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これが最後のバックパック型PCになるか? ZOTACの新製品「VR GO 2.0」をCOMPUTEXで体験してみた
RiftやViveはPCと長くて太いケーブルで接続しなければ使えないため,ケーブルの取り回しが常に厄介な問題となっていた。ルームスケールや,それ以上に広い空間を動き回りながらVRゲームをプレイするときはなおさらだ。それを解決する手段として登場したのが,背中にPCを背負ってしまい,VR HMDや関連機器を短いケーブルで直結してしまえばいいというアイデアだ。
当時,バックパック型PCは製品ラッシュと言ってもいい状況で,4Gamerで取り上げたものだけでも,MSIの「VR One」をはじめに,サードウェーブの「GALLERIA VR WEAR」,ZOTAC International(以下,ZOTAC)の「VR GO」,そしてHPの「OMEN X by HP Compact Desktop P1000」といった製品が登場して,それなりに盛り上がっていたのだ。
ちなみに,2016年当時に筆者は,ウェアラブルをもじって「背負えラブルPC」という呼び名を提唱したが流行らなかった。
ところが,VRブームがやや落ち着いてきた影響からか,それともVRの映像とデータをワイヤレス伝送する技術に目処が立ったからか,COMPUTEX TAIPEI 2018においてバックパック型PCの新製品を出展していたのは,ZOTACだけであった。本稿では,唯一のバックパック型PC新製品となった「VR GO 2.0」を紹介したい(関連記事)。
VR GO 2.0は筐体デザインを刷新
VR GO 2.0は,ZOTACが手がけるバックパック型PCの第2世代モデルだ。
第1世代のVR GOは,背負ったときの重量バランスにこだわって設計したり,PC本体のバッテリーをホットスワップで交換可能なデュアルバッテリーシステムを採用していたりするなど,業務用VRアトラクションでの活用を重視した製品であった。
COMPUTEX TAIPEI 2018で発表となったVR GO 2.0は,先代モデルのコンセプトはそのままに,以下に挙げる4点が主な改良点であるという。
- 背中への当たり具合を改善
- 軽量化
- インタフェースの配置を改善
- LEDイルミネーションの搭載
背中への当たり具合を改善とは,背負った人の背中に当たるクッション部分のレイアウトを改良したのに加えて,体への接触面積を減らした効果が大きいという。
バックパック型PCは,背負いながら歩くだけでなく,急に向きを変えるような動きをしても,ずり落ちたりしないように設計する必要がある。急に向きを変える動きをしたときに,重いバックパック型PCが背中の広範囲に覆い被さるような形をしていると,急に向きを変えるように動いたときにバックパック型PCに生じる遠心力によって,体が大きく振りまわされてしまうという。
そこで,重さはそれほど変わらなくとも筐体をコンパクトにまとめることができれば,遠心力の影響を小さく抑えることができるそうだ。
軽量化は,筐体のコンパクト化と合わせて設計に盛り込まれた要素で,約4.9kgあった先代モデルから約500gほど軽量化に成功しているらしい。ただ,バッテリー容量は先代から微妙に減っているとのことである。
インタフェースの配置を改善というのは,先代モデルでは側面にあったインタフェース類を上側面側に移動したことだ。頭部に被るVR HMDに対するケーブルの取り回しなどに配慮したもので,背負ったときにVR HMDとの接続ケーブルをより短くできるようになった。
MSI製品は,最初から上側面側にインタフェース類を配置していたので,むしろなぜ第1世代モデルは側面にあったのかと言いたい気もするが。
最後のLEDイルミネーションは,ゲーマー向けPCの流行りを取り入れたのかと思いきや,ブースの担当者は「それもあるが」と述べつつ,VRコンテンツメーカーにソフトウェア開発キットを公開して,VRアプリケーションごとにユニークな使い方をできるようにするためのものという話であった。
たとえば,銃火器の残弾数インジケータや体力ゲージにしたり,あるいは攻撃を受けたときに点滅してダメージ表現にしたりといった活用ができるという。
そこまで行かなくとも,VRアトラクションで順番待ちをしているギャラリーが,
ただ,バッテリー容量が先代の95Whから86.4Whへと若干減少しているので,スペック向上分も合わせて,バッテリー駆動時間が従来の2時間から1.5時間に減ってしまった。ただ,VRアトラクション施設での運用であれば,交換用バッテリーを山ほど準備しているだろうし,一回のVR体験が1時間を超えることはまずないので,実用面におけるデメリットと言うほどではない。
VR GO 2.0の発売時期や価格は未定とのこと。先代モデルが登場した当時は,販売代理店想定売価が30万円前後であったので,そう大きくは変わらないかもしれない。業務用での販売が中心となるのではないかとのことで,大量導入すれば安価になるようだ。
ZOTAC公式Webサイト
- 関連タイトル:
ZOTAC GAMING(旧称:ZOTAC Gaming)
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