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Intel「NUC8I7HVK」レビュー。Radeon RX Vega搭載のCPU「Kaby Lake-G」はどの程度までゲームを快適にプレイできるのか
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印刷2018/07/04 00:00

レビュー

Radeon RX Vega搭載のCPU「Kaby Lake-G」はゲームを快適にプレイできるのか

Intel NUC Kit NUC8i7HVK

Text by 米田 聡


Kaby Lake-Gのパッケージ。写真左端にあるのは後段で説明する容量4GBの「High-Bandwidth Cache」(以下,HBC)で,その右隣にある大きなダイがGPUダイ,右側にあるのがCPUダイだ
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 開発コードネーム「Kaby Lake-G」と呼ばれる第8世代Coreプロセッサ「Core Mobile Processor with Radeon RX Vega M Graphics」(関連記事)は,Kaby Lake世代の4コア8スレッド対応CPUと,AMD製のセミカスタム版GPU「Radeon RX Vega」をMCM(Multi-Chip Module)技術でワンパッケージ化した「Intel+AMD」のプロセッサとして話題を呼んだプロセッサだ。

 そんなKaby Lake-Gの最上位モデルとなる「Core i7-8890G」(以下,i7-8809G)を採用する超小型デスクトップPCのベアボーンキットである「Intel NUC Kit NUC8i7HVK」(以下,NUC8i7HVK)を,今回は評価したい。AMD製GPUとIntel製CPUを1つにまとめたi7-8809Gは,ゲームを実用的な性能でプレイできる製品なのだろうか。4Gamer定番のベンチマークを実行し,性能を検証してみよう。

NUC8i7HVK
メーカー:Intel
問い合わせ先:インテル サポートページ
実勢価格:12万5000円前後 ※2018年7月4日現在
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Kaby Lake-G搭載NUCは2種類の製品バリエーションがある


 NUC8i7HVKは,Intelが「NUC」(ナック)と呼ぶ超小型PCである。知っている人は多いと思うが,NUCとは「Next Unit of Computing」の略で,Intelが「次世代のPC」と定義している小型のPCプラットフォームである。小さな筐体でありながら実用的な性能を持つというのが,NUCに共通した特徴だが,Intel製CPUが電力効率に優れる点をアピールするという意図もあるようだ。
 なお,IntelのNUC製品は,完成品のPCではなく,ベアボーンキットとして販売されている。筐体内にはストレージやメモリモジュールが取り付けられていないので,ユーザーが別途購入して,自分で取り付ける必要がある点は注意してほしい。

 Kaby Lake-Gを搭載したNUC製品は,開発コードネーム「Hades Canyon」という名で知られており,本稿執筆時点では,今回取り上げるNUC8I7HVKと,「Intel NUC Kit NUC8i7HNK」(以下,NUC8i7HNK)の2製品が販売中だ。
 本稿で取り上げるNUC8I7HVKは,SoC(System-on-a-Chip)としてKaby Lake-Gでは最上位となるi7-8809Gを採用している。そのGPUとして「Radeon RX Vega M GH」(以下,Vega M GH)を統合しており,CPUとGPUの間はPCI Express(以下,PCIe) 3.0 x8で接続する仕組みになっている。
 一方,NUC8i7HNKのほうは,SoCのCPU部分こそi7-8809Gと同じであるが,SoCのGPU部分にやや低スペックな「Radeon RX Vega M GL」(以下,Vega M GL)を統合した「Core i7-8705G」を採用するのが主な違いだ。
 両製品の主な仕様は以下のとおり。

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 Vega M GHと同GLの主な違いは,GPUコアの規模とメモリ帯域幅にある。
 たとえば,Vega M GHのCompute Unit(以下,CU)数は24基であるが,Vega M GLはやや少ない20基だ。
 ちなみに,AMDのVegaアーキテクチャでは,「Stream Processor」と呼ばれるシェーダプロセッサ16基を4つ束ねて1つのCUを構成しているので,シェーダプロセッサ数で言うなら,上位モデルが1536基,下位モデルが1280基となるわけだ。ちなみに,同じVegaアーキテクチャのGPUである「Radeon RX Vega 56」の場合,シェーダプロセッサ数は3584基なので,Vega M GHは約43%,Vega M GLは約36%程度の規模ということになる。

Kaby Lake-Gの主な特徴を示したスライド
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 また,グラフィックスメモリのスペックにも,多少差が付けられている。どちらのGPUも,1024bitという広帯域メモリインタフェースに対応するメモリ「HBM2」を「High-Bandwidth Cache」として4GB分搭載しているのだが,Vega M GHのメモリクロックは800MHzで,メモリ帯域幅204.8GB/sというスペックなのに対し,Vega M GLはメモリクロックが700MHzで,メモリ帯域幅179.2GB/sとなっているのだ。


小型ながらもインタフェースは充実


 それでは,NUC8I7HVKの実機を見ていくとしよう。

NUC8I7HVKの製品ボックス(左)。上蓋の内側にも,Intel製ゲーマー向けNUCのシンボルマークである骸骨のシンボルが描かれていた(右)
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製品ボックスの中身。左側中央にあるのが本体で,右上にあるのは,本体より一回り小さい程度のACアダプターだ。本体の手前に見えるのは,後述するVESAマウント用の取り付け金具だ
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 写真を見てのとおり,NUC8I7HVKは,個性的な外観をした小さなPCである。サイズは実測で220(W)×141.5(D)×42(H)mm。重量は同じく実測で1274gだった。軽めのモバイルノートPC並みの重量は,決して重くはないが,筐体が小さいだけに,手で持つとずっしりと中身が詰まった印象を受ける。

NUCとしては大きめのNUC8I7HVK。天面の骸骨マークはLEDイルミネーションである。Intelのゲーマー向け製品を象徴するシンボルだが,とくに名前はないらしい
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 NUC8I7HVKは,基本的に机上で横置きにして使うデザインをしているが,液晶ディスプレイの背面にあるVESAマウント部に本製品を取り付けて使うためのVESAブラケットも付属しているのは,超小型PCならではのポイントといったところか。

NUC8I7HVKの天面。天面左側はハニカム状の模様で覆われているが,右へ行くに従って模様が薄くなっており,右半分は模様がない(左)。本体底面には大きな通風孔があり,底面手前側に2個,奥側には横長のゴム足が1個付いている。底面の中心線上にある2つのネジ孔は,VESAブラケットを取り付けるためのものだ
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 超小型PCでありながら,インタフェース類が充実しているのは,NUC8I7HVKの特徴だ。たとえばUSBポートは,USB 3.1 Gen.2 Type-AとUSB 3.1 Gen.2 Type-Cを1ポートずつ,USB 3.0 Type-Aを5ポート備えており,2ポート分のThunderbolt 3ポートも合わせれば,総数は9ポートにもなる
 ビデオ出力インタフェースも豊富で,Mini DisplayPort出力×2,フルサイズのHDMI 2.0a出力×2,さらに2つのThunderbolt 3ポートも合わせれば,最大6台のディスプレイに映像を出力可能だ。これだけのインタフェースがあれば,少なくとも外付け周辺機器の接続に関しては,まず不自由することはないだろう。

NUC8I7HVKの前面。左から電源ボタン,CIRポート(Windows Media Center用赤外線リモコン向け赤外線ポート),USB 3.1 Gen.2 Type-A,USB 3.0 Type-A(Powered USB対応),USB 3.1 Gen.2 Type-C,HDMI 2.0a出力,4極3.5mmミニピンヘッドセット端子が並んでいる。インタフェース部分の下半分を覆うハニカム状の模様は,通風孔になっている
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NUC8I7HVKの背面側。左から3.5mmミニピンサウンド出力(S/PDIF出力兼用),電源コネクタ,Thunderbolt 3×2,Mini DisplayPort出力×2,1000BASE-T(RJ-45)×2,USB 3.0 Type-A×4,HDMI 2.0a出力×1の並びだ
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 電源には,付属のACアダプターを用いる。ACアダプターのサイズはかなり大きく,実測で200(W)×100(D)×26(H)mm,重量は810g(※ケーブル含まず)だった。持ち歩くものではないので重量はとくに問題にならないだろうが,置き場所をとるのが難点かもしれない。
 ACアダプターとコンセントをつなぐ付属ケーブルが,実測で60センチと短いのも気になった。幸いなことに,ACアダプター側のコネクター(ACインレット)は,PCで広く利用されているIEC規格の電源コネクターなので,4Gamerとして推奨はしないものの,同規格に準拠したより長い電源ケーブルに交換して,ACアダプターの設置場所を工夫するといったことは,比較的容易にできる。

大型の付属ACアダプターはLite-On Technology製。19.5V,11.5Aの単電源出力タイプで,最大出力230Wとなっていた。ハイエンドのゲーマーノートPC並みといったところか
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組み立てからWindowsのインストールまでは簡単


 さて,先述したとおり,ベアボーンキットであるNUC8i7HVKを使うには,ユーザーがストレージとメモリモジュールを別途購入したうえで,自分で取り付ける必要がある。

 内蔵ストレージには,M.2接続タイプのSSDを2基内蔵可能だが,2.5インチHDDタイプのストレージには対応しない点は注意が必要だ。また,取り付け可能なM.2モジュールは,Type 2242またはType 2280のいずれかとなっており,Type 2280より大きなモジュールは取り付けられない。なお,Type 2260モジュールの場合,スロットに取り付けることは可能であるものの,固定用のネジ穴がないので安定した取り付けができず,正常に動作しない可能性がある。素直にType 2242もしくはType 2280のSSDを使うべきだろう。
 M.2スロットは2つあり,両方ともSerial ATA(以下,SATA) 6GbpsとPCI Express(以下,PCIe) 3.0 x4(NVM Express,以下 PCIe x4)に対応している。そのためOS用には性能重視で高速なPCIe対応SSDを,データ用には容量あたりのコストが比較的安価なSATA 6Gbps対応SSDを使うといった使い方も可能なわけだ。

 一方,メモリモジュールはPC4-19200(※DDR4-2400)対応のSO-DIMMスロットを2基備えている。
 NUC8i7HVKが搭載するi7-8809Gは,DDR4-2400までの対応となっているのだが,NUC8i7HVKはゲーマー向けということもあり,メモリのオーバークロック動作やXMP(eXtreme Memory Profile)メモリモジュールに対応しているそうだ。放熱能力を強化できないNUCで,メモリのオーバークロック動作に意味があるかどうかはともかく,可能ではある。

天板を固定している6つの六角ネジを外す
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 NUC8i7HVK内部へアクセスするには,まず本体天面パネルを取り外す。天面の6か所にある六角ネジを製品ボックス付属の六角レンチで外すと,樹脂製の天面パネルが外れる。
 天面パネルの下にあるシールドは,中央付近にある皿ネジ1本で固定されているので,このネジを抜いてシールドを外すと,M.2スロットとメモリスロットにアクセスできる仕組みだ。

天面パネルを外した状態
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筐体の上部を覆うシールド(左)は,中央付近のネジ1本(赤丸内)で固定してあるので,プラスドライバーで外そう。右写真はシールドを外した状態だ。なお,シールド上にあるLEDイルミネーションにつながっているケーブルは,外さなくてもM.2 SSDやメモリモジュールの取り付けに支障はない
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 以下に掲載した写真は,シールドを取り去った状態で,写真上側が背面側となる。
 右側にある2つのスロットがSO-DIMM用で,左側に2つあるスロットはM.2用だ。基板を見ると,左右に並んだM.2スロットの右側に「M.2_A」,左側に「M.2_B」と書かれていた。M.2_Bスロットの延長線上には,Intel製の無線LANモジュールが取り付けられたM.2スロットがある。一見すると,無線LANモジュールが邪魔になりそうだが,この状態でもM.2_Bスロット側にType 2280サイズのSSDを取り付けられるので問題はない。

シールドを外して真上から見た状態。右側にSO-DIMMスロット,左側にM.2スロットがある
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M.2スロットに2基のストレージを取り付けている様子(左)。M.2_Bスロット側は,写真のように無線LANモジュールの上に乗るような形で取り付ける。メモリモジュールの取り付けはごく簡単だ(右)。PC自作の経験者なら,迷うことはないだろう
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 なお,写真では固定用の金具が中央にあるだけで,i7-8809Gは見当たらないが,これはメイン基板の裏側に取り付けられているためだ。見える範囲で基板上にある部品類を眺めてみたが,NUCだからといって特別な部品を使っているわけではないようだった。

無線LANモジュールとして,Intel製のIEEE802.11ac対応デュアルバンドモジュール「Dual Band Wireless-AC 8265」を搭載していた(左)。CPU用ヒートシンクを固定している金具の近くには,USB 3.1 Gen.2対応のASMedia製USBコントローラ「ASM3142」の姿も(右)
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Gigabit Etherenetの物理層には,Intel製のEthernetコントローラ「I210-AT」が使われていた(左)。Thunderbolt 3ポートの近くには,開発コードネーム「Alpine Ridge」ことIntel製のThunderbolt 3コントローラ「JHL6540」がある
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 ストレージとメモリモジュールを取り付けたら,分解の逆順で組み立てる。組み上がったら,ACアダプターやディスプレイ,キーボードやマウスを接続して電源をオンにすれば,UEFIの起動画面が現れるはずだ。ここから先は,ごく一般的な自作PCと変わらない。実際,Windows 10をインストールするところまでは,とくに注意すべき点はなかった。ただ,NUC8i7HVK用のドライバソフトウェアは64bit版Windows 10用しか用意されていないので,もし,32bit版Windows 10やそれ以外のOSを入れようと考えているなら,その点には注意しよう。
 なお,最新のUEFI(BIOS)やドライバは,Intel公式のダウンロードセンターで製品名を入力すれば一覧を表示できるので,そこから入手可能だ。Windows 10をインストールする前に,最新のUEFIにアップデートしておくといいだろう。

 Windows 10をインストールしたあとで,Intel製のチップセットドライバやグラフィックスドライバをインストールすることになるが,グラフィックスドライバは,Vega M GH用とCPU内蔵の統合型グラフィックス機能用という2種類がある。どちらも忘れずにインストールしよう。



Radeon Softwareの機能は大半が利用可能だが

一部実装されていない機能もあり


こちらがRadeon SoftwareのRadeon Settings。Vega M GH用ドライバソフトは,これをベースにしている
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 Vega M GH用ドライバソフトをインストールすると,AMD製GPU向けドライバソフト「Radeon Software Adrenalin Edition」(以下,Radeon Software)における「Radeon Settings」とほぼ同等の機能を持つ「Radeon RX Vega M設定」が利用できるようになる。Radeon SettingsのIntel向けカスタム版といったところだが,黒や赤を基調としたRadeon Softwareとは異なり,Intelのコーポレートカラーである青を基調にしたユーザーインタフェースに改められているのは,一風変わっていて面白い。

Radeon RX Vega M設定のトップ画面。通常のRadeon Softwareが赤と黒を基調としているのに対して,こちらは青と白を基調とするのが面白い
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 Radeon RX Vega M設定で利用できる機能は,その多くがRadeon Softwareと同じだった。ゲームの画面キャプチャや動画キャプチャを行う「Radeon ReLive」の基本的な機能も利用できる。
 ただ,ウインドウモードでゲームを実行している場合に,ゲームのウインドウ内だけをキャプチャしたり,配信したりする「領域録画」「領域ストリーミング」といったRadeon Softwareに存在する機能は,実装されていなかった。NUC8i7HVK向けドライバソフトから,これらの機能が削られた理由は分からないが,i7-8809GはCPU側のIntel HD Graphics 630とビデオ出力を共用する構造であることが,何か影響したのかもしれない。

左はRadeon Softwareの,右はRadeon RX Vega M設定におけるRadeon ReLiveの設定画面を一部トリミングしたものだ(※クリックすると全体像を表示します)。Radeon Softwareに存在する「領域録画切り替えホットキー」のボタンが,Radeon RX Vega M設定では存在しないのが分かる。「ボーダーレス領域キャプチャ」ボタンも存在しないが,これは領域録画時にウインドウ枠をキャプチャしない設定であるため,領域録画が選べないNUC8i7HVKでは意味がないからだろうか
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 Radeon ReLiveには機能制限があったものの,ゲームのシーンに応じてフレームレートを調節し電力効率を高める「Radeon Chill」や,目標フレームレートを設定して消費電力を抑える「Frame Rate Target Control」(FRTC),GPUの動作クロックやメモリクロック,温度の監視を行う「Wattman」といった機能は,すべて問題なく利用できた。

消費電力の削減に役立つRadeon ChillやFRTCといった機能や,モニタリング機能のWattmanも本家同様に利用できた。Kaby Lake-G自体は,ノートPCでも採用事例のあるプロセッサなので,これらの機能は重要だろう
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 一方で,NUC8i7HVKでは実装していない機能もいくつかある。
 たとえば,PCとスマートフォンを連携させて,Radeon Softwareの一部機能をスマートフォンアプリから利用できるようにする「AMD Link」をNUC8i7HVKはサポートしていない。また,ゲームをプレイ中に特定のキーを押すことで,ゲーム画面の上にRadeon Softwareの一部設定を重ねて表示する「Radeon Overlay」も実装されていなかった。
 地味に不便なのは,ドライバアップデートの自動チェックや通知の機能がないことだ。NUC8i7HVKのドライバソフトウェアを更新したければ,今のところはユーザーが自発的にIntelのサポートページをチェックするしかない。Intelのサポートページは,正直分かりやすい作りとは言えないので,ここは本家Radeon Softwareのように,アップデートを簡単にチェックする仕組みを導入してほしいところだ。

 ところで,Radeon RX Vega M設定にある「ソフトウェア」タブを開くと,ドライバソフトに含まれる細かいソフトウェアのバージョンを一覧表示できる。このタブで,Radeon Softwareのバージョン番号にあたる「ドライバパッケージのバージョン」を確認してみたところ,同時期に配信中のRadeon Softwareと同じドライバソフトをベースにしているようだった。

「ソフトウェア」タブでバージョン番号を確認すると,ドライバパッケージのメジャー番号は,同時期のRadeon Softwareと一致していた(左)。「ハードウェア」タブの「現在のバス設定」を見ると,「PCI Express 3.0 x8」と書かれている(右)。これはCPU部分とGPU部分のインタフェースがPCIe 3.0 x8であることを示す
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NUC8i7HVKの性能をGTX 1050 TiおよびGTX 1050 2GBと比較


 それではNUC8i7HVKの性能をベンチマークテストで明らかにしていこう。
 まず,NUC8i7HVK側のテスト環境を説明しておきたい。今回のテストに当たっては,メモリモジュールとしてDDR4-3200対応16GB SO-DIMMを2枚セットにしたKingston Technology製の「HX432S20IB2K2/16」を使用した。このメモリモジュールは,同社のゲーマー向けブランド「Hyper X」の製品で,XMPに対応している。
 ストレージには,Cドライブ用に,高速メモリ技術「3D XPoint」を用いたIntel製のPCIe接続型SSD「Optane SSD 800p」の容量118GBモデル(型番:SSDPEK1W120GA01)を,またDドライブとしてIntel製のSATA 6Gbps接続型M.2 SSD「SSD Pro 5450s」の容量512GBモデル(型番:SSDSCKKF512G8X1)を使用した。

 比較対象のデスクトップPCで使うグラフィックスカードには,Kaby Lake-GがミドルクラスのGPU性能をアピールしていることを考慮して,「GeForce GTX 1050 Ti」(以下,GTX 1050 Ti)を搭載するMSI製「GeForce GTX 1050 Ti 4G OC」と,「GeForce GTX 1050 2GB」(以下,GTX 1050)を搭載するMSI製「GeForce GTX 1050 2G OC」を用意した。
 GPUはともかく,比較対象のCPUの選定は,なかなか難しい。i7-8809GのCPUは4コア8スレッドのKaby Lake世代で,定格クロックが3.1GHz,ブースト時最大クロックは4.2GHzである。そこで,今回は用意できるCPUの中から比較的スペックが近い4コア8スレッド対応の「Core i7-7700T」(以下,i7-7700T)を使うことにした。i7-7700Tは,定格クロックが2.9GHzで,最大クロックは3.8GHzと,やや動作クロックが低めである。

 それ以外のテスト環境は表2にまとめておいた。なお,テストを実施した時期の都合で,NUC8i7HVKで利用したグラフィックスドライバのバージョンがやや古くなってしまっていることはご容赦いただきたい。

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 テスト内容は4Gamerのベンチマークレギュレーション21.0に準拠した。GPU性能がミドルクラスのGPU性能ということで,設定の選択も悩ましいところだが,以下に示すとおり,レギュレーションで規定する低負荷寄りの設定を使うことにした。統合型GPUでのテストも考慮した設定なので,Vega M GHには処理負荷が軽すぎる可能性はあるものの,性能の比較目的としてなら使えると判断した次第だ。
 解像度には1280×720ドット,1920×1080ドット,2560×1440ドットの3パターンを使用する。


 レギュレーションに沿ったテストに加えて,日常作業の快適さを見るためにUL製のPC総合ベンチマークソフト「PCMark 10」を,GPUやCPUの特性を見るためにSiSoftware製のシステム検査&ベンチマークツールである「Sandra」(Version 2017.06.24.27,以下 Sandra 2017 SP4)の一部ベンチマークテストを実行する。


GTX 1050 Tiよりも1ランク上のグラフィックス性能を確認


 それでは定番のUL製の「3DMark」(version 2.4.4264)から見ていくことにしよう。まずグラフ1は,「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。
 一見して分かるとおり,3種類のプリセットでトップを取ったのはNUC8i7HVKだ。GTX 1050 Tiとの比較では,NUC8i7HVKのスコアは17〜24%程度上回った。
 一方,GTX 1050 2GBとのスコア差を見ると,Fire Strike UltraではNUC8i7HVKが約110%も上回っている。ここまで差が付いた理由は,GTX 1050 2GBのグラフィックスメモリ容量が2GBしかないことで,4K解像度相当となるFire Strike Ultraは荷が重いためだろう。GTX 1050 2GBはグラフィックスメモリの消費が大きくなると急激にスコアを落としてしまう傾向にあるようだ。
 いずれにしても,Fire StrikeにおけるNUC8i7HVKのグラフィックス性能は,GTX 1050 Tiよりもやや高いと言えよう。

画像集 No.037のサムネイル画像 / Intel「NUC8I7HVK」レビュー。Radeon RX Vega搭載のCPU「Kaby Lake-G」はどの程度までゲームを快適にプレイできるのか

 グラフ2は,Fire StrikeからGraphics scoreを抜き出したものだ。NUC8i7HVKとGTX 1050 Tiのスコア差は,Fire Strikeで約30%と大きく,Fire Strike Extremeでは約20%,Fire Strike Ultraでは約27%高いという結果になった。
 Fire Strike Extremeで差が縮まった理由は分からないが,NUC8i7HVKのほうが高い性能を発揮したのは確かだ。Graphics scoreには,CPU性能があまり反映されないことから考えると,Fire StrikeにおけるNUC8i7HVKのGPU性能は,GTX 1050 Tiに対して2〜3割ほど高いと言い切れる結果だろう。
 一方,GTX 1050 2GB比では,NUC8i7HVKのスコアはFire Strikeで約42%,Fire Strike Extremeは約33%,さらにFire Strike Ultraでは約139%もの差を付けている。Fire Strike Ultraに関しては,前述のとおりグラフィックスメモリ容量の差が影響しているのだろう。

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 続けて,CPU性能を見る「Physics score」の結果をグラフ3に,CPU性能とGPU性能の両方を見る「Combined score」の結果をグラフ4にまとめた。
 NUC8i7HVKのPhysics scoreは,GTX 1050 Ti比で約8%,GTX 1050 2GB比で8〜9%程度高い。テスト環境の説明で述べたように,i7-7700Tの動作クロックは,i7-8809Gよりもやや低い。動作クロックの差は定格クロックで約7%,ブーストクロックで約11%なので,8〜9%程度というスコア差は,おおむね妥当なところだろう。

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 一方,Combined scoreでは,GTX 1050 Ti比で12〜13%程度,GTX 1050 2GB比では22〜24%程度高い結果となった。

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 次は,3DMarkのDirectX 12テストとなる「Time Spy」の総合スコアをまとめたグラフ5を見ていこう。
 NUC8i7HVKのスコアをGTX 1050 Tiと比べると,無印のTime Spyで約22%,4K解像度相当のTime Spy Extremeでは約16%上回った。負荷が高くなるとGTX 1050 Tiにやや差を詰められるのは,Fire Strikeでも見られた傾向だ。Vega M GHは高速なHBM2を使っているだけに,グラフィックスメモリを食う高解像度ではGTX 1050 Tiを突き放してほしかったところだが,逆の結果になったのは残念だ。
 一方,GTX 1050 2GB比では,NUC8i7HVKのスコアはTime Spyで約46%,Time Spy Extremeではなんと400%も高い結果となった。この極端な差は,グラフィックスメモリ容量の差に起因するものだろう。

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 グラフ6は,Time Spyの詳細スコアからグラフィックス性能を示すGraphics scoreを,グラフ7には,CPU性能を示すCPU scoreをまとめている。
 Graphics scoreは,おおむね総合スコアを踏襲する結果になっており,特筆すべき点はない。一方,NUC8i7HVKのCPU scoreはTime Spyで比較対象より約9%高く,Time Spy Extremeでは9〜10%程度高い結果になった。Fire StrikeのPhysics scoreにおけるスコア差よりは差が付いたものの,動作クロックの差から逸脱するものではないので,おおむね妥当と言っていい。

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 ゲームにおける性能のチェックは,Preyから始めよう。
 グラフ8〜10にPreyの平均および最小フレームレートをまとめてみた。NUC8i7HVKの平均フレームレートは,2560×1440ドットでも合格ラインとなる60fpsを上回っている。また,1920×1080ドットでは,快適なプレイの目安である平均フレームレート90fpsも上回った。最小フレームレートと平均フレームレートの差も小さく,1920×1080ドットであれば何ら問題なく最高設定でプレイできるだろう。

 GTX 1050 Ti比で見ると,平均フレームレートは2560×1440ドットでNUC8i7HVKのほうが約3%,1920×1080ドットで約4%高い。しかし1280×720ドットでは,約1%まで迫られている。GTX 1050 2GB比でも,1280×720ドットでは差が約1%しかない。
 1280×720ドットでは,どの環境も140fpsを超えているのだが,Preyの場合,これだけ高いフレームレートになると,GPUのスループットでスコアが頭打ちになりやすい。CPUとGPU間の帯域幅がPCIe x8接続で狭いNUC8i7HVKがやや不利になるはずなので,GPUスループットが原因で飽和するような状況では,NUC8i7HVKの性能が十分に生かせない傾向が見られる。

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 Overwatchのフレームレートをまとめたものがグラフ11〜13だ。NUC8i7HVKは,快適なプレイの目安である平均フレームレート80fpsを2560×1440ドットでも軽々と超えてきた。Overwatchであれば,もう少しリッチなグラフィックス設定でも余裕でプレイできるだろう。

 GTX 1050 Tiとの平均フレームレート比較では,2560×1440ドットで約8%,1920×1080ドットでは約6%上回っていたが,1280×720ドットでは逆転されてしまった。やはり低解像度では,PCIe x8の帯域幅による影響が顕在化してしまうのではないだろうか
 一方,GTX 1050 2GB比では,NUC8i7HVKが8〜19%程度上回っている。これは順当と言っていいだろう。

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 グラフ14〜16はPUBGのフレームレートをまとめたものだ。PUBGをプレイするなら,最小フレームレート60fpsの条件をクリアしたいところ。NUC8i7HVKでそれをクリアしているのは,1920×1080ドット以下の解像度となる。ちなみに,比較対象のGTX 1050 TiとGTX 1050 2GBも,1920×1080ドット以下ならば条件を満たすので,その点には違いがない。

 GTX 1050 Ti比では,2560×1440ドットでNUC8i7HVKが約6%ほど上回るものの,1920×1080ドットと1280×720ドットでは,1fpsも差がないという結果となった。とはいえ,高解像度ではNUC8i7HVKが有利というこれまで見られた傾向は同様だ。
 一方,GTX 1050 2GB比では,NUC8i7HVKの平均フレームレートが10〜22%程度上回った。

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 Shadow of Warの結果をまとめたものがグラフ17〜19となる。快適にプレイできる条件は,最小フレームレート30fps以上で,NUC8i7HVKは1920×1080ドット以下では条件をクリアしていた。それに対して,比較対象のGTX 1050 Tiは1280×720ドットのみ,GTX 1050 2GBはどの解像度でもクリアできなかったので,Shadow of WarにおけるNUC8i7HVKの優位性が分かりやすく表れたと言えようか。

 平均フレームレートを比較すると,2560×1440ドットではGTX 1050 Ti比で約18.5%,GTX 1050 2GB比では約30.6%高いスコアである一方で,1920×1080ドットでは,その差が約20.8%と約46.3%に,1280×720ドットでは約17%,47.7%となっており,ここまでのタイトルのように,高解像度ほどNUC8i7HVKが有利という傾向が出ていないのが目につく。Shadow of Warは,高解像度時におけるバス帯域幅の差が出にくいタイトルということなのだろうか。

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 グラフ20〜22は,Wildlandsのスコアをまとめたものだ。Wildlandsにおける快適なプレイの目安は,平均フレームレート50fpsが目標となっているが,NUC8i7HVKは,1920×1080ドットでなんとかクリアした。一方,比較対象のGTX 1050 Tiは,1920×1080ドットだとギリギリだが50fpsを下回っている。
 平均フレームレートにおける差を見ると,GTX 1050 Ti比では3〜11%程度,GTX 1050 2GB比では23〜42%程度高いフレームレートを記録した。高解像度になるほどNUC8i7HVKが有利になる傾向は,Wildlandsでも見られる。

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 続いては,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの結果を見ていこう。グラフ23は総合スコアをまとめたもので,NUC8i7HVKはすべての解像度で「非常に快適」となる7000を超えてきた。

 GTX 1050 Ti比で見ると,NUC8i7HVKのスコアは5〜8%程度高いのだが,グラフを見ても分かるように,高解像度ほど差が小さくなっているのが特徴的な点だ。
 ただ,GTX 1050 2GB比では7〜11%ほど高く,高解像度になるほどわずかに差が広がっている。異なる傾向を見せた理由は不明だ。

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 グラフ24〜26には,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめている。
 GTX 1050 Ti比では,NUC8i7HVKのほうが5〜6%程度高いフレームレートを記録したのだが,総合スコアとは異なり,解像度による有利不利がはっきりしない。それどころか,1920×1080ドットと1280×720ドットにおける最小フレームレートは,逆にGTX 1050 Tiのほうが有意に高くなっているのが目立つ。GTX 1050 2GBと比べても,NUC8i7HVKの最小フレームレートは明らかに低めだ。
 平均フレームレートでは比較対象を上回るのに,最小フレームレートでは下回ってしまうのは,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチがNVIDIAの「GameWorks」を用いているため,他のタイトルと異なる傾向が出ているのかもしれない。

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 ゲームによるテストの最後はForza 7(グラフ27〜29)となる。もともと負荷の軽いゲームではあるが,NUC8i7HVKは2560×1440ドットでもハイエンド環境における合格ラインの平均70fpsを余裕で超えており,すべての解像度で快適にプレイできるだろう。

 GTX 1050 Tiとの差は平均フレームレートで16〜28%程度であり,解像度が高いほどNUC8i7HVKのスコアが高くなる結果となった。一方,GTX 1050 2GBとのスコア差は非常に大きく,105.4〜137%程度もの差がついている。Froza 7では,グラフィックスメモリ容量が2GBしかないGTX 1050 2GBは,かなり不利になるようだ。

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 以上,4Gamerベンチマークレギュレーションのタイトルを見てきたが,NUC8i7HVKは,GTX 1050 Tiに対しておおむね10%前後は高い性能を持つと言えよう。Forza 7のように3割程度高いフレームレートを記録するタイトルもあり,GTX 1050 Tiよりもゲームを快適にプレイできるマシンであることは間違いなさそうだ。


64bit倍精度を使うテストでは2倍以上のシェーダ性能を発揮


 ゲーマーとしては,ゲームが速いということが分かれば十分と言えるが,Vega M GHは初登場のGPUであり,HBM2を用いたノートPC向けGPUとして,今後も利用される可能性がある。そこで,ベンチマークレギュレーション以外のテストも使って,ゲーム以外の性能も少し詳しく調べてみよう。

 最初に用いるのは,UL製の総合アプリケーションベンチマークソフト「PCMark 10」(Version v1.0.1493)である。PCMark 10には,ゲームグラフィックス以外にもGPUを用いるアプリケーション――Officeスイートの「LibreOffice」やWebブラウザの「Chromium」,動画のデコードとエンコード――が複数存在しており,GPU性能が一般的なPC用途に与える影響を調べることができるのだ。

 グラフ30は,PCMark 10の全テストを実行する「PCMark 10 Extended」の総合スコアをまとめたものだ。
 NUC8i7HVKのスコアは,GTX 1050 Ti比で約14%,GTX 1050 2GB比では約20%高いスコアを記録している。PCMark 10 Extendedは,Fire Strikeのテストグループを含むが,その差が反映されたとしても,比較対象との差は予想外に大きいと言えるのではないだろうか。

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 PCMark 10 Extendedの個別スコアを細かく見てみよう(グラフ31)。ウインドウモードでFire Strikeを実行する「Gaming」を除くと,GTX 1050 TiやGTX 1050 2GBと最も大きな差がついたのは,オフィスアプリケーションの性能を見る「Productivity」のテストグループだ。NUC8i7HVKは,GTX 1050 Ti比で約15%,GTX 1050 2GB比では約21%も高いスコアを残している。
 スコアの詳細を比較してみると,Productivityに含まれる表計算ソフト「LibreCalc」の性能を調べる「Spreadsheets score」で,GTX 1050 Tiの「8687」に対し,NUC8i7HVKは「10185」を記録し,約17.2%高い結果となった。LibreCalcはGPUアクセラレーションに対応しているので,ここで差がついたと考えられる。

 また,アプリケーションの起動や終了,Webブラウザの性能といったPCの基本的な用途における性能を見るテストグループ「Essentials」でも,NUC8i7HVKは比較対象に対して15〜16%程度高い結果を出した。Essentialsで差がついたのは,アプリケーションの起動や終了の速度を見る「App Start-up score」で,NUC8i7HVKの「12277」に対して,GTX 1050 Tiは「10164」と,約21%の差がある。
 App Start-up scoreで差がついた理由は,もちろんGPUではなく,ストレージ性能によるものだろう。NUC8i7HVKは,CドライブとしてPCIe x4接続のSSDを使用しているからだ。
 なお,Webブラウザ性能を見る「Web Browsing score」や,ビデオ会議ソフトにおける性能を見る「Video Conferencing score」も,数%程度であるが,NUC8i7HVKのほうが高いスコアを記録していた。これらにはGPU性能の差が影響していると思われる。

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 個別スコアで気になるのは,ウインドウモードでFire Strikeを実行するGamingのスコアが,3DMarkにおけるFire Strikeよりも,有意に低いスコアしか出なかった点だろうか。NUC8i7HVKだけでなく,GTX 1050 TiやGTX 1050 2GBも同様なので,偶然ではあるまい。
 原因ははっきりしないのだが,テスト設定をカスタマイズする「Custom Run」で,GPUアクセラレーションの有効/無効を切り替える「Use OpenCL」スイッチをオフにすると,3DMarkのFire Strikeと同等のスコアが得られることが分かった。このことから推測するに,PCMark 10でGPUアクセラレーションを有効にすることは,Gamingのスコアを下げる要因になるようだ。そのため,3DMarkのよりもFire Strikeのスコアが低いのは,PCMark 10側の問題と理解していいだろう。

 参考までに,GPUアクセラレーションを無効化したPCMark 10 Extendedのスコアをグラフ32に掲載しておく。これは,PCMark 10 Extendedで「Custom Run」を選択し,「Use OpenCL」と「Use Hardware-accelerated video processing」(以下,video processing)をオフにして実行した結果で,個別スコアのみの計測となる。GPUは基本的に無関係であるため,テスト用デスクトップPCのi7-7700Tを比較対象としている点に注意してほしい。
 その結果であるが,NUC8i7HVKのスコアは,Essnentialsで約8%,Productivityは約7%,i7-7700Tを上回った。CPUの動作クロック差から見て妥当な結果だろう。一方,Digital Content Creationは,i7-7700Tに対して約15%も高いスコアを記録したが,これはvideo processingをオフにした状態でも,動画のデコードではGPU内蔵のビデオデコーダが使われてしまうので,CPUクロック以上の差がついたのだと思われる。

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 続いては,SiSoftware製のシステムチェック&ベンチマークツール「Sandra 2017 SP4」(version 2017.12.24.61)に含まれる,GPGPU関連のテストを行ってみた。GPUのシェーダ性能や傾向から,Vega M GHの詳細が分かるかもしれない。

 グラフ33は,シェーダの演算性能を調べる「GP Processing」で,総合スコアにあたる「Aggregate Shader Performance」のスコアをまとめたものだ。NUC8i7HVKは,GTX 1050 Tiと比べて約105%,GTX 1050 2GB比では約147%と,とんでもなく高いスコアを叩き出した。

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 GP Processingのスコア詳細をまとめたのがグラフ34,35である。大差がついたのは,グラフ34にある64bit倍精度浮動小数点演算(以下,64bit倍精度)のテスト「Double-Float Shaders Native」と,128bit 4倍精度浮動小数点演算(以下,128bit 4倍精度)の性能を見る「Quad-Float Shaders Native」だ。とくにQuad-Float Shaders Nativeでは,NUC8i7HVKがGTX 1050 Tiの4倍以上高いスコアを叩き出している。
 「Vega NCU」(Vega Next Computing Unit)と呼ばれるVega世代GPUのシェーダでは,64bit倍精度のアクセラレーション機能はオプション扱いのはずなのだが,この結果を見る限り,Vega M GHは64bit倍精度のアクセラレーションに対応しているという理解でよさそうだ。一方,Pascal世代のNVIDIA製GPUでは,64bit倍精度のアクセラレーションに対応しないので,64bitおよび128bitの演算で大差がついたと思われる。

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 実のところ,64bit倍精度は,3Dゲームであまり利用されないので,これを高速に処理できてもゲーマーにはさほど恩恵がなかったりもする。一方,一部の仮想通貨におけるマイニング処理には効果的であり,Radeon系のグラフィックスカードがマイニング業者に好まれ,結果として市場から製品がなくなる結果にもつながっているわけだ。NUC8i7HVKにはあまり関わりのない話ではあるが,ゲーマーにとっては痛し痒しだろう。

 なお,性能差が大きい倍精度演算の結果が目立つものの,グラフ34にまとめた16bit半精度浮動小数点演算(以下,16bit半精度)の性能を見る「Half-Float Shaders Native」は,GTX 1050 Ti比で約23%,32bit単精度浮動小数点演算(以下,32bit単精度)の性能を示す「Single-Float Shaders Native」は,GTX 1050 Ti比で約45%も高いスコアを出している。NUC8i7HVKのシェーダの性能は,かなり優秀といっていい。

 続いては,OpenCLを使った科学技術演算テスト「GP Scientific」の結果を見ていこう。グラフ36は,総合スコアにあたる「Aggregate Scientific Performance」の結果だ。おおむねGP Processingの結果を踏襲しており,NUC8i7HVKのスコアはGTX 1050 Ti比で約85%高く,GTX 1050 2GBに対しては約124%も高いスコアをたたき出した。

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 個別スコアをまとめたのがグラフ37だ。32bit単精度を用いる「Fast Fourier Transform」(高速フーリエ変換)は,GTX 1050 Ti比で約32%高いくらいの差だが,64bit倍精度を用いる「N-Body Simulation」(多体問題)では約158%,「General Matrix Multiply」(行列計算)では約99%も高い結果を残している。科学技術演算における64bit倍精度の優位性が際立っていると言えよう。

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 Sandra 2017 SP4の最後に,GPUのメモリ帯域幅を見る「GP Memory Bandwidth」(グラフ38)をテストしてみた。
 総合スコアにあたる「Aggregate Memory Performance」は,NUC8i7HVKがやや低く,GTX 1050 TiやGTX 1050 2GB比で約84%の帯域幅にとどまっている。その理由は個別スコアを見れば明らかだ。
 グラフィックスメモリの帯域幅を示す「Internal Memory Bandwidth」は,NUC8i7HVKがGTX 1050 TiおよびGTX 1050 2GBに対して43%も高い結果を記録するのだが,CPUのメインメモリとGPU間の帯域幅を見る「Interface Transfer Bandwidth」が,GTX 1050 TiおよびGTX 1050 2GBのちょうど半分になっている。理由はあきらかで,何度も述べてきたように,i7-8809GではCPUとGPUの接続にPCIe x8を用いるためだ。

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 ちなみに,Core i7-8809GのHBM2メモリは1チャンネルのみだが,それでもGDDR5メモリインタフェースが128bitのGTX 1050 TiやGTX 1050 2GBよりは,はるかに高い性能を持つ。HBM2の面目躍如といったところか。


アイドル時の消費電力が低いNUC8i7HVK


 最後にアプリケーション実行時の消費電力を確認しておこう。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を測定した。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定して,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,電源プランの設定を「高パフォーマンス」で統一し,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 結果はグラフ39のとおり。NUC8i7HVKでピークを記録したのはPrey実行時で,約156.3Wだった。一方,GTX 1050 TiではWildland実行時の約131.3W,GTX 1050 2GBではFFXI紅蓮のリベレーターベンチ実行時の約128Wである。NUC8i7HVKのゲーム性能は,GTX 1050 Tiよりもざっくり1割程度は高いが,性能差以上に最大消費電力は増えてしまったわけだ。
 ただ,NUC8i7HVKのアイドル時における消費電力は,GTX 1050 Tiの半分以下という約15.5Wだった。PCの運用においては,アイドル状態の時間が最も長いと言われているので,トータルではおそらくNUC8i7HVKのほうが,GTX 1050 Ti搭載PCよりも低消費だろうと予想できる。そう考えれば,悪くない結果ではないだろうか。

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常用機やサブ機としても活用できるコンパクトPC


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 というわけで,NUC8i7HVKの性能を見てきたが,少なくともGTX 1050 Tiを搭載するデスクトップPCよりは,高い性能を持つNUCキットであると結論できるだろう。グラフィックス設定を多少落とす必要はあるものの,主なゲームタイトルのほぼすべてがフルHD解像度で快適にプレイできる性能を持つというのは大したものだ。小型なのでサブPCとして,あるいは日常的に使うPCとしても十分に役立つだろう。
 ハードルがあるとすれば,内蔵ストレージにM.2モジュールしか使えないため,ストレージの導入コストがかかる点が挙げられる。とはいえ,M.2タイプのSSDも低価格化が進んでいるので,スペック面で欲張らなければ,それほど痛い出費にはならないだろう。M.2スロットは2基あるので,予算に応じてあとから買い足すことができるのもありがたい点だ。

 ちなみに,NUC8I7HVKの実勢価格は,本稿執筆時点で12〜13万円といったところだ。外付けGPUを内蔵した小型ベアボーンPCを競合製品と考えた場合,たとえば,GTX 1050 2GBを内蔵するZOTAC International(以下,ZOTAC)製の「ZBOX MAGNUS EN51050」は,実勢価格が11万円台半ばとなっている。性能差を考慮すると,NUC8I7HVKのほうが価格対性能比で優れるといっていい。

 一方,筐体サイズは少し大きくなるが,ノートPC用の「GeForce GTX 1060 3GB」と「Ryzen 5 1400」を採用して,実勢価格が10〜12万円というZOTACの「MAGNUS ER51060」という,性能面でNUC8I7HVKを超えるベアボーンPCもある。NUC8I7HVKは,価格対性能比だけだと,“並ぶものがない”とまでは言えないわけだ。
 しかし,この筐体サイズでこれだけの性能を有するベアボーンPCは,他に見当たらないのは確かだろう。ある程度予算に余裕があって,小型のゲーム用PCを導入してみたいと考えている人なら,NUC8I7HVKは選択肢に入れるべき製品となるだろう。

IntelのNUC8I7HVK製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    第8世代Core(Coffee Lake,Kaby Lake)

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