プレイレポート
Nintendo Switchの特性とゲーム内容は相性抜群。寝転んで遊べるのが楽しい「聖剣伝説コレクション」プレイレポート
シリーズの原点である初代作「聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜」(以下,FF外伝),マルチプレイが話題を呼んだ「聖剣伝説2」(以下,聖剣2),そして初移植となる「聖剣伝説3」(以下,聖剣3)を収録した同作のプレイフィールをお伝えしていこう。
「聖剣伝説コレクション」公式サイト
「聖剣伝説」シリーズは,スクウェア・エニックスが展開するアクションRPG。1991年にゲームボーイ用として発表されたFF外伝は,その名が示すとおり,「ファイナルファンタジー」のスピンオフという位置付けだった。その後,1993年に発売されたスーパーファミコン用の聖剣2で独立シリーズ化。1995年に,やはりスーパーファミコン用としてリリースされた聖剣3では,高いストーリー性が話題となって,一大ブランドとして定着している。
さて,聖剣伝説コレクションは,シリーズ25周年を記念し,初期作3本をNintendo Switchで遊べるようにしたものだ。FF外伝はリメイクされ,聖剣2はバーチャルコンソール版やスマートフォン移植版が配信されてきたが,聖剣3がスーパーファミコン以外のハードで遊べるのはこれが初めてとなる。
移植を担当したのは,ニンテンドー3DS用「セガ3D復刻アーカイブス」や,バーチャルコンソール版「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」など,レトロゲームの復刻で知られるエムツー。原典を大きくアレンジすることなく現代風の便利な機能を追加することで,素材の味を活かした移植に仕上げている。
まず,ファンにとって嬉しいのがミュージックモードの追加だろう。タイトル選択画面から曲名付きで楽曲を聴くことができる。音楽に定評がある聖剣伝説シリーズだけに,ゲームを遊んだことはなくても「Rising Sun」「子午線の祀り」「Meridian Child」といった名曲の名前には見覚えのある人も多いはず。本作で原曲に触れてみるのもいいのではないだろうか。
プレイを進めるうえでとてもありがたいのが,ゲーム中にいつでもどこでもセーブ / ロードできる「クイックセーブ」「クイックロード」機能だ。[ZL]でオプションメニューを呼び出せば,いつでもセーブとロードが可能だ。セーブスロットはタイトルごとに三つずつ用意されており,決められた場所でしかセーブできなかった聖剣2,聖剣3を遊ぶときには,とくに便利に感じられた。もちろん通常どおりのセーブも可能だ。
ステータスの振り分けやクラス選択など,予備知識がないと迷うところがあるシリーズだけに,初めて遊ぶ人はこまめにクイックセーブをするといいだろう。
オリジナル版とNintendo Switchでは画面のアスペクト比が4:3から16:9に変更されているが,これについては余った部分に壁紙を配するという形で対応している。気になる壁紙の絵柄は,聖剣2,聖剣3はオリジナル版のパッケージアート。そしてFF外伝は,昔のPCゲーム風の描き下ろしイメージイラストになっており,独特の色使いとドットのジャギーが懐かしい。
どのタイトルでも,[ZR]ボタンを押すと画面サイズを大小2種類に切り替えることが可能。FF外伝の場合は画面サイズに加え,モノクロの「デフォルト」,ブラウンの「スーパーゲームボーイ」,そして実機の液晶画面を再現した「ゲームボーイ」という三つのカラーモードが用意されている。それぞれで画面サイズを切り替えられるため,FF外伝に関しては合計6種の画面設定が存在するという充実ぶりだ(ちなみに「ゲームボーイ」モードでは壁紙も画面に合わせた色合いになる)。
操作はJoy-Conで行うのだが,単体でもグリップに取り付けた状態でもプレイ可能。もちろん聖剣2では最大3人,聖剣3では2人でのオフラインマルチプレイに対応している。筆者も当時は友達の家にスーパーファミコン一式を持ち込んで遊んでいたものだが,Nintendo Switchならもっと手軽にマルチプレイが楽しめるわけで,時代の流れをしみじみと感じてしまった。
本作を遊んでみて強く感じられたのが,携帯モードとの相性の良さだ。ベッドに寝っ転がってマイペースで遊び,クイックセーブ機能で気軽に中断する。ゴロゴロしつつプレイする聖剣伝説がこんなに楽しいものだとは思ってもみなかった。これは実に嬉しい誤算だ。
それというのも,聖剣伝説シリーズは「町の外に出れば即座にバトルが展開する」という,当時らしい作りになっているから。これがゴロゴロプレイ&クイックセーブと実に相性がいいのだ。
聖剣伝説に限らず,「ドラゴンクエスト」や「フロントミッション」など,ファミコン&スーパーファミコン時代のソフトは,みんなクイックセーブを付けてNintendo Switchに移植してしまえばいいのではないか……と思えるほどの快適さだった。
「聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜」
FF外伝は「帝国の奴隷となった主人公が,貴族の娯楽のためにモンスターと戦わされる」という導入で,スタートしてすぐに最初の山場が訪れる。ここで負けても救済措置はないというシビアさが昔のゲームらしい。
なんとか隙をついて脱出し,謎めいたヒロインを助け出す。木を切り倒す「バトルアックス」,草を刈る「くさりがま」といった装備を手に入れることで,攻撃のバリエーションが増え,行動半径も広がっていく。実に骨太な面白さだ。
NPCとの共闘や,攻撃しないことで溜まっていく武器のパワーゲージなど,聖剣伝説シリーズを象徴する要素はFF外伝ですでに盛り込まれている辺りも興味深い。なお,「ファイナルファンタジー外伝」というサブタイトルの通り,一部のグラフィックスとアイテム,魔法といった要素がFFシリーズと共通しているので,本作に初めて触れるファイナルファンタジーファンはこうした点を比べてみるのも面白いだろう。
「聖剣伝説2」
シリーズがブレイクしたのが聖剣2だ。よそ者として虐められていたランディが聖剣を抜いてしまい,村から追放される冒頭部分は正にジュブナイルものの王道であり,あらためて見ても胸が締め付けられる。しかし今回プレイしてみたところ,村人の不安を抑えるためにランディを犠牲にしなければならない村長の苦しい胸の内も,少しは理解できてしまい,時間の流れというものに思いを馳せざるを得なかった。
運命に導かれてランディ達3人が出会い,仲間となっていく過程は今見てもワクワクしてしまう。さまざまな武器や魔法を使い込んでレベルを上げていくのも楽しく,やはりバトル系アクションRPGの傑作と呼んで差し支えないだろう。
初めて遊ぶ人は,仲間ができたらメニューリングの「ACT」から行動を指定するのをお忘れなく。最初は右下の状態で積極的に戦闘に参加させないようにしつつ,レベルが上がったら色々なセッティングを試してみよう。
「聖剣伝説3」
ドット絵表現は聖剣3でさらに進化。淡い色合いがまるで絵本のようなテイストを醸し出している。小さなキャラクターがいろいろな芝居をするのも楽しく,いま見ても目を見張るものがある。インディーズゲームを中心に,ドット絵という表現手法が注目されている時代だからこそ,あらためて聖剣3を見直してみるとそこから得られるものがありそうだ。
6人の主人公達から3人を選ぶシステムが特徴で,旅の中で彼らのエピソードが絡み合っていく様は群像劇の趣がある。
バトルにおいては「クラスチェンジ」がポイントだろう。「光」と「闇」いずれかのクラスを選ぶことができ,それぞれに特性が異なっている。昔のプレイ時に使わなかったクラスを選んでみるのもいいし,クイックセーブを使ってある程度使用感を確かめてみるのもいいだろう。
なお,それぞれの作品を起動する際にはちょっとしたオリジナル演出が入っている。FF外伝だとロゴがモノクロになり,聖剣2だとパッケージアートで印象的だったフラミンゴが飛んでいき,聖剣3はオープニング画面のように画面下から雲がわき出すといった具合で,それぞれツボを押さえたものになっているのが嬉しい。
プレイ感も快適で,追加された機能も使いやすいなど,移植という面では満足できるものの,アナログスティックを使って遊ぶ場合,最初のうちはリングコマンドが回転しすぎてしまうことがあった。プレイを進めるうちに自然と慣れたのだが,アナログスティックの感度を調整するオプションがあれば良かったとと感じられた。
ともあれ,素材の味を活かした移植と,Nintendo Switchの携帯モードとの相性の良さで,かつて原典をプレイした人でも,初めて遊ぶ人でも楽しめるのは間違いない。とくに原典に触れたことのある人ならば,友達の家にNintendo Switchを持ち込んでJoy-Conを「おすそわけ」してマルチプレイすれば,きっとさまざまな感慨が浮かんでくることだろう。
「聖剣伝説コレクション」公式サイト
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