インタビュー
「タイムギャル」や「レイフォース」などをアプリ化するTAITO CLASSICSが目指すもの。プロデューサー2名に企画経緯と展望を聞く
レトロゲームへの新要素の搭載や,アプリゲームとしては比較的珍しいゲームパッド対応,そして8bit時代のコンシューマ機向けタイトルから32bit時代のアーケード向けタイトルまでという幅広さなど,いろいろな部分に驚かされるTAITO CLASSICSシリーズ。この企画はなぜ始まったのか,そして今後どういった方向へ向かうのか。同企画に携わる,タイトーの山下日光氏と澤田智之氏にインタビューを行い,詳細をうかがった。
TAITO CLASSICS統括プロデューサー 山下日光氏 |
TAITO CLASSICS版「たけしの挑戦状」開発プロデューサー 澤田智之氏 |
4Gamer:
よろしくお願いします。まず,TAITO CLASSICSの出発点についてお聞かせください。発表から「タイムギャル」のリリースまでは4日という短さでしたが,始動はいつごろだったのでしょうか。
去年の夏ぐらいに動き始めました。最初はアプリ版「タイムギャル」だけの企画だったのですが,そこからだんだん旧作にプラスアルファ要素を加えてリバイバルしていくというTAITO CLASSICSのコンセプトが固まってきました。
4Gamer:
なぜPCやコンシューマ機でなく,スマートフォンに向けて展開することに?
山下氏:
今のお客さまがゲームを一番遊ばれているプラットフォームがスマートフォンだからです。また,かなり変わったゲームもラインナップしていますが,こういったものをスマートフォン向けに出すことにも意義があると思っています。
4Gamer:
PCやコンシューマ機で展開する可能性はあるのでしょうか。
山下氏:
アプリがメインの企画ですが,ぜひ検討したいと思っております。
4Gamer:
販売形式は,第2弾以降も「タイムギャル」と同様,売り切り型のうえに追加コンテンツという形で出していくのでしょうか。
山下氏:
そうですね。フリーミアムではなくプレミアムモデルとして出していきます。
4Gamer:
新規要素は基本的に有料なのでしょうか。
山下氏:
新規要素は有料の場合も無料の場合もある……といった感じですね。「タイムギャル」ですとギャラリーやナビゲーションは有料ですが、シアターは最初からアンロックされています。「レイフォース」のアレンジBGMも無料でお楽しみいただけます。
アプリ移植は「2000年以前のものはけっこうできる」
4Gamer:
今回,ファミリーコンピュータやPlayStation互換のFXシステムなど,移植元プラットフォームがバラバラですが,こういった場合はけっこうな労力が要るのではないでしょうか。
山下氏:
移植元が何かというより,「どのタイトルを移植したらいいか」を考えていました。
4Gamer:
技術的なハードルは大したものではないということですか?
山下氏:
ソフトウェアは,言ってしまえば「何でもできる」ので。
澤田智之氏(以下,澤田氏):
ハードル云々よりも,ちょっと変わったところを楽しんでいただけそうなタイトルをチョイスするということを重視していますね。もちろん,簡単にできるものと難度が高いものはありますが,そこは何であれ,やる手立てはあります。
山下氏:
専用チップを使っているタイトルもありますが,今のスマートフォンは性能がかなり高いので,大抵のことは手間をかければできると思います。
4Gamer:
今のスマートフォンのスペックだと,どれくらいの世代のゲームまでアプリ化できるのでしょう?
山下氏:
用いられている機能によって違うので一概には言い難いですが,2000年以前のものはけっこうできるのではないかと思っています。
4Gamer:
レイシリーズはゲームパッドに対応しているとのことですが,具体的な対応環境についてお聞かせください。
山下氏:
Apple Storeで売られている(※)ものなど,標準的なゲームパッドに関しては一通り確認するというスタンスを取っています。
※Apple Storeで取り扱っているゲームパッドは,SteelSeries製「Nimbus」シリーズ(関連記事)とGamevice製品の2系列5種類(色違い含む)。
4Gamer:
“Apple Storeでの取り扱い”という括りで確認しているということは,移植はiOSベースなのでしょうか。
山下氏:
iOSベースということではないですね。元のソースを,それぞれiOSとAndroidに移植し直すような形です。
4Gamer:
なるほど。iOSベースで開発されていて,Android版でパフォーマンスが悪くなっているパターンを何度か見たのですが,TAITO CLASSICSでその心配はないということですね。
山下氏:
はい。ちなみにAndroid版は,NVIDIAさんからお借りしたShieldなどで検証環境を作っています。
4Gamer:
Androidと言えば,中国市場が比較的活発な印象を受けますが,そういった日本以外での展開についてはいかがでしょうか。
山下氏:
「タイムギャル」は音声が日本語ということもあって,まずは国内でリリースしていますが,今後についてはワールドワイドに広げていけたらと思っています。「たけしの挑戦状」も海外展開は悩ましいところがありますよね(笑)。
たけしさんはフランスなどで人気があるので,ワンチャンあるかとは思うのですが,「たけしの挑戦状」は日本文化に強く根付いていますので。
4Gamer:
ひんたぼ語もローカライズが難しいですね(笑)
※ひんたぼ語……「たけしの挑戦状」でひんたぼ島の人々が話している言語。ゲーム内の文字テーブルに準じたシーザー暗号方式なので,かなり奇妙に見える。
例:4げーまー → 5こ゜あみあ
澤田氏:
そうなんですよ! 非常にローカライズが難しいコンテンツなので,そこをどうするかですよね。シューティングはやりやすいだろうと思っていますけれども。
4Gamer:
「タイムギャル」リリース後の反響はいかがでしょうか。
山下氏:
おかげさまでTwitterではトレンドに「タイムギャル」が入り,その翌日に「たけしの挑戦状」が入り,大きな反響をいただけて本当にありがたく思っています。Twitterの反応やストアに書かれたコメントも読ませていただいています。
澤田氏:
「ここは平成か?」みたいな感じになりましたね(笑)。「タイムギャル」ってマニアックなゲームだと思うのですが,コアユーザーはいたので,強いタイトルだったのではないでしょうか。有名人にツイートしていただいたこともあって拡散され,一時期すごく話題になりました。
4Gamer:
4Gamerの紹介記事もすごく反響がよかったですね。「タイムギャル」のアーケード版は現存しているかも怪しく,移植版も生産数が少なくて遊ぶ機会がなかなかありませんでしたから……。
山下氏:
最初にタイムギャルを選んだ理由のひとつもそこでしたね。
「タイムギャル」はバーチャルパッドよりもゲーム画面を優先させられたり,細かい配慮も嬉しいところです。
山下氏:
「映像を最優先で見たいでしょ?」というところがありますので(笑)。「タイムギャル」を遊んだお客さまに「これはちゃんと分かっている人が作っている」と言っていただけたので,今後の作品もそう言っていただけるよう頑張ります。
4Gamer:
アーケードゲームを元にしたアプリは,たいていの場合エミュレーター移植のため,レスポンスや仕様に問題を抱えたりしているのですが,「タイムギャル」は実際に触れてみて,今後にも期待できると感じました。
澤田氏:
単純にエミュレーターで移植してしまうといろいろな問題が発生するので,ファンの期待に応えたいと思って,ちゃんと遊べるものとして制作しています。
4Gamer:
開発の進行に関しては,複数タイトルが並行しているのでしょうか。
澤田氏:
基本的にはそうですね。とくにレイシリーズは,3本まとめて進められています。
4Gamer:
リリースのペースはどのようなスケジュールを考えられているのでしょうか。
山下氏:
いろいろな事情があるので確かなことは言えませんが,できれば毎月出していければと思っています。
「タイムギャル」は1周回って新しく見えるかも
4Gamer:
「タイムギャル」のアプリ化企画がスタートした経緯について,詳しくお聞かせください。
タイトーのLDゲームはほかにもありますが,「タイムギャル」はキャラクターが立っていて,ミスシーンも可愛らしいという“ゲームであってゲームでない”部分があり,今のお客さまにも楽しんでいただけると思ったので,アプリ化企画が始まりました。ミスシーンになると頭身が変わってコミカルな雰囲気になったり,そんな1980年代のアニメの雰囲気を味わってほしいですね。
澤田氏:
今見ても,ノスタルジーも含めてキャラが立っていますよね。若いお客さまには,また新しく見えるんじゃないかなと感じています。
4Gamer:
LDゲームの移植についてはどうでしたか。
山下氏:
動画がメインなので,どうしてもデータサイズが大きくなってしまうところは大変でした。iOS版もAndroid版も,1GBを超えていることに驚かれているお客さまも結構いらっしゃいましたね(笑)。
4Gamer:
1GB超えということは,必然的にCD-ROMメディアのPlayStation版やセガサターン版よりも画質などは良いわけですよね。
山下氏:
そうですね。IMAGICAさんに高画質化処理をかけてもらっています。音楽は,基本的には元の音から調整をかけていて,LDに入っていない部分で作り直したものもあります。
4Gamer:
スマートフォンにはさまざまな画面サイズのものがありますが、解像度などの調整はどのように?
山下氏:
ある程度のサイズで入れておけば,あとはフィッティングで何とかなると思っています。その元ソースをどれくらいのサイズにするかというのは,圧縮度によっても変わってくるのですが,試行錯誤して今の形になりました。
4Gamer:
余談ですが,タイトーのLDゲームと言えば「宇宙戦艦ヤマト」がありますが,原作のリメイク作品が展開されている今,リバイバルしてみるという可能性はありますか?
澤田氏:
リバイバルで人気が復活しているので,逆に難しそうですね(笑)。
山下氏:
他社さんのIPを使ったものでなく,自社IPだとやりやすいのですが。
4Gamer:
「忍者ハヤテ」などですね。
山下氏:
「忍者ハヤテ」は,実は映像ソースを取り出すところまではもう済んでいます。そこからアプリにするかというのは,また別の話にはなりますが。
澤田氏:
でも女の子じゃないんですよねえ。
山下氏:
澤田さん,女の子ゲームが大好きですからね(笑)。
澤田氏:
ところでレーザーアクティブ版の「タイムギャル」って,当時どれくらい持ってる人がいたんですかね?
山下氏:
ハードウェアがまず高いですからね……。
澤田氏:
相当マニアックですよね。リバイバルもありましたけれども,Twitterにトレンド入りするのは僕としては予想外の反響でしたね。
4Gamer:
ハードウェア普及率的な意味では,アプリ市場はやりやすいプラットフォームなのでしょうか。
澤田氏:
当時の雰囲気を確認したいというか,思い出にひたるような気分でゲームを楽しんでいただく方が多いと思うんですけれども,ゲーム機だと皆のいるところで「タイムギャルってこういうゲームだったよね」みたいなことを話す遊び方がしにくいじゃないですか。その点,スマートフォンは良いプラットフォームだと思います。もしかしたら,クラシックタイトルをリバイバルするには適しているマーケットなのかもしれないですね。
山下氏:
お客さまが「ゲームをやろう」と気負った人だけじゃないのも,いいところだと思います。
澤田氏:
フリーミアムのゲームがこれだけはやって,スマートフォンでゲームを遊ぶ人が増えたので,ライトなお客さまもアプリを落としてくれたら嬉しいですね。
4Gamer:
今のアプリ市場って以前のゲーセンみたいな感じかもしれないですね。最新のゲームも昔のゲームも稼働していて,ふらっと立ち寄ってそれに触れるライトユーザーもいて,みんなで遊べて……みたいな。
「たけしの挑戦状」のカラオケや地図はどうなる?
4Gamer:
「たけしの挑戦状」ですが,“よりにもよって”と言ったらいいのか……なぜこのタイトルを選ばれたのでしょうか。
TAITO CLASSICSでいろいろとリバイバルしていこうという流れの中で,「じゃあ何をやろうか」という会議があったのですが,僕が子供のころから遊んでいて大好きだったので,手を上げて「『たけしの挑戦状』どうですかね」と,まずは何も考えないで言いました。タレントさんのコンテンツなので,「いろいろハードルがあるかも」というのはあったのですが,たけしさんは現役で活躍されていますし,「今リリースしても,みんな遊んで面白いと思ってくれるのかな」とも考えていました。
4Gamer:
一般的に「タレントゲームは肖像権問題でリバイバルが難しい」といわれていますが,その点は問題にならなかったのでしょうか。
契約周りのところは,タレントさんのコンテンツだから特別なことがあるというわけでもなく,過去の契約書などを洗い出し,当時の関係者から話を聞くなどして,交渉にあたるというだけなので,そこまで高いハードルがあったわけではありません。「たけしの挑戦状」はたけしさんが企画したゲームですが,通常の契約の流れで,とくに問題はなかったですね。もちろん,オフィス北野さんの承諾をいただけたことは大きいですが。
4Gamer:
オフィス北野サイドの反応はどうだったのでしょうか?
澤田氏:
ゲームをリバイバルするということに関しては好意的で,協力していただいている感じです。追加コンテンツの提案も全然ウェルカムな感じで,ディスカッションしながらやっています。また,エイプリルフール企画の「たけしの挑戦状VR」のときは,オフィス北野さんの公式サイトにもリンクを貼っていただけて,ありがたく思っています。
4Gamer:
過去にWii用のバーチャルコンソールでも「たけしの挑戦状」はリリースされていますが,オフィス北野さんの許諾は今回の移植にあたって改めて受けたという形なのでしょうか。
澤田氏:
新しい形でのリバイバルとなるので,改めて了承をいただいています。
ところで,カラオケの仕様はどうなるのでしょうか。
澤田氏:
バーチャルコンソール版ではキー入力だけにしていたのですが,皆さんからいろいろ問い合わせをいただいていて,「マイクに対応しないといけないかな」と考えているところです。ちなみに問い合わせで一番多かったのが,「カラオケどうなの?」という話でした。
山下氏:
あとは地図ですね。
澤田氏:
地図を一時間も放置するのはどうするんだという(笑)。
4Gamer:
普通だったら端末がスリープしちゃいますからね。
澤田氏:
スリープに入ったらゲーム内の時間が動かなくなるので,それも検討事項になっています。難度調整も,スマートフォンでちゃんと遊べて,当時の雰囲気をしっかり味わえるというところを目指しています。
4Gamer:
「たけしの挑戦状」における追加コンテンツとは,どのようなものになるのでしょうか。
澤田氏:
今の時点ではお話できないのですが,然るべきタイミングでしっかりお話させていただきたいと思っています。ただ,全然違うストーリーといったところまではないのですけれども。
山下氏:
TAITO CLASSICS自体が,ベース部分の移植に対して,お客さまが嬉しいと思う要素を追加していくというコンセプトなので,追加コンテンツは基本的にベースを活かしたものになります。
澤田氏:
「タイムギャル」でシアターモードとかギャラリーモードとかが追加されたのと一緒で,「たけしの挑戦状」も「このゲームを楽しむにあたって,さらに何かできるといいな」という考えで誠心誠意作っておりますので,もう少しお待ちください。
「レイ」シリーズはZUNTATAメンバーによる新アレンジBGMを搭載
4Gamer:
「レイフォース」や「レイストーム」はすでにiOS版がありますが,TAITO CLASSICS版の配信後はどうなるのでしょうか。
TAITO CLASSICS版の「レイストーム」と「レイフォース」は,既存のアプリをアップデートする形でリリースしようと思っています。以前に購入されていたお客さまは,アップデートするだけでTAITO CLASSICS版をプレイできるようになります。
4Gamer:
スワイプ操作などはそのまま,ゲームパッド対応などが追加されるというわけですね。難度は既存のアプリ仕様とアーケード準拠を選択できるのでしょうか。
山下氏:
難度は8段階から選択できます。
4Gamer:
新曲が追加されるとのことですが,それはどういったものなのでしょうか。
山下氏:
「レイフォース」に関してはZUNTATAの土屋昇平がアレンジを担当しておりまして,1面BGMの「Penetration」が,ピアノの音がすごくいい感じに入った土屋らしい曲になっています。また,「レイストーム」に関してはZUNTATAのMASAKI,そして「レイクライシス」に関しては,この時点では名前を出せないのですが,新規加入した第4のZUNTATAメンバーが担当しています。
澤田氏:
音楽について高い評価を得ているタイトルですので,新たな音楽もお客さまに喜んでいただけるのではないかと思っています。
山下氏:
また,Apple TVのtvOSに対応して,TV画面とゲームコントローラでも遊べるようになります。いわゆるUniversal Purchaseになっていますので,購入するとiOS端末でもApple TVでもプレイできます。
4Gamer:
「レイストーム」はPlayStation版の13機モードやHD版のR-GEAR(関連記事)などが気になるところですが,これらはどうなるのでしょうか。
山下氏:
まだお話できませんが,担当ディレクターは各バージョンのソースを一通り集めて検討しています。
1997年にリリースされたPlayStation版「レイストーム」。敵配置やBGMなどを変更したエクストラモードと,作中設定同様の13機ストックでクリアを目指すモードが追加されている |
2012年にリリースされたiOS版「レイストーム」。アーケード準拠のモードにくわえ,PlayStation版のエクストラモードをベースとしたiPhoneモードが搭載されている |
4Gamer:
前2作と違ってアプリ版のない「レイクライシス」は,新たなアプリがリリースされるという形に?
山下氏:
はい,そうなります。
「レイクライシス」もまた,PlayStation版のスペシャルモードや前作機体などが気になるところですが……。
山下氏:
こちらは開発の初期段階なので何とも言えませんが,担当ディレクターの伊与政秀武が“やりたがり”なほうなので,いろいろ考えていると思います。
どんなタイトルでもTAITO CLASSICS化の可能性はあり。人気作は新規タイトルの展開も?
4Gamer:
現在発表されている5本の後はどのように考えられているのでしょうか。
山下氏:
どんどんタイトルを出していって,新しいお客さまを獲得できればと思っていますので,ぜひ続けていきたいと考えています。これに関して,TAITO CLASSICSの公式サイトで近々アンケートを取りたいと思っているんですよ。アンケートを取るときはTwitterのTAITO_Appsで告知するので,フォローしておいていただければと。
澤田氏:
どういったタイトルが人気になるのか気になるところですよね。
4Gamer:
ちなみに,どんなタイトルが上位に上がると思いますか?
澤田氏:
人気という点で,「ダライアス」シリーズは出てくるだろうと思っていますが,Twitterでは熱意のある人がマニアックなタイトルをリプライしてくるので,そういったものが上位に来ることもあり得るのかなと感じています。
山下氏:
「タイムギャル」を出した関係で,「忍者ハヤテ」という声はちらほらありますね。
澤田氏:
「忍者ハヤテ」,おじさんだからなあ……美少年とかイケメンとかでもないですからね(笑)。
僕は過去に好きだったタイトルがあるので,それを山下に提案していきたいと思っています。スポーツゲームが好きで,「究極ハリキリスタジアム」とか「ハットトリックヒーロー」とかを死ぬほどやったので,「今の子供たちにも遊んでもらえるんじゃないか」と思いながら,移植できたらいいなと考えています。
1988年にリリースされたファミリーコンピュータ用ソフト「究極ハリキリスタジアム」(画像は1989年に発売された「究極ハリキリスタジアム平成元年版」)。魔球を投げられたり酔っ払いが乱入したりといったユニークなフィーチャーが採用されている |
1990年にリリースされたアーケードゲーム「ハットトリックヒーロー」。操作はシンプルだが,特殊なテクニックや反則行為など多彩なアクションを繰り出せる |
4Gamer:
スポーツ以外のジャンルですといかがでしょうか。
澤田氏:
スポーツ以外だと,すごく好きだったのが「たけしの戦国風雲児」です(笑)。たけしシリーズで,もう一回オフィス北野さんとお話しをしたいですね。あの謎のすごろくゲームが大好きだったんですよ。友達と無茶苦茶遊びました。パーティーゲームはスマートフォン市場でも人気があるので,例えば通信プレイで4人対戦ができたら面白いんじゃないかと考えています。
4Gamer:
タイトーでタレントゲームと言いますと「森口博子のクイズでヒューヒュー」や「ゆうゆのクイズでGO!GO!」もありますが,そういったタイトルもTAITO CLASSICS入りする可能性はあるのでしょうか。
山下氏:
今,さまざまな契約を洗い直していて,一応手元に「ゆうゆのクイズでGO!GO!」の資料もあります(笑)。
4Gamer:
検討タイトルには入っていると(笑)。
澤田氏:
TAITO CLASSICSは,アーケードやコンシューマといった制約は全然なくて,「どんなタイトルがいいのかな」といろいろ探っています。例えば「チェイスH.Q.」は山下が個人的に好きなので,リクエストによっては可能性がありそうですね。
山下氏:
「チェイスH.Q.」やりたいですね。あの“車をぶつけていくレースゲーム”というのはそれまでになかったですから。あれは新しかったです。
4Gamer:
ライド筐体系だと「ナイトストライカー」をやってみたいですね。レターボックスの部分で筐体の照明を再現してもらって。
澤田氏:
「ナイトストライカー」はTwitterでも望む声が上がっていましたね。あと「ニンジャウォーリアーズ」。Twitterのユーザーはけっこうマニアックなところを突いてきます。
1988年にリリースされたアーケードゲーム「チェイス H.Q.」。警察のカーチェイスをモチーフとしており,自分が運転する車輌を追跡車輌にぶつけて破壊すればステージクリアとなる |
1988年にリリースされたアーケードゲーム「ニンジャウォーリアーズ」(画像はPCエンジン版)。筐体は「ダライアス」と同じ横3画面のものが使用されていた |
4Gamer:
「ダライアス」シリーズのニーズは非常に大きいかと思うのですが,なぜ初回のタイトルからは外れたのでしょうか。
山下氏:
タイトルは,今現在はシリーズ展開のないものからピックアップしていくという側面がありました。ですが,「ダライアス外伝」や「Gダライアス」も可能性は十分あると思います。
4Gamer:
では「パズルボブル」シリーズも……。
山下氏:
あれは「LINE パズルボブル」(iOS/Android)が絶賛運営中ですね。ただ可能性はあります。
4Gamer:
「パズルボブル」が見送られると,逆に「クレオパトラフォーチュン」や「プチカラット」といったパズルゲームにチャンスがあるのかなと思ったりもしますが。
山下氏:
そうですね。「クレオパトラフォーチュン」を作っていた者も社内にいますし,要望が多ければ可能性は高まると思います。
「オペレーションウルフ」などもシステム的にはスマートフォンでできそうですよね。
澤田氏:
アーケードのガンシューティングではありますけれども,タップ操作での再現はできると思います。特殊なデバイスを使った体感系のゲームも,やれるタイトルはたくさんありそうですね。
山下氏:
今回,アーケードやコンシューマといった制限もないので,本当に何でも可能性はあります。
澤田氏:
「アーケード版がいい」とか「コンシューマ版が好き」とか,そういうのもアンケートでいただければと考えています。「影の伝説」などは,ファミコン版とアーケード版では違っているので。
4Gamer:
「『エレベーターアクション』は移植された喜びがあるからファミコン版のほうが好き」という人も見たことがあります。
澤田氏:
僕はアーケードで「エレベーターアクション」や「影の伝説」をやったことがなくて,初めて触れたのがファミコン版だったので,あっちのほうが好きですね。お客さまには,そういった層もいるのかなと思います。たぶん,山下の世代だと先にアーケード版に触れているので,ファミコン版は「グラフィックスがしょぼくなった」と考えているかもしれませんが(笑)。
個人的には「プリルラ」みたいな“ご乱心”的タイトルが好きだったりもするので,期待したいですね。
澤田氏:
Web媒体では「たけしの挑戦状」が「正気か」という取り上げられかたをしていたので,そういった“ご乱心”ぶりがかえってウケているのなら,変わった方向性のタイトルも,それはそれで望まれている気がしますね。
山下氏:
今ほど市場が洗練されていない時代には,いろんな実験的タイトルがあったんですよね。そのころの,今とはちょっと違う“荒削りなんだけど面白い”というところは出していけたらなと思います。「プリルラ」いいですよね……世界観が素晴らしい。
4Gamer:
“荒削りなんだけど面白い”で言うと,「カイザーナックル」がリバイバルされて,巷がジェネラル(※)で阿鼻叫喚になるのも見てみたいところです。
※ジェネラル……「カイザーナックル」の隠しラスボス。技やAIが尋常でないほど強く,リリース当時の某アーケードゲーム情報誌では「気合でなんとか……」と諦めに近いコメントが記され,近年の某マンガでは「(最強)っていうか最凶」「むしろ『凶』」と書かれた。
山下氏:
ここまで話に上がったタイトルはだいたい検討の俎上にありましたけど,「カイザーナックル」は入ってなかったですね(笑)。
澤田氏:
「タイムギャル」もそうですが,それを知らなかった人が新たに触れる機会になり,強いファン層があるタイトルならば,ニッチなものでも出てくる可能性はちゃんとありますよ。
4Gamer:
では,若いファン層を拡大することに成功したとき,新作を展開するという可能性はあるのでしょうか。
山下氏:
今回,まさにそれがあり得るんですよ。先程,「ダライアス」とか「パズルボブル」とかではなくてシリーズ展開のないタイトルから……というお話をしましたが,そういったタイトルがお客さまに認知されたら,新作を出していけると考えています。新作は,ぜひやっていきたいですね。
4Gamer:
単なる移植ではなく,試金石みたいな側面もあるわけですか。それでは最後に,読者に向けてのメッセージをお願いします。
山下氏:
「久しぶりに」という方にも遊んでほしいのですが,遊んでみたら「なるほどこういう面白さがあるのか」と発見があるタイトルだと思うので,知らない方も,まずは体験していただけたらと思っています。
澤田氏:
当時の雰囲気をしっかりと残して,あの「たけしの挑戦状」が復活しますので,お楽しみに!
4Gamer:
ありがとうございました。
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