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安田善巳氏による「GOD WARS」ディレクター通信【前編】 「編成・育成・攻略の楽しみ」を掲載
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印刷2018/04/28 00:00

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安田善巳氏による「GOD WARS」ディレクター通信【前編】 「編成・育成・攻略の楽しみ」を掲載

画像集 No.001のサムネイル画像 / 安田善巳氏による「GOD WARS」ディレクター通信【前編】 「編成・育成・攻略の楽しみ」を掲載


タクティクスRPGの美学


 「GOD WARS 日本神話大戦」PS4/PS Vita/Switch)ディレクターの安田善巳です。僕の場合、普段はプロデューサーを務めることが多いのですが、このGOD WARSに関しては、原作やシナリオを担当し、さらにはディレクターとしてゲーム開発の責任を担ってきました。いわば僕自身がルーツとなって生み出した、とにもかくにも思い入れの強い作品なのです。ここでは、僕のタクティクスRPGや日本神話に対する愛着や思考をお伝えしながら、最新作である「GOD WARS 日本神話大戦」の紹介をしてまいりますので、最後までお付き合いください。

 まず、僕がGOD WARSを生み出すきっかけとなったのは、かつて1990年代にきら星のごとく登場したタクティクスRPGの数々の名作との出会いです。それこそ、30年近くも前のゲーム黎明期の頃の話ですが、RPGとシミュレーションゲーム(以下SLG)が全盛期を迎えんとしていた時に生まれたシミュレーションRPGをさらに進化させたのがタクティクスRPGでした。当時、高低差や方向性をZOCに組み込んだタクティクスRPGは、パラメータオタクだった僕にとってはこれぞゲームの理想形と感じられるものでした。

 すなわち、SLGで言う索敵、生産や補給という要素はなく、その一方で、当時、一般的だったRPGと違って陣形やマップ攻略要素が組み込まれていて、その両方のおいしいところを厳選し、不要な要素を削ぎ落とした絶妙なゲームデザインをたまらなく好きになったのです。

高低差のあるマップやキャラクターの向きを考慮し、最適な戦略を練るのがタクティクスRPGの醍醐味
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 それから30年。タクティクスRPGの要素は様々なゲームに受け継がれていますが、その系譜は途切れつつあり、タクティクスRPGというジャンルは、存在感を失っています。僕がGOD WARSを創ったのは、この途切れた系譜をつなぎ、僕なりの新しい魅力付けをして、タクティクスRPGをユーザーの皆さんに楽しんでもらいたいと考えたからです。

 さて、その新しい魅力とはなにか。僕はユーザーが様々な戦術を駆使して楽しめる攻略の多様性ではないかと考えました。その要素として、バフ&デバフ、状態異常、ヘイト、囮、召喚獣などをピックアップし、キャラクターの専用スキルや職業の専用スキルを通してゲームデザインに落とし込んでみました。

本シリーズのバトルでは、けがれ(ヘイト)をコントロールし、敵のターゲットを操作することが重要となる
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 このアプローチ方法に僕の理想論が詰め込まれています。僕の理想とするタクティクスRPGは、まず出撃メンバーの個性を最大限に生かす編成システムになっているかどうかと言うこと。極論すると編成で攻略の70%ぐらいが決まるような、深みのあるゲームデザインにすることです。次に育成において、キャラクターの個性を育てる重層的なレベルデザインにすること。そして最後に攻略において、攻撃あるいは迎撃のそれぞれの戦略タイプについてゲームのバランスがとれていること。すなわち、パーティ編成を中心にキャラ育成、マップ攻略のそれぞれにおいて魅力的なゲームを作ることが、僕のタクティクスRPGの美学です。


日本神話大戦は編成、育成、攻略の視点から作り直した最新作


 昨年6月に「GOD WARS 〜時をこえて〜」PS4/PS Vita)を発売し、遊んでいただいたユーザーの皆さんにアンケート調査を行ったところ、「育てたキャラクターを使って攻略するバトルステージがもっと欲しい」との声、もっとやり込みたいとの要望をたくさん頂戴しました。もちろん、「時をこえて」だけでも、キャラクターレベルは最大LV99まで育てられ、バトルステージ数は本編と依頼を合わせて128ステージあり、120時間くらいは十分にやり込めるボリュームをご用意していましたが、仲間になるすべてのキャラクターを駆使するバトルステージがもっと欲しいというご意見はごもっともだと思いました。

 自分自身を振り返ってみると、僕もかつて「ファイナルファンタジータクティクス A2 封穴のグリモア」(ニンテンドーDS)を300時間やり込んだ思い出があり、ここはコアなタクティクスRPGユーザーなら絶対に必要だと考える気持ちはよく分かります。そこで、どうせ開発するなら究極のタクティクスバトルを存分に楽しんでもらおうと考え、単にシナリオやバトルステージを追加するのではなく、「時をこえて」をベースとしつつも、タクティクスRPGの中核である『編成・育成・攻略』の視点から作り直した「日本神話大戦」という最新作をお届けすることにしました。


日本神話大戦で取り組んだ6つの新要素


 それでは、僕が「日本神話大戦」で取り組んだ6つの新要素をご紹介してまいります。

 まず1つめは、やり込みロードマップを設定し、攻略ステージを三段階構成にしたことです。これは、「時をこえて」に「黄泉の迷宮」「深遠」というステージを加えて構成しています。難易度で言えば、「時をこえて」は好きなキャラクターをそれなりに育てていただければ必ずクリアできる初心者向けステージであり、「黄泉の迷宮」は職業やスキルを十分に育てないとクリアできない中級者向けステージとなります。それに対し、「深遠」ステージは、それこそキャラクターの専用職業や専用スキルを見極めて最適な編成を行い、専用スキルを効果的に駆使する攻略が求められるタクティクスRPG上級者向けの試練と位置づけました。

前作の「時をこえて」に、「黄泉の迷宮」「深遠」「周回プレイ」を追加。300時間を超える究極のやり込みが可能となった
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 2つめは、それでも「もっとやり込みたい、もっと攻略したい」と考えるタクティクスRPGの猛者のために、周回プレイができるようにし、周回プレイ時には「超難しい」というさらに上の難度を選択できるようにしました。周回プレイの引き継ぎ要素は、キャラクターLV、職業LVとJP、スキルLV、所持品、所持金、絵巻、埋もれた宝の獲得状況の7つですが、それぞれを引き継ぐかどうかについてもユーザーが選択できる設定にしました。

 3つめは、パーティ編成の強化です。これは、5人の新たなプレイアブルキャラクターを追加するだけでなく、究極の最終バトルを想定した時、「時をこえて」のキャラクター編成ではデバッファーとアタッカーの基本パラメータや専用スキルが弱いことを踏まえ、新キャラクターのオリヒメとモモタロウには、それぞれ個性的な専用スキルを設定しました。

けがれが増すごとに攻撃力が上がるモモタロウと、相手を大幅に弱体化するオリヒメは、高難度ステージの攻略には欠かせない戦力となる
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 4つめは、キャラ育成を面白くするため、キャラクターやスキルのレベル上限を開放し、LV99からLV199まで成長できるように修正し、最大出撃人数も8人まで増加しました。

 5つめは、カグヤたちに託された運命が明らかになる新シナリオの導入です。これは、ユーザーアンケート調査でいただいた「もっとキャラクターを掘り下げるシナリオが欲しい」との要望にお応えするものであり、富士国三姉妹やモモタロウの葛藤、オオクニヌシが苦しんできたコンプレックスが明らかになるなど、キャラクターの内面性が垣間見えるエピソードが展開されます。

新シナリオ「黄泉の迷宮」では、これまで語られなかったキャラクター達の過去や葛藤などの内面性が掘り下げられる
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 そして最後の6つめは、プレイアビリティの改善です。バトルスピードの高速化やマルチエンディング、ヘルプ機能などの実装によって、より快適にさくさくとタクティクスバトルをお楽しみいただけます。

 このように、「日本神話大戦」はやり込み要素を充実させ、タクティクスRPGを思い切り楽しみたいゲームユーザーの皆さんに対し、自信を持ってお薦めできる「タクティクスRPGの決定版」を目指して開発してまいりました。後編では、僕の個人的な思い入れを込めた究極のパーティ編成や攻略方法をご紹介しますので、お楽しみに!

<日本神話の魅力(前編)>
日本のお家芸「擬人化」は日本神話がはじまり

僕がGOD WARSを創ろうと考えたのは、日本神話の魅力を世界に発信したかったからです。社会人になって日本を離れ、世界中の人たちと交流する中で、生まれ育った日本の魅力を実感し、改めて好きになったとき、日本人の文化や価値観がどのように生まれ受け継がれてきたのか知りたくなりました。そして日本神話にその謎を解く、たくさんのヒントが書かれていることに気づかされました。その一つが日本のお家芸「擬人化」です。日本人は縄文時代より、すべての万物に霊が宿ると信じ、それを人間的に表現したことが擬人化のはじまりです。そこで日本神話に書かれた擬人化のエピソードを紹介しますと、例えば、古代の日本人は山を大きな「人」に見立て、大きな神様だと表現しています。山の頂点から首にあたる部分を司る神をオオヤマズミ、体をナカヤマズミ、手をハヤマヤマズミ、腰をマサカヤマズミ、足をシギヤマズミと呼ぶといった感じですね。日本が数千年も前の縄文時代よりこうした価値観や感性を受け継いで来ていることは、海外の人にとっては驚異的なことのようです。

「GOD WARS 日本神話大戦」公式サイト

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