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「戦場のヴァルキュリア4」先行体験会レポート。7年ぶりのナンバリング新作は“戦ヴァル”らしさがひしひしと伝わる作品だ
※PS4版は2018年3月21日,Nintendo Switch版は今夏の発売が予定されている。
「戦場のヴァルキュリア4」公式サイト
ナンバリング新作としては7年ぶりとなる「戦場のヴァルキュリア4」は,「ラグナイト」と呼ばれる鉱物を巡って大国が争う世界が舞台となるシミュレーションRPG。主人公・クロードは個性的なメンバーが揃う「E小隊」を率いて,苛烈な戦場に身を投じる。
さて,会場で試遊した感想をまとめておくと,水彩画のようなグラフィックスがそのまま動く「CANVAS」をはじめ,シミュレーションゲームにアクション要素を持たせた「BLiTZ」といった特徴的なシステムが健在で,“戦ヴァル”らしさがひしひしと伝わってきた。
基本的な戦闘システムは従来作と同様。戦場を上から見た「コマンドモード」で状況を把握し,「アクションモード」で各キャラクターを動かすというものだ。
その名のとおり,アクションモードにはアクション要素があり,まるでTPSのように進行していく。照準を合わせて敵を撃ち,土嚢の陰に身を隠し,草むらがあれば匍匐前進,高所を陣取る敵を狙撃で排除するといった,プレイヤーに求められる立ち回りはシリーズファンにはおなじみだ。
戦闘では「AP」(アクションポイント)の管理が重要になる。これはキャラクターがどれだけ移動できるかを表しており,移動することで減少して,尽きれば当然動けなくなる。敵の射程内で止まってしまうと,自分のターンであっても迎撃されてしまうので,注意したいところだ。進軍する敵を待ち構えて,迎え撃てる布陣が理想となる。このあたりはシミュレーションRPGらしい頭の使いどころだ。
従来と同じく,本作でも戦車は強力。クロードが乗る「ハーフェン号」を最前線に配置して,味方の盾としつつ,大砲で歩兵を粉砕できる。もちろん,敵も戦車を運用してくるが,ハーフェン号で迎え撃つあいだに「対戦車兵」を相手の後方に回り込ませてエンジンを攻撃するといった作戦が効果的だ。アクションと戦略性が融合したBLiTZならではの楽しさがある。
本作に登場する兵科は「偵察兵」「突撃兵」「支援兵」「対戦車兵」「狙撃兵」,そして新たに「擲弾兵」が加わり,全6種類。かなりシェイプされた印象を受ける。
なかでも擲弾兵は,擲弾砲による放物線を描いて飛ぶ範囲攻撃が可能で,自分の視線が通っていない敵も攻撃できる。高所にいる機関銃座や土嚢に隠れる敵兵も,離れた位置から排除することができた。ただし,APが低く,遠くまで移動することができず,擲弾砲の準備にも時間がかかる。敵陣に飛び込ませようものなら,迎撃されてひどい目に遭うだろう。その真価を発揮するには巧みな采配が求められる,本作を象徴する兵科であると感じられた。
■三神氏&と山下氏への質疑応答
――現在の心境を教えてください。
三神 桂氏(以下,三神氏):
ゲームは完成しています。今は,できるだけ多くの方に楽しんでほしいと思っています。
山下浩平氏(以下,山下氏):
(前作「戦場のヴァルキュリア3」から)間が空いてしまって申しわけなかったです。ファンの方の声はずっと続いていましたし,我々も皆さんが待っているのだから,新作を作りたいと思っていました。クロードではないですが,「必ず風のお告げがあって新作を出せる」と信じて何度も企画書を出していたんです。やっと出せるのだから,最高傑作にしようと思って作りました。
――「4」の見どころを教えてください。
山下氏:
ストーリーを通して,戦場ドラマを体感してほしいですね。初代では部隊を家族的に描いていましたが,今回は仲間というか部活のような雰囲気です。若者達が時間を共有し,一体になって困難に挑み,何かを成し遂げる。今日は一緒にいる仲間も,明日にはどうなるか分からない。戦場が身近にある中で,普通の若者が青春を過ごすという物語です。
――CANVASにおいて,こだわった点を教えてください。
山下氏:
CANVASはあえて細かいところを省略することで,手描き感や柔らかさを表現するものです。PS4だからといって,単純に密度を上げて細かく描き込んでしまうと,ヴァルキュリアらしさがなくなってしまうので試行錯誤を繰り返しました。影の斜線を増やして物の質感を上げたり,戦車後方にあるエンジンの回りが揺らめいていたりと,PS4の性能でCANVASならではの表現を追求しました。いい感じに省略することは,描き込むよりも難しいですよ。
三神氏:
わざと抜いた表現をするために,PS4の高スペックが必要になる。二律背反なところがありますね。緻密に表現するだけがスペックの使いどころではありません。
――新兵科の擲弾兵を採用した理由は?
山下氏:
爆発の中を駆け抜けていくところに,戦場感があるんじゃないかと思ったからです。シリーズ作品では,ずっとBLiTZを担当してきましたが,実は初代「戦場のヴァルキュリア」でも爆発の要素を入れたかったんです。開発中のバグで爆発が起きたことがあり,これをぜひ導入したいと思いましたが,作業も終盤だったので周囲に止められたという経緯があります。第二次世界大戦の戦場でも砲撃支援はよくあるシチュエーションですし,さまざまな兵科が連携することでシミュレーション要素が深くなると思いました。
――現在,公開されているビジュアルは雪のシーンが多いですが,そのほかのマップはありますか。
山下氏:
物語のテーマは「成し遂げようとする意志」。厳しくても先へ進むという状況を表現するのに,雪がとても合うと思ったんです。「4」のモチーフは,雪の中での戦いが多かった第二次世界大戦の東部戦線ということもあります。
全体の半分くらいが雪のマップですね。雪は戦いに影響を与えることもあり,吹雪だと敵が見えなくなりますが,その代わりに敵兵の足跡が残っていたりと,雪というシチュエーションを活かした工夫があります。
――今回の兵科はどうなりますか。
山下氏:
「2」や「3」は携帯機に合わせて,1プレイを短く,いろいろな育成でやり込めるように兵科の数が多かった。ただ,「4」は据え置き機に最適化した遊びとして,初代に登場した偵察兵,突撃兵,支援兵,対戦車兵,狙撃兵に擲弾兵を加えた6種類です。ただ,兵科の中で武器の持ち替えがあり,例えば対戦車兵が迫撃砲を持つことができます。
三神氏:
イーディはゲスト参戦になります。限定版では特典として,追加ストーリーDLC「第7小隊との共同戦線」を用意します。こちらは単品での販売予定はなく,ボイスは新規収録です。
山下氏:
たまに「2」や「3」のファンがニヤリとする名前が出るくらいですね。初めての方でも遊べる作品になっています。
――戦車のコストが1になっている理由は?
山下氏:
これまではコストが重かったうえ,破壊されると敗北になるため,戦車を前に出さない方がおられました。今回は戦車をもっと使ってほしいので,コストを1にして,やられても負けにならないようにしました。ただ,徹甲弾には回数制限があり,手軽に使えるもののバランスブレイカーにはなっていません。
――「マクシミリアン」という名前が出てきましたが,敵として登場するのでしょうか。
山下氏:
今後の発表にご期待ください。
――マップが広いと感じました。移動を補助する装備やシステムはありますか。
山下氏:
装備で移動力が上がっても微々たるものですね。歩兵を乗せて移動できる装甲車や,「3」に登場した「直接指揮」が使えます。直接指揮では仲間を引き連れて行動することができ,移動力の優れた偵察兵がリーダーになれば,本来の移動力が低い狙撃兵も偵察兵並みに動けます。
――兵士の中に鉄仮面の女の子がいたのが印象的でした。
山下氏:
スタジオのスタッフに「出したいサブキャラ」を募集したら200〜300人集まったのですが,その中の一人ですね。ギャグっぽくなっていますが,悲しい過去を持っています。出落ちではないです。
――最後にメッセージをお願いします。
三神氏:
ナンバリングとしては7年ぶりなので,お待たせしましたという気持ちですね。期待に応えられる作品ができたと思っています。この後の展開がどうなるのか,ぜひ製品版で確かめてください。
山下氏:
今日はもう泣きそうでした。皆さんが楽しんでいる姿を見られて,開発者冥利に尽きます。久しぶりのナンバリングを出せたのは,皆さんが声を途切れず届けてくれたことが大きい。ファンの皆さんに感謝です。
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