連載
「遊戯王」の海外公式プレイマットを買ったので,お気に入りポイントや中古品を購入する際の注意点を紹介したい(「買い物Surfer」第17回)
――カードゲーマーは,サプライにこだわる。
これはカードゲームをプレイしている人であれば,少なからず共感してもらえる点ではないだろうか。
カードスリーブ1つ取っても,柄は無地かキャラクタースリーブか,スリーブは何重が好みか,加工はクリアかエンボスかなどなど,人によって好みはさまざまだ。
サプライは遊んでいるカードゲームに関係なく比較的自由に選べるため,プレイヤーの好みが特に出やすい部分でもある。カードゲーマーであれば,他人と使っているサプライの談義で盛り上がったことは誰しもが一度は経験していると思う。
つまりカードゲーマーにとってサプライとは,「服」のようなものであり,自分がどういった人物なのかを表現できる,重要な自己表現のツールなのである。
ということで,4Gamer編集部のスタッフが購入したものを好きに語る不定期連載「買い物Surfer」の第17回は,筆者が購入した,遊戯王のプレイマットや中古市場でサプライを購入する際の注意点について語ってみたいと思う。
さて,一般的にカードゲームを始める際には「カードスリーブ」「ストレージ(カードケース)」「プレイマット(ラバー製)」の3つをそろえた方がいいよというのは,経験者から初心者に向けてよく言われがちなことだ。
しかし,カードスリーブには「カードを保護する」,ストレージには「カードを持ち運びやすくまとめる」といった明確なメリットがあるが,プレイマットはそれがかなり薄い。
もちろん「テーブルへの貼りつきを防止することでカードが取りやすくなる」とか,「枠が印刷されているものであれば,カードを置く場所が分かりやすくなる」といったメリットはあるが,持ち運びは面倒だし,スリーブやストレージに比べると少し値が張る。ぶっちゃけ,3つのアイテムの中では,最も優先順位が落ちるものと言えるだろう。
では,なぜプレイマットを買うのかと聞かれるとそれは,「所有欲を満たせるから」という答えになるだろう。構築済みデッキなどに付属している紙のシートからステップアップしてラバー製のプレイマットを使うと,それだけでプレイヤーとして一歩進んだような感覚になるし,イラストが描かれているプレイマットであれば,元のカードの何倍も大きいサイズに印刷されたイラストを堪能しながら遊べる。
特に遊戯王OCGについては,ほかのカードゲームのように枠をはみ出してカードイラストが描かれることがないため,枠外に隠れていたイラストを確認できるのもポイントが高い。
前置きが長くなってしまったが,今回購入したのは欧州・北米で2020年に配布されたプレイマットの未開封品だ。購入の決め手となった最大のポイントは,ずばり「イラスト」。元のイラストは,<ヘッド・ジャッジング>という「遊戯王OCG」に存在する罠カードに描かれているものだ(関連リンク)。
カード名の通り,モンスターの「Ms.JUDGE」が頭の中(Head)で判定の成否を審理している(Judging)様子が描かれているわけだが,ヘッドジャッジとはカードゲームにおいては,大会における最終裁定権限者を指す用語として使われることもある。つまり,二重の意味を持つシャレの効いたネーミング / イラストになっているのだ。
これが印刷されているだけでもかなりユーモラスなアイテムと言えるが,このプレイマットの魅力はそれだけではない。というのも,プレイマットにでかでかと「JUDGE」と書いてあるとおり,本アイテムは,海外の公式大会で審判を務めた人に向けて配布されたものなのだ。
審判に向けて配布されたアイテムに,ジャッジをモチーフにしたシャレの効いたカードのイラストが印刷されている――何とも物語性を感じるオシャレな一品とは思わないだろうか。
ちなみに,筆者は,なるべく魔法・罠カードのイラストが使用されているものを選ぶというこだわりがある。理由として魔法・罠カードはモンスターカードに比べて,わちゃわちゃしていて動きがあるイラストのものが多く,見ていて圧倒的にワクワクするからだ。
基本的にプレイマットは1枚あれば十分なアイテムなので,使うものにはこだわりたいし,手に入れたときの感動はひとしおだ。まあ,筆者はプレイマットを複数所持しているので,あまり説得力はないかもしれないが……。
中古市場を利用する際には違法コピー品に要注意!
公式のプレイマットを入手する方法として最も確実なのは,全国に展開している「コナミ カードゲームステーション サテライトショップ」で購入することだ。
ただ,こちらも期間限定販売がほとんどであるうえ,プレイマットの中にはイベント限定で配布されたものや海外のみで配布された品も存在する。そのため,こだわる人や物理的にサテライトショップに行けないという人は,カードショップやリサイクルショップなどを利用するという選択も視野に入ってくる。現に今回筆者が購入した品もカードショップで手に入れた二次流通品だ。
しかし,こうした中古品を購入する際に避けて通れない話題が,“違法なコピー品”の存在である。残念ながら市場には,こういった海賊版が出回っていることも少なくなく,注意深く見ていなければ,知らず知らずのうちにニセモノをつかまされていたということも十分にあり得るのだ。
かくいう筆者も10年ほど前にコピー品のプレイマットをインターネットオークションで偽物と知らずに買ってしまったという苦い経験がある。
ここからはその経験を踏まえて,筆者が中古品購入時に気をつけているポイントをお伝えしたい。
(1)正規品の仕様をあらかじめ把握しておく
具体的に押さえておく仕様は「公式に存在するデザインか」「正確な印刷がなされているか」「マットのサイズは合っているか」の3点だ。
1つめの「公式に存在するデザインか」という点については,違法コピー品の中に存在する,カードのイラストを勝手に流用して作った公式アイテムにはないデザインのプレイマットを弾けるからである。正規品については国内外問わず,公式サイトなどを調べれば情報が出てくる場合が多いので,必ず下調べを行おう。
ちなみに今回購入した「ヘッド・ジャッジング」のプレイマットについては「遊戯王 TCG」のTwitterアカウントで配布がつぶやかれている。購入を検討している商品が公式に存在することを証明する第1ソースにあたることを心がけたい。
A card that any judge can relate to, Head Judging is our third Judge Travel Mat for 2020.
— Yu-Gi-Oh! TCG (@YuGiOh_TCG) January 23, 2020
Registered Konami Judges can get an opportunity to receive these mats by judging at a Tier 3 event beginning in Feb 2020. #YuGiOh
?? https://t.co/Zm5RkLQiRB pic.twitter.com/xeWpoXI9sJ
2つめの「正確な印刷がなされているか」だが,大半のコピー品は印刷が不鮮明だったり,印刷範囲が正規のものにくらべて狭かったりする。色味が違う場合もあるが,公式のものでも個体差がある場合があるので,これについては判断が難しい。ほかの要素と複合的に判断し,納得したうえで購入しよう。
さらに分かりやすいパターンとしては,ロゴの位置が異常にずれていたり,そもそもロゴがデザインされていなかったりする場合が挙げられる。筆者が過去につかまされたコピー品は本物と色味が明らかに違うのに加えて,メーカーのロゴがキチンと印刷されていなかった。
3つめの「マットのサイズは合っているか」については,往々にしてコピー品は正規品とサイズが異なるからだ。実際に筆者が持っているコピー品と正規品の大きさを比較した写真が以下になる。
しかし,先ほどの色味でも挙げたように製造された時期や生産国によって,大きさやプレイマットの厚みが異なる場合もある。個体によっても裁断にバラツキがあるため,微妙に大きさが違うからといって本物ではないとも言い切れない。パッと見は同じプレイマットなのに明らかにサイズや厚みが違う場合や,前述した2点が怪しい場合に確かめる1つの項目として頭に入れておこう。
拡大するとキラキラしたラメのようなものが見える |
横から見た写真。北米版に比べて,上に置いてあるアジア版の厚みがよく分かる |
(2)なるべく現物を見てから購入する。通販では実績のある専門店を選ぼう
(1)で述べた3点,特にサイズ感と正式な印字については,なるべく実店舗で現物を確認すればトラブルを回避できる場合が多い。しかし,お目当てのプレイマットがピンポイントで存在する場合は,どうしても通販を利用しなければ手に入らないということもあるだろう。
通販を利用する際に注意したいのは,なるべく取引実績のあるカードショップから購入すること,必ず現物の写真を送ってもらってから検討することである。本物であったとしても,印刷欠けやほつれといった商品に瑕疵が存在する場合もあるからだ。
特にフリマアプリやネットオークションについては,商品ページに見本しか載せていないという場合も多い。まれに現物とは異なる写真を載せているという悪質なケースもあるので,トラブルが起きた場合はしっかりとフリマやオークションの運営元に通報しよう。
以上が中古品を購入する際に筆者が注意している点になる。もっとも,こういったコピー品についてはカードショップで働くプロでも鑑定を誤ることがあり,たびたび取り沙汰されている。正規品が手元にある状態でないと完全に真贋を見極めることは難しいだろう。ただ,事前のリサーチや取引に慎重になるという癖をつけておけば,少なくともあからさまなコピー品をつかまされることはなくなるはずだ。
コピー品は以前から問題視されており,遊戯王OCGの発売元であるKONAMIも権利侵害品に関する声明を出し,コピー品であると知りながら購入する行為もやめるように注意喚起している。また,ポケモンカードのイラストレーターとして活躍している,さいとうなおき氏も,過去にTwitterで自身のイラストを無断使用した海賊版について言及していた(関連リンク1 / 2)。
違法なコピー品と知ったうえで購入するのは絶対にやめるとともに,もし海賊版を購入してしまった場合は,被害を拡大させないためにも市場に流さず,処分するか手元に置くようにしよう。
冒頭でも述べたようにプレイマットはカードでは見られなかったイラストの細部を確認できるうえ,所有欲を満たしてくれるステキなアイテムであることは間違いない。持っているだけで,カードゲームへのモチベーションがググッとあがるものなので,読者のカードゲーマーもお気に入りの1枚を見つけて良いカードゲームライフを楽しんでほしい。
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(C)高橋和希 スタジオ・ダイス/集英社 企画・制作/KONAMI