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[COMPUTEX]Intel,エクストリーム市場向け新型CPU「Core i9」とCPUの新シリーズ「Core X」を発表
4コア4スレッドから18コア36スレッドまでをラインナップ
今回,発表となったCore Xは,ハイエンド〜エクストリーム市場向けのCPUで,「Core i9-X」「Core i7-X」「Core i5-X」という3シリーズがラインナップされている。
いずれも14nm Tri-Gateプロセス技術で製造され,「LGA2066」と呼ばれる新しいソケットに対応したCPUだ。IntelによるとCore Xは,4コア4スレッドから18コア36スレッドまで,幅広い性能レンジの製品がラインナップされるという。
その中でも,上位モデルに位置づけられるCore i9-Xは,下は10コア20スレッドから上は18コア36スレッドまでの5製品で構成されている(表1)。これらのうち,最上位モデルの「Core i9-7980XE」は「Extreme Edition」と称されるモデルだ。
一方,Core i7-XシリーズとCore i5-Xシリーズは,4コアから8コアまでの4製品がラインナップされている(表2)。
Core i7-Xのパッケージ |
Core i5-Xのパッケージ |
Core i9シリーズの5製品と,「Core i7-7820X」「Core i7-7800X」は,開発コードネーム「Skylake-X」と呼ばれるマイクロアーキテクチャを採用するCPUだ。
既存のSkylakeと比べると,Skylake-Xは,キャッシュ構成にやや大きめの変更が入っているのがアーキテクチャ上の特徴と言えそうだ。具体的には,1コアあたりの共有L3キャッシュ容量が減った一方で,L2キャッシュ容量が従来の256KBから1MBへと,実に4倍も増えているのである。
Intelは,この改良を「キャッシュ階層のリバランス」であるとアピールしていた。たしかに,アクセスにともなうレイテンシの少ないL2キャッシュが4倍にも増えれば,スレッドごとに個別のデータを処理するようなマルチスレッドアプリケーションの性能は,大きな向上が期待できそうだ。
一方,若干注意が必要なのは,「Core i7-7740X」と「Core i5-7640X」が,開発コードネーム「Kaby Lake-X」と呼ばれている点だ,つまり,この2製品だけはマイクロアーキテクチャが異なるのである。
たとえばSkylake-Xは,メモリ周りの仕様が公表されていない製品を除くと,メモリコントローラはクアッドチャネルDDR4対応となる一方,Kaby Lake-Xの2製品は,デュアルチャンネルDDR4対応に留まる。また,PCI Express(以下,PCIe) 3.0も,Kaby Lake-Xだけは16レーンと,Skylake-Xとは明らかに異なる構成になっているのだ。
率直に言ってKaby Lake-Xの2製品は,既存のKaby Lakeから統合型グラフィックス機能を省略して,LGA2066対応に変更しただけのモデルのようにも見える。
また,今回のCore Xシリーズは,全製品が倍率ロックフリーモデルで,オーバークロック用途を考慮しているのも特徴だ。「Broadwell-E」が対応していた「AVX Ratio Offset」をはじめとする多彩なオーバークロック機能を利用できるので,ゲーマーだけでなくオーバークロッカーも楽しめるCPUであると,Intelはアピールしている。
LGA2066対応のチップセットは「Intel X299」
X299は,Core XシリーズとPCIe 3.0相当のインタフェースである「DMI 3.0」で接続する仕組みを採用し,チップセット側にある30本の高速I/Oレーンを使って,最大24レーンのPCIe 3.0や,最大8ポートのSerial ATA 6Gbps,最大10ポートのUSB 3.1/3.0をサポート可能であるとのことだ。
COMPUTEX TAIPEI 2017では,すでに一部のメーカーがX299搭載のLGA2066対応マザーボードをお披露目しているが,今回,正式に発表されたことで,さらに多くの製品が,会場に展示されるだろう。マルチスレッド性能を売りにするAMDの「Ryzen」に対抗するIntelの新CPUとして,ゲーマーも注目しておく価値はありそうだ。
IntelのCore Xシリーズに関するプレスリリース(英語)
IntelのCOMPUTEX TAIPEI 2017特設Webページ
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- 関連タイトル:
Core X(Skylake-X,Kaby Lake-X,Cascade Lake-X)
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