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[TGS 2019]多方面に才能を発揮するプロゲーマー,ふ〜ど氏インタビュー。過去と現在,そして未来の希望を聞いてみた
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ふ〜ど氏のInstagramアカウント
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。ふ〜どさんと言えば,今はストリートファイターシリーズの選手というイメージが強いですが,その実,さまざまなタイトルで活動されていますよね。プロゲーマーとして目指しているところ,目標はありますか。
ふ〜ど氏:
これと言った具体的な目標は,今はないんですよね。ゲームがとにかく好きなので,自分の専門外の新しいゲームを積極的に遊びますし,それが面白いなって思ったらやり込みます。でも,それってプロかどうかとは関係ないですよね。
ただ,プロとしてプレイしている「ストリートファイターV アーケードエディション」(PS4 / PC / AC)では,勝ち負けをもっとも重視して取り組んでいます。ほかのゲームでは,勝ち負けよりも楽しもうって思いが強くて。カードゲームなんかだと,マニアックなデッキを作って遊んでいたりしますね。
4Gamer:
カードゲームの話が出ましたが,最近は「TEPPEN」(iOS / Android)をかなりプレイされてますよね。同作の面白さや魅力は,どんなところだとお考えですか。
ふ〜ど氏:
格闘ゲームに近い気がしますね。見た目は完全にカードゲームなんですけど,従来のカードゲームとは違う部分が多くて。どちらかといえばアクション要素が強くて,そこが面白いですね。1試合が短いので,サクサク遊べるのも気に入っています。
4Gamer:
カードゲームは以前からプレイしていたのでしょうか。
ふ〜ど氏:
「Shadowverse」はめちゃくちゃやっていますね。1万勝超えるくらい遊んでいます。子供の頃は「マジック:ザ・ギャザリング」もプレイしました。「ウルザズ・サーガ」の頃ですけど。当時はまだ中学生でしたが,船橋から池袋まで移動して大会なんかにも参加していました。
4Gamer:
それはビデオゲームと並行して遊ばれてたんですか?
ふ〜ど氏:
ゲーセンでもガッツリ遊んでいましたね。初めてアーケードゲームに触れたのはもっと小さい頃で,駄菓子屋の軒先に置いてあったMVS筐体でした。当時の自分の行動範囲では,ゲームができる場所がそこしかなかったんです。
4Gamer:
MVS筐体では,どんなタイトルをプレイしていましたか。
ふ〜ど氏:
本当になんでも遊んでいました。「THE KING OF FIGHTERS」「餓狼伝説スペシャル」「リアルバウト餓狼伝説」「メタルスラッグ」……入っていたものは全部ですね。
4Gamer:
ふ〜どさんといえば,「バーチャファイター」(以下,バーチャ)シリーズでの活躍が強く印象に残っている人も多いと思いますが,バーチャシリーズを始めたのはいつ頃だったのでしょうか。
ふ〜ど氏:
自分のことを皆に覚えてもらえたのがバーチャですからね。バーチャをまじめにプレイをするようになったのは「バーチャファイター4 エボリューション」からで,けっこう遅い時期なんです。この頃から本格的に格闘ゲームに取り組むようになったんですが,なにかしらのきっかけがないと,本気でゲームに取り組むのって難しいかなと思います。
4Gamer:
ふ〜どさんにとってのきっかけは,何だったんですか?
ふ〜ど氏:
「バーチャファイター4 エボリューション」で,全国大会に出場できたことですね。始めてからまだ半年も経っていなかったんですが,地元の予選に出場したら,そのまま優勝できてしまいました。
4Gamer:
そこで大会や競技としてゲームの面白さを感じたということでしょうか。
ふ〜ど氏:
どちらかと言えば,知り合いが増えたことが大きいように思います。当時バーチャはめちゃくちゃ流行していたので,毎週のようにどこかに遠征して対戦していました。友人に車で送ってもらって(笑)。
4Gamer:
ふ〜どさんはゲーム攻略の早さに定評があります。ほかの人と比べて,自身がとくに優れている要素はなんだと思いますか。
ふ〜ど氏:
環境を作ることですね。もっとも質の高い対戦ができる場所で練習をすることを心掛けています。例えば「Shadowverse」(iOS / Android / PC)はやり込んではいるものの,今はただの趣味です。ですが本気で取り組むのであれば,すぐにプロに混ざって練習を始めると思いますよ。
4Gamer:
思考や技術の話になるかと思っていたので,少し意外です。コミュニケーション能力が大切ということなんですね。
ふ〜ど氏:
そうですね。みんなでお酒を飲むのも好きですし(笑)。
4Gamer:
話が戻りますが,TEPPENの話をもう少し聞かせてください。昨日はガンホーブースでプロゲーマーによるエキシビションマッチに参加していましたよね。
ふ〜ど氏:
豪華な顔ぶれで,ウメハラさん,ときどさん,どぐらさん,そして僕の4人がメンバーでした。皆かなりやりこんでて驚きました。「おぉ,やってんなぁ!」って。自分は最初に負けたにもかかわらず(笑)。周りの近しい人がやり込んでいてくれると,こっちもモチベーションが上がるんです。
4Gamer:
これからも継続してプレイされるのでしょうか。
ふ〜ど氏:
少し前からBeasTVでウメハラさんやザンギさんと一緒に配信していますし,まだまだやっていきますよ。9月16日には「BeasTV Cup - TEPPEN -」も開催します。これからも盛り上げていきたいですね。
4Gamer:
「BeasTV Cup - TEPPEN -」はオフラインイベントでしたよね。
ふ〜ど氏:
はい,Red Bull Gaming Sphere Tokyoでやります。48人のエントリー制なんですけど,一瞬で定員が埋まってしまいました。やることはオンライン対戦なんですけど,皆集まって遊ぶのが好きなんだなぁって思いましたね。
4Gamer:
TGSのイベントでは,ほかにもふ〜どさんがスペシャルサポーターを務める女子eスポーツチーム「G-STAR Gaming」が発表されました。今後どのような活動を行っていく予定でしょうか。
ふ〜ど氏:
メンバーによってプレイするタイトルが違うんですが,自分が教えられるタイトルであれば,積極的にアドバイスをしていきたいですね。少し話がそれますが,僕は前からeスポーツで女性があまり活躍していない理由が気になっているんですよ。eスポーツって,本来男女関係なく平等に競い合えるものじゃないですか。
4Gamer:
そうですね。
ふ〜ど氏:
さっきプレイする環境が大切って言いましたが,元々男性の多いコミュニティなので,女性が環境を作るのは難しいというのは分かるんです。ですので,そういう“強くなれる”環境を自分が提供することで,彼女達の成長を助けられたらと思っています。
4Gamer:
ふ〜どさんは,人に教えることは得意なほうだと思いますか。
ふ〜ど氏:
教えることは好きで,ここ1年くらい配信でやっています。僕は理屈でゲームをプレイするタイプなので,その理屈を言葉で説明する感じです。根性論でものを教える人もいますけど,僕の場合,それはほとんどないですね。
4Gamer:
TGS 2019では「CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア」もありますが,調子はいかがでしょうか。
※インタビューの収録は,「CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア」の開催直前に行われた。
ふ〜ど氏:
普段どおりって感じです。ただ,連日東京ゲームショウのイベントで結構歩き回ることになるので疲れが溜まりそうなのと,練習する時間が取れなさそうなので,そこが少しだけ不安だったりします。
4Gamer:
優勝賞金が500万円とかなり高額ですが,優勝したら何かしたいことはありますか。
ふ〜ど氏:
昔から高額賞金の大会で優勝したらお店を作るって宣言しているんで,お店を開きたいですね。500万円あったら行けそうじゃないですか?
4Gamer:
現実的だとは思います。何のお店ですか?
ふ〜ど氏:
居酒屋ですね。立地を考えるのが難しくて,いい場所を選んで1発勝負するか,少し安い場所を選んで,失敗してももう1度チャレンジできるようにするか悩んでいます。1発勝負のほうが勝率は高いと思うんですが。
4Gamer:
考え方が格闘ゲーマーですね(笑)。
アジアプレミアの本命は,現在絶好調のボンちゃん選手になるかと思いますが,同選手がこのタイミングで圧倒的な成績を残している理由を,ふ〜どさんはどのように分析していますか。
ふ〜ど氏:
かりんのキャラパワーが高いのは当然あるんですが,サガットもいい味を出していますよね。“ある時期に勝ち続ける人”って,格闘ゲームでは何度も見ましたけど,そういった人は大体攻略が1つ上のレベルに到達しているんです。ただ,そういう人は皆に研究されるものなんで,いつか周りに追い付かれてしまいます。そのことはボンちゃんも理解していると思いますよ。
4Gamer:
先ほどウメハラさんにもお話を聞きましたが,同じ質問に「取り組み方がしっかりしていたから,いつか勝つ時期は来るとは思っていた。不思議なことではない」とおっしゃっていました。
ふ〜ど氏:
僕もそう思いますよ。ただ,ボンちゃん以外にも真面目に取り組んでいる人はたくさんいるので.今の連勝は異常事態だとは思っています(笑)。
4Gamer:
ウメハラさんも同じようなことをおっしゃってました(笑)。次もウメハラさんにも聞いた質問なんですが,先日もけ選手や板橋ザンギエフ選手らが成田空港で足止め状態になったとき,空港ロビーで夜通し対戦を行ったことで,批判を浴びた一件がありました。このことに何か思うことはありますか。
ふ〜ど氏:
そこに触れますか(笑)。物事の良し悪しは脇に置いた前提の話ですが,「つまらない状況を,自分にとってプラスの状況に変えた」という見方は面白いなと思っています。結果的に,ほかの人に迷惑がかかってしまったので,まずかったなあとは思います。
4Gamer:
なるほど。
ふ〜ど氏:
どうすれば炎上しなかったのかと考えたりもしたんですが……閉鎖的だったのがよくなかったんでしょうかね。例えば「マリオパーティ」のような皆で楽しめるゲームを用意して「ゲームスペースを作ったんで皆さん遊びましょう!」といった感じで開放していたら,また違ったかもしれないと思うんです。
ただ,これって結果論でしかなくって,その場に自分がいたとしても,絶対にそこには辿り着けなかったと思います。むしろその場にいたら,一緒にプレイしていた可能性は高いですね。
4Gamer:
eスポーツ全体を取り巻く流れについて聞かせてください。年々規模が拡大しているこの市場を,ふ〜どさんはどう捉えていますか。
ふ〜ど氏:
これまで毎年eスポーツ元年と呼ばれてきましたが,今年は胸を張って2年目に突入したと考えていいんじゃないでしょうか。TGSでは,昨年に続いてeスポーツが推されています。世界でも有数のゲームショウが,2年連続でeスポーツを推してくれる事実は,かなり心強く感じています。あくまでも自分目線での話ですが。
4Gamer:
eスポーツは,今後どのように発展していってほしいですか。
ふ〜ど氏:
プロゲーマーって,大会のために海外に頻繁に遠征することを余儀なくされていますけど,実はこれってあまりよくないと思うんです。
4Gamer:
と言いますと?
ふ〜ど氏:
それができる人は少ないし,お金もかなりかかってしまいます。ですので,国内だけで完結するイベントや大会が増えるといいと思います。それに伴って,国内のeスポーツ市場がさらに盛り上がっていく,といった流れができるといいんじゃないでしょうか。
4Gamer:
ふ〜どさんもプロゲーマーとしてベテランの域に達してきたと思うのですが,今後まだまだトッププレイヤーとして活躍できる自信はありますか。
ふ〜ど氏:
eスポーツってまだ若い人がそんなに入ってきていないので,僕もまだまだトップで活躍できていますが,競技の世界って入れ替わりが激しいじゃないですか。今後さらに発展して若い人が大量に増えたら,当然僕も世代交代を意識するときがやってくると思います。それを今後どうするかってことは,考えていますね。
4Gamer:
それはセカンドキャリアという意味でしょうか。
ふ〜ど氏:
そうですね。今プロで活躍している人の辞め時の読み合いは熱いですね。選手を引退してコーチをするとして,第一人者になれたら強いじゃないですか。今後,そこに注目しても面白いかもしれません(笑)。
4Gamer:
格闘ゲーム以外に目を向けると,コーチや監督,マネージャーといった立場で活躍しているゲーマーはすでに多いですし,格闘ゲームもそうならないとは言い切れませんね。
ふ〜ど氏:
ただ,格闘ゲーマーが自分より弱い人に教えてもらうことは非現実的だと思うんです。すでに現役を退いた人の言うことを聞いてくれるのかなって。少なくとも,僕は難しい気がします。しかもゲームが変わったら,それで可能性は絶たれますよね。
4Gamer:
そう言われると,コーチの仕事も長く続けるのは難しいかもしれませんね。最後の質問です。冒頭でプロゲーマーとしての目標をお聞きしましたが,もっと大きい人生の夢はありますか。
ふ〜ど氏:
ずっとこのままプロゲーマーとして生きていけたらいいなって考えています。世界大会で優勝したいっていう思いよりも強いです。自分が一番楽しめる環境で,人生を過ごしていきたので,現役を退いてもなんらかの形でゲームに関わっていくことになると思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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