プレイレポート
仲間と共にNBA選手としての人生を楽しめるシリーズ最新作,「NBA 2K18」のハンズオンイベントが開催
バスケットボールゲーム史上最高のビジュアルを実現,多数の新要素を搭載
イベントはまず,ベニッシュ氏のプレゼンテーションでスタートした。
「NBA 2K18」は,1999年の第一弾からこれまで,累計7000万本以上のセールスを記録しているバスケットボールゲームシリーズの最新作で,今回の特徴は「史上最高のビジュアル」とのこと。
キャラクターの制作にあたっては,最新のレーザースキャニング技術を利用して選手本人を全身スキャン。例えばポートランド・トレイルブレイザーズのデイミアン・リラード選手の「筋肉質でやせ形」や,ゴールデンステート・ウォリアーズのケビン・デュラント選手の「足が長く胴が短い」など,各選手の体型の特徴も忠実に再現したという。同時に顔や表情,汗の表現,ジャージの色や質感も改善し,さらに,古傷や消えかけたタトゥー,サポーターの縫い目まで表現している。スクリーンショットは,実写さながらのリアルさだ。
NBAに現在所属するチームをすべて収録したのはもちろん,かつて存在したクラシックチームも前作から17チーム増やした62チームが用意されている。
さらに,歴代の名プレイヤーが集結した「オールタイムチーム」も30チーム登場するとのこと。ベニッシュ氏は,「版権関連でかなり苦労したものの,やってよかった」と述べる。正式発売時には,時空を超えた夢の対決も楽しめるはずだ。
収録されたゲームモードで大きく変化したのが,「MyCAREER」だ。自分で作った「MyPLAYER」としてバスケットボール選手の人生を体験するという流れはそのままだが,新たに登場する「ネイバーフッド」という街を舞台に,ほかのプレイヤーとの交流やミニゲームが楽しめるソーシャル要素が強調されている。
ネイバーフッドは,MyCAREERと,オンラインプレイの「MyPARK」,そして,カスタマイズしたチームでプレイをする「PRO-AM」が統合されたモードで,バスケットボールカルチャーをリスペクトするこの街には,自宅やトレーニング施設,シューズやウェアを売る店,髪型が変えられる床屋,そしてDJプレイやクイズが楽しめるアミューズメントセンターになど,さまざまな施設が並んでいる。
プレイヤーはこのネイバーフッドでトレーニングに励んだり,選手としてNBAの試合に出場したりするのだが,街にはほかのプレイヤーも存在しており,一緒に遊んだり,自宅に招待したりできるという。
すでに本作の体験版となる「NBA 2K18: The Prelude」の配信がスタートしているので,気になる人は試してみよう。体験版のデータを製品版に引き継ぐことも可能だ。
また,マネージャーとしてチーム運営を行う「MyGM」モードは,「MyGM:The Next Chapter」という名称に変更されており,ストーリー要素が強化された。ゲームを進めることで,さまざまな選択肢が出現し,その選択によってストーリー展開が変化するという。ベニッシュ氏によれば,「現実のNBAにあるものをすべて取り入れている」とのことで,例えば,NBA団体交渉協約が再現されているほか,フリーエージェントの猶予期間が導入されるなど,最新のNBAをリアルに再現するものとなっている。
夢のチームを作れる「MyTEAM」にも手が加えられ,選手のサインやカードが登場する。ユーザーの希望に応じて,決まった契約金の制限内でチームを編成する「SuperMax」や,TCGのように「パック」を開いてチームを編成する「Pack and Playoff」が実装されている。
実際の試合では,選手のアニメーションがこれまで以上にスムーズになり,さらにシュート時にタイミングを示すゲージが表示されるなど,プレイアビリティが向上している。AIも改良されており,プレイヤーの戦術を学んで,これに対応するという。プレイを重ねることで,AIも強くなっていくのだ。
また,「オフェンスに優れた味方がボールを持っている場合,ほかの選手がスペースを作って自由に動けるようにする」「ディフェンスが弱い味方がボールを持ったとき,サポートが入る」など,それぞれの選手の能力を把握したうえで動くため,「チーム相互の相性によって試合展開が変化し,1つとして同じ試合はない」(ベニッシュ氏)というほど,多彩な展開を見せてくれる。
プレゼンの最後にベニッシュ氏は,「NBA 2Kファンは新しい体験を求めているので,本作はすべての点でアップグレードしました。ファンからのフィードバックを一番のモチベーションとして開発を進めてきましたので,ぜひゲームを楽しんでください」と語った。
試合中継を自分で操作しているかのような感覚,そしてネイバーフッドの不思議な距離感
会場には,PlayStation 4版とNintendo Switch版の試遊台が用意されていた。ゲームを立ち上げてまず驚かされたのが,ベニッシュ氏も述べたグラフィックスの向上だ。
選手がアップになったときの汗やタトゥーの表現がリアルで,「現実の試合の中継だ」と言われても信じてしまいそうなほど。本人をスキャンして作られたという各選手も,それぞれの個性が感じられた。
実際の試合では,複雑なプレイが直感的に楽しめるという印象を受けた。
時間が限られたハンズオンという関係上,チュートリアルを飛ばしていきなり試合を始めることになったのだが,少し遊ぶだけで操作に慣れ,相手チームとの駆け引きに集中できた。ディフェンスをかいくぐってダンクを決めたときは爽快だし,敵のボールを奪ったときなどは思わず心臓が高鳴ってしまった。
試遊に登場したのは,名プレイヤーが揃ったオールタイムチームで,筆者はシカゴ・ブルズを選んだのだが,まあとにかく強い。1990年代に活躍したマイケル・ジョーダン選手,デニス・ロッドマン選手,スコッティ・ピッペン選手のトリオに,1949年生まれのアーティス・ギルモア選手が加わるという文字どおりのドリームチームで,縦横無尽に暴れ回ることができたのだ。
「時代を超えたオールタイムチーム」はNBAに詳しい人向けのフィーチャーなのかと思っていたが,ビギナーにこそオススメしたい。
ネイバーフッドはかなり印象的で,バスケットボールカルチャーにあふれた街の大通りにはいろいろな施設が建ち並び,トレーニングをしたり,シューズやウェアが買えたりする。また,ネットを介したほかのプレイヤーも大通りを行ったり来たりしており,彼らを対戦に誘ったりもできるので,いわばショップとオンラインロビーを足したような空間になっているのだ。
自分が遊んでいる空間にほかのプレイヤーが出現するというアイデアは以前から実現されているが,スポーツゲームに導入されるのは珍しいケースだろう。
「たくさんの選手が集まり,高い評価を目指してプレイヤーキャラクターを鍛える場」という設定だけに,プレイヤー同士の連帯感のようなものも感じられ,まさに「ネイバーフッド」(隣人)という雰囲気だ。
街の各所にあるミニゲームも,NBAクイズから実際のプレイに役立つものまで種類が多く,自宅にあるテレビから,本作のほかのモードをプレイするという設定も面白かった。発売後は,なによりネイバーフッドが盛り上がりそうだ。
会場では,Nintendo Switch版の携帯モードが展示されていた。本体に接続されたディスプレイの画面を見る限り,グラフィックスに大きな差はないように感じられ,操作感覚もそのまま。直感的なプレイを楽しむことができる。
PlayStation 4版と同じモードが実装されているほか,最大で4台のNintendo Switchをつないでのローカルプレイが可能だ。自宅の好きな場所で,より気軽に本作を楽める。
NBAへの愛と,ファンへのリスペクトで,最高のゲームを作る。シニアプロデューサー,エリック・ベニッシュ氏インタビュー
最後に,ベニッシュ氏へのインタビューが行われたので,以下にまとめた。
4Gamer:
よろしくお願いします。まずは,「NBA 2K18」の見どころについて教えてください。
エリック・ベニッシュ氏(以下,ベニッシュ氏):
見どころはいろいろありますが,とくに選手達の生きているようなグラフィックス,そして,多くのプレイヤーが互いに関われるネイバーフッドを見てほしいですね。
4Gamer:
選手のグラフィックスは昨年の「NBA 2K17」の時点でもかなりリアルでしたが,今年はさらに向上していますね。1人の選手をスキャンしてからゲーム内のキャラクターとして完成するまで,どれくらいかかるものなのでしょうか。
ベニッシュ氏:
すごく長い時間がかかります。選手の全身をスキャンし,そのデータを3Dモデルに起こしてスタジオに持っていき,リグを付け,デバッグし……気の遠くなるような話ですが,長年の経験のおかげで,プロセス自体は次第に洗練されてきました。
4Gamer:
ネイバーフッドでは,街にいるほかのプレイヤーと関わることができますが,こうしたソーシャル要素を導入した理由はなんですか。
ベニッシュ氏:
ユーザーの皆さんからずっと,「友達と一緒にMyCAREERモードを遊びたい」という要望をもらっていたからです。この要望をどう実現するか考えた結果,「プレイヤーからはローカルでMyCAREERモードを遊んでいるように見えるが,実際には世界が共有されていて,相互にインタラクションできる」という形になりました。
4Gamer:
ネイバーフッドの開発には苦労しましたか。
ベニッシュ氏:
もちろんです。我々はこれまでオープンワールドのゲームを作った経験がなかったうえに,ネイバーフッドオンはオンラインマルチプレイの要素を含んでいます。ですから,「サーバーをどうするか」「何人まで同時接続できるのか」「プレイヤーがログインしたら画面がどうなり,ログアウトするとどうなるのか」など,基礎の基礎からスタートしました。最初は,開発に乗り出すのが怖かったですね。
4Gamer:
なるほど。ネイバーフッドを含めて,本作の開発には,どれくらいの時間がかかっているのですか。
ベニッシュ氏:
2016年9月に前作をリリースした直後からスタートし,だいたい8か月くらいかかっています。この規模のタイトルとして,一年未満の開発期間は短いほうですが,それもこれも,「なるべく早くファンに最高のものを届けたい」という情熱のなせる技ですね。
4Gamer:
オールタイムチームは歴史を通じて最高の選手が揃っているわけですが,選手の選定はスムーズに行きましたか。
ベニッシュ氏:
開発メンバーはみんなNBAの大ファンなので,ものすごく長い時間,話し合うことになりました(笑)。結果として,いい選手を選べたと思っています。
4Gamer:
やはり,濃いファンにはいろいろな意見があるんですね。一番もめたのはどのチームですか。
ベニッシュ氏:
それはもう,シカゴ・ブルズです。マイケル・ジョーダン選手とスコッティ・ピッペン選手を選ぶのは簡単でしたが,ポイントガードに誰を選ぶかが問題でした。デリック・ローズ選手,スティーブ・カー選手,ジョン・パクソン選手,B.J.アームストロング選手……。いずれも素晴らしい選手だけに,悩みましたね。結局,ジョン・パクソン選手を落とすことになってしまいました。
4Gamer:
ところで,本作でNintendo Switchに対応した理由はなんでしょう。
ベニッシュ氏:
ポータブルなハードウェアですが,PlayStation 4やXbox One向けのゲームを動かせるパワーがあることです。基本的に,ファンの要望があったコンシューマ機にはソフトを出していきたいですね。
4Gamer:
初めてとなる,Nintendo Switchの開発はどうでしたか。
ベニッシュ氏:
すべてのモードを収録しつつ,Nintendo Switchのカートリッジに収めなければならないのが非常に大変でした。ただ,個人的にNintendo Switchは好きなハードウェアです。携帯機としての側面があるので,家だけでなく,飛行機の中など,いろいろなところでプレイできる。苦労しましたが,やったかいはあったと思っています。
4Gamer:
NBA 2Kシリーズは今後もNintendo Switchに対応する予定でしょうか。
ベニッシュ氏:
個人的には,対応していきたいですね。ファンに気に入ってもらえ,出し続けていければいいと思っています。
4Gamer:
ちなみに,日本では売り切れ続出のNintendo Switchですが,アメリカではどうですか。
ベニッシュ氏:
すごい人気で,どの店に行っても見つけられません。ブームが起きていると言ってもいいくらいです。我々のゲームも売れてくれるといいですね。
4Gamer:
NBAのことをあまり知らない人や,シリーズをこれまで遊んでいない人が本作をいきなりプレイしても大丈夫ですか。
ベニッシュ氏:
もちろん,ビギナーでも楽しめます。恒例のチュートリアル「2KU」も拡張していますし。NBA 2Kシリーズは難しいと思われがちで,確かに,やろうと思えばいろいろなことができるので,複雑に見えるかもしれません。でも,バスケットボールのゲームは極端な話,パスとシュートのやり方が分かれば楽しめます。ビギナーの人には,自分のキャラクターを成長させることに集中できるMyCAREERモードがオススメですね。
4Gamer:
NBA 2K18で注目の選手は誰ですか。
ベニッシュ氏:
スタンダードエディションのカバーにもなっている,カイリー・アービング選手ですね。トレードで注目されるなど優れた選手ですし,新しくなったレーザースキャンシステムを使った最初の選手でもあります。
4Gamer:
ところで,今年のNBAは,どこのチームが勝つと思いますか。
ベニッシュ氏:
ゴールデンステート・ウォリアーズがまた勝つでしょうね(笑)。
4Gamer:
では,最後に読者にメッセージをお願いします。
ベニッシュ氏:
日本の皆さんのサポートに感謝しています。ベストなものを作れたと思っていますので,ぜひ楽しんでください。
4Gamer:
本日は,どうもありがとうございました。