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日髙のり子さんが「√Letter ルートレター」の聖地を巡礼。島根県松江市は“ゲームの登場人物に会える街”だった
ゲームには,松江城や宍道湖といった誰もが知る名所はもちろん,旧日本銀行支店の建物を利用した工房や,宍道湖をめぐる観光船,美術館,カフェ,BAR,洋菓子店など,さまざまな場所が登場し,ちょっとした旅行の雰囲気が味わえる。
本作の制作には島根県が協力しているだけあって,こういった場所や施設の多くが,実在のものを忠実に再現し,名称もそのままで登場している。驚くことに,そこに登場する人物にも,実在の人がいるのだそうだ。
そこに「√Letter ルートレター Last Answer」「√Letter 2(仮称)」発表のニュースがあり,さらに角川ゲームスから,「(文野亜弥の声を演じている)日髙のり子さんが,『ルートレター』に登場したお店を回って挨拶されるんです」と聞いたら,これはもう行くしかない。
……ということで,日髙さんに同行した“聖地巡礼”のレポートをお届けしよう。
最初に訪れたのは,洋菓子店の「パティスリー ガレット」。ゲーム中には「パティスリー ピュア」という名前で登場している。
出迎えてくれたのは,店長の武田竜一さん。ゲームの発売後は,やはり若い人を中心に“聖地巡礼”で訪れるお客が増えたそうで,「そういった方のイメージを裏切らないようにお店をやっていきたい」とのこと。確かに移転後の店も,赤いひさしや,店内のベージュの壁などは,ゲームに登場する「パティスリー ピュア」と同じだ。
日髙さんは「そこまで気を使っていただけるなんて,襟を正さなくちゃいけないような気持ちになります」と,感激した様子だった。
武田さんの「裏切らないように」という思いは,ご自身にも向けられているようだ。ゲームに登場する「パティスリー ピュア」の店長である大森 準はイケメンパティシエなので,武田さんは,あくまで別人とはいえ「お店に来る人をがっかりさせたくない」と,ダイエットに励んだとのこと。
ルートレターをプレイした人なら,このエピソードはとても興味深いはず。心優しく,ストイックなところは,大森そのままではないだろうか。
確かに,ルートレターでは,「パティスリー ピュア」のケーキがはっきりと画面に映ることがなかった。また,大森はベリー系のケーキやタルトが苦手で,お店にも置かないという設定なのだが,意図的なのか偶然なのか,「パティスリー ガレット」の看板商品の1つは,ストロベリーのタルトなのだ(近くにある島根大学の学生の間で人気になったことから,「島大タルト」という名前が付いている)。武田さんの気持はよく分かる。
日髙さんも「ここはたくさんのケーキがあって迷ってしまうから,ゲームに登場するものを食べてもらえるといいですね」と賛成。武田さんは「√Letter 2」のためにオリジナルのケーキを作るつもりと話していたので,実現に期待したいところだ。
そして武田さんは,当日お店を訪れる日髙さんのためにも,ルートレターのケーキを用意してくれていた。
日髙さんはひと目みるなり「すごい! すばらしい!」と満面の笑み。さっそくお味を……といきたいところだったのだが,次の取材場所の時間が迫っていたため,そのまま持ち帰りということに。ちょっと食べてみたかった……。
このケーキは,注文すれば作ってもらえるとのことなので,近場の人や,グループで島根に行く人は,ぜひ味を確かめてもらいたい。もちろん1人でも注文できるが,この大きさのうえ,手にした日髙さんが「ずっしり」という感想を漏らしていたので,完食するには相当の覚悟が必要になりそうだ。
続いて訪れたのは,宍道湖観光遊覧船「はくちょう号」の乗船場。こちらはゲームにもそのままの名前で登場している。
「おぉ,ゲームとまるっきり同じだ」などと写真を撮っていると,そこに船長の上谷雅宏さんが登場。こちらもゲームとまるっきり同じだ!
上谷さんと日髙さんは以前にも何度か会っているそうで,会話は最初から和やかな雰囲気。ルートレター発売後は,やはりゲームのプレイをきっかけに訪れる人が増え,上谷さんを見ては「ゲームそのまま」「初めて会った気がしない」という感想を漏らすそうだ。
ルートレターは海外でもリリースされているのだが,言葉が通じなくても,上谷さんが映ったゲームの画面を見せて「ゲームをプレイしてここに来た」ということをアピールする海外からの観光客もいるという。
上谷さんは,息子さんが見つけたという,ゲーム中の“とあるミス”が印象に残っているようだ。島根には「あの人」「この人」を「あのさん」「このさん」と言う方言があるのだが,ゲーム中のあるところで「あのさん」というボイスに「あのおっさん」というテキストが当てられていた。そして,おっさん呼ばわりされているのが,よりによって上谷さんだったという。
それを聞いた日髙さんと,同行していた角川ゲームスの担当者は「大変失礼いたしました」と恐縮していたが,上谷さんは「いや,あれはあれで面白かった!」と豪快に笑い飛ばしていた。
新作の「√Letter 2」について,上谷さんはまず「もっと自分の出番が増えるといいな。何なら殺される役でも」と周囲を笑わせた後で「前作よりもっと売ってもらって,より多くの人に松江を知ってもらいたい」と期待を語ってくれた。
上谷さんが考える松江の魅力は「空気,水,お米,野菜,肉,すべてがおいしくて,すべてが優しいところ」だという。それには日髙さんも「松江は日本の原風景が残っていて,県外から来ても懐かしさを感じるし,確かに“優しさ”がありますね」とうなずいていた。
ただ,上谷さんは「松江の人はアピールがうまくない」とも思っていて,それだけにルートレターには期待しているとのこと。「松江を訪れた後またゲームをすれば,もっと楽しくなると思います」と,熱く語ってくれた。ゲームに出てくる船長は,どちらかと言えば無口で仏頂面な印象だったのだが,上谷さんは郷土愛にあふれる,情熱的な人のようだ。
さて,ルートレターでは,主人公がはくちょう号に乗るシーンこそあるものの,そこから見える風景までは詳しく描かれていなかった。そこで見どころを聞いてみると「乗船場から大橋川をさかのぼって,宍道湖大橋を抜けたところ。そこで一気に宍道湖の風景が広がる」とのこと。そして夏は日没直後に赤く染まる空がとても美しいそうだ。
それを聞いて「ぜひ宍道湖大橋をくぐってみたい!」と乗船しようと思ったのだが,またしても時間がないということでお預け。「観光しに来たんじゃないから」と自分に言い聞かせて,次の訪問先へ……。
そうしてやってきたのは,はくちょう号も行き来する大橋川沿いにある「中村BAR」。今回はまだ日があるうちの訪問だったが,営業中は美しい夜景を見ながらお酒が楽しめるお店だ。
ルートレターにも同じ名前で登場していて,オーナーの中村義昭さんも,“本人役”で出演。ある登場人物の過去を知っているという,なかなか重要な役どころとなっている。
ルートレターの発売後は,やはりゲームをきっかけに店を訪れる人が増えたとのこと。若い人だけでなく。意外にも中村さんと同年代の方が多くて,その中には「5つのシナリオを全部クリアしたよ」というやりこみ派の方もいたそうだ。。
そうやって中村さんに会いに来た人は「ゲームよりも男前だね」という感想を漏らすことが多いそうで,実写化作品の「Last Answer」について聞かれると「ギャップがなくなるなぁ」と,少々寂しそうな反応だった。確かに「ゲームと同じ」より「ゲームより男前」のほうが嬉しいのは当然だ。
さらに,ルートレターをプレイした人には「女好き」というイメージを持ってやって来る人が多い,と中村さんは苦笑いしながら話してくれた。
ゲーム中にそのような表現はなかったはず……と,筆者と角川ゲームスの担当者が訝しがっていると,日髙さんが「BARという“夜のイメージ”が,それにつながったのかも」と推理を披露してくれた。確かにそんなところかも。声優さんもいい声してたし……。
ともあれ,仮にゲームの中村さんが女好きでも,本物の中村さんはれっきとした紳士なので,お間違いなく。
ルートレターをきっかけにして中村BARを訪れるお客には,フランスやイギリス,中国など,海外からの人も多く,お店がゲームの話題で盛り上がることも増えたそうだ。片言の英語や翻訳ソフトを使って「一番好きなゲームは何?」といったことを語り合うお客の姿を見て,中村さんは「音楽やスポーツだけでなく,ゲームも人をつなげるんだ」と感じたとのこと。それを聞いた日髙さんは「いいコメント!」と嬉しそうだった。
さて,新作が発表されたということで,日髙さんが「ルートレターにちなんだカクテルを作っていただいて,それがゲームに出てきたりすると嬉しいです」と話すと,中村さんは「実は作ってみたんですよ」と,カウンターの内側へ。
白い便箋をイメージして作ったというカクテル,その名も「ルートレター」は,ホワイトカカオとホワイトペパーミントのリキュールを使ったもの。定番カクテル「グラスホッパー」のホワイト版だそうだ。
日髙さんは一口飲んで「おいしい!」。続けて「白いのにチョコミントの香りや味がして不思議だし,強めだけど飲んだときにカーッとしないから,ちょっと危険なお酒かも。ミステリーっぽくて,いいですね(笑)」と,ゲームにぴったりのお酒であることが気に入った様子。
「ルートレター」は,注文すればいつでも作ってもらえるとのことなので,これから中村BARへ行く人は,ぜひ味わってほしい。下戸の筆者は仕事に差し支えそうだったため,またしても諦めることに……。
本日最後の訪問場所は,カフェ「ウォーターワークス」。こちらもそのままの名前でゲームに登場していて,主人公が何度も訪れることになる場所だ。
店長の安来潔史さんもゲームに登場しているのだが,ご自身や友人は「なんかちょっと違うんじゃない?」という感想を持ったそうだ。イラストが似ている・似ていないの話ではなく,ゲームの店長はまじめそうな雰囲気があって,安来さんは「本人はもっとふざけてます」という。
ゲームをきっかけにお店を訪れた人とも,一緒に写真を撮るなどして「ちょっとした芸能人気分」を味わっていると嬉しそうに話してくれた。
ただ,それだけに,会いに来る人ががっかりしないよう,体重をキープするなどの努力をしているとのこと。このあたりは,パティスリー ガレットの武田さんと同じだ。そして「ゲームのイメージを悪くするようなことはできないですし,規律正しくしないと」という言葉には,日髙さんも「表に出る人の心構えですよね」と共感していた。また,「Last Answer」で実写化されると聞いたときは「誰が自分の役を演じるんだろう」と思ったそうだが,自分が出ると知って「画面に耐えられるのかな」と心配しているという。
安来さんに押され気味の日髙さんは「高校生と……それはスピンオフ的要素ですかね」と答えていた。まぁ,メインのストーリーではさすがに難しいかな……。
さて,前述したように,ルートレターではゲーム中に何度もウォーターワークスへ足を運ぶことになるのだが,残念ながら主人公が食事をするシーンはない。そこで安来さんにオススメのメニューを聞いてみると,「スープライス」と即座に返ってきた。
カレー風味のお茶漬け,といった感じのもので,14年前のオープン当時から提供し続けている名物メニューだそうだ。
それを聞いた日髙さんが「ルートレターの続編が出るので,新作メニューを考えていただけないでしょうか」とお願いすると,安来さんは快諾。どんなものになるのか今から楽しみだが,現在でも,お店ではゲームをプレイした人のために,ルートレターの名前入りクッキーがついたパンケーキを提供しているので,これから行く人はぜひ注文してほしい。
最後の取材場所ということで,スープライスとパンケーキをじっくり味わいたかったのだが,気がつけば飛行機の時間が迫っている。筆者は泣く泣く日髙さんたちと別れて,空港へ急ぐことになった。
大急ぎの取材だったが,印象に残ったのは,やはりゲームそのままの姿で迎えてくれた松江のみなさんだ。会ったことがない人のはずなのに,顔を見ればすぐに分かって挨拶できる,というのは不思議な感覚だった。
最近はゲームの“聖地巡礼”も珍しくないが,たいていは「場所」を巡るものだろう。それがルートレターでは「人」にも会えて,言葉を交わせるので,感激度が増こと間違いなし。今回紹介したところ以外にも,お店の人が“ゲームそのまま”の姿で迎えてくれるところがあるので,ゲームをプレイした人は,ぜひ松江を訪れてみてほしい。
7月にあった西日本豪雨の影響を心配する人も多いと思うが,島根県の被害はわずかで,ほかの地域に比べて復旧も早かったとのこと。観光連盟の方は「ぜひ観光にいらしてほしい」と話していたので,遠慮は不要だ。筆者も近いうちにプライベートで再訪して,お預けになってしまった松江の魅力数々を,じっくり味わいたいと思っている。
「√Letter ルートレター」公式サイト
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