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[G-Star 2017]KOGの新作PCゲーム「KurtzPel」は,プレイヤーからの純粋な欲求に応える。ディレクターのO Dang Kwon氏にインタビュー
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印刷2017/11/22 00:00

インタビュー

[G-Star 2017]KOGの新作PCゲーム「KurtzPel」は,プレイヤーからの純粋な欲求に応える。ディレクターのO Dang Kwon氏にインタビュー

 トゥーンレンダリングで描かれる,KOGの新作PCゲーム「KurtzPel」(カーツペル)が,2017年11月16日〜19日に開催されたG-Star 2017でプレイアブル出展された。

 「こちら」のプレイレポートにもあるように,本作は,2つのクラスを使い分けながら,2人対2人の対人戦が楽しめる“デュアルアクションバトル”というオンライン対戦アクションだ。

 今回,G-Starの会場で,本作のディレクターを務めるKOGのO Dang Kwon氏にインタビューできたので,より詳細なゲーム内容はもちろん,なぜUnreal Engine 4で制作したのか。そして,キャラクリエイトの“あの”こだわりについて,真相を聞いてみた。

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モチベーションはカルマ(クラス)の収集と成長


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。最初に「KurtzPel」という名前には,どんな意味があるのでしょうか?

O Dang Kwon氏
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O Dang Kwon氏:
 これは造語になるのですが,プレイヤーキャラクターの総称のようなものです。「KurtzPel」というのは,この世界で「カオス」を意味しており,敵がプレイヤーキャラのことをそう呼んでいるんです。

4Gamer:
 敵からそう呼ばれるというのは,いろいろ意味深ですね。そもそもの世界観を教えてください。

O Dang Kwon氏:
 ゲームの中で400年も昔になるのですが,KurtzPelと呼ばれる以前の人達は,“真理を追究する者”として世界がどう成り立っているのかを知りたがっていました。しかし,彼らが“何か”を見つけ,その“何らかの大きな力”によって破壊が起こってしまいます。そして,現在のKurtzPel達は,またその力を求めて戦っています。

4Gamer:
 どんな力なのか,あまり良い物ではなさそうですが,そのあたりは物語の核心部分になりそうですね……。

O Dang Kwon氏:
 そのKurtzPel達は,前世の「カルマ」を受け継いで自分の能力にする力を持っています。なので戦闘では2つのカルマで戦うのですが,これは自由に入れ替えることができます。

4Gamer:
 カルマ……あ,キャラ作成で選んだクラスのことですか?

O Dang Kwon氏:
 そうです(笑)。KurtzPelは自分の前世だけでなく,ほかの人のカルマを自分の能力にできる力を持っています。プレイヤーは,NPCと仲良くなることで,そのNPCのカルマが取得できるんです。

4Gamer:
 そうして使えるカルマを増やしていくわけですね。

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O Dang Kwon氏:
 さらに前世に戻ることもでき,キャラクターの姿が変わっても覚えたカルマを引き継げます。

4Gamer:
 前世ですか。もう少し詳しく教えてもらえますか?

O Dang Kwon氏:
 キャラクターを作るときに選んだカルマは変えられないのですが,NPCからもらったカルマはそのままで,新しいキャラクターを作り直せるんです。

4Gamer:
 ああ,なるほど。能力を維持したまま,見た目の変更ができる感じなんですね。

O Dang Kwon氏:
 なお,G-Starで出展している試遊台では,2つのカルマを選べますが,ローンチ時は1つしか選べません。そこから集めていくことになります。

4Gamer:
 では,本作に成長要素はあるのでしょうか?

O Dang Kwon氏:
 RPGの場合は,キャラクターのレベルが上がると能力も上昇しますが,本作はPvPが主なゲームなので,能力に差が出るとマッチングが難しくなります。なので,キャラクターのレベルではなく,カルマの熟練度を上げていくというものになります。

4Gamer:
 カルマが成長すると,どのような効果があるのでしょうか。

O Dang Kwon氏:
 成長しても攻撃力が上がるわけではなく,アクション性が変わったり,コマンドが追加されたりといった細かな違いが出ます。例えば,1回の攻撃で2回分が当たるようになったりですね。なお,現在のカルマは4つですが,ローンチ時には6つになり,今後のアップデートでさらに増えていく予定です。

4Gamer:
 なるほど,いろいろなカルマを集めて成長させるのが,このゲームのモチベーションになりそうですね。

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O Dang Kwon氏:
 はい。例えば「League of Legend」でも1つのキャラクターに慣れてくると,別のキャラクターで勝ちたいと思うことがありますよね。KurtzPelも2個のカルマだけで戦えますが,プレイヤーは新しいものを求めるので,また違うカルマで戦ったり,勝ったりしたいという動機が生まれるはずです。

4Gamer:
 お気に入りのカルマでずっと戦う人もいれば,いろいろなカルマを成長させて,その組み合わせを楽しむ人もいるでしょうね。

O Dang Kwon氏:
 ちなみに,NPCからカルマを得ると先ほどお話しましたが,メインストーリー以外に,NPCごとの個別ストーリーもあり,それを進めていくことで入手できるんです。そこでは,装備が手に入ったりもします。

4Gamer:
 今回出展されている試遊台はPvPのみでしたが,PvEのようなものがあるわけですか?

O Dang Kwon氏:
 はい。ですが,PvEはまだ公開する段階ではないんです。PvPの方は完成度に自信があったのでプレイアブル出展しました。

4Gamer:
 ということは,サービスインの段階でゲームのストーリーが楽しめるPvEが用意されると。

O Dang Kwon氏:
 そのとおりです。カルマは必ずNPCから手に入るので,ローンチではメインストーリーのほかに,6つの(カルマに関連した)ストーリーが楽しめます。

4Gamer:
 カルマを手に入れた段階で,そのNPCの役割は終わりということになるのでしょうか。

O Dang Kwon氏:
 それで終わりというものもありますが,熟練度を上げるためにNPCからもらえる任務があります。そういった任務を通してカルマを成長させていくわけです。

4Gamer:
 ところで,ゲーム中にはロビーのような場所だけでなく,オープンなフィールドも用意されているんですか?

O Dang Kwon氏:
 オープンフィールドの必要性を感じていないので,いまのところ作っていません。PvEもインスタンスダンジョンのような場所を探検してボスを倒すというわけではなく,バトルに集中したいので,いきなりボスと戦うといった感じになります。

4Gamer:
 なるほど。では,ゲーム中のストーリーはNPCを中心に語られることに?

O Dang Kwon氏:
 探検部分は,シネマティック映像を入れることになります。

4Gamer:
 分かりました。ところで試遊台のPvPは2対2となっていましたが,NPCでのバトルは何人でプレイできるのでしょうか。

O Dang Kwon氏:
 2人です。

4Gamer:
 1人では戦えないのでしょうか。

O Dang Kwon氏:
 いえ,1人の場合はAIが一緒に戦ってくれますよ。もちろん,自動でマッチングする機能も用意します。


マルチプラットフォームを視野に入れたUnreal Engine 4


4Gamer:
 キャラメイクについてお聞きしたいです。出展されているバージョンでは,使える種族は人間のみでした。リリース時には3種族で,1つはおそらくエルフですよね。残るもう1種族は?

左のキャラがカリエン
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O Dang Kwon氏:
 「カリエン」という名称の種族になります。彼らは人間界で生まれた魔族という設定です。

4Gamer:
 獣耳のキャラクターですね。

O Dang Kwon氏:
 そうです。実は角が生えていて,ばれてはいけないので耳をつけて隠しているんです。

4Gamer:
 この世界でも魔族は疎まれる存在なんですね。

O Dang Kwon氏:
 はい。魔法を人間界に持ってきたのはカリエンなのですが,やはり魔族なのであまり良くは見られていないんです。

4Gamer:
 なるほど。それはそうとして,カリエンの服はきわどいですね。

O Dang Kwon氏:
 ええ。好みです(笑)。

4Gamer:
 (笑)。この服もそうですが,キャラメイクをすると最初が下着姿で,最後まで設定すると胸とお尻だけをそれぞれ2種類設定するスライダーが出てくるじゃないですか。どれだけ“ここ”にこだわっているんだろうと思いました。

O Dang Kwon氏:
 そこで遠慮したいとは思っていなくて。プレイヤーの純粋な欲求があると思うんです(笑)。

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4Gamer:
 分かりますけど(笑)。

O Dang Kwon氏:
 この欲求は男女に関わらずあって,男性キャラのものはまだ開発中ですが,胸をもっと調整できるんですよ。

4Gamer:
 それは筋肉質にしたり?

O Dang Kwon氏:
 そうです。そういう欲求を女性が持っているのは確認できていますから(笑)。

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4Gamer:
 そこはこだわりたいと(笑)。とはいえ,胸の大小だけでなくて,角度まで調整できるのはオンラインゲームでは初めてみました。

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O Dang Kwon氏:
 Unreal Engine 4(以下,UE4)を使っているので,物理的なところがしっかりしていますよね。開発者がこの弾力を決めても……という感じだったので,それはきちんとプレイヤーに決めてもらおうと思ったんです。

4Gamer:
 ちなみに,お尻の2つめの設定に弾力というものがありましたが,この変化は分かりづらいですよね。

O Dang Kwon氏:
 ええ。お尻の弾力の表現は動くときに意味があるものなので分かりづらいかもしれません。けれどプレイヤーが自分のキャラクターをそこまで決められるというところが大切だと思っているんです。

4Gamer:
 服を着るとさらに分かりづらいですし,なぜそこまでこだわるのか気になりました。

O Dang Kwon氏:
 それは,みんなが喜ぶからです(笑)。

4Gamer:
 分かりました(笑)。ところで,キャラメイクでは服の設定がありませんでしたが,おそらく本作はアバター性を重視されていますよね。服とかは替えられるんですか?

O Dang Kwon氏:
 もちろん服も用意されていて,買ったり,NPCと仲良くなったら自分の服をくれたりします。

4Gamer:
 服はパーツに分かれているんですか?

O Dang Kwon氏:
 はい。自分の個性が表せるものですし,分けられますよ。

4Gamer:
 このあたりがマネタイズの部分になりそうですね。先ほど,UE4を使っていると話していましたが,なぜこれを使うことにしたのでしょうか。

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O Dang Kwon氏:
 UE4はグラフィックスが優れていますが,そのためだけじゃなく,マルチプレイだったり,ソースが公開されているので活用しやすかったり,さらにマルチプラットフォームに最適だったりしますから。

4Gamer:
 マルチプラットフォームですか?

O Dang Kwon氏:
 ええ,コンシューマへの進出も考えています。

4Gamer:
 なるほど。それにしても,Unreal Engineでアニメ調のゲームが制作されることは少ないのでは。これまでだとUnreal Engine 3で制作された「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」が思い浮かびますが,UE4でここまでアニメ調のゲームは初めて見ました。

O Dang Kwon氏:
 そうですね。UE4になって,アニメ調で制作するのは難しくなりました。しかし,これからの拡張性などを考えてUE4にしたんです。

4Gamer:
 G-Starでの印象ですが,韓国でもアニメ系のPCオンラインゲームが減ったと思うんです。いまPCオンラインゲームで表に出ているタイトルは「PERIA CHRONICLES」と,この「KurtzPel」くらいですよね。なぜ今,PCでこうしたアニメ系のタイトルを制作しようと思ったのでしょうか。

O Dang Kwon氏:
 グローバル的に見てもアニメ系のゲームは十分に需要があると思っているんです。それにアニメ調のゲームは,KOGが一番うまく作れるジャンルですから。

4Gamer:
 「ELSWORD」だったり,これまでの開発経験があるから,と。
 ところで,マルチプラットフォームのお話がありましたが,韓国でのコンシューマゲームはどんな状況なのでしょう。

O Dang Kwon氏:
 最近出ているゲームは,マルチプラットフォームを選択しているものが多いですね。もともと韓国はゲーマーが多かったのですが,その子供達が大きくなって,コンシューマを買える力を持っていますからね。

4Gamer:
 なるほど。韓国はPC-VAN(※韓国のネットカフェ)でゲームをするイメージが強くて。それがここ数年で変わってきたわけですか。

O Dang Kwon氏:
 はい。最近はPS4も強くなってきていて,いろいろなゲームがハングル化されて発売されています。今の韓国は,昔のようにPCがそこまで強いものではなくなってきています。なので,開発者からすると一番良い選択肢がマルチプラットフォームになるんです。いろいろなプレイヤーに遊んでもらえますし。

4Gamer:
 スマートフォンも盛況ですし,このあたりは日本も韓国も同様なんでしょうね。最後に,本作の今後の展開を教えてください。

O Dang Kwon氏:
 PvPは完成度が高くなっていますが,そのほかの要素で足りないところがあるので2018年のローンチを予定しています。

4Gamer:
 韓国以外,とくに日本についてですが,海外への展開は考えていますか?

O Dang Kwon氏:
 もちろんグローバル展開は計画しています。日本でのサービスはまだ決まってはいません。日本ではアニメ風のゲームが多いので,興味をもっていただけるか分かりませんが,いいところがあればぜひ進出したいと思います。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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