台に殺人鬼と化した先生とチェイスを繰り広げながら,「Coma」の謎を解き明かしていく。先生に追いかけられるスリルと,謎が謎を呼ぶストーリーが魅力的で,Steamでも高い評価を受けているタイトルだ。
東京ゲームショウ2019のコーラス・ワールドワイドブースでは,The Coma 2の試遊台が展示されており,Devespresso GamesのMinho Kim氏(CEO/Artist)とTristan Lee Riven氏(CO-founder)も来日していた。
今回4Gamerでは,そんな両氏にThe Coma 2がどんなゲームになるのか,そもそもThe Comaシリーズの開発が始まった経緯などを聞いた。
The Comaシリーズの題材は,開発者の実体験や,学歴社会/学校に対する負の感情
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。The Coma 2の前に,まずシリーズ全体についてお聞かせください。前作のThe Comaは,そもそもどういった経緯で開発が始まったのでしょうか。
Minho Kim氏(以下,Kim氏):
開発がスタートしたのは2015年です。我々のチームの立ち上げと時を同じくして始まりました。当時は予算も限られている中でどのようなゲームが作れるかを考えていました。そのときにちょうど私がホラーゲームに興味があったので,これならうまくいくのではないかと思って題材に選んだんです。
4Gamer:
ホラーというジャンルの中から舞台を学校にしたのは何か理由があるのでしょうか。
Kim氏:
実は,The Comaの物語のベースは私の高校時代の体験をもとにしているんです。韓国は学歴社会で,生徒は良い成績を取ろうと必死に勉強しているので,みんなが何かしらのストレスを抱えています。そういった学校に対する負の感情をベースにして,The Comaの世界観を作り上げていきました。私も当時は悪夢にうなされていて,そのときの恐ろしい体験も作品の中に取り入れていますね。
4Gamer:
日本も韓国ほどではないかもしれませんが,そういった側面があるのでよく理解できます。
Kim氏:
韓国の文化に焦点を当てたゲームなので,配信する前は世界中のプレイヤーに受け入れてもらえるのか心配だったんですが,日本や中国といった東アジアの国だけでなく,欧米のプレイヤーからも好意的な反応をもらえてすごくうれしかったです。
4Gamer:
私が前作で印象的だったのは,学校にあるPCルームに「オンラインゲームを勝手にインストールするな!」や「PCからSSDを抜いたやつは誰だ!」という張り紙があったことです。PCゲーム文化が盛んな韓国らしいなあと思いました。
Kim氏:
そういった文化の違いを見つけて楽しんでもらえるのは本当にありがたいですね。私たちも,プレイヤーの皆さんが知らない韓国の文化に触れてもらいたいと思って作っていた面もあるので。
4Gamer:
文化の違いという側面からもう1つ聞かせていただきたいのですが,韓国のホラー作品というのはどういった特徴があるのでしょうか。
Kim氏:
韓国のホラー映画は学校を舞台にしたものがすごく多いです。幽霊も学校に対する負の感情や苦しみを抱えているという設定がメジャーで,ここはThe Comaと同じですね。
ただ,世界中のプレイヤーに楽しんでもらうために,The Comaでは韓国ホラーに加えて,欧米ホラーのエッセンスを取り入れています。私個人は「呪怨」などの日本ホラーも好んで見ていますよ。
ゲーム性と恐怖演出が大幅にパワーアップしたThe Coma 2。前作で明かされなかった謎も明らかに?
4Gamer:
さて,ここからはThe Coma 2の話題に移りたいと思います。どのような物語が展開されるのでしょうか。
Tristan Lee Riven氏(以下,Riven氏):
The Coma 2のストーリーは前作のエンディングから3週間後が舞台で,プレイヤーは主人公のミナという女の子を操作してゲームを進めていきます。
4Gamer:
前作は大きな謎を残してエンディングを迎えましたが,その謎はThe Coma 2ですべて明かされるのでしょうか。
Riven氏:
前作で明かされなかった謎に関してですが,The Coma 2でいくつかは解き明かされていくことになります。一方でより深まる謎もありますね。
4Gamer:
深まる謎もあるということは,The Coma 2より先のシリーズ展開をすでに考えているということですか。
Riven氏:
いえ,シリーズの物語はThe Coma 2で完結する予定です。DLCや続編は考えていません。深まる謎というのは,プレイヤーが想像したり考察したりする余地を残そうということです。
また,The Coma 2は前作を遊んでいないと楽しめないものではなく,単体でも楽しめるゲームに仕上げています。もし本作を遊んでみて興味を持ってもらえたら,前作もプレイしていただけると嬉しいですね。
4Gamer:
The Coma 2はシステム的にも,前作からかなりパワーアップを遂げているように見えます。
Riven氏:
私たちは少し前に「ヴァンブレイス:コールドソウル」というRPGを発売したのですが,その開発で得られた知見や新たに作った開発ツールをThe Coma 2に取り入れ,よりナラティブで深い物語を作ることができました。
キャラクターもかなり増えていますし,舞台も高校だけでなく,警察署や地下鉄,市場といったさまざまなロケーションが登場します。
4Gamer:
会話の中でカットシーンが入るなど,演出面もかなり強化されていますね。
Riven氏:
はい。これらのカットシーンもプレイヤーの選択やキャラクターの状態によって描写が少し変わっていきます。例えば,主人公のミナはゲームの進め方によって回復できないくらい致命的なケガをしてしまうことがあるのですが,そういった主人公の状態がカットシーンに反映されるんです。
4Gamer:
殺人鬼・ソング先生とのチェイスはどうでしょう。
Kim氏:
ソング先生もかなりパワーアップしていて,彼女自身の能力も行動AIもかなり強化されています。前作最後の時点での強さをレベル4とするなら今回はレベル5からスタートするというぐらい強いです。
Riven氏:
ただこの強さは「彼女がどれだけそのエリアを支配しているのか」に左右されるので,彼女の影響力が弱いエリアに行けば力は弱まりますし,逆もあります。
4Gamer:
それは手強そうですね。前作では先生の動きも単純だったので,とりあえずロッカーに隠れておけば何とかしのげた印象ですが。
Riven氏:
おっしゃる通り,前作では動きのパターンが少なく,後半になるとプレイヤーが慣れてしまい,恐怖が薄れてくる側面がありました。本作は静かにひっそりと忍び寄ってくるなど,主人公を追いつめるパターンが増えています。
また,隠れられる場所もロッカーの中や机の下などがあり,隠れるとちょっとしたQTEが発生します。見つかりやすい場所ほど複雑なコマンド入力が求められ,失敗しやすくなるので,本作ではどこに身を潜めるかも重要になってきます。
Kim氏:
ソング先生のほかの敵もバリエーションが増えていて,前作にもいた攻撃してくる敵のほかにも,主人公を追いかけてくる敵もいます。
また,探索要素もパワーアップしていて,懐中電灯で照らさないと見つからないものや,懐中電灯をアップグレードしてから再度,道を戻って探索すると見つけられるアイテムなどもあります。
4Gamer:
いろいろとパワーアップしていますね。
そういえば,ソング先生はスカートにきわどいスリットが入っていたり,胸元がちらりと空いていたりと,とてもセクシーな見た目をしてますね。もしかしてKimさんの個人的な趣味も入っていたりします?
Kim氏:
え,えーと……あんまり大きな声では言えないんですけど……イエスです(笑)。
(一同笑)
Kim氏:
でもお断りしておくと,彼女がセクシーな見た目をしているのは決して私の趣味というだけではないんですよ(笑)。だって,いかにも醜くて怖い幽霊が襲ってきたらそれは普通に怖いだけですが,普段魅力的な人が変貌して襲ってきたらすごく怖いと思いませんか?
4Gamer:
あんなに優しかった先生が……という感じですか。
Riven氏:
実は,ソング先生はストーリーの中でもすごく重要な人で,普段は明るい英語の教師で授業の雰囲気も表向きは和気あいあいとしています。
ただ,実は良い成績を取るのにとても苦労している生徒もいて,無意識のうちに授業に対して負の感情を持つようになった生徒もいるんです。それが,裏世界「Coma」に影響してあの恐ろしいソング先生を出現させているという側面があるんです。
4Gamer:
やはりキーワードは,“学歴社会/学校に対する負の感情”なんですね。
発売日はいつ頃になる予定でしょうか。
Riven氏:
もうゲームはほぼ完成していて,進行度としては90%といったところでしょうか。現在はよりクオリティを上げるためのブラッシュアップを行っています。2019年内にはSteamでアーリーアクセスを始められるのではないかと。そこで得られたプレイヤーからの意見を元に調整をした後,PS4,Xbox One,Switchといったコンシューマ機向けに発売を予定しています。
4Gamer:
日本語ローカライズ版はいつ配信されますか。
Riven氏:
具体的なスケジュールは未定ですが,希望を言えばアーリーアクセス開始と同時に日本語ローカライズも実装しておきたいですね。
4Gamer:
配信を楽しみにしています。
最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
Riven氏:
The Coma 2は,ホラーアドベンチャーゲームが好きな方にきっと楽しんでいただけると思います。ストーリーも重厚で深みを持ったナラティブなものに仕上がっています。魅力的なキャラクターが異世界「Coma」に閉じ込められるという異常な状況下で,どう生き残っていくか。ソング先生とのチェイスをどう切り抜けていくか,を怖がりながら楽しんでほしいです。
Kim氏:
The Comaシリーズを遊んでくださる方は,学生だったり,かつて学生だった大人だったりとさまざまだと思いますが,私は受験や人間関係など,学校生活で感じた/感じるストレスというのは世界共通だと考えています。ほかにも友達との熱い友情など,日本の方にも共感してもらえる部分がたくさんあると思います。興味を持った方は,ぜひプレイしてみてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「The Coma 2: Vicious Sisters」公式サイト
- 関連タイトル:
The Coma: Recut
- 関連タイトル:
The Coma 2: Vicious Sisters
- 関連タイトル:
ザ・コーマ2:ヴィシャスシスターズ
- 関連タイトル:
ザ・コーマ2:ヴィシャスシスターズ
- 関連タイトル:
ザ・コーマ2:ヴィシャスシスターズ
- この記事のURL:
キーワード
The Coma 2: Vicious Sisters(C)2020 Developed by Devespresso Games Inc. Published by Chorus Worldwide Games.(C)2020 Headup GmbH, all rights reserved.
The Coma 2: Vicious Sisters(C)2020 Developed by Devespresso Games Inc. Published by Chorus Worldwide Games.(C)2020 Headup GmbH, all rights reserved.
The Coma 2: Vicious Sisters(C)2020 Developed by Devespresso Games Inc. Published by Chorus Worldwide Games.(C)2020 Headup GmbH, all rights reserved.