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【PR】アニメ「ドールズフロントライン」インタビュー。人形たちの生存をかけた終末世界銃撃戦は,シリアス成分96%!
ついに映像でも,硝煙立ち込める「少女」たちの前線へ。
年明けそうそうの2022年1月7日から,SUNBORN Network提供のスマートフォンゲームを原作とするアニメ「ドールズフロントライン」が,各動画配信サービスおよび国内地上波放送で展開される。
アニメはドルフロ総本家の上海散爆(サンボーン)ならびにサンボーンジャパンの協力・監修のもと,ワーナー・ブラザース ジャパンのプロデュース,旭プロダクションのアニメーション制作で贈られる。
★ストーリーの要約
とある事件を発端に流失した放射能汚染液「コーラップス液」が,地球上を汚し,世界に荒廃をもたらした近未来。
人々は文明復興を掲げ,少女型の“人形”を作り出すが,人形を生産する企業「鉄血工造」のAIが暴走。人類に反旗を翻す。
世界を脅かす巨悪に対抗すべく,軍事会社「グリフィン&クルーガー」は,銃を持たせた「戦術人形」と,彼女らを指揮する人間「戦術指揮官」を運用し,鉄血の調査・殲滅におもむく。
そのさなか,グリフィンの人形部隊「AR小隊」を率いる「M4A1」と,新人女性指揮官「ジャンシアーヌ」は鉄血との壮絶な戦いをとおし,背後に潜む謎に迫っていく――。
といった内容のアニメ公開に先駆けて,今回はサンボーンジャパン マーケティング部担当の松永裕一氏と,ワーナー・ブラザース ジャパン プロデューサーの前田有希氏に,制作面のインタビューをしてきた。
アニメで動く戦術人形たちによる,鉄血との激戦の絵図。
ドルフロは映像として,どんな作品を目指しているのか?
アニメ「ドールズフロントライン」公式サイト
「ドールズフロントライン(旧名:少女前線)」4Gamer内サテライトサイト
「ドールズフロントライン(旧名:少女前線)」公式サイト
「ドールズフロントライン(旧名:少女前線)」ダウンロードページ
「ドールズフロントライン(旧名:少女前線)」ダウンロードページ
ハードな世界観を浮き彫りにする
4Gamer:
本日はアニメドルフロのお話,よろしくお願いします。
松永裕一氏(以下,松永氏):
よろしくお願いいたします。
前田有希氏(以下,前田氏):
よろしくお願いします。
4Gamer:
はじめに,アニメ化の経緯をサンボーン側から教えてください。
松永氏:
事のはじまりは,ワーナーさん(ワーナー・ブラザース ジャパン)にアニメ化のオファーをいただいたことでした。
ドルフロは過去,コメディ調のミニアニメ「どるふろ」を制作しましたが,物語本編のストーリーアニメを制作したいと聞いたとき,単純な話,中国で制作されてきたゲームが日本でどういうアニメになるのか,スタッフらが好奇心に押されまして。先日迎えた(日本版の)ゲーム3周年にあわせて作っていただこうと決めたのが大きな経緯となります。
4Gamer:
上海散爆自体,ゲームやアニメなどのカルチャー好きが高じて今に至るようですし,理由も「俺らが見たい!」だけで十分そうですね。
松永氏:
そうですね(笑)。
一応,マルチメディア展開としては「ゲームでこう見せたが,アニメではこう見せる」といった見せ方の工夫で,ドルフロを知らない人の興味も引ける作りを目指してもらえました。ゆくゆくは主題でもあるミリタリー方面にも裾野が広がっていくとうれしいですね。
4Gamer:
さて,アニメ化のきっかけはワーナー側とのことですが?
前田氏:
ええ。はじまりはワーナーからお声がけさせていただきました。
そもそも「少女前戦」(中国版ドルフロの名称)が世界各国で人気があるのは前々から把握していて,僕らワーナーは映画にしてもそうですが,特定の地域でウケる作品だけでなく,全世界で支持される題材も日々探していることもあり,ドルフロのアニメ化を提案させていただきました。
4Gamer:
グローバルにイケる作品だと。題材的にはニッチな気もしつつ。
前田氏:
世界中で認知されている作品なのは疑いありませんし,あとゲーム原作でミリタリーでと,弊社のアニメ部門として,今までになかったタイトルであることも理由の一つです。
ドルフロは本編に寄るとハードな世界観なので,まさに戦場に生きる少女たちの物語として,アニメでやってみたい作品でした。
4Gamer:
ではその中身について。率直にどんなアニメになるのでしょう。
前田氏:
ゲームのほうが静的な画面で,プレイヤー自身が主人公という構造でしたので,アニメーション制作の旭プロダクションさんと相談した結果,原作ゲームの流れをそのまま再現するのではなく,“原作を踏襲しているコミカライズ版のシナリオ化”(※)をベースにしようと決めました。
※REXコミックス「ドールズフロントライン 人形之歌」
発行:一迅社 既刊:4巻(記事掲載時,連載中)
4Gamer:
人形之歌を。戦術人形はどれくらい登場させるのです?
前田氏:
多いですよ。アニメ全体の登場人物数が70人近くで,その大半は戦術人形です。1クールものとしてはかなりキャラ多めです。
映像としては,壮大な世界や複雑な設定の説明に尺を使うのをさけるべく,AR小隊をはじめ“登場人物の視点・動向”に重きを置いています。強いて言えば,ドキュメンタリー的な表現ですかね。戦場の過酷さや状況の解決に反応を示させる,記録的な演出になるように心がけました。
松永氏:
設定の説明セリフをなるべく省き,視覚的な表現でスルッと「この世界ではそういうもの」と受け取ってもらう方針ですね。
4Gamer:
その点だとダミーリンクシステム(※)あたりが,知る人は分かるが,知らない人は「なんか同じ子がいる!」とギョッとするのかなって。
※戦術人形の機能。親機(1体)が同型の子機を統括するシステム。絵面でいうと「戦場で同じ顔の子が5人並んでる」などの意
前田氏:
そこは説明せずに納得させたい設定面の優先課題でしたので,冒頭でいきなり同じ顔の人形を登場させ,彼女たちが人間ではなく機械的な存在である,ということを伝えられるようにしてもらいました。
そうやって,なんとなーく説明できる映像を目指しています。
4Gamer:
そのあたり,サンボーン側から注文したことなどは。
松永氏:
いえ,設定関連は細かに相互確認しましたが,映像作りへの口出しはほぼないです。私としても上田 繁さんが監督,倉田英之さんがシリーズ構成・脚本と聞いて,その時点で安心感を持てましたし。
それに,言ってしまえば我々はアニメの素人です。変に注文せず,アニメのプロの方々に任せたほうが,私たちもファン目線で驚きが生まれるんじゃないかと思っていて。まあ,倉田さんはノリノリで脚本を書いては,行き詰まって悶絶されてたりもしましたが(笑)。
前田氏:
倉田さんには事前にゲームシナリオも先のほうまで読んでもらい,そのうえで「ここは入れたい」「この子のセリフ使いたい」と,シーンや小ネタを含めて取捨選択をしてもらいました。
そういったもろもろもサンボーンさん,ワーナー,旭プロダクションさんで逐一相談し,3社で協力しながら作ってきたんです。
4Gamer:
言ってしまえば,ドルフロはいろんな意味で“重たい原作”に当たるかと思いますが,アニメ制作のスタッフは大変そうでしたか。
松永氏:
銃器を持つ,人間ではないけど普通の女の子に見える「戦術人形」という存在も特殊ですし,全員がミリタリー方面に精通しているわけでもないでしょうから,おおよそ書き慣れていないであろう銃のデザインには「ご苦労おかけします……」と申し訳ない気持ちでいっぱいで(笑)。
ただ,旭プロダクションさんは制作に向けて,まずその道の専門家(銃のインストラクター)を探すところからはじめて,作画中にキャラクターの銃の扱い方に間違いがないよう,持ち方や構え方を指導してもらいつつ,撮影して資料とするなど,熱心に研究してくださいました。
前田氏:
設定が複雑なため,制作全体をとおしての確認ごとが膨大にあったので,最初から最後まで常に作業と確認を並行しながらの制作でしたね。それに戦術人形の数=専用銃器の数なので,アニメ用のデザイン作業も通常のアニメ先品と比べて何倍にもなりましたし。
人形の名称もミリタリー方面になじみがないと覚えづらく,銃器の3Dモデルをきっちり仕上げたあとも,「M4A1は左利き」など人形ごとの利き手で持たせたり,銃にかける指の形を間違えないようにしたりと,毎回毎回,大量の人形の確認,銃の扱い方の確認,銃ごとにロケハンを終えてからようやく作画に入る……という繰り返しで,旭プロダクションの皆さんにとても負荷がかかってしまいました。
■「M1895」デザインラフ |
■「モシンナガン」デザインラフ |
4Gamer:
いつ鳴るか分かりませんものね。ミリタリー警察のサイレン。
松永氏:
ただまあ,そのあたりもこだわるほうが当然よいのですが,そこにカロリーを割きすぎるより,ストーリー演出に力を注いだほうが絶対に面白くなるはずでしたから。我々も気付いたことには指摘したものの,厳密な点については多少なりともお目こぼしいただけると……(笑)。
前田氏:
彼女らは人間じゃなくて戦術人形ですからねっ。
僕ら人間には不向きな,より最善な扱い方もあるはずですし(笑)。
4Gamer:
近未来SFのすごい人形たちの激しい銃撃戦ですもんねえ。
ワーナー側は,作品作りを任せてくれるIPホルダーってどうですか?
前田氏:
監修に関してはお伝えしたとおり楽ではありませんでしたが,設定面をしっかりと指摘してくれたうえで,アニメ作りは制作側のセンスに任せてくれるところは肩の力を抜いて臨めましたし,アニメ畑のプロとして尊重してくれるからこそ気合も入るところでしたね。
4Gamer:
先ほど認知度にも触れましたが,シリアスな世界観で美少女が銃撃戦。少女前戦はこれらの要素で,ゲーム界隈でのトレンドを形成しましたが,2022年のアニメ市場的にはどうでしょう。アリかどうか。
前田氏:
トレンドの位置づけはハッキリとは言えませんが,僕はドルフロが確実に面白い作品で,映画的な見せ方も映える内容だと思っています。
それに「銃火器が登場するフィクション」というのは,アニメでも映画でも普遍的なものです。それ以外の要素もエンタメコンテンツ好きには慣れ親しんだものなので不安はありません。しかも“人じゃない人形がそれぞれの都合で戦う”という構図は非常にワクワクする設定ですし。
4Gamer:
ならば,既存のファンが多いコンテンツ,あるいはゲームのアニメ化と言ってもいいですが。そこにプレッシャーはありましたか?
松永さんはニトロプラス,前田さんはゲームポットと,それぞれゲーム業界とも古くから関わっているので勝手知ったると思いますが。
前田氏:
ゲームのアニメ化って,やはり難しいところがあるにはありますよね。ゲームは操作したり育成したりと,自分で選んで操る楽しさの集合体ですが,アニメ化はそこからストーリーを集中的に切り取るものですし,見せ方の違いというのも成否があるわけじゃないので。
それでも,ドルフロは物語にだけ集中しても十分なポテンシャルがあります。ゲーム業界でトレンドを生み出したように,この世界観が好みな潜在層もまだまだたくさんいると思っています。
松永氏:
我々にとってアニメ化は,オフィシャルの正解を提示するためではなくて,「この場面はこういう見方もあるよ」っていう,作品の断片図として楽しんでもらいたい意図があります。それにドルフロ自体,物語の奥行きもだいぶ広がり,来年以降は過去編や未来編の新作ゲームも提供予定と拡張しているので,アニメならではの見やすさは大切でした。
アニメから入り,ゲームやコミック,同人活動へと目が向き,皆さまの日々の生活をちょっとでも楽しくできたなら,うれしい限りです。
シリアス成分96%!
4Gamer:
あらためて,アニメの具体的なあらすじを教えてください。
前田氏:
舞台は,汚染により文明が崩壊し,生き残った人類が,少女の姿をした「戦術人形」を生産・活動させている近未来世界です。
そこである日,人形を作っている軍需企業「鉄血工造」のAIが暴走し,人類を脅かすこととなり,軍事会社「グリフィン&クルーガー」が対抗すべく立ち上がりました。ざっくり言うと,二大勢力の争いです。
4Gamer:
人類の活動領域がおそろしく狭まっていて,鉄血には広い地域を占領されていて,さらにそれ以外の脅威もいちゃったりと。まさに地獄。
前田氏:
コーラップス液で世界が崩壊して,現代のような大陸間弾道弾の技術もなくなって,人の代わりの人形に近距離で銃撃戦やらせているってところが,もうキャラクター同士を絶対に戦わせてやるって設定じゃないですか? そのハードさに想像をかき立てられますよ。
4Gamer:
もう一点,主人公は人形ですか? それとも指揮官?
前田氏:
アニメでは人形です。グリフィンの「AR小隊」の隊長「M4A1」です。
また,グリフィン側は人間の指揮官により人形が運用されますが,鉄血側は人間が介在しない完全なる機械勢力という対比となります。
4Gamer:
人に動かされる人形と,AIに動かされる人形と。
前田氏:
はい。見どころとしても,人じゃない人形同士が撃ち合い,かけ合い,思い合う。自分たちの存在意義への葛藤や人形としての悲哀がメインとなります。自分を戦争の道具だと割り切る子,そうでない子,人形それぞれの個性が戦いの場でどのように表出するのか。
そこで生まれてくる彼女たちの感情にせよ,人形にとっての感情とはなんなのか? 考えさせられますよね。
■「M4A1」(CV:戸松 遥) |
■「ジャンシアーヌ」(CV:小松未可子) |
4Gamer:
そうしたなかでの指揮官「ジャンシアーヌ」の立場とは。
前田氏:
戦術指揮官は人形を戦地に送り出し,拠点から現地部隊を指揮する存在です。企画当初は「指揮官の登場は必要なのか?」から討論をはじめて,関係者らでいろいろと話し合いましたが,最終的にコミカライズですでにジャンシアーヌが受け入れられている背景を頼りにしました。
アニメ自体,同作をシナリオ化するという全体像ですから。ジャンシアーヌは登場してしかるべきという結論ですね。
4Gamer:
彼女はどのような人格なのでしょう。
前田氏:
普段は粗雑でだらしない性格の女性ですが,指揮官としての能力は随一です。また「人形は道具」と考えるのが常識な世界にあって,彼女はM4ら指揮下に置く人形たちを人として尊重するかのように接し,扱うという,この世界では珍しいスタンスの持ち主でもあります。
人形たちを戦わせる指揮官であり,直接描写されるわけではありませんが,彼女たちのお姉さん的な存在でもある,みたいな。映像作品としても視聴者が共感しやすい人物という,大切な視点を担ってもらいます。
松永氏:
それでも,コミカライズよりは意図的に露出を抑えましたよね。性格や感性などは,人形之歌での彼女の人となりに沿っていますが,アニメではやはり時間の制約で,人形へのフォーカスに寄せました。
あと彼女は優れた人物ですが,あくまで新人であり,スーパーウーマンでもないので,その差し引きで一歩後ろに置いたとも言えます。
前田氏:
カメラを拠点の人間ではなく,現場の人形に当てるイメージですよね。指揮官はゲームではプレイヤー自身でしたが,アニメでも重要な立ち位置にはいるものの,主人公はあくまで人形たちとしています。
4Gamer:
端的に,ゲームでも漫画でも描いていない場面はありますか。
松永氏:
映像ならではのかけ合いはたくさん用意してもらいました。
ゲームでは描けていなかった言葉や感情をより豊かに表現していますので,関連作品に触れている人でも新鮮な気持ちで見られるはずです。
■「M16A1」(CV:山根希美) |
■「ST AR-15」(CV:加藤英美里) |
■「M4 SOPMOD II」(CV:田村ゆかり) |
■「カリーナ」(CV:東山奈央) |
4Gamer:
ゲームボイスとは違う,声優陣の演技面の工夫はどうでしょう。
前田氏:
基本的に音響監督の田中 亮さんにお任せでしたが,戦術人形は人じゃないものの個性はあるので,会話中は普通に人間らしい喜怒哀楽を見せます。そのうえで表現の差異はありますが,「息切れしない」「疲れない」などの部分は大切にしてもらいました。
アニメらしい分かりやすさのため,大げさにしたり,抑えめにしたりな部分もありますが,走っても「ハッハッハッ」とは言わず,痛覚はあるけど痛みではなく衝撃でうめく,などの反応には気をつけています。
4Gamer:
たしかに。ゲームのシチュエーションボイスでは演出的にそういうものもあれど,ドラマとして見せるなら気をつけたい盲点なんですね。
前田氏:
あと,戦時と平時であまり感情が揺れ動かないというか,人間が戦地に向かうときにするような決意なども基本はしませんね。
松永氏:
アニメは展開的に戦闘と平穏の行ったり来たりですが,彼女らは人間のようにスイッチを切り替えることなく,それ自体が淡々といつもどおりの生活と言いますか,人形らしいあり方で描かれています。
なかにはM4 SOPMOD IIのように,朗らかな人懐っこさと敵に対する残酷さを切り替えるといった個性の持ち主もいますけど。
4Gamer:
ボイスと並行する音響面で注意したことなどは。
松永氏:
音響に関しては,旭プロダクションさんがとくに気を使ってくれた部分です。銃撃の効果音がなるべく嘘に聞こえないよう気を配りつつ,戦闘中の人形たちのセリフもそれとの兼ね合いで,ギリギリ聞こえて,かつ聞こえやすくもあるかなどの音響レベルを調整してくれました。
そういったボイスや劇伴を含む状況表現を,より効果的に伝えるためのサウンドバランスには,最後まで難航していたとのことです。
4Gamer:
率直に聞きますが,アニメ全体のシリアスとコメディの比率は?
松永氏:
96%くらいが社会の裏通りな雰囲気のシリアス&ダークネスで,残りの4%くらいが木漏れ日のような明るさ,ですかね。
かわいらしいシーンは各話に1カットあればいいくらいな……(笑)。
前田氏:
ほんと4%くらいですよね(笑)。
基本的に次から次へと任務に挑み,そのたびにピンチに陥るのですが,完成品を見返して,かわいいシーンを目にしたとき,久々に「あ,そういえば美少女たくさんなアニメだった」って思い出したくらいですし。
松永氏:
作中ではスタート直後から緊迫しているうえ,人形たちの和気あいあいな日常もけっこう早い段階で崩れてしまいますしね。
原作ファンは「だよね」と思う流れでしょうが,知らない人は最初から二転三転,最後まで急転直下な展開に驚くのかなと。
4Gamer:
ですよね。
松永氏:
ただ,救いのない物語ではなくて。本作は人形たちが絶望的な状況下にもがき苦しみながらも光明をたぐり寄せる作品です。
そこに感情移入できると,いっそう楽しめると思います。
4Gamer:
光明? 献身と犠牲のまちが……コホン。
感じ方も人それぞれな,魅力的なアニメなんでしょうね。
松永氏:
楽しんでいただければと思う次第です(笑)。
4Gamer:
ちなみに,アニメならではの小ネタはありますか。
松永氏:
一部人形たちの衣装の違いでしょうか。ゲーム画面では基本的にバストアップだからあまり気がつかないM4のレオタード姿も,アニメではバッチリ分かるようなデザインに仕立てられています。
私も「そういえばこんな大胆な格好だった」と思い出しましたし。
4Gamer:
歴戦の指揮官ほどすでにMOD3化(※)してしまって,ゲームでもあまり見なくなってしまった初期衣装でもありますしね。
※ゲームにおける戦術人形の改造機能。衣装などが変化する
松永氏:
あとSOP IIの腰の装飾など,簡易的に描いている部分はあります。
4Gamer:
アニメ化特有の「どこで作画カロリーを落とすか」的な?
松永氏:
ええ。アニメのキャラクターデザインに関しては,我々から設定資料をお送りし,あとはスタッフの方々にお任せしてこちらで監修してきましたが,当初はゲームの性質上,イラスト原案者が多数いることで,全体のデザインをどう統一するかに苦心されていました。
しかし最終的には,アニメで無理なく動ける装いで,それぞれのイラストレーターさんのクセも落とし込んでいて,こちらから指摘する部分もほぼない状態になったりと,あらためてお任せしてよかったです。
4Gamer:
そういえば銃は3Dモデルで,それ以外は2Dな作りなんですね。
前田氏:
硬いものを硬そうに見せるなら,今は3Dがうってつけですからね。人形の銃器や一部装備は3Dモデルで制作し,2D作画の人形に持たせています。そのため,場面ごとに2Dに対しての3Dモデルの角度やライティングをレンダリングし,違和感のないカット作りを目指してもらいました。
4Gamer:
はえー,門外漢にはイメージもできない技術。
松永氏:
人形ごとの体格の対比なども,キャラデザと並行して銃のモデリングを進めて,3Dを基準に統一性を図るようにしてくれたそうです。
■「M4A1」3Dガンモデル |
■「ST AR-15」3Dガンモデル |
4Gamer:
ちなみに,登場させる人形はファンサービスを考慮しましたか。
前田氏:
登場の基準はコミカライズ版に準拠していますが,+αで出すべき人形はサンボーンさんに相談し,アニメシーンとゲームの進行度を踏まえて選出していただいたり,「この人形とこの人形なら,この子です」などと部隊相性でお教えいただいたり,あとジャンシアーヌ以外の指揮官もその人独自の部隊を持つので,一部を選んでもらったりと。
とはいえ,人気だけでは選んでいません。高レアリティで固めるつもりもなかったので,あくまで物語に沿った形での登場です。
松永氏:
ゲームにおける裏の主役「404小隊」の登場機会や演出も含めて,ちょくちょく意見交換させていただきましたね。
前田氏:
といっても,アニメは全世界配信とあり,作画カロリーとは別の話で,原作衣装のまま登場させるのが難しいキャラの配慮は必要でしたね。
4Gamer:
あらま。初期のドルフロは人形たちの肌露出もわりと抑えめでしたし,デザインも手堅いものなのかと。スキン着せなければの話ですが。
前田氏:
そういった配慮のほかに,ドルフロに登場する銃器は一部架空のものも含みますが,紛争や銃器を題材にしたアニメ,かつグローバル展開とあって,国際的に配慮すべき意味合いで,もとの設定を考慮しつつもデザインを変えなければならなかったキャラはいました。
松永氏:
そういう二重三重の予防策はワーナーさんにとくに助けられましたよ。映像業界のルールを踏まえて,ワーナーさんに「こうすればいけますから,こうしましょう」とご提案いただいてストンと落とし込めたところはいくつもありましたので,非常にありがたかったです。
前田氏:
銃撃戦や破壊表現も「あくまで人形なので損壊時の血肉はない」「とはいえ人型の存在が撃ち合いで倒れる」といった部分は懸念してしかりなので,テレビ放送では大げさではないものの一部規制も入れます。
松永氏:
配信のほうは規制なしなので,見比べてみてください!
4Gamer:
「ネゲヴ」はでますか。
前田氏:
ネゲヴはでます。
松永氏:
ネゲヴ小隊はまるっと出ます。
4Gamer:
なるほど。彼女が出る進行だと。
余談ですが,グリフィンと鉄血はどっちが人気でますかね?
前田氏:
アニメの視聴者の視点としては,やはりグリフィン側に愛着を持つかと思います。そこは好みですからね。ですから好みで言うと,僕はもう完全に断然,鉄血ですね。鉄血人形のデザイン最高ですよね。
松永氏:
黒を基調にしたゴシックな感じが人気ですね。
前田氏:
とくに「エージェント」と「スケアクロウ」が大好きです。
4Gamer:
「デストロイヤー」あたりも視聴者へのフックになりそうな。
松永氏:
グリフィンの人形は統一感のなさが良さでもありますが,1体1体の存在感で言えば,ゲームのほうでも長らく“鉄血人気”は強いですね。
前田氏:
アニメではクセも強くしていて,より印象に残りやすいでしょうし。
4Gamer:
ゲームでは今や鹵獲できますし。
松永氏:
ゲームで描ききれなかった鉄血工造としての考えも読み取りやすくなっているので,よくある勧善懲悪ではないと分かり,「あれ?」っと感じたら心情も傾き,彼女らなりの悲壮感にグッとくるかもしれません。
4Gamer:
主人公のM4。アニメ主人公のM4もどうぞよろしくお願いします。
そのほか,年末にはアニメ特番が放送されるとのことで。
松永氏:
12月28日21:00より,ドルフロの公式YouTubeチャンネルでM4A1役の戸松 遥さん,ジャンシアーヌ役の小松未可子さんをお迎えした特別番組を公開します。番組では年末年始から展開するゲーム情報の告知をはじめ,上海散爆のシリーズ代表プロデューサーである羽中や開発陣へのインタビュー映像,さらに中国でリリースした「少女前線 ニューラルクラウド」など,2022年のサンボーンの取り組みをご紹介させていただきます。
また放送直前ということで,アニメ第1話のAパートをご覧いただけるほか,制作の裏話やアニメ関連情報もお届けします。
4Gamer:
現場での声優インタビューも後日公開予定です(告知)。
松永氏:
ありがとうございます(笑)。
4Gamer:
ついでにもうひとつ。アニメは世界同時展開となりますが,音声言語については吹き替えと字幕,どちらを想定されているのでしょう。
もとの少女前戦は「中国のゲームだけど日本語ボイス」という現代アジア圏における“SEI-YU”なカルチャーをくんでいましたが。
前田氏:
そこはまちまちなんですよ。アニメはすでに制作を終えて,世界各所に納品済みで,それと該当地域によってはゲームのローカライズ名称に合わせて「少女前戦」「GIRLS' FRONTLINE」の名で公開されますが,今回のようなアニメは基本的に日本語音声で字幕対応です。
しかし,国や地域ごとの配給会社が「吹き替えやりたいです!」と要望してきたら,どうぞどうぞと対応してもらう仕組みでして。
4Gamer:
へーそういう。
前田氏:
映画と同じく「字幕よりも吹き替えのほうが再生されやすい」といったノウハウも地域ごとですしね。アジア圏はそのままが多いですが,ヨーロッパ圏はわりと吹き替えをしたがる傾向にあるかもしれません。
4Gamer:
イギリス版ステンMK-IIに期待しつつ,まもなくお時間となりますので最後に,アニメドルフロへの意気込みをそれぞれお願いします。
前田氏:
このアニメを作るにあたり,サンボーンさんには中国からも日本からも大変ご助力いただき,旭プロダクションさんの尽力もあって,ドルフロに期待している人たちに喜んでいただける作品ができました。
また,アニメは2022年1月7日から放送および配信ですが,事前にゲームをやっておくとより楽しめるのは間違いありません。年末年始もお得なキャンペーンをやっているようなので,アニメからはじめるでも,ゲームからはじめるでも,ドルフロの世界をより楽しんでみてください。
松永氏:
ありがとうございます(笑)。ドールズフロントラインという作品はアニメも含めて,いわば我々のドルフロと言うべきものですが,昨今の新型コロナウイルス感染症下で大変ななか,たくさんの関係者の方々にご尽力いただき,ついに放送までこぎつけられました。
それをくんで,とは申しませんし,良しあしの感想もお任せいたしますが,作品に携わる多くのスタッフやキャストの方々の努力で生み出された背景があることをこの場で届けられてよかったです。アニメを見る30分が,皆さまにとって実りのある時間になれば大変うれしく思います。
★以下,記事最下部に指揮官向けのオマケあり★
■アニメ放送情報
ここは,硝煙と感情渦まく──少女たちの前線
【放送情報】
TOKYO MX:1月7日(金)25:00〜
ABEMA:1月7日(金)25:00〜
BS11:1月7日(金)25:30〜
AT-X:1月10日(月)23:30〜
※リピート放送:毎週(水)11:30〜/毎週(金)17:30〜
【配信情報】
1月8日(土)正午12:00より順次配信スタート
ABEMA/Amazon Prime Video/dアニメストア/Hulu/U-NEXT/アニメ放題
Google Play(TM)/Rakuten TV/Amazon Prime Video/ビデオ・マーケット/DMM動画/Music.jp/GYAO!Store
1月8日(土)19:00〜
TSUTAYA TV
1月11日(火)正午12:00より順次配信スタート
ひかりTV/J:COM オン デマンド/milplus(みるプラス)/イッツコムオンデマンド/TELASA
未定
バンダイチャンネル
【スタッフ】
原作:「ドールズフロントライン」
(SUNBORN Network Technology, Mica Team)
監督:上田繁
シリーズ構成・脚本:倉田英之
キャラクターデザイン:山田正樹
プロップデザイン:神宮司訓之
背景:グーフィー
美術監督:権瓶岳斗
色彩設計:斎藤麻記
撮影監督:小寺翔太
3DCGディレクター:原一晃
編集:本田優規
音楽:渡邊崇
音響監督:田中亮
OPテーマ:yukaDD(;´∀`)「BAD CANDY」
EDテーマ:TEAM SHACHI「HORIZON」
アニメーション制作:旭プロダクション
プロデュース:ワーナー ブラザース ジャパン
【キャスト】
M4A1:戸松遥
M16A1:山根希美
ST AR-15:加藤英美里
M4 SOPMOD II:田村ゆかり
ジャンシアーヌ:小松未可子
カリーナ:東山奈央
エージェント:生天目仁美
スケアクロウ:奥野香耶
エクスキューショナー:伊藤静
クルーガー:大塚明夫
【WEB関連】
公式サイト:https://gf-anime.com/
公式Twitter:https://twitter.com/gf_animePR
【著作権表示】
(C)SUNBORN Network Technology, Mica Team/GRIFFIN&KRYUGER
★指揮官向けのオマケ話と「設定資料画像」
インタビューを締めたあとの現場にて,既存の指揮官であれば大なり小なり予想できるかなという疑問についての一幕をお届け。
また,アニメ制作に使用された一部設定資料も添えておく。
4Gamer:
ぶっちゃけ,アニメが“どんなエンディングを迎えるか”は,少なくない数の指揮官が予想できているんじゃないかなと。彗星的なのを。
本当に,あーんな感じになっておしまいですか?
松永氏:
そうですねえ。そこに救いは持たせるものの,スッキリとしたハッピーエンドとして受け取れるかどうかは,皆さんにお任せするほかありません。一応,M4たちがハッピーになれるような伏線は随所に張っていますので,それらの場面で拾い上げてもらうのも楽しいかと思います。
前田氏:
アニメはアニメ作品としてちゃんと着地していますね。最後まで見た人にはいろいろ感じてほしいですし,考えてほしいです。
4Gamer:
その先の話はいろんろな現実があーだこーだでしょうが,まず2クールを考えるしかないラストしか想像できませんしぃ……的な?
かといって,加速度的に膨れていくメインストーリーの再現も大変そうですし,「M4がアニメ放送なら,UMP45は劇場版で!」などと期待するのもなんだと。それもこちら側がハッピーなら,見えてきたり?
松永氏:
そうなったらいいですね(笑)。たくさんの人たちに望まれるようなら,いろいろ形にできることも生まれますから。
今後も指揮官の皆さまにはゲームやアニメに対して,ドルフロへの遠慮なしの感想などを発信していただけるととてもうれしいです。
アニメ「ドールズフロントライン」公式サイト
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