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ローグライクアクション「常世ノ塔」の開発秘話が明かされた,BitSummitの“PLAYISMクリエイタートークセッション”をレポート
最初のテーマは,「常世ノ塔」の企画・開発スタートの経緯について。さえばし氏は,もともと広告関連の会社に勤めていたのだが,仕事と並行して,コミックマーケットなどでイラスト集を販売していたということもあり,次第に自身が描いたキャラクターを使ったIPを作りたいと考えるようになっていったそうだ。しばらく仕事を続けて資金が貯まり,いざ会社を辞めようと思ったときに,自身がイラストを描けるうえにプログラミングができることから,ゲーム開発が適しているのではないかと考えたのだという。
2つめのテーマは,インスピレーションを受けた作品について。さえばし氏がゲーム開発を始めた2016〜2017年当時は,「ローグ・レガシー」や「Risk of Rain」「Enter the Gungeon」といったローグライクと,「DARK SOULS」や「Bloodborne」などのいわゆる“死にゲー”をプレイして影響を受けたという。
これらのゲームにハマったのは,現実の仕事とは異なり比較的手軽に達成感を得られることと,失敗して悔しいと感じることの双方により“生きている”という実感を得られるからなのだとか。
一方の松浦氏は,「Dead Cells」が実現したローグライクとアクションの組み合わせに衝撃を受け,「リトルノア 楽園の後継者」の企画・開発を始めたという。また「ヴァルキリープロファイル」や「ゼノギアス」におけるバトル時のボタン操作を,そのままアクションゲームに落とし込めば面白くなるのではないかとも考え,ゲームに組み込んだという。
加えて自身が,仲間を集めて育成しパーティを編成することが好きだったため,そうした要素も詰め込んでうまくまとめようと考えたそうだ。
続いてのテーマは,リリース後の反響について。さえばし氏によると,「常世ノ塔」が2020年にアーリーアクセスを開始した時点ですでに反響があったとし,正式リリース時にさらに反響が高まったという。その背景には,前職で培ったプロモーションのノウハウがあったそうで,具体的には知り合いが作ったゲームのキャラクターをMODにしたり,YouTuberを起用したり,著名なイラストレーターの手がけるオリジナルキャラをロード画面に表示したりといった企画を立てた。結果として,さえばし氏を知らない層にも認知を広げることができたというわけである。
世界観・モチーフについてのトークで,さえばし氏は「常世ノ塔」をいろんなキャラクターを起用するスターシステムにしたいと考えていたと語った。またインディーズゲームでは,さまざまな事情で未完成に終わるプロジェクトも多いため,それをメタ的なテーマにしているとも話していた。
次のテーマは,特徴的なゲームシステムについて。「常世ノ塔」は,いわゆる通常攻撃がなく,スキルを発動して敵を攻撃するシステムとなっている。スキル発動後はクールタイムがあり,一定時間そのスキルを発動できなくなるので,敵の攻撃を避けるタイミングが発生する。すなわち攻撃するターンと回避するターンが交互に発生するという,疑似ターン制となっているわけである。
さえばし氏によると,C#言語によるプログラミングやUnityを使った開発が初めてだった中,ゲームイベントの開催に間に合わせるために,「これなら自分にもできそう」という形で作ったバトルがこのシステムだったという。そうやって出展したバージョンは,遊んだ来場者から「新しい」と評価され,自身でも「これが個性なのではないか」と思い始めたそうだ。
また「常世ノ塔」は,24時間でリセットされるスコアランキングシステムを採用しているのも特徴だ。このシステムは,とあるゲーム用バックエンドサービスの存在を知り,それを使えばこんなことができそうだというアイデアをメディアの記者に話したところ,「絶対面白くなる」と言われたことから実装したとのこと。加えて,毎日リセットされるゲームセンターのスコアランキングや,フィーチャーフォン時代のソーシャルゲームにおける非同期の対戦システムなども意識したという。
最後のテーマは,いつか作りたいゲームについて。さえばし氏は「常世ノ塔」の開発について,練習のつもりでやっていたため,作っているうちに学んだり身についたりした技術や知識を十分に生かせなかったと語る。そのため次回作は,今の技術力を最大限に活用して,自身のIPを作りたいと意気込みを語る。ただ,しばらくはインプットの時間を取るそうで,次回作の構想はまだないという。
「常世ノ塔(とこよのとう)」公式サイト
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