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Huaweiの新ハイエンドスマホ「Mate 20 Pro」テストレポート。「Kirin 980」はゲームでも意外に快適だった
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印刷2018/11/30 21:00

テストレポート

Huaweiの新ハイエンドスマホ「Mate 20 Pro」テストレポート。「Kirin 980」はゲームでも意外に快適だった

画像集 No.002のサムネイル画像 / Huaweiの新ハイエンドスマホ「Mate 20 Pro」テストレポート。「Kirin 980」はゲームでも意外に快適だった
 既報のとおり,2018年11月28日,Huawei Technologies(以下,Huawei)の日本法人であるファーウェイ・ジャパンは,新型スマートフォン「Mate 20 Pro」を発表した。
 ハイエンド端末に位置づけられるMate 20 Proは,11月30日にSIMロックフリー端末を扱うMVNO各社から発売となったほか,ソフトバンクでも扱うそうだ。発売が近いこともあり,店頭で展示機をチェックできる機会もすぐに訪れるだろうから,「今冬に買うスマートフォンは,Pixel 3にするか,ROG Phoneにしようか」と考えていたゲーマーにとっては,悩ましい選択肢となる製品かもしれない。
 そんなMate 20 Proを,新製品発表会場でじっくりとチェックしてきたので,その実力のほどをレポートしよう。


幅広ノッチの付いた4辺狭額縁デザイン

USB Type-Cポートにスピーカーを内蔵


Mate 20 Proの前面。ほとんどが有機ELパネルで覆われている
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 Mate 20 Proは,6.39インチサイズで解像度1440×3120ドット,アスペクト比にして9:19.5という有機ELパネルを搭載するスマートフォンだ。昨今におけるハイエンドスマートフォンの例に漏れず,上下左右のベゼル幅を限界まで削ったデザインにより,フロントからのビジュアルは「ほとんどパネル」といったところで,見た目のインパクトは大きい。

 ボディの形状は,Samsung Electronics(以下,Samsung)のGalaxyシリーズと似た有機ELパネルの左右端が湾曲して側面につながるデザインを採用して,ベゼルを細く見せている。有機ELパネル上部には,今やおなじみの切り欠き(ノッチ)があるのだが,同じHuaweiの「P20 Pro」に比べると,インカメラ周辺にセンサーを多く搭載したことで,ノッチ部分の横幅は広くなった。
 ちなみに,設定アプリにノッチを目立ちにくくする設定もある。そこまでしてノッチを備える必要があるのかと思わなくもないが,ノッチ搭載スマートフォンは,今後もしばらくは続きそうだ。

ノッチ部分にスピーカーやインカメラ,センサー類を装備しているため,横幅は広めだ
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インスクリーン指紋認証センサーの位置にアイコンが表示されている
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 さて,Mate 20 Proは本体正面に生体認証用の指紋認証センサーを備えているのだが,パッと見て分かるところにセンサーは見当たらない。Mate 20 Proのポイントは,有機ELパネルの下に組み込んだインスクリーンタイプの指紋認証センサーを組み込むことで,ボタン型の物理センサーを露出させる必要がなくなったことだ。
 指紋認証センサーは,画面中央よりもやや下あたりあるようで,画面上にセンサーの位置がアイコンで表示される。使用感はこれまでの指紋認証センサーと変わらない。

 ちなみに,Mate 20 Proはロックの解除にインカメラを使った3D顔認証も使えるので,指紋認証の出番は減りそうに思える。とはいえ,風邪や花粉症でマスクを付けているときなどは,指紋認証センサーの出番となるだろう。使用感が気になる人は,店頭のデモ機でチェックしてみるといいだろう。

Mate 20 Proの背面。四角く並んだレンズが,まるで4連装ロケットランチャーを正面から見たようだ
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 一方の背面には,4連装ロケットランチャーのような見た目で,LEDフラッシュと3つのレンズが四角に並んでおり,そのインパクトは非常に大きい。Leicaと共同開発したというアウトカメラのレンズは,35mm換算で16mm相当の超広角レンズ,27mm相当の広角レンズ,80mm相当の望遠レンズという3種類で,これまで以上にカメラに対して力を入れているのがうかがえる。

 ちなみに,スマートフォンにおける標準的なカメラレンズは,35mm換算で27〜28mm程度集中しており,35mm換算で16mmのレンズを採用するスマートフォンというのは,あまり例がない。もちろん,似たような画角のレンズを搭載した端末は過去にも存在したのだが,実用性においてまともに評価できる製品は,このMate 20 Proが事実初と言ってもいいのではないだろうか。それくらい,Mate 20 Proの超広角レンズは仕上がりがいい。

 少し脱線するが,レンズというものは,広角になるほど遠近感が生じる。近いものはより近く,遠いものはより遠くに写るようになるわけだ。絵的にどうであるかは別としても,広角レンズは適当に撮影した場合でも,遠近感の付いた分かりやすい写真になりやすい。昨今の写真投稿文化からすると,広角に強いレンズの採用は,当然の流れとも言えよう。

超広角レンズによる撮影サンプル
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最短2.5cmのマクロ撮影機能によるサンプル。地味だが出番は多そうな機能だ
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 下側面にあるUSB Type-Cポートにも注目すべき点がある。コネクタ部分の奥にスピーカーを内蔵していて,受話口部分のスピーカーと合わせて2chのステレオスピーカーとなるのだ。

Mate 20 Proの下側面。前面と背面の端がカーブを描いた形状になっているのが分かる。左からサブマイク孔,SIMカード/NMカードスロット,USB Type-Cポート,メインマイ孔の並び
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充電しながらでも,音にはあまり影響はないと感じる人が多そうだ
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 USB Type-Cポートにスピーカーが組み込まれているとなると,ケーブルをつないだ充電時には音が聞こえるのかと気になるところ。発表会場でテストした限りでは,ややバランスがズレた感じはするものの,USB Type-C側の音が濁ったような印象はあまりなかった。

上側面にある黒い丸は,ヘッドセット端子ではなく赤外線ポートだ。右端にはサブマイク孔がある
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右側面には音量調整ボタンと,赤色をした[電源/スリープ]ボタンがある。なお,左側面には何もなかった
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ホームアプリは「EMUI 9」

性能に関わる設定は画面解像度とバッテリー


 ソフトウェア面も見てみよう。
 Mate 20 Proは,Huawei独自のユーザーインタフェース兼ホームアプリである「EMUI」の最新版「EMUI 9」を採用している。とは言うものの,Android 9世代に対応したということ以外,前バージョンから大きな変化はないようだ。ゲームに関係しそうな設定項目は,画面の解像度と電池関係の設定くらいだろうか。

設定アプリにおける画面の解像度設定。スマート解像度は動的に解像度を変更する機能であるという
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 まず画面の解像度は,1560×720ドット,2340×1080ドット,3210×1440ドットの3種類から選択できるのだが,デフォルトでは「スマート解像度」なる機能が有効になっていた。スマート解像度は,「自動的に解像度を低くして消費電力を節約」するというもので,どのタイミングで解像度が変わったのかは,見ているぶんには分からない。そのため,画面解像度にこだわりがないのであれば,スマート解像度のままというのもアリだ。

 電池の設定には,パフォーマンスモードと省電力モード,ウルトラ省電力という3つの動作モードが用意されていた。パフォーマンスモードは,最大限の性能を発揮できるように「端末の設定を最適化」するモードだそうで,「バッテリーの消費量と発熱量が増加する可能性があります」との記述がある。CPUやGPUの動作クロックに対する制限を緩和,ないしは解除するようなものだろうか。

設定アプリにおける電池の設定
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 動作から見た推測ではあるが,いずれのモードもオフにしている場合,ゲームのように負荷の高いアプリを実行中は,パフォーマンスモードと似た状態になっているようだ。後段で説明するベンチマークテストで,パフォーマンスモードオンとオフの状態で測り比べてみたのだが,結果は誤差範囲でしかなかったからである。

 なお,Huaweiの端末では,対象となるアプリを起動すると端末のグラフィックス性能が向上するという独自機能「GPU Turbo」を実装した製品があり,Mate 20 Proもその1つに入っている。ただ,GPU Turboの詳細をHuaweiは明らかにしていないうえ,ユーザーが任意にオン/オフできるような設定もない。
 GPU Turboが対応するアプリも,「PUBG MOBILE」と「モバイルレジェンド:Bang Bang」の2タイトルが明らかになっている程度で,そのほかに対応タイトルが存在するのかも分からない状況だ。オン/オフをユーザーが制御できず,対応タイトルも分からないとなると,効果があるのかどうかも判断しかねる。Mate 20 Proにおいては,GPU Turboのことをユーザーが気にする必要はないだろう。

※システムソフトウェアアップデートでGPU Turboに対応した端末であれば,アップデート前と後で性能を比較することは可能だが,Mate 20 Proは最初から対応しているはずなので,この手は使えない。

サラウンドサウンド技術「Dolby Atmos」にも対応している(左)。スピーカー使用時は,Dolby Atmosが常に有効であるようだ。ワイヤレス充電規格「Qi」に対応するのは,今やハイエンド端末では当たり前であるが,Mate 20 Proを充電器にして,ほかQi対応端末を充電するという珍しい機能もある(右)
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グラフィックス性能は

Snapdragon 835以上,Snapdragon 845以下


 Mate 20 Proは,Huawei傘下の半導体メーカーであるHiSilicon Technologies(以下,HiSilicon)製のハイエンド市場向けSoC(System-on-a-Chip)「Kirin 980」の採用を大きな特徴としている(関連記事)。
 メインメモリ容量は6GB,内蔵ストレージ容量も128GBと,スペック面ではハイエンドと呼ぶに相応しい端末だ。

●Mate 20 Proの主なスペック
  • メーカー:Huawei Technologies
  • OS:Android 9.0(Pie)
  • ディスプレイパネル:6.39インチ有機EL,解像度1440×3120ドット,538ppi
  • プロセッサ:HiSilicon製「Kirin 980」
    ・CPUコア:Cortex-A76(最大2.6GHz)×2+Cortex-A76(最大1.92GHz)×2+Cortex-A55(最大1.8GHz)×4
    ・GPUコア:Mali-G76
    ・AI処理プロセッサ:NPU×2
  • メインメモリ容量:6GB
  • ストレージ:内蔵128GB+NM Card(最大256GB)
  • アウトカメラ:三眼式,光学式手振れ補正機能搭載
    ・広角:約4000万画素,F1.8
    ・超広角:約2000万画素,F2.2
    ・望遠:約800万画素,F2.4
  • インカメラ:約2400万画素,F2.0
  • 対応SIM:nanoSIMカード(デュアルSIMデュアルVoLTE対応)
  • 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1/2/3/4/5/6/7/8/9/12/17/18/19/20/26/28/32
    TDD LTE Band 34/38/39/40/41
  • 対応3Gバンド:Band 1/2/4/5/6/8/19
  • バッテリー容量:4200mAh
  • 待受時間:未公開
  • 連続通話時間:未公開
  • 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
  • Bluetooth対応:5.0+LE
  • FeliCa対応:×
  • USBポート:USB Type-C
  • スピーカー:2chステレオ
  • 公称本体サイズ:72.3(W)×157.8(D)×8.6(H)mm
  • 公称本体重量:約189g
  • 本体カラー:ミッドナイトブルー,トワイライト

Kirin 980の特徴とブロック図
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 Kirin 980は,Arm製のハイエンドCPU IPコア「Cortex-A76」や,同じくArm製のハイエンドGPU IPコア「Mali-G76」による高性能が特徴であるという。
 とはいうものの,ハイエンド市場向けスマートフォンで支配的な地位にあるQualcomm製のSnapdragon 800番台に比べると,KirinシリーズのSoCは,性能面で見劣りする面があったのも事実だ。とくにGPU性能では少なからぬ差があったため,「Kirin搭載端末は,ゲームにおいてSnapdragon搭載端末には及ばない」というイメージを持つ人も多いだろう。

 そんなKirin 980を搭載するMate 20 Proの実力を,いつものベンチマークアプリで検証してみよう。
 テストに用いたのは,グラフィックスベンチマークアプリである「3DMark」のSling Shot Extreme Unlimited OpenGL ES 3.1プリセットと,Sling Shot Extreme Vulkanプリセット,ストレージベンチマークアプリ「Androbench」,連打応答性を調べる「ぺしぺしIkina」の3種類だ。またCPU-Zでの動作クロック観察も行っている。画面解像度は,3210×1440ドットに固定した。
 なお,「AnTuTu Benchmark」と,Webブラウザで実行するHTML5版ベンチマーク「AnTuTu HTML5 Test」も実行したのだが,うかつなことに計測結果を撮影し忘れてしまったので,今回はナシとさせていただく。ただ,AnTuTu Benchmarkにおける総合スコアは30万を超え,「CPU」と「MEM」スコアの高さが目立ったとは記しておく。

Mate 20 Proにおける3DMarkの計測結果
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 さて,Mate 20 Proにおける3DMarkのスコアだが,結果を見るとSling Shot Extreme Unlimited OpenGL ES 3.1プリセットは「4352」と,競合となるQualcomm製「Snapdragon 845 Mobile Platform(以下,Snapdragon 845)よりも低い結果となった。
 ただ,「ROG Phone」のレビューに掲載したSnapdragon 845搭載端末による3DMarkのスコアがおおむね49005100程度で,「Snapdragon 835 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 835)を搭載する2017年のハイエンド端末「AQUOS R」のスコアが3900前後だったことを思えば,Mate 20 Proのスコアはハイエンドと称して差し支えないレベルではあろう。

 面白いのは,Mate 20 ProにおけるSling Shot Extreme Vulkanプリセットのスコアは「4327」と,筆者がここ最近計測したどの端末よりも高い結果となったことである。Vulkan APIを使用するゲームにおいて,Mate 20 Proは,Snapdragon 845搭載端末よりも良好な動作を示す可能性があるかもしれない。

 続いてAndroBenchの結果を見てみよう。
 結果をにまとめてみたが,Sequential Read(逐次読み出し)のスコアは「908.15MB/s」と非常に高く,またRandom Write(ランダム書き込み)も「226.46MB/s」と,Snapdragon 845搭載端末を大きく上回っている。また,SQLiteのスコアも総じて高く,良好な結果となった。
 ベンチマークで見えたストレージ性能の優秀さは,アプリの起動やデータロードといったシーンで体感できる。ただ,NPUもアプリの起動に関わる制御を行っているという話なので,こと起動に関しては,ストレージ性能だけの影響で速いというわけではないかもしれない。

表 Mate 20 ProにおけるAndroBenchの計測結果
逐次読み出し(Sequential Read) 908.15MB/s
逐次書き込み(Sequential Write) 182.63MB/s
ランダム読み出し(Random Read) 146.56MB/s
ランダム書き込み(Random Write) 226.46MB/s
SQLite Insert 4782.56 QPS
SQLite Update 5342.85 QPS
SQLite Delete 6891.53 QPS

 CPUの動作を見るCPU-Zでは,なかなか面白い挙動を確認できた。
 Kirin 980は,Arm系CPUを搭載するSoCで一般的なbig.LITTLE構成よりも細かくCPUコアを制御する仕組みを採用し,bigコア×2,Midコア×2,LITTLEコア×4という構成になっているという(関連記事)。こうしたCPUコアの違いが,CPU-Zの動作クロック変動から読み取れるのだ。
 たとえばSnapdragon 845の場合,アプリのインストール時にはbigコアの動作クロックが最大まで上がるのだが,Kirin 980の場合,Midコアの動作クロックが上昇し,bigコアの動作クロックは低いままだった。いろいろと試してみたが,CPU-Zではbigコアの動作クロックが上昇する様子は見られなかった。推測になるが,ゲームや本当に処理負荷の高いアプリくらいでしか,bigコアは高クロックで動かないと思われる。

CPU-Zで動作を確認している様子。CPU名がCortex-A55となっているが,これはLITTLE側のCPUコアで,bigとMidはCortex-A76である。左写真はアプリのインストール中に撮影したもので,CPU0〜3がLITTLEコア,CPU4〜5がMidコア,CPU6〜7がbigコアである。インストール時にも,LITTLEとMidの動作クロックしか変動しなかった。右写真はアイドル状態である
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Mate 20 ProにおけるぺしぺしIkinaの連打結果
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 最後のぺしぺしIkinaだが,いつもどおり93〜96になるよう連打して,結果は「88」と,非常に優秀な結果となった。後半に飽和が見られたものの,連打に合わせてほぼストレートにスコアは伸びたという印象だ。タッチの入力取得は,ソフトウェアキーボードで高速に入力をしてもひっかかりがないほど。アプリをインストールしなくても確認できるので,手軽な動作チェックにお勧めである。

 さて,画面の連打に問題はなかったのだが,側面のカーブ部分に手が触れると,カウントが止まってしまうことがあるのは面倒だった。どうやらテーブルの上においた場合,端末側面に肌が触れたことを無視するリジェクション機能がうまく動作していないようで,端末を固定している手の接触を感知して,カウントが止まりがちなのだ。
 片手で持って,もう一方の手で操作する場合は,リジェクションが動作して,軽く触れたくらいではカウントの停止は起きなかったので,テーブルに置いたときの挙動はゲームにおいて気になるだろう。ケース(ジャケット)の装着である程度は緩和できるので,気になる人は適切なケースを使うことをお勧めする。


実ゲームでの動作はかなり快適


 ゲームでの検証は,「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)と「Fate/Grand Order」(以下,FGO)を使用した。

 まず,デレステのプレイフィールだが,タッチの取得漏れはほとんどなく,リズムゲームに向いている印象だったが,端末を持った状態でも側面のエッジ部分に触れた手に反応してしまい,取得が上手くいかない場面にも出くわした。端末を持った状態では,リジェクションが働くと思っていたのだが,どうもアプリ次第であるらしい。
 グラフィックス描画は,曲の冒頭でややもたつくことがあったものの,それ以外では気になるシーンはナシという具合に優秀だ。


 会場で5回ほど連続プレイをしてみたが,背面があまり熱を持たなかったことも印象深い。筐体に熱が溜まってくると,フレームレートが不安定になったり,入力取得漏れが増加したりするものだが,Mate 20 Proでは,取得漏れが気持ち増えた程度だった。Kirin 980の性能と消費電力が,高いレベルでバランスを取れていることと,筐体全体にまんべんなく放熱する放熱設計の効果ではないだろうか。
 機会があれば,赤外線カメラで温度分布をチェックしてみたいものだ。

スピーカー使用時におけるタイミング調整の結果は+15〜18(左)。会場には純正のUSB Type-C to 3.5mmミニピンヘッドセット変換アダプターがなかったので,Appleの変換アダプター「MU7E2FE/A」で試したところ,なぜか+13と値が小さくなった(右)。スピーカーモードでは,Dolby Atmosをオフにできない点が影響している可能性がある
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 FGOでは,クエストのロード時間を計測してみた。ゲームデータをすべて事前にダウンロードすることは作業時間的に難しかったので,同じ編成(※サポートは同一サーバント)で事前に同じ処理を数回実行して,データがキャッシュにあると期待できる状態にしたうえで,計測を実行している。
 結果は,クエスト開始をタップしてからバトル開始まで,設定した解像度に関係なく,5回計測で平均16.5秒となった。ROG Phoneが18.2秒だったので,2018年11月時点におけるAndroid端末では最速と言える。

 なお,ROG Phoneでの計測時と,Mate 20 Proにおける計測時で,FGOのバージョンは異なっているのだが,ROG Phoneと同じバージョンで計測したことのある「Galaxy S9」で,改めて計測してみても結果は変動しなかった。そのため,バージョンによるロード時間の差はないと判断している。


2018年冬のハイエンド候補に入れる価値あり


 テストで見ても分かるように,Mate 20 Proは,Kirin 980を採用したことにより,Snapdragon 845搭載機に近い性能を発揮し,部分的には上回る性能を発揮できるようになった。今後,Kirin 980に最適化したアプリが増えるかどうかが重要となるのは,今までのKirinシリーズ搭載端末と変わらない。ただ,中国のゲームスタジオが開発したタイトルであれば,Kirin 980が最適化の対象になる可能性は高いので,快適に動作するアプリは今後増えていくと,今まで以上に期待できるのではないか。
 ただ,デレステとFGOの挙動を見るに,最適化されていないアプリでも快適に動作するだけの性能を有していると考えてよさそうである。

 トリプルレンズとAIを生かしたカメラ機能も気になるという人は,Mate 20 Proを次に買うハイエンド端末の候補に入れてもいいだろう。

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 2018年11月28日,Huaweiは,ハイエンド市場向けの新型スマートフォン「Mate 20 Pro」を11月30日に発売すると発表した。HiSilicon製のハイエンド市場向けSoC「Kirin 980」やトリプルレンズ式アウトカメラを採用する製品だ。税込の予想実売価格は12万円前後となる。【18:30頃,製品写真などを追加】

[2018/11/28 13:28]

HuaweiのMate 20 Pro製品情報ページ


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