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  • 発売日:2017/12/14
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「荒野行動」のPS4版はスマホ版とのクロスプレイに対応。「TikTok」コラボでさらなるプレイヤー層の拡大を狙う
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印刷2019/05/31 20:11

インタビュー

「荒野行動」のPS4版はスマホ版とのクロスプレイに対応。「TikTok」コラボでさらなるプレイヤー層の拡大を狙う

 NetEaseがサービス中の「荒野行動」iOS / Android / PC)は,名実ともにスマホにおけるバトルロイヤルのジャンルを代表する1作といえるだろう。
 今回4Gamerは,5月下旬に開催されたカンファレンス(※関連記事)に合わせて,中国・広州にあるNetEase社のオフィスを訪問する機会を得られた。荒野行動がいかにして成功したのかを振り返ってもらい,現在の運営スタンスや今後の展開など,さまざまな話を聞いたので,荒野行動のプレイヤーはお見逃しなく。

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バトルロイヤルのジャンルをいちはやくスマホへ

友達と遊ぶことの面白さをアピールし日本でヒット


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 Jiangさんは荒野行動で,どういった業務を行われているのでしょうか。

Joe Jiang氏(以下,Jiang氏):
「荒野行動」Senior marketing manager, 江 云龙(Joe Jiang)氏
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 自分は荒野行動のグローバルローンチ時から,海外向けのマーケティングを担当しています。荒野行動は日本での人気がもっとも高く,日本のメーカーさんとのやりとりも多いですよ。

4Gamer:
 Jiangさんからいただいた名刺も,日本語で書かれていますね。
 中国と比べて,文化の違いなどは感じますか?

Jiang氏:
 中国人は何事もストレートで,ビジネスでもいきなり本題に入ることが多いです。そのてん,日本のかたは本題に入る前の挨拶や世間話などが多いですね(笑)。
 最初はまどろっこしく感じることもありましたが,でも,そうやって丁寧にやりとりを行うことで,信頼関係が構築される側面もあるんだろうなと。

4Gamer:
 では,ストレートに本題に入らせていただきますね(笑)。
 最初に,荒野行動のリリース当時の話を聞かせてください。2017年頭にバトルロイヤルの最初のブームが起こりました。そこからかなり早い段階で,荒野行動が発表されましたね。

Jiang氏:
 ええ。2017年11月に荒野行動のグローバルローンチを行ったところ,世界中のスマホゲーマーに受け入れられたんです。なかでも日本での人気は突出しており,次第に,日本向けにゲームコンテンツの最適化を多く行うようになりました。

4Gamer:
 当初は,バトルロイヤル=コアゲーマー向けという印象が強かったと思います。また,周囲にいる業界関係者も,荒野行動に対して「スマホでこのようなコア向けのゲームは受け入れられないだろう」と言っていました。そういった下馬評を覆してヒットした理由を,どのように分析されていますか。

Jiang氏:
 手前味噌になりますが,マーケティングの効果が大きかったと考えています。
 おっしゃるとおり,バトルロイヤルのベースはFPSで,基本的にコア向けのジャンルです。他社さんも,真剣勝負によるストイックさなど,コア向けのゲームらしいアピールを行っていました。
 しかし荒野行動では,“友達と一緒に遊ぶ楽しさ”をアピールし,それが中高生を中心とした若い世代に受け入れられたんです。

4Gamer:
 確かに荒野行動は,LINEとの連係などコミュニケーション関連の施策も多く行われていますね。

Jiang氏:
 バトルロイヤルにおける“100人が最後の1人になるまで戦い続ける”というルールはスリリングですが,多くのカジュアルゲーマーは,スリリングさよりもハードルを感じると思ったんです。また,日本におけるゲーマーの属性も踏まえ,カジュアルさをアピールするべきだと考えました。

4Gamer:
 荒野行動は日本での人気がとくに高いということですが,それは何がきっかけになったのでしょうか。

Jiang氏:
 最初の契機となったのは,グローバルローンチ時における日本での売上が,他国と比べて高かったことです。
 そこで日本市場のリサーチを行ったところ,荒野行動が人気を博した理由として,「最後まで生き残ること」より「友達といっしょに遊ぶこと」が大きかったんです。そこで,コミュニティ方面のマーケティング施策を重点的に行ったところ,2018年の3月から5月にかけて,若い世代のプレイヤー数が一気に伸びました。

4Gamer:
 3月から5月ということは,つまり,入学時や新学期における学生間のコミュニケーションツールとして荒野行動が役立ったわけですか。

Jiang氏:
 そのとおりです。

4Gamer:
 マーケティングを担当されたJiangさんは,大きな手応えを感じられているのでは。

Jiang氏:
 はい(笑)。ただ,それ以上に,荒野行動を支持してくださった日本のプレイヤーのみなさんに対して,感謝の気持ちでいっぱいです。彼らの期待にもっと応えたいという想いで,現在も日本向けのさまざまな展開に取り組んでいます。


現在の累計ダウンロード数は3億を突破

有力IPとのコラボでさらなるプレイヤー層を取り込む


4Gamer:
 5月31日には「エヴァンゲリオン」とのコラボが開始されるなど(※関連記事),荒野行動は日本向けのプロモーションも積極的に行われています。どういった基準でコラボのIPを選んでいるのでしょうか。

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Jiang氏:
 先ずは知名度の高さです。コミックやアニメの場合は,発行部数やGoogleの検索ヒット数などを参考にしていますね。せっかく実施するからには,できれば“国民的”と呼ばれるくらいのIPとタッグを組ませてもらえればと考えています。

4Gamer:
 個人的な印象ですが,荒野行動の新たなコラボが発表されるたびに違和感というか,現在のプレイヤー層と若干のズレのようなものを感じています。これは自分の思い違いなのでしょうか。

Jiang氏:
 それは,現在取り込めていないターゲット層へのアピールを兼ねて,コラボキャンペーンを行っているからでしょう。以前開催したコラボだと,たとえば「ポプテピピック」は女性プレイヤーを,「THE KING OF FIGHTERS '98 ULTIMATE MATCH」は年配の対戦格闘ゲームファンへのアピールも視野に入れてます。

4Gamer:
 なるほど。

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Jiang氏:
 既存のプレイヤーさんのなかには,新たなコラボに違和感を覚える人がいるかもしれません。しかし,それが理由でゲームから離れてしまうほどではないと思います。
 もちろん,いま遊んでいる人たちをないがしろにしているわけではなく,その方面に向けたキャンペーンも随時行っていますよ。

4Gamer:
 コラボが行われるたびに,荒野行動のプレイヤー層が拡大しているわけですね。現在のプレイヤー数や累計ダウンロード数などはどれくらいでしょうか。

Jiang氏:
こちらは荒野行動の開発チームが入居している高層ビル。中国・広州には同社のビルがいくつもある
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 2019年2月に,累計ダウンロード数が3億を突破しました。
 しかし,この数字に慢心せずに,これからもアクティブプレイヤー数の底上げや,離脱率の食い止めなどの課題に取り組んでいきます。

4Gamer:
 荒野行動のプレイヤーがゲームから離れるときは,どういった理由が多いのでしょうか。

Jiang氏:
 一番大きいのは,学校を卒業することでクラスメートと離れてしまったり,アルバイトを始めたことでゲームプレイの時間を捻出できなくなったりすることですね。

4Gamer:
 中高生の人気が高い荒野行動らしい理由ですね。なかなか難しい部分だとは思いますが,どのような対策を行っていますか。

Jiang氏:
 離脱率を食い止めるというよりは,友達と一緒に遊ぶことの面白さを,もっとさまざまなアプローチで伝えられればと考えています。そうやってコミュニティが活性化すれば,離脱率も含め全体的に良くなるはずですから。
 そういえば,2019年5月に「荒野 Championship」を始めましたが,これもコミュニティを盛り上げるためのアプローチの一環ですよ。


荒野行動におけるeスポーツに対するスタンスとは


4Gamer:
 「荒野 Championship」はeスポーツ系のイベントと紹介されていますが,そのコンセプトをあらためてお聞かせください。

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Jiang氏:
 このイベントを行う一番の目的は,仲間と真剣に協力して高みをめざすことによる,コミュニティの活性化です。そのため,15歳以上なら誰でも参加できたり,予選試合が複数回行われたりと,参加するためのハードルを極力下げています。

4Gamer:
 一般的にeスポーツというと,トッププレイヤーによる競技そのものに焦点が当てられますが,それとは少し方向性が違うんですね。

Jiang氏:
 そうですね。先ほども申し上げたとおり,荒野行動が人気を博した大きな要因は,友達と一緒に遊ぶ楽しさが受け入れられたからです。仮にeスポーツ系のイベントを行うにしても,その延長線上で考えるべきだと思ったんです。
 また,このアプローチは,現在の日本におけるゲーム市場やプレイヤーの性質にもマッチしていると思います。

4Gamer:
 そのあたりの分析について,詳しく教えていただけますか。

Jiang氏:
 日本におけるゲームの歴史を振り返ると,長年にわたりコンソールゲームが主導してきました。そしてPCゲームが発展しきれずに,スマホゲームが盛り上がっています。
 世界的に見ると,eスポーツの文化はPCゲームを中心に育ちましたが,日本のゲーマーは,このプラットフォームに親しんでいません。したがって,eスポーツに対する理解も他国と比べて浅いです。

4Gamer:
 なるほど。

Jiang氏:
 欧米や韓国,中国などでは,さまざまな事情によりPCゲームの歴史が長く,ゲーマーもeスポーツのメインストリームのタイトルに親しんでいます。そういった国であれば,競技に焦点を当てた荒野行動のイベントも盛り上がるでしょう。しかし,現在の日本で同様のアプローチを行っても,きっと成功しないでしょうね。

4Gamer:
 4Gamerは昔からPCゲームも扱っており,深く共感できるお話です。

Jiang氏:
 弊社は日本のプレイヤーさんを対象としたアンケートを定期的に行うなど,フィードバックを積極的に獲得しています。これらの集計を見ても,やはり大半の人が,ゲームに対してストイックさよりもカジュアルさを求めているんです。
 日本でもストイックなeスポーツのイベントが開催できれば良いですが,現在の荒野行動を楽しんでくれている皆さんに還元したいという気持ちが強いため,「荒野 Championship」はカジュアルさに重点を置いています。

4Gamer:
 そういう理由だったんですね。
 ちなみに「荒野 Championship」は8月まで続きますが,その後のeスポーツ方面への展開は予定されていますか?

Jiang氏:
 まだ詳細は調整中ですが,いくつかの方向性を検討しています。
 とりあえず現段階では,トッププレイヤーの腕前をフィーチャーする本格的なeスポーツのイベントを開催しても,多くの視聴者がその凄さを理解しきれません。eスポーツとしての競技性をイチから理解してもらうべく,地道なアプローチが必要になります。
 同時に,たとえば現在手がけているバラエティ番組「荒野行動女子部」(※外部リンク)のように,eスポーツが誰でも楽しめることをアピールして,その裾野を広げる必要もあります。

 そういった活動を続けて,eスポーツに対する認知や知識が深まれば,本格的なeスポーツのイベントを現実的に検討できるでしょう。数週間にわたって開催されるトーナメントや,リーグ形式のイベントなどですね。


PS4版のクローズドβテストが2019年6月に実施

スマホ版とのクロスマッチングにも対応


4Gamer:
 話は変わりますが,前に発表された荒野行動のPlayStation 4版の開発作業は順調ですか。

※4Gamer関連記事へのリンク
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Jiang氏:
 ええ,順調ですよ。
 2019年6月末に,1回目のクローズドβテストを実施する予定です。主な対象国は日本で,現在遊んでいるプレイヤーからテスターの希望者を募る形での実施を検討しています。

4Gamer:
 おお,日本でも実施されるんですね。
 ちなみにPS4版のコンセプトや仕様はどのようになっていますか。

Jiang氏:
 基本コンセプトは,スマホにおける荒野行動のゲーム体験を,PS4でも同様に味わえることです。そのうえで,グラフィックスなどのクオリティを,PS4向けのタイトルとしてふさわしいレベルに高めています。

4Gamer:
 PS4版は,スマートフォン版とのクロスプレイに対応していますか?

Jiang氏:
 はい。PS4版とスマホ版は同じゲームサーバーを用いており,それぞれのプレイヤーが一緒に遊べます。

4Gamer:
 それは嬉しいですね! でも技術的に大変だったのでは。

Jiang氏:
 どちらかというと,プラットフォーム間における公平性に対し,どこまで配慮をするかに悩まされました。
 たとえば現在サービス中のPC版はマウス+キーボードで操作しますが,スマホのタッチ操作と比較すると,操作性に大きな違いがあります。そのためPC版のゲームサーバーは,スマートフォン版と切り離しているんです。

 今回のPS4版は開発チームと協議したうえで,決定的な差にはならないだろうと考えました。そういった経緯で,同じゲームサーバーで遊べるようにしたんです。

4Gamer:
 とはいえ,タッチ操作とゲームパッド操作だと,後者のほうが遊びやすいですよね。スマートフォン版のプレイヤーから,この点に対する不満の声が挙がる懸念はありませんか?

Jiang氏:
画像集 No.001のサムネイル画像 / 「荒野行動」のPS4版はスマホ版とのクロスプレイに対応。「TikTok」コラボでさらなるプレイヤー層の拡大を狙う
 確かにそれは一理あるのですが,あまりに配慮しすぎると,プラットフォームでサーバーを切り分けるしかなくなります。荒野行動はコミュニティの盛り上がりを重視していますので,これを妨げることは極力避けたいと考えています。
 それに細かいことを言い始めると,スマートフォンとタブレットも画面サイズが違いますしね。

4Gamer:
 ですよね。……ところで,PS4版の正式サービスはいつごろを予定していますか。

Jiang氏:
 クローズドβテストのフィードバック次第ですが,開発作業が順調に進んだ場合,2019年第4四半期の正式サービス開始を予定しています。

※2019年6月1日15:05頃,PS4版の正式サービス開始時期に関して,メーカーからの要望により修正を行いました


「TikTok」とのコラボが6月20日にスタート

ハイライトシーンの動画を手軽にシェア


4Gamer:
 今後の運営スタンスや,予定しているキャンペーン等についてお話しできることはありますか。

Jiang氏:
 これまでどおり,荒野行動は友達と一緒に遊ぶことの楽しさを前面に打ち出していきます。日本向けの展開も積極的に行う予定で,直近の具体的な予定としては,「TikTok」とのコラボを6月20日に開始する予定です。

4Gamer:
 これはまた大物とのコラボが(笑)。

Jiang氏:
「TikTok」iOS / Android
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 ご想像のとおり,今回のコラボを通じて,荒野行動のショート動画をTikTokにアップロードしたりシェアできたりします。また,このタイミングで,キルした瞬間などのハイライトシーンの動画を自動で作成する機能を,ゲーム内に実装します。

4Gamer:
 動画作成もサポートしてくれるんですね。

Jiang氏:
 今も熱心なプレイヤーがTikTokやYouTubeなどに動画をアップロードしていますが,編集などを手作業で行う必要があり,高価なソフトやスキルなどが必要でした。今回のコラボでは,そういった複雑な部分を気にせず,誰でもワンタッチでキレイな動画を作れるんです。また,TikTok側でも,動画を作るためのフィルターと専用BGMを多種類ご用意しています。

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4Gamer:
 大変失礼な言い方ですが,荒野行動が日本で盛り上がり始めた頃は,コア向けのジャンルでローカライズの質も高くなく,どうして日本でこんなに人気が出るのか分からなかったんです。しかし今回Jiangさんと話して,その理由がよく理解できました。

Jiang氏:
 ありがとうございます。
 ちなみに,現在の荒野行動はローカライズの体制を整えていて,日本語の監修などもきちんと行っていますよ(笑)。

4Gamer:
 そろそろお時間のようなので,荒野行動が注力している日本のプレイヤーに向けたメッセージをお願いします。

Jiang氏:
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 もっとも伝えたいのは,感謝の気持ちです。
 皆さんが荒野行動を支えてくれれたからこそ,その気持ちに応えたいという一心でさまざまな施策を行い,これまで盛り上げてこられました。これからも日本の皆さんに楽しんでもらえるよう,運営チーム一同で全力で取り組みますので,どうかよろしくお願いします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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