「Sky 星を紡ぐ子どもたち」の5周年を記念したイベント，「SkyFest 2024」をレポート。ゲームの今後の展開と「ムーミン」コラボ，アニメ続報が発表に

　thatgamecompany（以下，TGC）は2024年7月13日と14日の2日間，イベント「SkyFest 2024」を，東京・新宿住友ビル三角広場で開催した。
　本イベントは，「Sky 星を紡ぐ子どもたち」（iOS / Android / Nintendo Switch / PlayStation 5 / PlayStation 4 / PC）が2024年に5周年を迎えることを記念して企画されたもの。この記事では，「Sky 星を紡ぐ子どもたち」の最新情報が公開された基調講演を中心に，会場の模様をお伝えする。

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ジェノヴァ・チェン氏

　基調講演を行ったのは，TGCの創業者にして，「Sky」のクリエイティブディレクターを務めるジェノヴァ・チェン氏だ。チェン氏によると，本作をローンチしたとき，競争コンテンツがなく，また気軽にチャットができるような内容ではなかったので，プレイヤーがどう遊ぶのか不安に思っていたという。
　しかし実際には，ローンチ直後から多くのプレイヤーがゲーム内で手をつないだり，一緒に空を飛んだりと，さまざまなプレイを目にすることができたため，そうした不安は即座に払拭されたとのこと。それから5年経過したわけだが，チェン氏らは本作が今のような形に発展するとはまったく想像していなかったそうだ。それはゲームをプレイしたすべての人のサポートがあったおかげだとして，チェン氏は感謝の意を示していた。

講演の冒頭では，本作の歴代アイコンが紹介された。右から左に行くにつれて新しいものとなる。右端はβ版で使われたものだ

チェン氏が手がけてきた歴代タイトルも紹介に。1作めの「Cloud」は，学生時代にロサンゼルスで遭遇した大嵐にインスパイアされたことや，教授のアドバイスにより子供を主人公にして自身の思い出などをたどる内容にしたところ，全世界から反響があったことなどが紹介された

チェン氏らは2006年にTGCを設立し，ソニー・コンピュータエンタテインメント（当時。以下，SCE）の支援のもと2012年までに「flOw」「Flowery」「風ノ旅ビト」をリリース。「Flowery」開発当時は，SCEから大量のカップヌードルが差し入れられたというエピソードも明かされた

　「Sky」は暴力や破壊，競争ではなく，人々の思いやりやつながりをベースにしたオンラインコミュニティを作ろうと考え，企画・開発を進めたとのこと。その結果として2019年のローンチまでに7年かかり，それから5年経った今，チェン氏らは12年間にわたって本作に取り組み続けている。しかしその間，「ゲームというメディアをアートとして社会に認められる存在にする」という目標は一切変っていないとチェン氏。
　今後も「世界中の人々をつなぎ，ポジティブな体験をもたらすために，独自性の高い技術と世界レベルの才能を掛け合わせることで，古びることのない，世代を超えたエンターテインメントを創り上げる」という理念のもと，TGCの活動を続けていくと意気込みを見せた。

プラットフォームの拡充に伴い累計ダウンロード数が2億7000万におよんだこと，老若男女を問わず誰でも感情移入できる設計によりこれまでにない幅広い年代のプレイヤーに遊ばれていること，1画面内での同時接続者描画数が1万人以上におよびギネス記録を達成したことが，「Sky」のブレイクスルーとして挙げられた

　「Sky」の今後の展開も紹介された。まず「つながりをより深く」という項目では，プレイヤー各自による自己表現の向上を目指す。具体的には「巣」や「シェアスペース」関連において，次期大型アップデート「家具のカラーリング」「家具を一つから購入し、設置できる数を任意にアップグレードできるようにすること」「フレンドなどを自分の巣に招待できるコード」を，実装する。
　また，好みの形状の巣を作れるアップグレードや，巣の中で遊べるミニゲームも鋭意開発中とのこと。将来的には，フレンド同士で一緒に巣を編集できるようにしたいと，チェン氏は話していた。

　パフォーマンスおよび「シェアメモリーズ」関連では，次期大型アップデートにて，ゲーム内ライブ配信機能が拡張されるほか，シェアメモリーズの時間が延長されて十分な長さの音楽の演奏も可能となる。
　またオフラインのフレンドにダイレクトメッセージを送ったり，グループによるシェアメモリーズを可能にしたりできるよう開発を進めているという。将来的には，グループでのライブ配信を実現できるよう検討しているそうだ。

　ドレスアップアイテムや楽器関連では，自分の巣の中に手持ちの衣装を飾る機能を開発中とのこと。また将来的には衣装のカラーリングや，カメラを持ちながら楽器の演奏ができるといったように複数のアイテムを同時に使えるようにすること，精霊のロールプレイができるような特別な衣装の追加などを検討している。


　「クオリティ・オブ・ライフ」の項目では，プレイヤーから寄せられたリクエストをもとに，次期大型アップデートで実現する改善や機能などが紹介された。まず，ムービーの全スキップを可能にするオプションが追加される。また，感情表現に「お気に入り」機能が実装され，よく使うものを簡単に呼び出せるようになる。

　フレンドを一時的に削除するオプションも登場。ただし一度削除しても再びフレンド登録することが可能で，その場合は削除前に培っていた関係から再スタートできるとのこと。ほかにもさまざまな改善や機能が開発中，または開発予定となっている。


　「関係性の再構築」という項目では，「Relationship 2.0」を掲げ，ゲーム内のソーシャル性をより高めていくべく開発を進めていることが紹介された。たとえば精霊達がプレイヤーにクエストを依頼することにより，精霊の新たな側面を知ることができるようになるなど，ゲーム内に登場する要素同士がより有機的に結びつくようにしていくという。またプレイヤー間のコミュニケーションも，より多彩なものになっていく。


　コラボレーションは，近日公開されるものから企画段階のものまで，現在5つのプロジェクトを進行中とのこと。会場では，コラボの1つであるアニメ「Sky: The Two Embers」が紹介に。本アニメは，「Sky」と同じく言葉のない映像コンテンツで，闇に飲み込まれないよう生き延びようとする2人の孤児を描いており，観た人の感情を揺さぶる物語性が特徴となる。会場では，最新トレイラーが上映された。また本アニメが2025年公開予定であること，「Sky」においても関連性のある「季節」（シーズン）を展開する予定であることが明かされた。


　基調講演の最後には，「MOOMIN」（ムーミン）とのコラボが今秋展開されることがサプライズ発表された。詳細に関しては，続報を待ちたい。

ムーミンも登壇

　特別ステージ「スペシャルサポーター 梶裕貴と祝うSky5周年」には，「Sky」のスペシャルサポーターを務める声優の梶 裕貴さんが登壇。本作の5周年を祝うとともに，本作の生みの親であるチェン氏と初めて顔を合わせることができた喜びなどを語った。

梶 裕貴さん（中央）。左はTGC ジャパン・コミュニティ・マネージャー 椎名貴恵氏，右は同 ジャパン・ブランド・リード 水谷 立氏

梶さんが手がける音声AIプロジェクト「そよぎフラクタル」も紹介に。ステージのオープニングでは，同プロジェクトの「梵そよぎ/ soyogi soyogi」がカバーした「Sky」の楽曲「Opening Breath」も披露された

　本ステージでは，アニメ「Sky: The Two Embers」第1話の一部が上映された。梶さんも食い入るようにディスプレイに見入っており，美しいグラフィックスと音楽などのゲームの世界観はそのままに，少しキャラクターの息遣いが入っていて温度を感じたとコメントしていた。

本イベントと並行して，ゲーム内でも「SkyFest 2024」が開催されていた。梶さんも，TGCが用意したキャラクターを使って実機でプレイ

ステージの終盤には，「峡谷の大精霊」が登壇。梶さんらと一緒に，「Sky」の5周年をあらためて祝った

会場のセットは，「花鳥郷」などゲーム内の名所を再現

設定画など，各種アートも展示されていた

来場者によるメッセージやファンアートの掲示

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