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[E3 2017]「LOST SPHEAR」のディレクター橋本厚志氏にインタビュー。「Project SETSUNA」第2弾に込めた思いを聞いた
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印刷2017/06/15 12:35

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[E3 2017]「LOST SPHEAR」のディレクター橋本厚志氏にインタビュー。「Project SETSUNA」第2弾に込めた思いを聞いた

 スクウェア・エニックスが2017年秋に発売を予定しているRPG「LOST SPHEAR」PS4/Switch)。“日本発RPG専門スタジオ”として設立されたTokyo RPG Factoryの2作めとなる作品だ。E3 2017では,本作のディレクターを務める橋本厚志氏への合同インタビューが行われたので,その模様をお伝えしたい。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [E3 2017]「LOST SPHEAR」のディレクター橋本厚志氏にインタビュー。「Project SETSUNA」第2弾に込めた思いを聞いた

 まずはインタビュー前に,橋本氏自らのデモプレイを交えて行われた本作の解説からお届けしよう。
 純国産RPGが隆盛を極めた1990年代の作品の伝統的なスタイルを継承しながらも,現代の技術によってそれを進化させたものとして制作された,Project SETSUNAの第1弾タイトルが「いけにえと雪のセツナ」PS4/PS Vita/Swtich 以下,セツナ)だった。LOST SPHEARも,同じコンセプトを持つ第2弾タイトルとして発表されたが,世界観などのつながりはないそうだ。

いけにえと雪のセツナ
画像集 No.002のサムネイル画像 / [E3 2017]「LOST SPHEAR」のディレクター橋本厚志氏にインタビュー。「Project SETSUNA」第2弾に込めた思いを聞いた 画像集 No.003のサムネイル画像 / [E3 2017]「LOST SPHEAR」のディレクター橋本厚志氏にインタビュー。「Project SETSUNA」第2弾に込めた思いを聞いた

 ゲームのキーワードは“記憶”だという。この世界では,すべてのものには記憶が宿っており,記憶が失われてしまうとその存在自体が消えてしまう「ロスト」という現象が起こる。
 主人公のカナタは,その失われたものの記憶を復元したり,作り変えたりする“記憶の力”を持つ。記憶が失われていくこの世界に抗い,ロスト現象が起きる謎に迫っていくという展開が,物語の軸となっている。

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 パーティ人数が4人になったことや,待望の(?)宿屋が登場するといった変更点はあるが,基本的なゲームシステムはセツナを踏襲したものとなっている。
 バトルについても,1995年に発売された「クロノ・トリガー」の「ATB2.0」がベースとなっていることや,タイミングよくボタンを押すと追加効果が発生する「刹那システム」が登場するなど,基本はセツナに準じているが,その中で橋本氏がバトルシステムの「大きく進化したポイント」として挙げたのが,新要素である「移動」だ。

 これは,ターンが回ってきたキャラクターを移動させてから行動できるというもので,範囲攻撃のスキルなどをより効果的に使えるようになる。ただし,例えば敵の背後に回り込むと有利になるといった,シミュレーションRPG的な戦い方を推奨するためのものではなく,普通に戦っても楽しいが,これを使用することで戦術の幅が広がるというものになっているそうだ。

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橋本厚志氏に合同インタビュー


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――セツナとは違う方向の作品にするという選択肢もあったかと思いますが,なぜ同じ路線にされたのでしょう。

橋本厚志氏(以下,橋本氏):
 セツナをプレイしていただいた皆さんから,たくさんの感想や意見をいただいたので,それを踏まえてパワーアップした作品をお見せしたかったんです。より完成度の高いものを制作できると思ったんですよね。……今思えば単純に自分が作りたかったという欲求もあったかもしれません。

――セツナで良い評価を受けて本作にも反映したもの,逆に厳しめの意見を受けて変えた部分などがあれば教えてください。

橋本氏:
 厳しめの意見を受けて変えたというのとはちょっと違いますが,バトルの新要素である移動は,セツナのバトルでストレスがたまるという意見を受けて,それを改善しようと議論した結果生まれたものですね。
 良い評価を受けて今回も導入したのは刹那システムです。まだ詳細は話せませんが,そのままではなくパワーアップしていますよ。

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――成長システムについてはどうですか?

橋本氏:
 大きくは変わっていないですね。基本的にはセツナと同じ路線で調整をしている感じです。

――ストーリーのボリュームはどのぐらいになるでしょうか。

橋本氏:
 セツナは20時間程度でしたが,本作では30時間くらいになる予定です。セツナを制作してみて,もう少しだけ長くしてもいいのかなと思いました。

――思っていたよりも間を空けずに新作を発表されたという印象があります。いつから開発を進めていたんですか?

橋本氏:
 セツナの発売後すぐに開始しました。後発となったNintendo Switch版のセツナ(2017年3月発売)と開発時期が被っていたことはありましたが,PS4版とPS Vita版とは一切被っていません。

画像集 No.008のサムネイル画像 / [E3 2017]「LOST SPHEAR」のディレクター橋本厚志氏にインタビュー。「Project SETSUNA」第2弾に込めた思いを聞いた
――セツナと同じく,儚(はかな)さを感じさせるものがあります。やはりこういう世界観がお好きなんですか?

橋本氏:
 自分達がプレイして影響を受けた90年代の和製RPGには,切なさやシリアスさを持ったゲームが多かったと思います。その影響を受けた結果と言えますね。

――Project SETSUNAには,プロジェクトの持つ思いに共感したクリエイターがたくさん集まっていますよね? やはりメンバーは,(橋本氏と同じく)90年代の和製RPGに影響を受けた人が多いのでしょうか。

橋本氏:
 そうですね。「こういう企画があるんですよ」と声を掛けて集まってくれた人達に参加してもらっているのですが,そのときに賛同してくれた人はやはり90年代の和製RPGが好きな,自分と近い世代のクリエイターが多かったです。

――セツナでは音楽がピアノ中心でした。本作はどうなっていますか?

橋本氏:
 今回も全曲でピアノは使っているのですが,セツナのようにピアノオンリーというものではなく,曲ごとにさまざまな楽器の音を入れています。
 セツナはピアノオンリーを突き詰めて成功したものだと思いますし,比較するものではないかとは思いますが,よりバージョンアップしたものを目指しています。

――懐かしさの中に新しいものを作り出すというのは決して簡単な挑戦ではないと思います。セツナでもこの挑戦をされていたと思いますが,ここはうまくいった,プレイヤーに伝わったなという手ごたえがあった点と,逆にうまく伝わらなかったなと思った点があれば教えてください。

橋本氏:
 これがですね……簡単な挑戦ではないとおっしゃるとおり,むちゃくちゃ難しいんですよ(笑)。なにより,90年代の和製RPGとひとことで言っても,イメージや思い入れは人それぞれじゃないですか。それに応えなければなりませんし,ある部分では勝たなくちゃいけません。それができているかというのは答えるのも難しいですね。
 もちろん賛否両論はありましたが,「こういうのを待っていた」という声もたくさんもらえましたので,成功したんじゃないかという手応えは感じています。

 ただ,僕らが思い浮かべていたものとプレイヤーさんが思い浮かべていたものの,ズレがあったのも確かです。良い例では宿屋ですね。僕らはそこまで重要視していなかったのですが,いざゲームが出ると「(RPGなのに)なんで宿屋がないねん」と(笑)。そのときにハッとさせられたことを,LOST SPHEARにフィードバックしたうえでに進化させられたらと思っています。

――最後に読者やRPGファンにメッセージをお願いします。

橋本氏:
 まだまだ発表できない情報がありますが,実はこれまで発表した情報やトレイラーには,本作に関わる重要な要素が隠れています。トレイラーをじっくり見てもらえると新たな発見がありますよ(笑)。
 実は,けっこう新しいことをやっているという自負もあるんです。90年代の和製RPGにあった,“想像する余地のあるもの”をベースに,新しい体験を与えられるようなRPGをお届けできればと思います。

――ありがとうございました。

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