インタビュー
“スーパー厨二病大戦”でアークゲーを世界へ。RWBYも参戦の「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」,森 利道氏&石渡太輔氏クロスインタビュー
同社の人気格闘ゲーム,BLAZBLUEシリーズの最新作として登場する同作では,「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」(以下,P4U)「アンダーナイト インヴァース」(以下,UNI),そして3Dアニメの「RWBY」からそれぞれの主要キャラクターが作品の枠を超えて参戦。もちろんBLAZBLUEシリーズからもキャラクターが登場するということで,格闘ゲームファン達の熱い注目を集めている。
現時点ではPVが発表されたのみであり,発売も2018年内ということで,まだまだ不明な点が多い本作だが,いったいどんなゲームになるのだろうか。発表の翌日,EVO2017の会場となったホテル,Mandalay Bayのカフェにてプロデューサーの森 利道氏に話を聞いてみたので,その模様をお届けする。
なお,話を聞くに当たって,同社でGUILTY GEARシリーズを手がける石渡太輔氏にも同席いただいたので,インタビューは対談形式となっている。収録からやや間があいてしまったが,本文中ではBBTAGについてのみならず,格闘ゲームの開発の雄・アークシステムワークスが今,何を目指しているのか,唯一格闘ゲーム外とのコラボとなったRWBY参戦の経緯などについて,その狙いを幅広く伺っているので,格闘ゲームファンはぜひチェックしてみてほしい。
■関連記事
「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」公式サイト
初の本格参戦となったEVO2017を終えて
4Gamer:
本日はお時間をいただき,ありがとうございます。まず今回のEVO2017,いかがでしたか。3日間を通しての感想をお聞かせいただければと。
いやあ,とにかく大変でした。今年は自社でブース出展をしましたし,最終日には大きな発表を仕込んでいましたから。今までのEVOの中で,一番準備が大変だった(笑)。
石渡太輔氏(以下,石渡氏):
そうだね。例年だと取材とかがあっても,基本的には時間に余裕があったんですが,今回はブースの手伝いだったり,配信への出演があったりで,すごく忙しかったです。
4Gamer:
今回はスクウェア・エニックスさんもブース出展されてましたし,日本のメーカーの展示が目立っていたように思います。とくにアークシステムワークスさんのブースは,飛び抜けて気合いが入っていましたし。
森氏:
なにせ,うちとスクウェア・エニックスさんは,社長が大会にエントリーしてたくらいですから。これまでは,自社タイトルの観戦目的で来ていましたが,今年はしっかり参加するスタンスで準備してきたんです。
4Gamer:
森さんと石渡さんは,EVOは今年で何度目の参加でしたか。確か森さんは,EVO2014が初でしたよね。あの「BLAZBLUE CHRONOPHANTASMA」部門でガリレオ選手とどぐら選手が大活躍した。
森氏:
そうそう。だから……今年で4回目かな。ちなみに,今年も号泣したって書いておいてください(笑)。
石渡氏:
とすると,自分は3回目かな。
4Gamer:
今年は観戦でなく,「参加するスタンスで」とのことですが,その狙いをお聞かせ願えますか。
石渡氏:
僕らとしては,アークシステムワークスというブランドの認知を,北米でもっと広げたい気持ちがあったんです。それならブースもしっかりしたものをということになり,数日前になって社長から無茶な注文が飛んだりもして。でも,スタッフがしっかり作り込んでくれました。
森氏:
石渡の言うとおり,存在感をアピールするため,というのが大きいですね。これまでウチは,北米のコミュニティに対するアピールが弱すぎた。なので今回は,アークシステムワークスのロゴをどーんと大きく掲げて,ブース出展することにしたんです。ちょうど「DRAGON BALL FighterZ」(PC / PS4 / Xbox One)が発表になり,デベロッパとして注目を集めている時期でもありましたし。
ウチだけじゃなく,日本の企業もだんだんEVOというイベントに馴染んできた印象がありますね。皆さんが何かを仕掛けようとしている空気を感じたというか。
4Gamer:
そう言われてみると,今年は最終日のステージ発表も,各社さん例年以上に準備されていたように感じます。盛りだくさんでした。
石渡氏:
そうですね。ただこれをやっちゃうと,来年は何も発表しないってわけにはいかなくなってしまうという,諸刃の剣でもあります(笑)。そういうところも含めて,新たな始まりを予感させるようEVOだった,というのが僕の印象です。
4Gamer:
そんな中でアークシステムワークスさんが発表されたBBTAGですが,現時点での反響はいかがですか。
森氏:
とりあえず,僕のTwitterのフォロワーがめちゃくちゃ増えました。それが皆,海外のプレイヤーばかりで,これからは英語でもTweetしなくちゃなって,気が引き締まりましたね(笑)。
4Gamer:
4Gamerに掲載した記事もかなり読まれましたし,日本でもTwitterのトレンドワードにBLAZBLUEが入ったりと,かなり話題になりました。
森氏:
いやあ,「鉄拳7」(PC / PS4 / Xbox One / AC)のギース参戦には「やられた!」って思いましたけど(笑)。
石渡氏:
あれは正直,やられたって思ったよね。例の襖の演出があって,会場もすごく盛り上がってたし。
森氏:
BGMも往年の「ギースにしょうゆ」が使われてて,めちゃくちゃかっこよかったじゃないですか。豪鬼のときもそうだけど,かつての技がきっちり再現されてて。
4Gamer:
往年の格ゲーファンには,すごく刺さる演出でしたね。ただ鉄拳の現役プレイヤーって若い世代が多いので,このギースのすごさがいまいち伝わってないような気もします。「えっ,誰?」みたいな……。
森氏:
ええっ,それは……ショックですね。自分の中では,格ゲー3大悪の1人なんだけどなあ。僕らおっさん世代は大興奮だったけど。そこへいくと,僕らの新作は狙ったとおり若い層に刺さったと言える……かな?
4Gamer:
手応えは感じている?
森氏:
うちのスタッフ達は,発表前は全員ナーバスになってましたけどね。事前に「RWBY」の格闘ゲームがアークから発表されるらしいぞって,すでに噂になっていて。
4Gamer:
RWBYを製作しているRooster Teethが,それを匂わせるようなTweetをしていたんですよね。2016年末には,彼らがアークシステムワークスを訪問したときの写真があがっていたりもしましたし。
森氏:
あのときの訪問は,実は別件だったんですけどね(苦笑)。そもそもの発端は,僕らがForbesの取材を受けたときに,海外の気になるコンテンツとして,RWBYの名前を挙げたことだったんです。それを彼らが読んでくれて,「すごく光栄だ」と言ってくれた。それで彼らが来日するときに,お会いすることになったんです。
4Gamer:
ああ,そうだったんですね。
森氏:
そのときはご挨拶程度だったんですが,ちょうど僕がBBTAGの企画の立ち上げをしていた時期だったこともあり,一緒に何かできないかってことで,僕のほうから声をかけさせていただきました。
4Gamer:
じゃあRWBY参戦は,純粋に森さんのラブコールで決まったわけですか。
森氏:
そうです。でもまあ,BBTAGには海外に向けた作品作りをしたいという狙いもあるので,そういう意味ではピッタリの作品ではあるかな。なんというか,ファン層が近いというか。良い言い方かどうか分かりませんが,一言で言うと……。
4Gamer:
厨二病?
森氏:
そう(笑)。まずアピールすべきは,海外のそういう人達だと思っているので,コラボ相手としてはベストな選択です。幸いにもRooster Teethさんも喜んでくれて,これから何ができるかという作戦を,まさに今,一緒に練っているところです。
石渡氏:
けっこう無茶な注文もしてたけど,彼らはすぐに対応してくれるんだよね。
森氏:
そうそう。今回のPVでも,「ルビー・ローズのボイス※を入れたいんだけど!」って言ったら,すぐに送ってくれたしね。とても協力的で,本当に助かってます。
※英語版RWBYでルビーの声を担当しているLindsay Tuggeyさんは,Rooster Teethの社員でもある。
4Gamer:
ちなみに森さんは,Monty Oum(モンティ オウム)さんにお会いしたことが?
森氏:
いや,それが叶わなかったんです。残念ながらお会いする前に亡くなられてしまって……。彼はBLAZBLUEシリーズが好きだって言ってくれていたようですし,僕自身もRWBYが大好きだったので,ぜひお会いしたかったのですけど。
4Gamer:
作品を見れば一目瞭然ではありますが,モンティ氏も元々は格ゲーコミュニティの人だったようです。Rooster Teethの皆さんには,4Gamerでもインタビューさせていただいたことがありますが(関連記事),僕らもモンティ氏にお会いすることは叶いませんでした。
石渡氏:
僕も森から推薦されてRWBYを見ましたけど,本当にすごい作品でしたね。日本的なケレン味を受け継いだような作品は近年,海外の映像作品でも見られるようになりましたが,あそこまでカメラワークにこだわった作品はちょっとないですよ。
森氏:
石渡の言うとおり,RWBYは日本のソウルが色濃く反映された作品ですし,純粋にめちゃめちゃカッコいい3Dアニメです。それをイチから作り上げたモンティ氏にお会いできなかったのは,本当に残念でした。
でも彼の意思は,現リーダーのGray Haddockさんを初めとしたRooster Teethのスタッフが継いでくれています。僕らも彼らと協力して,亡きモンティ氏に敬意を払ったもの作りをしていくつもりなので,ぜひ期待していてください。
格闘ゲームのアークシステムワークスが,BBTAGで目指す場所
4Gamer:
では,そのBBTAGについて,皆が気になっているだろうことを伺っていきたいのですが,まず対象のハードが気になりますよね。発表資料によれば,コンシューマ用とのことですが。
森氏:
そこは皆さん,気になっているとは思いますが,まだお話できません(笑)。
4Gamer:
では,アーケード版についてはどうお考えですか。
森氏:
今回,アーケードでの展開は考えていません。先ほどの海外にフォーカスしているという話にもつながるのですが,今作では世界同時発売を念頭に置いているんです。アーケードが先行してしまうと,こうしたEVOのようなトーナメントで,どうしても日本のプレイヤーが有利になってしまいます。
4Gamer:
それは確かに,そうかもしれません。
森氏:
もちろん,それでもファンになってくれる人はいるでしょうが,プレイヤーとしてのモチベーションは下がってしまう可能性がある。なので,遊べるタイミングはできる限り同じにして,全員同じスタートラインから楽しめるようにしたいですね。
4Gamer:
なるほど。ということは,後追いする形ならアーケードもありえますか?
森氏:
それも,今のところは考えていないですね。というのも,今回はアーケードスティックではなく,ゲームパッドで遊ぶことを念頭に開発していますから。そういう意味でも,これまでのBLAZBLUEシリーズとは,根本から違ったゲームになるはずです。
4Gamer:
その心は?
森氏:
「アーケードスティックならではの操作感」という魅力がある半面,やっぱりちょっと価格が高い……ですよね。格闘ゲームを初めて遊ぶような中高生に対して,ゲームソフトに加えてアーケードスティックまで揃えましょうというのは,僕はどうしても酷だと思っていて。
4Gamer:
1〜2万の追加投資は,おっしゃるとおり中高生にとってはなかなかのハードルです。
森氏:
だから本作は,格闘ゲームの醍醐味をゲームパッド操作でちゃんと味わえるゲームを目指しているんです。それでいて,アクションゲームとしての気持ちよさを損なわないような。間口は広く,それでいて奥深くというのが本作のコンセプトです。
4Gamer:
なるほど。ちなみに今作はタッグバトルということですが,システム的にはどんな形になるのでしょうか。「THE KING OF FIGHTERS」のようなラウンド交代制なのか,それともバトル中に任意でキャラクターを切り替えるタイプなのか……。
森氏:
格闘ゲームファンに分かりやすいのは,鉄拳タッグ方式という言い方かな? PVを見れば分かりますが,かなり頻繁に交代が発生します。僕自身,鉄拳タッグのあのシステムが大好きなので(笑)。
4Gamer:
となると,格闘ゲームとしてはかなり操作が忙しいタイプになりそうな予感がします。読者の反応を見ていると,競技性よりもキャラクターに振った,いわゆるお祭りゲーなんじゃないかという予想もあるみたいですが,そこはいかがですか?
森氏:
いやいや,そこはやっぱりアークですから。社内に格闘ゲーマーがひしめいているような会社なので,競技性については妥協しません。無茶な注文でも,うちのスタッフなら応えてくれると確信しています。
石渡氏:
極論を言ってしまえば,格闘ゲームに競技性がなかったら,お祭りゲーにもならないと思いますよ。それは,ただの駄作です。
森氏:
これは本作に限った話ではなく,アークシステムワークスの基本方針なんです。「ドラゴンボールファイターズ」を含め,「競技性は担保しつつ,次のステップを目指そう」というのが今の僕らの目標ですから。現時点でも,BBTAGの操作性にはかなり自信がありますし,ぜひ期待していてください。
4Gamer:
ううむ,そう言われると,早く触ってみたくなります。
森氏:
その時は,ゲームパッドでプレイしてもらいたいですね。もちろん,アーケードスティックでもプレイ出来るようには作りますが,僕はテストプレイでは必ずゲームパッドを使うようにしていて,スタッフにもこれを徹底させたいと思っています。だけど開発チームの中には,やっぱりアーケードスティックを持ち出して来るスタッフもいて。口を酸っぱくして「やめろ!」って言ってるんだけど……。
4Gamer:
気持ちは分かります。格闘ゲーマーにとってはもう,手足の延長みたいなものですから(苦笑)。
森氏:
うん,気持ちは分かるんだ! 分かるんだけど,そこはグッとこらえてもらいたい。今作はこのゲームパッドでのプレイフィールが肝なんだから。
4Gamer:
ふと思ったんですが,アークシステムワークスの自社開発格闘ゲームで,コンシューマ版が先行するタイトルって,もしかしてこれが初なのでは?
森氏:
初ですね。なので,我々にとって,これは新しいチャレンジでもあります。
4Gamer:
コンシューマ版先行ということは,アーケードで行っていたロケテストという調整手法が使えなくなります。その点はどうお考えですか。
森氏:
発売前に,何らかの形でプレイヤーさんに触ってもらえる機会は用意しようと思っています。「BLAZBLUE CENTRALFICTION」(PC / PS4 / PS3 / AC)でもプレオーダー限定でオンラインロビーを開放しましたが,あんな感じにできるのがベストですかね。これは個人的な考えですが,もう新しい手法を見つけていかないと,先には進めないと思うんですよ。
4Gamer:
というと?
森氏:
これは僕だけじゃないと思いますが,ゲーム業界全体の停滞感を強く感じています。この挑戦がうまくいくかどうか,正しいのかどうかは分からないけれど,とにかくやれることはやっておきたい。
4Gamer:
格闘ゲームのビジネスモデルを変えていきたい,と言うことでしょうか。F2Pとか?
森氏:
格闘ゲームに限った話ではないのですけど。ただ,時代に合わせて僕らも変わっていかないとっていう危機感があるんです。F2Pが悪いとは思わないけど,全部がそうなってしまうのも寂しいじゃないですか。例えばアーケードゲームでの「1クレの重みから生まれる真剣勝負」とか,僕は嫌いじゃないですし。
石渡氏:
僕の場合は,パッケージやアーケードの方が性に合っていますね。買い切りの作品は,それだけでゲームが完結できます。物語やゲーム性の部分で,製作者側の「メッセージ」に責任を持ちやすいことが魅力です。良かれ悪かれ,ユーザーと製作者のコミュニケーションに人間味がある様な気がするんです。ソーシャルゲームのように,スタミナや課金,持続性が根幹にあるビジネスモデルは,どうしてもその都合がゲーム性に強く紐付くので,作る側が冒険しにくい部分もあると思うんです。
もちろんそれを否定するわけではありません。僕も個人的にはまっているソーシャルゲームはありますから。そして時流に合わせたタイトルがヒットするのも事実なわけで,どれか一つではなく,様々なスタイルが共存できる市場が創造できたらと思います。
目指すは“スーパー厨二病大戦”? 気になる登場キャラクターについて
4Gamer:
話をキャラクターに戻しますが,今回発表されたPVではBLAZBLUE,P4U,UNI,そしてRWBYの4作品からキャラクターが登場していました。本作は,この4作のコラボタイトルということでいいのでしょうか。
森氏:
はい,今回のBBTAGはこの4作品のコラボになります。もちろん,今後もしシリーズが続くようなら分かりませんけど。
4Gamer:
RWBY参戦の経緯は先ほどお聞きしたので,P4UとUNIについても,それぞれコラボに至った理由をお聞かせ願えますか。
森氏:
P4Uはアークシステムワークスが開発を手がけたタイトルですし,UNIはウチがコンシューマ版のパブリッシングを担当したこともあって,声を掛けやすいタイトルだったというのが,まずありました。アトラスの和田(和久)さんとも,こういう企画ができたらって話は,ずっとしていましたし。
4Gamer:
PVに鳴上 悠が登場したときは,会場の歓声も一際大きかったですね。
森氏:
あとUNIについては,この素晴らしいゲームを,皆にもっと知ってもらいたいっていう個人的な想いもあります。ストーリーもいいし,キャラクターもカッコいいじゃないですか。僕なんかフランスパンさんから相談を受けて,企画の初期段階から見ていたりもするので,愛着が強くて。
石渡氏:
僕は最初,パーカーを着てる女の子(リンネ)が動いているところを見せてもらったんですけど,衝撃を受けましたね。すげーカッコいいなって!
4Gamer:
自分もオリエのロングスカートが風になびくアニメーションには,度肝を抜かれました(笑)。
森氏:
でしょう? なのでこういうコラボを通して,皆にもっと触れてもらえる機会が増えたらと期待しています。
4Gamer:
今のところPVから確認できるのは,BLAZBLUEからラグナとジン,P4Uから鳴上 悠,UNIからハイド,RWBYからルビー・ローズの5キャラクター,ですよね。各タイトルからまだまだ登場しそうですが,全部で何人くらいになるのでしょうか。
森氏:
どうでしょうねえ(ニヤリ)。そこはぜひ,楽しみにしていてください,としか今は言えません。
4Gamer:
うぬぬ……でもとりあえず,RWBYの4人は,まず出てもらわないと困りますよね? ワイスとジンの掛け合いとか見てみたいですし。あと,マコトとヤン姉の対決とか。μ-12 vs. ペニーとかも激アツじゃないですか? 獲物も一緒ですし。
森氏:
それは僕も見てみたい(笑)。あとあの武器は,一応僕らのほうが先ですから! いずれによせ,発売までにはまだまだ時間がかかるタイトルなので,皆さんのご意見をお待ちしております。このキャラクターを出してほしいっていう要望も,たくさん来ればもしかすると……。
可能性があるかもしれない。ところで本作は,タイトルにBLAZBLUEと銘打たれているのがちょっと気になっています。明確にBLAZBLUEシリーズの作品ということになるわけですよね。コラボタイトルですし,完全に別の世界にするという選択肢もあったと思うのですが,そこはいかがですか。
森氏:
それも考えましたが,そうなると,また新しい世界が生まれてしまうじゃないですか。なので,今回はBLAZBLUE世界の一つの可能性という形にしました。
4Gamer:
BLAZBLUEの世界に,他作品のキャラクターが迷い込んだ,みたいな?
森氏:
そうです。PVの冒頭でもラグナが言ってるじゃないですか。「これも可能性かよ」って。ストーリーも僕がプロットを書いていますから,期待していてください。すごく面白くなると思いますよ。
4Gamer:
しかし森さんは,以前からクロスオーバー的な作品にはあまり乗り気でないとおっしゃっていたように思います。そこはどうなんでしょうか。心境に変化があったとか?
森氏:
言いましたね。でもあれは,物語に決着が付いていない作品でコラボはやりたくない,という意味なんです。BLAZBLUEにおけるラグナの物語は,先のCENTRALFICTIONで一つの区切りを迎えたので,それを踏まえての今作ということになります。
もちろん,P4UやUNIの物語はまだ進行中ですから,僕の基準だとダメということになるんですが,これについては先方の判断になるので。断られてもやむなしと思っていましたが,幸いにも両者とも快諾いただけて,実現することになりました。
4Gamer:
となると,アークシステムワークスのもう一つのビッグタイトルである「GUILTY GEAR」シリーズのキャラクターが参戦しないのは……。
石渡氏:
今の文脈から読み取ると,GUILTY GEAR世界の物語が,まだ完結していないから,ということになりますね。
森氏:
なので,GUILTY GEARの参戦については,石渡さんが納得する形で物語に決着をつけたら,そこで改めて話をしたいと思っています。コラボをやるやらないというのは,いつか答えを出さなくてはならないことですので。
4Gamer:
なるほど。先ほど,シリーズが続いていけば,さらなるコラボもありえるとのお話がありましたが,そのときはGUILTY GEARも可能性があるわけですね。
石渡氏:
そのためにも,GUILTY GEARにも早く決着を付けないといけませんね。
森氏:
言っときますけど,僕と石渡さんの仲が悪いとかじゃないですからね。なんだか,そう思われてる節がありますけど!
石渡氏:
GUILTY GEARがハブられてるとかじゃないですから。それにGUILTY GEARのファンからすれば,先に本編を終わらせてくれよってのが本音だと思いますよ。
森氏:
でもこのタイトルがうまくいったとして,次に要望が来るのは「頭の上にハートマークがついてる女の子」が登場する格闘ゲームじゃないかなあ(笑)。
4Gamer:
「アカツキ電光戦記」かもしれませんよ? あるいは「ヤタガラス」とか。
石渡氏:
ああ電光戦車,いいよね!
4Gamer:
それこそギース参戦とか,可能性は無限大ですよね。この機会に森さんからラブコールがあればぜひ。
森氏:
そう……個人的に「デモンベイン」とか「装甲悪鬼村正」が大好きなんで,ニトロプラス作品とコラボできたら……いいなあ(笑)。
石渡氏:
「マブラヴ」とかも好きじゃなかったっけ?
森氏:
冥夜が作れるっていうなら喜んで作りますけども! いやでも,これ以上増えると版権管理で僕が死んじゃう可能性が。あれ,めちゃくちゃ大変なんだからね? 「スーパーロボット大戦」とか,どうなってるんだってレベルですよ。
4Gamer:
では,目指せ“スーパー厨二病大戦”ということで(笑)。最後に何かメッセージをいただけますか。
森氏:
いろいろと野望はありますが,ひとまず今回の4作品のコラボで楽しめるものお届けしたいと思っています。お話ししたとおりアークシステムワークスの新しい挑戦でもあるので,ぜひ暖かく見守っていただければと。皆さんの協力あればこそのタイトルなので,今後ともよろしくお願いします!
4Gamer:
本日はありがとうございました。
アークシステムワークスの自社タイトルとして,アーケード版なしのコンシューマ先行タイトルであることが判明した今回のインタビュー。アーケードゲーマーの中には,若干の不安を感じる人がいるだろうことは想像に難くない。しかし世界を見渡せば,格闘ゲーム全体がこの方向に向かっていることは確かで,その意味では自然な流れなのかもしれない。
森氏が言うとおり,このチャレンジが吉と出るか凶と出るかは分からないが,格闘ゲームを世界規模で盛り上げていこうという氏の情熱は,ハッキリと伝わってきた。「GUILTY GEAR Xrd REV 2」「ドラゴンボール ファイターズ」,そして本作BBTAGと格闘ゲームファンの期待に応え続けるアークシステムワークスの今後に,ファンはぜひ期待していよう。
「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」公式サイト
- 関連タイトル:
BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE
- この記事のURL:
キーワード
(c) ARC SYSTEM WORKS
(c)ATLUS (c)SEGA All rights reserved.
(c) FRENCH-BREAD
(c)2021 Rooster Teeth Productions, LLC.
(c)Team ARCANA
(c)2015 Marvelous Inc.
(c) SUBTLE STYLE