プレイレポート
「進撃の巨人2」に,巨人を操作して人間を喰らう「捕食モード」が実装。パーティーゲームチックな対戦が楽しめたプレイの模様をお届け
ここで実装となる「捕食モード」は,巨人を操作して人間を喰らうという対戦専用のモードだ。内容が内容だけにグロ度高めかと思いきや,実際にプレイしてみると,気軽に楽しめるパーティーゲームチックな仕上がりだった。本稿でプレイレポートをお届けしよう。
なお,今回プレイしたのはNintendo Switch版で,文中のボタン表記もそれに準じている。
「進撃の巨人2」の本編では,自分で作成するオリジナル主人公のほか,エレンやミカサといった人類側の戦士で巨人と戦った(詳細はこちらのプレイレポートを確認してほしい)が,「捕食モード」は最大4人のプレイヤーが巨人を操作して人間どもを喰らい,ポイントを競う対戦ゲームになっている。
ポイントは「人間を捕食する」「建物や拠点を破壊する」と加算され,開始から5分が経ったときに最も多くのポイントを持っていたプレイヤーの勝利となる。
捕食モードで使えるのは,本編のプレイ中に捕獲した巨人で,通常種や奇行種など約250種類が存在する。それぞれ「足の速さ」「スタミナ」「ジャンプ力」「敏捷性」といったパラメータや,後述する特殊スキル「レイジアタック」の種類が異なるので,自分のプレイスタイルに合ったものを選ぶのが勝利への近道だ。基本的に小型の巨人は移動が速く,大型だと動きは遅いがスタミナに優れている。
巨人の操作自体は,本編でエレン巨人や女型の巨人を操作するときのものに近い。[Y]で地面にいる人間を捕食し,[X]でほかの巨人を攻撃。[A]でレイジアタック(詳細は後述)を発動し,[B]でジャンプ,[R]でスタミナを消費してダッシュする。本編で巨人を操作したことがある人なら,すぐに慣れるだろう。
逃げ惑っている人間を捕まえて食べると悲鳴が響きわたり,ゲームとはいえ何だか申し訳ない気分になるが,巨人の見た目が少しユーモラスなうえ,ゲームはあくまで巨人視点で進行するため,陰惨な感じはしない。「不気味な裸のおじさんが,小さな人形をひょいひょい口に運ぶと,加算されたポイントの数字が表示される」という感じで,ブラックユーモアの範疇だ。
原作では,無造作に人を食ってその人生を断ち切る巨人に対し,エレンをはじめとする人間たちが憤っていたが,このモードを遊んでみると「巨人としては食う相手が“誰”であるかなど意識することなく,とりあえず足元にいる小さなヤツをパクパクやっているだけなんだなあ」……と,巨人を理解したような,妙な気分になった。
人間には街中をウロウロしている「市民」のほかに,ときおり集団で出現し,捕食したときのポイントが高い「貴族」がいる。貴族がいる場所には緑色の煙(救難信号)が上がり,マップ上に表示される仕組みだ。近くに出現したらすぐに向かって,ほかのプレイヤーより先に平らげてしまえば,劣勢からの大逆転も狙える。
街の建物を壊すためには特別な操作は必要ない。プレイヤーは巨人なので,普通に歩くだけでいいし,ダッシュすれば街並みがどんどん崩れていくので,なかなか爽快だ。建物を破壊して得られるポイントは捕食よりも少ないが,レイジアタック用のゲージが蓄積されるため,人間が少ないときはあちこち探したりせず,ひたすら建物を壊し続けるのが意外と効果的だ。
そして,このモードを面白くしているのが,プレイヤー同士の妨害や,さまざまなイベントだ。
プレイヤーはほかの巨人を攻撃してダウンさせられるので,貴族の取り合いなどになったら,うまく邪魔してやろう。
バリバリと人間を喰らって建物を倒し,ポイントを稼いでいても油断してはいけない。1位のプレイヤーのところに人類最強の兵士,リヴァイがやってくるからだ。ゲーム中に一定時間が経過すると,リヴァイのアイコンが表示されるとともにカウントダウンがスタートし,「0」になったらあっという間に倒されてしまう。やられてもすぐに復活できるのだが,獲得ポイントが半分になるのだからかなり痛い。こちらはただの巨人なので,リヴァイを倒すことはできないのだ。さすがは人類最強と言うべきか。
しかし,カウントが0になる前にほかの巨人を攻撃してヒットさせると,リヴァイのターゲットは攻撃された巨人に移る。導火線に火のついた爆弾を押しつけ合うようなものといえば分かりやすいだろうか。押しつけられた側はもちろん別のプレイヤーを狙って動くので,ゲームの流れが変化するのだ。
リヴァイを別の巨人になすりつけても,カウントはリセットされないのが面白いところ。マップの端でポイント稼ぎに勤しんでいたら,後ろから忍び寄ってきたプレイヤーに,カウントが0になるギリギリのタイミングでリヴァイをなすりつけられ,何もできずにやられてしまったことがあった。このあたりは,まさにパーティーゲームのノリだ。
また,プレイ中にはエレン巨人や女型の巨人,鎧の巨人といった原作でおなじみの巨人が出現し,周囲のプレイヤーを無差別に襲う。一発の攻撃で倒されてしまい,ポイントも半減するのだから,必死に逃げるしかない。リヴァイや敵対する巨人たちはプレイヤー1人を倒すと満足して(?)帰っていくため,なんとか逃げ切りたいところだ。
ここに,巨人の特殊能力であるレイジアタックが加わると,駆け引きがさらに奥深くなる。レイジアタックの効果は,ほかの巨人の速度を遅くする「威嚇」,ほかのプレイヤーの移動操作を反転させる「混乱」,攻撃されてもひるまなくなり,リヴァイやエレン巨人などにやられた際のペナルティがなくなる「硬化」,捕食で得られるポイントが倍になる「捕食パーティー」など,さまざまだ。
「逃げる相手の動きを威嚇で遅くして,リヴァイを押しつける」「ほかのプレイヤーがエレン巨人に追われているときに“混乱”をかけて邪魔をする」「ゲーム終了直前のボーナスタイム(獲得ポイントが1分間倍になる)で捕食パーティーを使い,貴族を食べまくる」などといった戦術が取れる。
このあたりの足の引っ張り合い,逆転の連続も,実にパーティーゲームっぽい。
最初に捕食モードの情報を聞いたとき,ゴアでインモラルな内容を想像してしまったのだが,実際には笑いながら駆け引きと足の引っ張り合いを楽しめた。良い意味で予想を裏切られたというのが正直な感想だ。
「独走がしづらいシステム(リヴァイ)」「ランダムで発生する天災的イベント(敵対巨人)」「プレイヤーどうしの妨害(リヴァイの押しつけやレイジアタック)」「イベントによる状況の揺らぎ(ランダムで出現する貴族の集団)」「試合終盤の逆転要素(時間切れ直前のポイント倍加)」といったパーティーゲームの基本がしっかり押さえられており,シンプルながら飽きないものになっている。
今回のプレイは4台のNintendo Switchを持ち寄り,プレイヤーが顔を合わせて行ったのだが,リヴァイや敵対巨人が出てきたり,レイジアタックが発動したりする度に笑い声が上がるという,楽しい雰囲気で進んだ。オンラインにも対応しているが,その場合は知り合い同士でボイスチャットを使って遊ぶと,盛り上がること間違いなしだ。
「進撃の巨人2」公式サイト
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原作/諫山創「進撃の巨人」(講談社『別冊少年マガジン』連載)(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会 (C)2018 コーエーテクモゲームス