インタビュー
リラックマ,たれぱんだ,すみっコぐらしにアフロ犬。懐かしのサンエックスキャラも登場するスマホ向けパズル「すみすみ」インタビュー
リラックマやすみっコぐらしなど,幅広い層に愛される人気キャラクターのほか,直撃世代ならば「おっ!」となるアフロ犬やたれぱんだといったキャラクターたちが勢揃いし,どことなく懐かしさを感じた人も少なくはないのではないだろうか。
今回4Gamerでは,見た目からしてかわいい本作の開発経緯を,イマジニア モバイルメディア事業本部の山本佳樹氏と梨木 望氏,中村友香氏,河野淳一氏にインタビューしてきた。
「すみすみ」公式サイト
「すみすみ」ダウンロードページ
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【そもそも「すみすみ」って何?】
すみ神様がパーティーを盛り上げるために,“すみすみ”やスイーツを作ったはいいけれど,気がついたらすみっこがぎゅうぎゅうになっていた。プレイヤーはパーティーが楽しくなるよう,ぎっしり詰まったすみすみやスイーツをパズルで片付けることに!
パズルのルールはとてもシンプルで,同じすみすみが2個以上並んでいるところをタップし,片付けをしていけばOK。すみすみが消えると,部屋のすみっこに向かってキャラクターたちがスライドしていく。
一気に7個以上片付けると,その数に応じてライン/サークル/レインボードラムが発生し,広範囲のすみすみをサクッと消せるようになる。
ステージごとに定められたお題を規定の手数内で達成すればクリアとなるのだが,かわいい見た目に反してパズルの難度は少し高めな印象。といっても,1手先の展開を予測してすみすみを片付ければクリアできるバランスになっている。
「アフロ犬」覚えていますか?
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。イマジニアとSoWhatによって開発されたパズルゲーム「すみすみ」が配信されましたが,詳しいお話を聞く前に,まずみなさんの本作におけるポジションを教えてください。
では,まず全体の座組みから。イマジニアはキャラクターの権利元であるサンエックスからキャラクターのライセンスをお預かりしてアプリのパブリッシングを行い,ゲームの開発/運営においてはグループ会社であるSoWhatが担当しています。
私自身はゲームプロデューサーのポジションで,権利元との折衝や全体のビジネスの組み立てなどを統括しています。梨木はディレクターのポジションで現場を見て,河野と中村はプロモーションを担当している,という具合です。
4Gamer:
SoWhatといえば馬場一明氏が2015年に設立した会社で,最近だと「LINE アキンド星のリトル・ペソ」が記憶に新しいですね。企画立ち上げの経緯と絡むところかと思いますが,本作の開発はSoWhatありきで始まったのでしょうか。
山本氏:
ええ。グループ戦略としてイマジニア×SoWhatで新たなスマホ向けゲームを作るところからスタートしたプロジェクトなので,開発はSoWhat以外の選択肢はありませんでした。
4Gamer:
なるほど。イマジニア×SoWhatの組み合わせから考えるとカジュアル層向けでかわいらしいゲーム,というのはなんとなく想像できました。ただ,作品単体ではなく,サンエックスのキャラクターがまるっと登場する夢のようなコンセプトで攻めてくるとは思ってもみませんでした。
山本氏:
キャラクター個々ではなくオールキャラに近いもの,そしてより多くのお客様に手に取っていただきたい,そんな想いから,約2年前にプロジェクトが始まりました。というのも,サンエックスIPを使用したオールキャラ的なスマホ向けゲームは今回が初なんです。
4Gamer:
そうですよね。これまでは「あつめて!リラックマ」「すみっコぐらし〜パズルをするんです〜」など,IP個々のタイトルをリリースされていたのもあって,タイトルが発表されたときは「おおっ」となりました。
山本氏:
IP単体のアプリを作れば,そこに集う人はおのずと作品のファンに限定されてしまいますけど,オールキャラに近いものであれば,より広い層へのアプローチが可能になりますからね。
4Gamer:
登場するキャラクターはどの作品あたりまでなのでしょう?
具体的な作品名はお答えできないのですが,歴代キャラクターが“ほぼほぼ”登場します。リリース時の段階では23キャラクターが実装されていて,ゆくゆくはサブも含めて100以上になるはずです。
河野淳一氏(以下,河野氏):
これだけのキャラクターを登場させることで,「リラックマ」や「すみっコぐらし」のように目立って人気のあるキャラクターのほかにも「こんなキャラクターがいるよ」と,知ってもらう導線になるのではと期待しています。
4Gamer:
たしかに。「みかんぼうや」や「こげぱん」「モノクロブー」など,そのキャラクターに触れていない世代が見たら「新キャラかな?」と,元となる作品を調べてしまうかもしれません。
山本氏:
そうなってくれたらうれしいですね。ゲーム内には原作の情報を見られるページを用意しているので,気になるすみすみを見つけたら,ぜひそのページをチェックしてほしいです。
登場キャラクターに懐かしさを感じているお客様もいて,タイトル発表時には「アフロ犬,超懐かしい……!」とSNS上でコメントしている方もいました。
4Gamer:
すごく分かります。学校で「アフロ犬」がプチブームになった世代だったので,懐かしさを感じずにはいられませんでした。
せっかくなので,みなさんの推しキャラクターを教えてもらえませんか。
梨木氏:
「しらす隊」です。気絶させられてパックの中に閉じ込められた“しらす”たちが,海に生きて帰りたい一心で脱走する独特の世界観をもっています。単独行動だとネコやトリに襲われてしまうから,みんなで“しらす隊”を組んだ,というのがまたおもしろいんですよ。
4Gamer:
私自身「しらす隊」がすごく気になりました。「ノーマルしらす」というキャラクターがいるけれども,ノーマルではないしらすもいるの? とか,そもそも“しらす隊”ってなんなんだ……と(笑)。
山本氏:
僕としては,すみっこの神様すみ神様を推したいです。すみ神様は「すみっコぐらし」の誕生5周年を記念して生まれた特別なキャラクターで,本来は5年に一度しか登場しないんです。そんなレアな存在かつ,周年のタイミングでしか姿を現わさないキャラクターがナビゲーターとして活躍してくれます。ゲームでの登場は「すみすみ」が初めてなので,ぜひ注目してほしいです。
中村氏:
私は「アフロ犬」です。世代的に「アフロ犬」や「たれぱんだ」の文房具を小学生時代に使っていて,とても馴染みのあるキャラクターなんですよね。昔見ていたキャラクターにデジタルな環境でまた出会えるというのは,感慨深いものがあって。
あと,コリラックマも外せません。かわいらしい見た目がたまらないんです。
僕は「かものはしかも。」と「いいわけん」を推したいです。「いいわけん」はご主人のために言い訳してあげたいキャラで,「かものはしかも」は「〜かも」といろんなものを曖昧にしてしまいます。これが見ていてすごく癒やされるんですよ。仕事で決めなきゃいけない場面で「〜かも」って,代わりに言ってほしくなります。
4Gamer:
曖昧にしていくスタイルですね(笑)。
1枚のイラストから生まれた
すみっコに似たなんだかころころしたもの
4Gamer:
サンエックスという元のブランドが一緒でも,個々の作品の世界観やキャラクターのフォルム,色合いはどれも異なりますよね。そういった世界観の違う複数のキャラクターをゲームの中に登場させるとなれば,デザインのバランシングが大変だったのではないでしょうか。
山本氏:
おっしゃるとおりオールキャラ的なものだと,イラスト1つとっても色味も形もバラバラなので,それを1つの型にはめ込むのは難しく,なかなか成立させづらいです。
ただ,「すみすみ」に関してはSoWhatのデザイナーが描いたイメージイラストがきっかけで,ゲームオリジナルのデザイン/世界観が生まれました。丸みを帯びたこのフォルムは開発初期から決まっていたんですよ。
梨木氏:
その方がもともとIPもののデザインを手掛けていて,作品の世界観を崩さずにかわいらしいデザインに仕上げてくれました。
河野氏:
スタッフの反響もよかったですよね。
4Gamer:
“すみっコに似たコロコロしたもの”がそのとき生まれたと。
山本氏:
ストーリーや設定はあとから付いてくるもので,このイラストをもとにサンエックスと話をしたら,すみ神様が杖を振ったらドラムやケーキといったパーティーグッズのほかに,コロコロとした何かが落ちてきた。それがすみすみと呼ばれる,キャラクターたちに似たコマだったという設定ができあがったんです。
梨木氏:
なので,ゲーム独自の世界でありながら「すみっコぐらし」っぽさも感じられる設定になっています。
4Gamer:
キャラクターのかわいらしさもさることながら,パズルのシステムも目を引くものがありますよね。盤面に奥行きがあって,すみすみたちがステージの隅に向かって進んでいくさまがユニークでした。こういったパズルのシステムはどういったコンセプトで形になったのでしょう。
山本氏:
「すみすみ」らしさを保ちつつ,システム自体はシンプルで分かりやすく簡単操作で楽しめるものを目指した結果です。サンエックスキャラクターのファンはライト層寄りですので,なぞったりスライドしたりする操作ではなく,タップして消す操作感が理想であると考えました。
梨木氏:
企画が立ち上がった当時は,なぞったり,スライドしたりして操作するパズルゲームが市場で定番化していたのもあって,「すみすみ」ではそれらとは違った路線を目指そうとしていました。今となっては「Toy Blast」など,タップでブロックを消すいわゆる「SAME GAME」系のパズルゲームが目立ってきましたが,2年前の段階ではタップ系のパズルはまだまだ珍しいものでした。
たぴおかがすみすみの進む方向を変えるギミックも,遊んでいて新鮮でした。
梨木氏:
ありがとうございます(笑)。それは特定のすみすみをステージの角へ運ぶ遊びを成立させるために生まれたシステムです。これが1方向にだけ進むシステムだと,どこかのタイミングで手前のすみすみしか片付けられなくなってしまい,詰みやすくなってしまいます。向きを変えるギミックを取り入れたことで,いいバランスに仕上がりました。
山本氏:
向きが変わることでプレイヤーが想像していなかった盤面に変化して刺激になりますし,その変化がチャンスにもピンチにもなり,遊んでいて面白いポイントだと思います。
河野氏:
たぴおかのギミック以外にも,仕掛けやステージクリアの条件がバラエティに富んでいるので,カジュアルに遊びたい人も,パズルを極めたいコアな人でも幅広く楽しめるはずです。
4Gamer:
簡単なパズルって,なんとなく消したら連鎖が発生して,いつの間にかクリア出来てしまうことがよくあるんですが,「すみすみ」は何も考えずに消し進めてしまうとクリアできない,けれどきちんと考えればクリアできるうまいバランスに仕上がっている印象でした。
個人的にお聞きしたいんですが,スムーズにクリアするコツはあったりしますか?
梨木氏:
目標地点へたどり着くにはどのすみすみを片付けるべきか,どこにドラムを発生させると効率がいいかを先読みしてタップすることです。ハイスコア狙いなら小さく消さずになるべくたくさんのすみすみを巻き込めるよう,大きな塊を狙う,ドラムを複数個一緒に消すといいと思います。
4Gamer:
とても参考になります!
ちなみに,今後はどれぐらいのペースでコンテンツを追加していくのでしょうか。
梨木氏:
月に1度のペースで,20個のステージで構成されたエリアを1つ追加予定で,2月中旬頃には新エリアを実装します。今後は通常のエリア追加以外にも,期間限定イベントとして季節の特別ステージを登場させる構想があります。
山本氏:
キャラクターも同じぐらいの頻度で,1度に2キャラずつ追加していきます。すべての作品/キャラクターがたくさんの人に知られているというわけではないので,今後どのキャラクターを実装するかは,みなさんの反応を見て検討していくと思います。
とくに人気の高いキャラクターに関しては,季節ごとの装いになったバージョン違いも登場させる予定ですので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
追加キャラクターの中には「すみすみ」オリジナルもいたり?
山本氏:
入れたいですね。とはいえ,原作あっての「すみすみ」ですから,現状ではその予定はないです。
4Gamer:
わかりました。それでは最後に「すみすみ」のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
山本氏:
「すみっコぐらし」の5周年は昨年で一段落したところなので,本来であればすみ神様は世の中には出てきません。このゲームにだけ特別出演しているすみ神様に会いに来てください。
梨木氏:
「すみすみ」は一般的なパズルとは異なり,遊び手に爽快感を与える連鎖がありません。ですが,パズルゲームには欠かせない“気持ちいい瞬間”を,「すみすみ」ではドラムで体感できるようにしてあります。ステージにドラムが発生したら,タップして一気に消せる気持ちよさを体験してみてください。ドラムの消え方や音の鳴り方にもこだわって制作しているので,ぜひ注目してほしいです。
河野氏:
ゲームのオープニングムービーが,とてもかわいらしい出来になっています。「すみすみ」のためだけに作られたオリジナルムービーですので,各キャラクターのファンの方にも新鮮な気持ちで楽しんでいただけると思います。
中村氏:
キャラクターを転がすシステムなど,細かな部分まで作りこんでいます。随所で見られるすみ神様のコメントは,ジワジワとくるものがあるのでチェックしてみてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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