プレイレポート
セバスチャンの悪夢は終わらない。「サイコブレイク2」の試遊で,クラフティング要素や自由度の高いマップなど,あらゆる面で進化したプレイを堪能した
4Gamerでは2017年8月25日にgamescom 2017の試遊レポートをお届けしているが,今回,一歩踏み込んだ試遊ができたので,さっそくそのレポートをお届けしたい。
「サイコブレイク2」公式サイト
試遊でプレイできたのは,チャプター1〜3,そしてボス戦が体験できるチャプター5で,難度は3段階の一番下,CASUALを選択した。本稿の内容は,基本的にこの難度に沿ったものとなっているのでご了承を。
ちなみに難度はゲームの途中でも変更できるが,引き下げだけが可能で,例えばCASUALからSURVIVAL,またはNIGHTMAREへといった感じの感じの難度の引き上げはできない。
さて,ゲームのオープニングは,前作に引き続き主人公を務めるセバスチャンが,とある理由で火事を出した家を探索する場面から始まった。
このチャプター1はチュートリアルを兼ねているが,緊迫感溢れるシチュエーションに最初から息をのむはずだ。いくつかのシーンを経て,やがてセバスチャンは,前作にも登場したキッド(ジュリ・キッドマン)から,娘のリリーが生きているという事実を知らされる。
セバスチャンが最初に訪れる場所は,かつての職場である警察署だ。署内でさまざまな場所を調べているうちに,「鏡」を発見する。前作をプレイした人なら,鏡が本作の象徴で,恐怖の世界への入り口だということを知っているだろう。セバスチャンは導かれるように,鏡に手を伸ばす。
「サイコブレイク」特有の追われる恐怖は健在
緻密にデザインされたステージにも注目
「サイコブレイク2」は,前作の不気味さや心理的な恐怖感,そして,いつどこから敵が襲ってくるのか分からない恐ろしさをきちんと継承している。
例えば,カバーアクションで正体不明の危険人物から身を隠すシーンがあるのだが,発見されると即死なので,緊張感がきわめて高い。こうした演出が,プレイヤーの興奮を高める仕掛けとして要所に差し込まれるのだが,即死系イベントは前作ほど多くはなく,理不尽な死については大きく見直しが図られているという。筆者もプレイしていて,「それはないだろう」ということはなく,バランスは良好だ。
恐怖感を高めるビジュアル効果も,より洗練されている。白いシーツを被ったまま血まみれで吊るされている人々の姿には,個人的に大きなインパクトを感じ,彼らの身に何があったのかと,必要以上に怖いことを考えてしまった。
多くの造形物がそうした不気味なデザインになっているが,中には美しささえ感じてしまうものもある
ゲームが進むと,ゾンビのような敵(ただし,ゾンビではない)が登場するのだが,これがかなりやっかいで,動きが変則的で戦いづらい。難度CASUALでも弾薬が豊富にあるわけではないので,無駄撃ちしているとすぐにピンチに陥ってしまうだろう。打撃系の武器やこっそり接近して倒すスニークキルが用意されているので,弾薬だけに頼らない攻略が必要になる。
もっとも,ステージにはさまざまなギミックがあり,突然,不意を突いて敵が襲ってきたりするので,思わず発砲してしまう場面もしばしばだった。緊張するなあ。
前作は難度が高く,筆者も苦労した記憶があるが,本作はかなり遊びやすいという印象を受けた。筆者も試遊では何度かゲームオーバーになったが,試行錯誤を繰り返すうちにコツがつかめ,プレイヤースキルの上達を感じたり,達成感を得られたりした。やさしいゲームではないと思うが,ビギナーでも十分に楽しめるバランスが絶妙だ。
オープンな街は,探索しがいが十分にアリ
チャプター3には,かなり広い街が登場する。それまでは比較的リニアなマップだったが,ここでは自由に行き来して探索することが可能だ。中に入れる民家もかなり用意されている。
試遊では,時間の都合もあってすべてを回ることはできなかったが,新しい場所を探索するたびに発見があって面白く,前作にはなかったフィーチャーとして注目したい。
また,緊張の連続に一時のやすらぎを与えてくれるのが,セーフルームの存在だ。コーヒーを飲んで体力を全回復させたり,ガンパウダーを持っていれば,作業台で弾薬などが作成できる。
なお,セーフルーム以外の場所でも,弾薬などの簡易的なクラフティングが可能だが,消費するアイテムの量が作業台に比べて多くなる。
武器の強化が行えるのは作業台のみで,素材があれば,攻撃力,リロード時間,装填数,連射速度といったポイントを強化できる。これらのカスタマイズを駆使して,武器の性能を自分のプレイスタイルに合わせていこう。
武器だけではなく,セバスチャン自身の能力をアップさせることも可能だ。そう,前作で圧倒的なインパクトを残したタティアナと,禍々しさしか感じさせない,あの椅子が再登場するのだ。
強化のためには,敵を倒すと手に入るグリーンジェルが必要となり,強化できるポイントは体力,身体能力,回復力,スニーク,戦闘能力の5項目となる。
ゲームの攻略には欠かせないので,何度となくタティアナのお世話になるはずだ。
さて,上記のように,セバスチャンの究極の目的は,娘のリリーを見つけること。そのために役立つのが通信機で,発信だけでなく信号の出どころを特定できる。
電波が発せられた場所にロックオンすれば,正確な方向と,そこまでの距離などが表示され,発信源にはたいていイベントやアイテムなど,何かしらが待っているので,ゲームを進めるうえで非常に重要だ。
前作のファンはもちろん,「サイコブレイク」入門としてもオススメ
最後に,チャプター5で対峙したボスについて。難度CASUALで試遊したとはいえ,やはりボスだけあって固く,スピードも速い。攻撃のバリエーションも多く,対処方法を探すのにかなり苦労した。
しかしなにより注目したいのは,禍々しく圧倒的なビジュアルだ。身体には不気味な顔がいくつも付いており,その姿で笑いながら突進してくるのだからたまらない。試遊では武器が豊富に用意されているデータを使用したので,なんとか倒すことができたが,できれば二度と戦いたくと思える難敵だった。また,それだけに撃破できたときの達成感も大きい。
以上のように「サイコブレイク2」は,前作を踏まえつつ新しい要素にも果敢に挑戦した続編で,新要素であるオープンな街は,プレイヤーの探索欲求を十分に満たしてくれる。
持ち味である「追われる恐怖」や「濃密な人間ドラマ」は変わらず,自由度やボリュームが大幅にアップしている。メインストーリーをクリアするだけでもかなりの時間がかかり,やり込み要素を入れるとさらに長くなるので,この秋,じっくりやり込める1本としてオススメしたい。