プレイレポート
「DJノブナガ」プレイ体験会でコスケさん,ねててさん,ダチョーさんが協力プレイに挑戦。柴プロデューサーに配信延期の理由も尋ねたところ――
本作はスクウェア・エニックス,ワーナーミュージック・ジャパン,アソビシステムの3社協業で開発が進められてきたアクションパズルゲームだ。プレイヤーは戦国武将がDJ(ディスクジョッキー)になった“DJ戦国時代”を舞台に,本作の音楽プロデュースをしている中田ヤスタカ氏の手がけたサウンドにノリながら,天下統一のためのDJバトルを繰り広げていく。一時期は2017年秋の配信予定とされていたが,この度ようやく再始動を迎えたらしい。
「戦国アクションパズル DJノブナガ」公式サイト
ゲーム内容についてはこれまでタイトル発表会のレポート,中田ヤスタカ氏へのインタビュー,“きゃりーぱみゅぱみゅ パンプキンライブ2017”での先行体験などでお送りしてきたが,月日をまたいだのであらためて説明しておこう。
ゲーム部分のコンセプトは“音楽×アクション×パズル”で,音楽をフィーチャーしつつも「音ゲーとは違う路線」が目指されている。ルールは画面内の四方八方から現れる“インスピレーション(ノーツに相当)”を指でなぞり,パワーを溜め,敵DJ武将に攻撃するというものだ。画面を指一本でササッとをなぞるだけの簡単操作が特徴である。
バトルではアクションパズルパートの成果で,敵・味方のターンごとに攻防を繰り広げる。どのDJ武将を編成するかによって属性やスキルが変化するので,有利不利や戦術を調整する楽しみもある。また,プレイの如何によって流れてくるサウンドが変化するため,遊ぶときは音出し(あるいはイヤホン)推奨である。
昨年見させてもらったバージョンとの違いだが,ちょっとしたUIやプレイフィールの工夫が随所に見られた。また新しいコンテンツとして,キャラクターの装備アイテムに相当する「アクセサリー」や,プレイヤー同士の疑似PvPが楽しめる「バトル」が実装されていた。最大4人協力プレイがウリのゲームだが,これはこれで別軸の競い甲斐が出てくるのかもしれない。
先行プレイを済ませた後,会場ではYouTuberのコスケさん,ねててさん,ダチョーさんの3人と開発陣によるマルチプレイ体験が行われた。
マルチプレイ時の譜面は非同期型とのことだが,プレイしている4人の姿は「なにこのギミック!」「回復できる人いないの!」「生きたい生きたい!」と,とにかく喧しい。声で周囲と連携を取り合う様子は「友達同士で遊ぶと楽しそう」そのものであった。
今回はイベント「ホンダタダカツ降臨」に挑戦していたが,ある程度のゲーム内素材が用意されていたとはいえ,「こっちのキャラよりこのステータスが高い」「大切なのは数値よりスキル」など,わずか数プレイでゲームに順応し,最終的に上級ステージまでクリアしてしまったコスケさん,ダチョーさん,ねててさんの腕前は中々のものであった(コンティニューしまくりであったものの)。
なお,YouTuberの3人は今後のアプリ配信に合わせて,本作のプレイ動画などを随時展開していく予定だという。ゲーム的にもビジュアル的にも“ゲームをやらない人達”に訴求力の強そうなタイトルであるため,配信以降の動向にも期待が持てそうだ。
柴 貴正氏&石田礼輔氏への合同インタビュー
――まずは直球ですが,なぜ配信予定が延期されたのでしょう。
柴 貴正氏(以下,柴氏):
なぜかと言うとですね,ある程度作ってみたら「あまり面白くなかった」んですよ。
――ストレートで返ってきた。
石田礼輔氏(以下,石田氏):
簡潔に言うとブラッシュアップのためですね。昨年のバージョンでは“動いているものをなぞる”ところにフォーカスし,ゲーム序盤でプレイの練習をさせるステージをたくさん置いていました。でも,それくらいのことは教えなくても,みんなできてしまったんです。
柴氏:
ちょこちょこと外部の人達にアンケートをしていたんですよね。
石田氏:
ええ,本作の気持ちよさは“画面内のオブジェクトを巻き込んで爆発させること”にあるのですが,そこにたどり着くまでの道のりが長すぎました。だから,それらをすべて見直し,難度を調整しつつも「面白いと思ってもらえる操作」を前倒しにしていきました。ほかにも細かな部分を作り直したりと,全体的に改良を施しています。
――配信の見込みがついたのはいつごろのことでしたか。
柴氏:
最初は社内で「5月に出せる!」と言っていました。その次は「6月に出せる!」と言っていました。今回は「7月ならいけるでしょ!」となって,ようやく本決まりできました。僕達とユーザーさんが求めるチューニングの答えが出たのも,本当につい最近のことです。
――「DJ」と「信長」の組み合わせ,これはどこから生まれてきたのでしょう。
石田氏:
ザックリ言うと「悪ふざけ」ですが,真面目に答えると,中田さんの楽曲をゲームプレイに応じて変化するようにしたいと考えていたからです。その雰囲気を表現する言葉として“DJ”という語句を挙げていました。ですが,「DJになってDJ界の頂上を目指す」とすると界隈を知らない人には面白さが伝わりづらいと思ったので,「武将ならどうだ」「武将と言ったら信長だ」みたいな連想から「DJノブナガって言葉,面白くない?」となり,ノリで決まりましたね。
――DJと戦国時代のすり合わせも,やはりノリですか。
石田氏:
はい,「戦国時代でDJ。これどう?」って感じだったので(笑)。一応,シナリオは戦国時代のさまざまな逸話をベースとしているので,DJ戦国時代ならではの新しい解釈を,現代の感性で楽しんでもらえると思います。
柴氏:
昨今のスマホゲームは“文法”で作ってしまいがちなので,「剣と魔法」「可愛い美少女」「人気IP」といった発想から作品が生まれてしまうんですよ。うちが言うのもなんですが(笑)。もちろん,ストアランキングを見ているとそうならざるを得ない理由があるのは確かですが,個人的に「そうじゃないこと」も考えてみたかったんです。
――それがDJノブナガであると。
柴氏:
我々のようなファミコン世代のおっさんは,いろいろなゲームに触れてきました。「ドラゴンクエスト」のようなゴリゴリなものから,サン電子さんの「いっき」のようなユニークなものまで。当時は「東海道五十三次って,なんだよこのテーマ!」と思うような作品が溢れていましたし。でも,現代のゲーム会社はどうしても“数字が先に見えてしまう”ので,どうしてもそっち側に寄り添うのが難しくなっています。
――たしかに。
柴氏:
だから文法を蹴っ飛ばして,ちょっとカオスでオリジナルな面白いもの。そのうえ全方向に毒があるもの。そういうものを作りたかったんです。言ってしまえばNHKさんの「Eテレ」みたいな,ちょっと尖った感じの作風です。そこに我々が目指すべき源流みたいなものがあると考えました。もちろん,大事にすべき文法は楽しさのためにキッチリと残していますが,冒険したおかげで中々面白いものになったと思います。
――「ちょっとカオスでオリジナルな面白いもの」のアイデアは,どのような流れでゲームに加工されていったのでしょう。
柴氏:
今回はほぼ現場にお任せしました。僕がやったのは「タイトーの石田さんとゲーム作ってみたい」「中田ヤスタカさんとゲーム作ることが決まった」「これらをマリアージュしてみたい」といった前提だけですね。石田さんなんか,当初は「戦国武将をいっさい知らない人」でしたしね。
石田氏:
当時はまったく知りませんでしたね。
柴氏:
だからこそ,スタッフのアサインの時点でなんらかの化学反応が起きるはずでした。実際,悪ふざけな印象も含めて,予想していた流れで,予想できない作品が生まてくれました。今回の僕の仕事は「ビーカーに薬品を入れるまで」でしたね。
――まるで“名プロデューサーの采配”のようです。
柴氏:
いや,「これとこれをくっ付けたら面白いんじゃないかなー」くらいの考えですよ。今回はできるだけ現場で決めてもらっていました。
――武将は(歴史的に)どのあたりの範囲まで登場しますか。
石田氏:
戦国時代と言われて連想する人物は出していきます。もっと言えば,戦国自体を題材にしたゲームに「よく出てくる人物」はもちろん,ときには「こいつ戦国なの?」という人物も出していく予定です。
柴氏:
今ふと思いつきましたが,「瀬戸内寂聴」とか戦国風な雰囲気がありますよね。
石田氏:
字面だけで戦国時代は関係ないですね(笑)。もう「っぽい人」はOKにしちゃいましょうか。
――知らない人には戦国感ありそう。ちなみに,ゲームのメインターゲットはどの層を想定しているのですか。
石田氏:
僕としては“ヴィレッジヴァンガードが好きな人”と言いますか,普通のものに飽きてしまった人達です。現代はサブカルも幅広くなってきて,逆にメジャーなカルチャーになっている気もしますが,とにかくちょっと変わったものを遊んでみたいという人に手に取ってもらいたいですね。
――個人的には「子供でも遊べそう」と思っていましたが,いかがでしょう。
石田氏:
ゲーム内容は非常に平和的ですので,お子さんにも十分楽しんでもらえると思います。玉虫色の答えで恐縮ですが,老若男女に遊んでほしいです(笑)。
――続いて,ゲームプレイの特徴も教えてください。
石田氏:
ステージごとに雰囲気がガラッと変わるところです。本作は何度遊んでも楽しめることをルールの核としていますが,収録しているステージはいずれも仕掛けが異なるので,「次はなにが起こるだろう」と思いながらプレイしてもらいたいです。
柴氏:
戦国アクションパズルの“アクション”の部分がどんどん変わっていくのを,ぜひ楽しんでほしいですね。配信を延期してからというもの,石田さんが裏でコソコソと“新アクション”を作っていたので,バリエーションもかなり増えているはずですし。
――では,本日ゲームをプレイしたコスケさん,ねててさん,ダチョーさんの感想も聞いてみましょう。実際に遊んでみていかがでしたか。
コスケさん:
僕は中田ヤスタカさんの楽曲を高校時代によく聴いていましたから,高校時代を思い出して郷愁に浸っちゃいました。スマホゲームは音を出さずに遊んでいることが多いのですが,DJノブナガは音量をガンガン上げて遊びたいですね。それと,個人的にはiPadなどのタブレットのほうが遊びやすいと思いました。
ねててさん:
イベントの中級・上級といったステージは遊び応えがあり,とても楽しかったです。ある程度はプレイングでカバーできるのもよかったです。ただ,ゲームを進めた先ではさすがに育成が求められると思ったので,レベルアップなどのしやすさがどうなっているのかが気になります。
ダチョーさん:
僕はパズル系ゲームが結構好きなので,思っていたよりも楽しかったです。
柴氏:
「思ってたよりも」かー(笑)。
ダチョーさん:
すみません(笑)。最近のスマホゲームは作業プレイになりがちですが,DJノブナガは遊びの部分が楽しいので新鮮でした。でも「放置して遊べるゲーム」などに慣れている人は,遊びの部分を掴むまでにちょっと時間がかかるかなって印象です。あと,序盤のステージは簡単すぎて手応えがありませんでしたが,最後に遊ばせてもらったイベントの上級ステージなんかは思わず声が出てしまうほど楽しかったです。
――大詰めに向けた参考になるといいですね。そのほか,リリース後にやっていきたいことはありますか。昨今ではeスポーツが流行していますが。
柴氏:
ゲーム的にはやれそうですよね。ステータスを一律にして,プレイングで勝負を決めるとか,やりようはいくらでもあるので。
石田氏:
僕はクラブでみんなでプレイしたいです(笑)。プレイングがそのまま演奏になるみたいな。
柴氏:
中田さんにDJしてもらう横でプレイしましょうよ。
石田氏:
やりたいですねー。一応,中田さんが昨年出演した「YYY Vol.3 -CLUB EDITION- Presented by DJ ノブナガ」というイベントでコラボ施策的なことをやらせていただきましたが,今後も機会があれば実施したいです。
――DJノブナガでは中田ヤスタカ氏やきゃりーぱみゅぱみゅさんなど,さまざまなアーティストとのコラボが予定されていると耳にしましたが。
柴氏:
もちろん具体的なことはまだ言えませんが,いろいろ用意しています。音楽のみならず,芸人さんだったり,まさかの本能寺とコラボするだったり,とりあえず“なんでも許してもらいやすい作品”にはなっているので,なんでもありの方向で模索中です。
――とすると,コラボ先は音楽関係のみではないんですね。
柴氏:
そうなんです。なんでもありです。一般的なコラボ施策と言ったらゲームやアニメなどのIPものですが,それ以外でも面白い化学反応は起こせると思っています。ただし,分かりやすくないとだめなのでそこは気をつけていきます。ちなみに教えられる範囲で言っておくと,一発めは「中田ヤスタカと○○がコラボ」を予定していますよ。
――田中秀幸氏(フレイムグラフィックス代表)の手がけるビジュアルも魅力かと思いますが,グッズ展開などは?
石田氏:
田中さんは昔から「SUPER LOVERS」や「ラフォーレ原宿」といったファッション業界とのつながりが深い人なので,ぜひ乗っかりたいなという想いはあります(笑)。
柴氏:
いや,出しますよ。出ます!
石田氏:
本当ですか(笑)。
――ちなみにどんなグッズが欲しいですか。
石田氏:
個人的に一番欲しいのはフィギュアですが,衣服やバッグなんかもあったらいいですよね。
柴氏:
バッグ欲しいですか?
石田氏:
この間,田中さんに見せてもらった「キャラがズラーッと並んだデザイン」がバッグにしたらすごく良さそうだったので,欲しくなりました。
柴氏:
ヘッドホンとかは?
石田氏:
急に大人の話になりますが,ヘッドホンは何百本も売れないので……(笑)。
柴氏:
お菓子とかどう。それか,お茶系の飲料と「千利休コラボ」するとか。
石田氏:
了承を得られればよさそうですね(笑)。
――楽しみにしています,「DJ利休のお茶」。
「戦国アクションパズル DJノブナガ」公式サイト
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