プレイレポート
「Wolfenstein II: The New Colossus」のプレイレポート。帰ってきたB.J.ブラスコヴィッチがナチスを相手に大暴れ
「Wolfenstein II: The New Colossus」公式サイト
ここでちょっと「Wolfenstein」の過去を振り返ってみよう。シリーズ第1弾の「Castle Wolfenstein」が登場したのは,今から実に30年以上前の1981年のこと。ただし同作は,たわいない2Dのアクションゲームで,FPSというジャンルの礎を築いたのは1992年に登場した「Wolfenstein 3D」だった。
その後,「Return to Castle Wolfenstein」(2001年),「Wolfenstein」(2009年)と割と時間をおいてシリーズ作品がポツポツと登場してきたが,いずれも主人公のB.J.ブラスコヴィッチがナチスと戦うというのがテーマになっていた(マルチプレイに特化した,「Wolfenstein: Enemy Territory」という変わりダネもあった)。
そして,2009年にidSoftwareを傘下に収め,「Wolfenstein」シリーズのIPを手にしたベセスダ・ソフトワークスがMachineGamesに開発させたのが上記の「Wolfenstein: The New Order」であり,久々にプレイヤーやメディアの高い評価を得てシリーズ化されたという流れだ。
「The New Colossus」は,前作「Wolfenstein: The New Order」のエンディングからスタートするが,かくいう筆者はシリーズを遊んだことがなく,当然ながら前作も未プレイ。そんなWolfenstein初心者の筆者でも楽しめるのかを含めて,プレイレポートをお届けしたい。
今回の記事は,PC版のプレイを元に作成しているので,操作方法もそれに準じている。なお,筆者のPCのスペック的な問題で映像設定は中程度で,掲載したスクリーンショットもそれで撮影したものとなっている点はご了承願いたい。
悲しすぎるB.J.ブラスコヴィッチの戦い
ゲームを始めると,前作の大まかなストーリーがムービーで語られる。それによると,B.J.ブラスコヴィッチは前作のラストでボスと死闘を繰り広げ,大ケガを負ったという。ムービーが終わると,いよいよプレイシーンになるのだが,主人公が車イスに乗っていることに驚いた。こんな特殊な状況で戦闘に突入するゲームは,あまり記憶にない,というか全然ない。
操作感覚は車イスそのままで,前進はなんだかガクガクしているし,左右への方向転換も遅い。そんな状況で敵がワンサカ襲ってくるのだから,もうのっけからクライマックスというわけだ。
だが,そんな状況もじきに一変する。序盤のとあるイベントで「パワーアーマー」が手に入るので,これにより常人以上の身体能力が得られ,FPSらしい操作が可能になるのだ。この感動はなかなかのレベルで,気分が否応なく盛り上がりナチスの悪者達をバッタバッタと倒したくなること請け合いだ。
前作はナチスに支配されたヨーロッパが舞台だったが,ヤツらの魔の手はアメリカにまでおよんでおり,本作の舞台はディストピア的なアメリカだ。なんとか危機を脱した彼はレジスタンスに合流し,ナチスの戦力を削ぎつつ,アメリカの独立を目指して戦いをくり広げていくというのが主な筋書きだ。
とはいえ,脳ミソ筋肉的なその見かけとは裏腹に,B.J.ブラスコヴィッチは苦悩する人物として描かれている。
パワーアーマーを身にまとったとはいえ,彼の肉体はすでにボロボロだ。残されている時間が少ないことを噛みしめつつ,自分の子を身ごもっている恋人アーニャにそれを悟られないように気丈に振る舞う。そして未来のために,戦場へ向かう……。
子供時代の思い出や父親との確執など,B.J.ブラスコヴィッチの独白は切なく悲しい。そんな彼にすっかり感情移入した筆者は,なんとしても幸福な未来を勝ち取りたい気持ちになってしまったわけで,こうした,先が気になって仕方ないストーリー展開はかなり秀逸だ。アメリカンヒーローっぽくないのは,開発のMachineGamesがスウェーデンの会社だからなのか,日本人の心情にもかなりマッチしているのではないだろうか。
背景となるのは1960年代で,ナチスが世界征服に成功した架空の世界だ。ナチス躍進の裏には謎の超技術があり,SFチックな武器や兵器が次々に登場する。いずれもレトロフューチャー感のあるデザインで,1960年代のテイストが感じられる。現実ではあり得ないような巨大な潜水艦や航空機,自律歩行ロボなどは,本作ならではの世界観だろう。
FPSのもう1つの主役である銃器類にも超技術が駆使されており,レーザー的な武器も使えるため,ド派手な戦闘をこれでもかという感じで楽しめる。
息もつかせぬバトルは手応え十分
FPSはバトルが命。PC版の場合,戦闘は左クリックで照準,右クリックで射撃というおなじみのシステムを踏襲しているが,ライフの自動回復はなくアイテムを使用するタイプ。ライフが数値で表示されたり,アーマーがあったりと,かつて主流だったちょっと懐かしい雰囲気になっている。
マップには多数のアイテムが落ちており,これらを手に入れることでライフやアーマーが回復する。敵に攻撃を受けると,アーマーがあるうちはアーマーの値が減りライフは減らない。だがアーマーがなくなると,ライフに大きなダメージを受けるようになるという二段構えだ。
FPSが得意ではない人は,ちょっと覚悟をしてプレイしたほうが良さそう。難度ベリーイージーを選べばだいぶ楽になるので,そちらもオススメだ。
そんなプレイヤーの大きな味方になってくれるのが,武器のアップグレードだ。本作にはアサルトライフルやマシーネンピストーレ(サブマシンガン的な銃)などの普通の銃のほか,上記のようにレーザークラフトワークやレーザーライフルといった兵器が登場する。
これらは威力が大きく,見た目も格好いいので,爽快感あふれる戦闘が楽しめるはずだ。アップグレードキットを入手すると改造&パワーアップが可能になるので,お気に入りの武器をさらに強く,使いやすくできるのはテンションが上がる。
銃器の弾薬が増えたり,司令官の位置が分かったりなど,さまざまなメリットがあるため,入手条件と効果をよく確認して,積極的に狙っていこう。
いろいろな収集要素がやり込みの大きなモチベーションになるのは,最近のゲームのお約束だが,本作もその例に漏れず,多数の収集アイテムが用意されている。その中でも珍しいのが「エニグマコード」で,これは敵の司令官を倒すと入手できる「エニグマコード」を使い,ゲーム後半で利用可能となる「エニグママシン」で解析することで,敵の上級司令官の居場所が判明するというシステムだ。
判明後は実際にその場所へ行き,その上級司令官を暗殺するというサイドミッションが楽しめる。
戦闘の難度は高いが上記の「武器のアップグレード」と「PERK」により,プレイを重ねるにつれて次第に爽快なバトルが楽しめるようになるはずだ。収集要素と先の見えにくい物語は,ゲームを続けるモチベーションになってくれる。アメリカというロケーションも魅力的で,エリア51など,一部の人達にはおなじみの場所も出てくる。
シングルプレイオンリーのため,じっくり腰を据えて挑戦できるところもポイントだ。シリーズのファンはもちろん,手応えのあるFPSを求めている人は本作を試す価値があるだろう。最初に述べたように筆者はシリーズ未プレイだが,遊んでいるうちにバックボーンや世界観などを次第に理解して,ゲームを楽しむことができた。
PC版については,中途半端なスペックのPCでは進行に支障をきたすほど重めのゲームなので,自身が無い人は,コンシューマ機版をチョイスするといいだろう。
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