プレイレポート
現代の日本を舞台に繰り広げられる,新たな「神話構想」。「The Lost Child」のプレイレポートを掲載
ファンならばご存じのとおり,エルシャダイは天動説を司る惑星セタと,地動説を司る惑星リュタ(我々の住む地球)で広がる「神話構想」のうち,全9章で構成されるセタの物語の第4章部分をメインとしたもの。神が地上界を一掃するために計画した大洪水と,それに異を唱え,調停役として地上に降り立ったイーノックの戦いが描かれている。
その結末について,ここでは深く触れないが,本作はその“エルシャダイの系譜”を継ぐ,惑星リュタでの新たな作品ということで,気になっている人も少なくないはず。
とまあ,そういうわけで,今回はそんな本作のプレイレポートをお届けしよう。おっと,驚かせてしまったようだな。筆者にとってはつい昨日の出来事だが,君達にとってはたぶん再来週の発売だ。これもまた,時のいたずらというやつか……(指パッチン)。
「The Lost Child」公式サイト
魔銃ガンゴールでアストラルを捕縛し,使役せよ!
さて,新たな「神話構想」の舞台となるのは,現代の日本。オカルト雑誌「LOST」のライターである伊吹隼人は,とある取材中に見知らぬ女性から魔銃「ガンゴール」が入ったトランクを託される。さらにそこへ,彼のことを神に選ばれた“選民”と呼ぶ天使,ルアが現われたことで,天使と悪魔,そして堕天使による三つ巴の抗争に巻き込まれていく。
この世界では,天使や悪魔,堕天使のことをアストラルと呼び,隼人が手にしたガンゴールはこれを捕縛し,使役する能力を持っている。アストラル達は各地に存在する「レイヤー」と呼ばれる結界内に潜んでおり,隼人はガンゴールの力を借りて,ルアと共にレイヤーを探索していくのだ。
レイヤー内は3Dダンジョンとなっており,落とし穴や一方通行のドア,特定のスイッチを操作しないと通り抜けられない通路といった仕掛けが満載だが,オートマッピングはもちろん自動移動機能もあるので,プレイは快適そのもの。また,敵との戦闘はランダムエンカウントで発生し,おなじみのターン制バトルで進行する。バトルでは,敵として登場したアストラルをガンゴールで捕縛できるというのが最大の注目ポイントだ。
戦闘でアストラルを捕縛するには,「アストラルバースト」を使って相手にとどめを刺す必要がある。アストラルバーストは,そのときパーティに参加しているアストラルを弾丸のようにガンゴールに装填し,撃ち出すというもので,アストラルの属性や「エーテルゲージ」の量によって威力が変化する仕組みだ。
エーテルゲージは戦闘中に敵を攻撃したり,ダメージを受けたりすることで増加していき,ゲージが伸びるほどアストラルバーストの威力が高まるが,溜めすぎるとオーバーヒートして,次のターンはアストラルバーストを使えなくなるので注意しよう。
捕縛したアストラルはルアの持つタブレットに登録されるが,最初は「穢れ化」状態のため,そのままでは使役できない。そこでまずは,「カルマ」を捧げて浄化する必要がある。カルマはバトルで勝利することや,ADVパートでの選択肢によって入手でき,アストラルを強化(=レベルアップ)する際にも必要となる。
パーティは,固定メンバーの隼人とルアに,最大3体のアストラルを加えた5人編成。さらに,最大6体のアストラルをサブとして設定しておき,戦闘中は一度に何体でも,ターン経過なしに入れ替えられるのが面白いところだ。敵との相性を見ながらアストラルを総入れ替えしたり,ピンチのときに1ターンだけ,回復スキルが得意なアストラルを投入したりと,臨機応変にメンバーを交代させながら戦うのが本作のバトルの特徴となる。
随所に“らしさ”を感じさせる,じっくり遊べるダンジョンRPG
本作は,エルシャダイの系譜を継いだ作品ではあるものの,エルシャダイをプレイしていないと楽しめないのかと言うと,まったくそんなことはない。ゲームの冒頭に登場するルシフェルの語りに“らしさ”を感じることはできるが,ストーリーは完全に独立しており,エルシャダイを知らなくても問題なく楽しめる。むしろ,新たに多数登場する“竹安流”の天使や悪魔,堕天使のデザインが本作の大きな見どころと言えるだろう。
個人的に,とくにワクワクしたのは,クトゥルーを頂点とする「クトゥルー神話」の邪神や悪魔の存在だ。ハスターやクトゥグァといった,誰もが知る(?)大物から,ショゴスやナイトゴーント,ディープワンズといった眷属まで登場し,敵として戦うだけでなく,捕縛してパーティに加えられるのだから,たまらない。ビヤーキーが転移アイテムとして登場するところも,なかなかシャレがきいていて,思わずニヤリとしてしまった。
もちろん,このほかにも世界各地の神話や伝承を基にしたアストラルが数多く登場し,それぞれ竹安氏ならではの独創的なデザインで描かれている。中には,これまでのイメージを覆すような,「どうしてこうなった……」と言いたくなる姿で描かれたアストラルもおり,それらを眺めるのも楽しみの一つだ。アストラルは3段階に進化させることができ,そのたびに見た目が変化していくので,育成にも熱が入る。
天使や悪魔を従えるという設定や,3Dダンジョンを探索するというゲームシステムから,どうしても「女神転生」シリーズを連想してしまう本作だが,実際にプレイしてみるとダンジョンRPGとして非常に手堅い作りで,本作ならではの要素も多い。ゲーム全体に漂う雰囲気は「これぞ竹安ワールド!」と呼びたくなる独特のもので,なるほどこれはエルシャダイにつながる「神話構想」の世界であると納得させられてしまう。
ストーリーの序盤は,天界から与えられた使命である悪魔の捕縛を行いつつ,地上界で行方不明になったルアの姉,バルシアの捜索を行うという,ある意味,王道の展開で進んでいく。しかし,そこに天使や悪魔とは異なる思惑を持った堕天使が絡み,各勢力の真の目的がはっきりしてくるにつれて,徐々に目が離せなくなってくる。筆者は今回のプレイレポートのために30時間ほどプレイしたが,まだクリアには至っておらず,ゲームボリュームも十分。この先どうなるのか,気になるところだ。
そして,さらなるやり込み要素として,全99層におよぶ「ルルイエロード」というダンジョンも用意されている。これは,クリアまでに400時間以上かかるという,とんでもないボリュームの高難度ダンジョンで,ルシフェルが「早ければ7時間ほどでクリアできるんじゃないかな」と語っていたエルシャダイとは,まさに天と地ほどの差。ルルイエロードはゲームの比較的早い段階で入れるので,試しに筆者も挑戦してみたが,ぶっちゃけまるで歯が立たなかった。
また,ルルイエロードでは自分が育てたアストラルを登録し,ほかのプレイヤーがそれに挑戦する(誰かが育てたアストラルに挑戦することも可)という機能もあり,ゲームの発売後はこちらも楽しみな要素だ。
エルシャダイほどの突き抜けっぷりはないが,それでも随所に“らしさ”を感じさせる「The Lost Child」。ゲーム難度は,EASY,NORMAL,HARDの3段階あり,ゲーム中にいつでも切り替えが可能で,PS4版とPS Vita版のクロスセーブにも対応している。竹安氏が描く「神話構想」の世界のファンはもちろん,じっくり遊べるダンジョンRPGを探している人は,ぜひどうぞ。
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(C)2017 KADOKAWA GAMES
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- The Lost Child ザ・ロストチャイルド (【初回特典】『ダーク・イーノック』DLC・『ネフィリム サリー・ボーイVer』DLC・ブックレット『神話構想記』 同梱)
- ビデオゲーム
- 発売日:2017/08/24
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