インタビュー
「Fallen Legion」,2018年1月31日配信予定のPS4向けアクションRPGを開発したYYT GAMESにメールインタビュー
「Fallen Legion」公式サイト
北米の独立系デベロッパであるYummyYummyTummy(以下,YYT GAMES)が開発した「フォールンレギオン」は,かんたんな基本操作でリアルタイムバトルが楽しめる,2D横スクロール型のアクションRPG。崩壊の危機に瀕した帝国を舞台に,プレイヤーは国を救うために行動を起こすことになる。主人公は,帝国の皇女であるセシール(救国の皇女)と,若き将軍レガート(反逆の炎)の2人で,1つの世界が2つの作品の主人公の視点によって語られるところも特徴だろう。
コンボシステムや帝国の運命を左右する「王の選択」など,気になる要素が満載の本作だが,今回,開発のYYT GAMESのスペンサー・イップ(Spencer Yip)氏にメールインタビューを行う機会を得たので,以下にまとめた。
メールインタビューということで,どうしても一問一答になってしまい,つっこみの足りない部分も出てしまうし,翻訳によって微妙なニュアンスが伝わりにくいところもあるかもしれないが,「フォールンレギオン」が気になる人はぜひチェックしてほしい。
4Gamer:
YYT GAMESとスペンサー氏自身について,沿革や経歴などの紹介をお願いします。
スペンサー・イップ氏(以下,イップ氏):
まず,今回のインタビュー企画のお話と,海外のゲームである「フォールンレギオン」を日本のユーザーに紹介してもらえることに大変感謝しています。
私は,「フォールンレギオン」のディレクター,プロデュサー,プログラマー,プランナーを担当しています。さらに,ときにはVFXアーティストなど,本作を一から手がけてきました。小さな頃からゲーム開発に興味を持ち,学生時代は授業中によくグラフ電卓でゲームのプログラミングをやっていました(笑)。
卒業後は,ゲーム業界に入るためにまずゲームメディアで編集スタッフとして働きました。その後YYT GAMESを設立し,世界中のゲームファンに今まで味わったことのない独創的な体験をしてもらいたいと考えて,ゲーム開発を始めました。
2015年,最初のタイトルとして「フォールンレギオン」の制作を開始し,嬉しいことに,同年の「PlayStation Experience」で初のお披露目ができました。会場の試遊台では,待機列が1時間以上になるほど好評でしたが,とくに印象深いのが,試遊に来てくれたプレイヤーから体験版のボス,「ヴォルカニック・ドラゴン」と戦ったときの感想をもらったことです。温かい言葉の数々にとても感動しました。その瞬間,何日も徹夜で行ったプログラミング作業が報われたと思いましたね。
4Gamer:
「戦略アクションRPG」というジャンルを選んだ理由についてお聞かせください。
イップ氏:
最初は,プレイヤーの反射神経と判断力を試すようなゲームを作りたかったんです。
ですからこのゲームは,キャラクターを操作してリアルタイムバトルで敵を攻撃しつつ,敵の動きに合わせて瞬時にパーフェクトガード(※1)することが重要になります。
戦略的な要素としては,バトルの合間に「どのように帝国を統治するのか」を限られた時間で選択しなければならないことが挙げられます。例えばゲームの序盤,ある町の路上で難民の人口が拡大しているという問題が起きますが,プレイヤーである主人公は,兵士を派遣して町の治安を維持するのか,それとも難民を町から追い出すのか,あるいは町の住民を脅して認めさせるのかなどを,制限時間内に決めなければなりません。それぞれの選択には攻略中のステージに適用される一時的な効果(バフ)があり,またゲーム全体のストーリーにも影響を与えます。
※1 敵の攻撃をタイミングよくガードすることで,ノーダメージにできるシステム
4Gamer:
横スクロール型の「アクションRPG」は,伝統的かつ名作の多いジャンルだと思います。とくに影響を受けたタイトルはありますか。
イップ氏:
うーん,難しい質問ですね。長年のうちに,数え切れないほどのゲームの影響を受けていると思います。アクションRPGではないんですが,「ヴァルキリープロファイル」は,アクション要素をうまくターン制のシステムに取り込んだところが非常に気に入っています。
「フォールンレギオン」はどちらかというと逆で,アクション主体のゲームの中にターン制の要素を組み入れたものになっています。また,「ダンジョンズ&ドラゴンズ −ミスタラ英雄戦記−」も,横スクロールのアクションRPGにストーリー分岐要素があって,大好きでしたね。
4Gamer:
アクションRPGとして,「フォールンレギオン」が優れている部分,あるいは注目してほしいポイントなどがあれば,教えてください。
イップ氏:
文章で伝えるのは難しいですが,「フォールンレギオン」ではプレイヤーに「胸がドキドキする」ようなアクションRPGの体験をしてもらいたいと思いました。ドラゴンの火球をタイミング良くはね返したり,ダウンした敵にパーティ全員で襲い掛かったりと,アドレナリンが常に体中を駆けめぐるようなドキドキ,ワクワクの体験をしてもらいたかったんです。
ゲームの重要な局面で主人公が行う「王の選択」でも,どのカードを選ぶのかに制限時間が設けてあるので,短期的な効果(バフ)を優先するか,それとも物語に影響を与える選択を優先するかといった判断にプレッシャーがかかります。そんな,プレイヤーを飽きさせない工夫が随所に仕込まれているので,ぜひプレイしてください。
4Gamer:
セシール姫が主役となる「救国の皇女」と,レガート将軍が主役の「反逆の炎」。1つの世界観に視点が異なる2つの物語が用意されているところが特徴的なのですが,最初からそうしようと思っていたのですか。
イップ氏:
はい,「2つの視点」というのは企画のときからのアイデアです。私は「フォールンレギオン」で,戦争の傷跡を2つの異なる視点から表現したかったんです。
制作の過程としては,PlayStation Experienceの試遊イベントのあと,開発チームと仕様を練り直し,レガート将軍の視点からの「反逆の炎」編を作っています。レガート将軍はフェニュミア帝国を統一しようという野望を持っており,また,正当な後継者のセシール皇女は政(まつりごと)を避け続けています。
「Fallen Legion -救国の皇女-」主人公 オクタヴィア・セシール・フェナム |
「Fallen Legion -反逆の炎-」主人公 レガート・ラエンドゥール |
4Gamer:
「フォールンレギオン」はアークシステムワークスがパブリッシングを担当するそうですが,YYT GAMESとして同社を選んだ理由を教えてください。またアークシステムワークスは,本作のどこに魅力を感じたのでしょうか。
イップ氏:
「GUILTY GEAR」シリーズや「BLAZBLUE」シリーズのファンとして,アークシステムワークスが「フォールンレギオン」に興味を持ってもらえたことを大変ありがたく思っています。格闘ゲーム以外にも,アークシステムワークスは海外タイトルのローカライズに実績があり,「シチズンズ オブ アース」シリーズや「キューブクリエイター」「カオスコード」なども巧みに日本語化しています。ですので,同社なら「フォールンレギオン」を安心して任せられると判断しました。
そしてなんと! 今回のローカライズでは,豪華な声優陣を用意してくれたんです。いまだに,「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の河西健吾さんや,「Fate/Apocrypha」の石上静香さんが出演してくれるのが信じられない気持ちです。素晴らしいパートナーのアークシステムワークスと,今後も一緒にお仕事できれば幸いですね。
アークシステムワークス担当者:
私は,初めに社内のスタッフからこんなタイトルがあるよ,と提案を受けて,映像を見てすぐに,「これは面白そう」とビビっときました(笑)。とくに戦闘シーンが,昔よく遊んだゲームと重なって好みだったこともありましたが,一番は,日本のユーザーにも受け入れられそうなゲームデザインだと思ったことです。
重厚なストーリーでボリュームも満載でしたので,これはローカライズしがいがあると気合が入り,日本語訳とキャラクターのボイスにはかなりこだりました。ちなみに,お気に入りのキャラクターは魔道書のグリモアです!
やりごたえのあるゲーム性はもちろんですが,「フォールンレギオン」特有のクロスストーリーと豪華声優陣による力の入ったキャラクターの演技も楽しんでください。
4Gamer:
最後に,4Gamer読者へのメッセージをお願いします。
イップ氏:
私は日本のゲームの大ファンで,2017年に京都で行われたゲームイベント「BitSummit」に「フォールンレギオン」を出展しただけでも信じられない気持ちだったのに,もうすぐそのゲームが日本で配信されることにまだ実感がわきません。ほかのインディーズゲームと同様,この作品も誠心誠意を尽くして作りましたし,開発における数々の難関を情熱だけで突破してきました。開発チームの代表として,私達の集大成である「フォールンレギオン」を皆さんが楽しんでくれることを,心から望んでいます。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
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- 関連タイトル:
Fallen Legion -救国の皇女-
- 関連タイトル:
Fallen Legion -反逆の炎-
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(C)2018 YummyYummyTummy Inc. Localized and published in Japan by Arc System Works.
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